カテゴリー: ファンタジー

  • Battle Brothersの開発陣が描く地獄の戦場!『MENACE』は覚悟のない指揮官を容赦なく粉砕する早期アクセスの名作

    Battle Brothersの開発陣が描く地獄の戦場!『MENACE』は覚悟のない指揮官を容赦なく粉砕する早期アクセスの名作

    「XCOMみたいなやつでしょ?」そんな甘い考えは開始5分で木っ端微塵

    2月5日、Overhype StudiosとHooded Horseによるターン制戦術RPG『MENACE(メナス)』が早期アクセス版をリリースした。『Battle Brothers』の開発チームが手掛ける新作ということで期待していたのだが、正直言って最初は「まあXCOMライクなゲームの一つでしょ?」くらいに軽く考えていた。

    その甘い認識が、プレイ開始わずか5分で完全に粉砕されることになろうとは……。

    本作の舞台は、辺境の宇宙システム「ウェイバック星系」。プレイヤーは共和国海兵隊の指揮官として、ワープゲート事故で中破した軽巡洋艦「TCRNインペタス号」から生き延びた部隊を率いることになる。任務は星系の治安回復──要するに、海賊、エイリアン、謎の敵対勢力をすべて始末することだ。

    分隊戦闘こそが真髄!一人の英雄なんていらない

    最初にチュートリアルをプレイして感じたのは、これがXCOMとは根本的に異なるゲームだということ。XCOMでは個々の兵士が重要だが、MENACEでは「分隊」が基本単位となる。歩兵分隊、装甲車両、歩行兵器(メカ)といった複数のユニットを組み合わせ、それぞれの特性を活かした戦術を組み立てる必要がある。

    特に印象的だったのは、個別ユニット行動システムだ。通常のXCOMライクゲームでは「自軍全体→敵軍全体」の順番だが、本作では自軍の一つのユニットを動かした後、敵が一つのユニットを動かすという交互進行。これにより、どのユニットをいつ動かすかの判断が極めて重要になる。

    最初のミッションで装甲車両を最後まで温存し、歩兵分隊が作った戦術的な隙間を一気に突破する快感を味わった瞬間、「これは他では味わえない戦術性だ」と確信した。

    制圧射撃が変える戦場の常識

    本作の戦闘システムで最も革新的なのは、制圧射撃の概念だろう。当たらなくても意味がある射撃──これがどれほど戦術の幅を広げるか、最初は理解できなかった。

    「当たらない射撃なんて無駄じゃないか」と思っていたのが大間違い。制圧射撃で敵を釘付けにしている間に、別の分隊が側面回り込みを行い、一気に殲滅する。この連携が決まった時の爽快感は、まさに「指揮官」としての醍醐味そのものだ。

    ただし、この戦術的深さには代償がある。判断を一つ間違えれば、分隊が壊滅し、貴重な指揮官を失うことになる。リソースは限られており、補充には時間とコストがかかる。Battle Brothersで培われた「失敗の重み」が、SF世界でも容赦なく襲いかかってくる。

    早期アクセスとは思えない完成度の高さ

    約20時間プレイした現在でも、まだゲーム序盤にいる状況だ。シネマティックトレイラーで登場した真の敵「メナス」にはまだ遭遇していないが、それでも十分すぎるほどの手応えを感じている。

    現在の早期アクセス版では、50種類以上のプロシージャル生成ミッション、3つのバイオーム、4つの敵対勢力が実装されている。これだけでも相当なボリュームだが、完成版では更なる惑星、ミッションタイプ、指揮官、装備が追加される予定だという。

    特に評価したいのは、日本語ローカライゼーションの質の高さ。機械翻訳ではなく、軍事用語や戦術概念が適切に翻訳されており、ストレスなく没入できる。Hooded Horseの丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。

    基本情報

    ゲーム名: MENACE(メナス)

    開発: Overhype Studios
    パブリッシャー: Hooded Horse

    リリース日: 2026年2月5日(早期アクセス)

    プラットフォーム: PC(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store、GOG.com)、Xbox Game Pass

    価格: 通常価格3,980円(現在25%オフセールで2,985円、2月20日まで)

    言語: 日本語対応(音声は英語のみ)

    プレイ時間: 無制限(プロシージャル生成)

    難易度: 高(Normal推奨)

    ジャンル: ターン制戦術RPG

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  • もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    正直、最初は困惑した

    「RPGとカードゲームの融合」と聞いて、最初に頭に浮かんだのは「またSlay the Spireのようなローグライクか?」という疑問だった。だが、『Dawncaster | The RPG Cardventure』のSteamストアページを見て驚いた。1100枚を超える手作りカード、100以上のユニークなチャレンジ、そして何より「ストーリー主導のRPGとカードゲームの戦略性を融合」という開発者の野心的な試みが見えたからだ。

    これは本当にただのデッキ構築ゲームなのか?それとも新しいジャンルの誕生なのか?

    闇に堕ちた王国での冒険が始まる

    物語の舞台は、アエトスの王国。ここは光と闇の争いに巻き込まれた世界だ。伝説の英雄「ドーンブリンガー」が行方不明となり、希望を失った人々の前に立ちはだかるのは、復活を目論む悪魔の脅威。

    プレイヤーは高貴な騎士、止められない戦士、狡猾なローグなど、複数のクラスから一つを選んで冒険に挑む。これだけ聞けば典型的なダークファンタジーRPGだが、戦闘はすべてカードで行われる。最初は「なぜカード?」と思ったが、プレイしてみるとその理由がよくわかる。

    カードで紡ぐ物語がすべて!

    本作の最大の魅力は、カード一枚一枚に込められた戦略性だ。戦闘中、プレイヤーは手札のカードを駆使して敵と戦う。だが、ただカードを出すだけではない。進行に合わせてカードを「追加」「変更」「コピー」「アップグレード」「削除」できるのだ。

    例えば、序盤で役立った攻撃カードも、中盤以降は足手まといになることがある。そんな時は思い切って削除し、より強力なカードに入れ替える。この判断がゲームの行方を大きく左右する。

    初回プレイでは、手当たり次第にカードを取得していた筆者だが、これが大きな間違いだった。デッキが肥大化し、欲しいカードが手札に来ない状況が多発。敗北を重ねながら、「選択と集中」の重要性を痛感した。

    クラスごとの個性がハンパない

    各クラスの違いは想像以上に大きい。騎士は装甲と耐久力に特化し、正々堂々とした戦いを得意とする。一方、ローグは機動力と奇襲に長け、相手の隙を突く戦術が基本となる。

    特に印象的だったのは、同じ敵でもクラスによって全く異なるアプローチが必要になることだ。騎士なら正面突破で攻略できる敵も、ローグでは回避とトリックを駆使しなければならない。これにより、クラスを変えるだけで全く違うゲーム体験が味わえる。

    Steamでの評価も上々

    Steam上での評価は非常に好調で、66レビュー中83%が好評という数字を記録している。特に「リプレイ性が異常に高い」「各クラスに豊富な戦術がある」といった声が目立つ。価格も現在2,300円と、このボリュームを考えれば十分リーズナブルだ。

    元々モバイル向けに開発され、25万人のユーザーに愛されてきた本作が、ついにSteamに登場。PCプラットフォームでの最適化も施され、より快適にプレイできるようになっている。

    真のローグライクが待っている

    本作は「真のローグライク体験」を謳っており、実際にプレイ回数を重ねても飽きることがない。ランダムに生成される遭遇、選択によって変化するストーリー、そして膨大なカードの組み合わせ。これらすべてが合わさって、まさに無限のリプレイ性を実現している。

    さらに「サンフォージ」と呼ばれるハイペースなボスラッシュモード、ウィークリーチャレンジ、そして上級者向けの「インフェルナル・インベージョン」モードまで用意されており、やり込み要素も十分だ。

    基本情報

    ゲーム名: Dawncaster | The RPG Cardventure
    開発者: Wanderlost Interactive
    パブリッシャー: Wanderlost Interactive
    プラットフォーム: Steam(Windows、macOS、Linux)
    価格:2,300円※発売記念10%OFF実施中
    リリース日: 2026年2月6日
    言語: 日本語対応
    ジャンル: デッキ構築、ローグライク、RPG

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    Steam: https://store.steampowered.com/app/3966890/Dawncaster__The_RPG_Cardventure/

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    公式サイト: https://dawncaster.wanderlost.games/
    Discord: https://discord.com/invite/pfeMG9c

  • 声で魔法を唱える?『YAPYAP』が協力型ホラーに革命を起こした理由

    声で魔法を唱える?『YAPYAP』が協力型ホラーに革命を起こした理由

    「ブリンク!ブリンク!ブリンク!」叫び続けた夜

    最初に『YAPYAP』をプレイした夜、私は友人たちと一緒にモニターの前で絶叫していた。「ブリンク!ブリンク!ブリンク!」と必死に叫びながら、巨大な椅子のモンスターから逃げ回っていた。声がかすれるほど叫んだ。隣の部屋から「うるさい」と怒られた。でも、それでも叫び続けた。なぜなら、このゲームでは声が武器だからだ。

    Steam上で「非常に好評」を獲得し、リリース後わずか数時間で約10,000人の同時接続を記録した『YAPYAP』。Lethal Companyの系譜を継ぐ「フレンドスロップ」ホラーの新星として注目を集めているこのゲームは、従来の協力型ホラーとは一線を画す革新的なシステムを持っている。それが「音声認識による呪文詠唱」だ。

    ボタンを押すのではなく、実際に声を出して魔法を発動する。この一点だけで、『YAPYAP』は他のどんな協力型ホラーゲームとも違う体験を提供してくれる。

    魔導師の手下になって、ライバルの塔を荒らしまくれ!

    『YAPYAP』のコンセプトはシンプルかつ痛快だ。プレイヤーは月のような顔をした大魔導師に召喚された手下となり、最大5人の仲間とともにライバル魔導師の塔に侵入する。目的はただ一つ──徹底的に破壊工作を行うこと。

    ピアノを壊せ。トイレを詰まらせろ。カーペットを汚せ。相手の魔導師の一日を台無しにするため、あらゆる迷惑行為を行ってポイントを稼ぐ。これが「破壊目標(Vandalism Target)」と呼ばれる本作の核心的なゲームプレイだ。

    通常の協力型ホラーゲームでは、プレイヤーは怯えながらアイテムを集め、モンスターから逃げ回る被害者の立場だ。しかし『YAPYAP』では、あなた自身が問題を起こす側になる。この視点の転換が、ゲームに独特の爽快感と混沌をもたらしている。

    塔の中には高価な家具、美しい調度品、手入れされた植物などが配置されており、それらを魔法で破壊することでポイントを獲得できる。制限時間内に目標ポイントに到達すれば、その日のノルマ(Quota)達成となる。達成すればゴールドを獲得し、次のクオータに進むことができる。失敗すれば……まあ、魔導師に怒られるだけだ。また挑戦すればいい。

    「ブリンク」「プッシュ」「フィッシファイ」──声で唱える多彩な魔法

    本作最大の特徴が、音声認識による呪文詠唱システムだ。マイクに向かって呪文を唱えることで、実際に魔法が発動する。しかも発音が重要なため、どんなに緊迫した状況でも正確に発音しなければならない。

    最初に手に入るのは「Wind Wand(風の杖)」。これは基本的な攻撃魔法で、「Push(プッシュ)」と唱えれば風で物を押し、「Pull(プル)」と唱えれば引き寄せることができる。シンプルだが、物を壊すには十分な威力を持っている。

    しかし、本作の真価はショップで購入できる上位の杖にある。

    Fire Wand(炎の杖):「Fire(ファイア)」と唱えると火球を発射し、高いダメージを与える。DPS特化型の攻撃魔法で、モンスター相手にも有効だ。

    Grotesque Wand(グロテスクな杖):最もユニークな杖の一つ。「Sneeze(スニーズ)」と唱えるとくしゃみ攻撃を繰り出し、「Fishify(フィッシファイ)」と唱えると敵を魚に変えることができる。そう、魚だ。巨大なモンスターがピチピチと跳ねる魚になる光景は、一度見たら忘れられない。

    Teleportation & Movement Spells:「Blink(ブリンク)」でテレポート、「Float(フロート)」で浮遊、「Levitate(レビテート)」で物体を浮かせることができる。これらの移動魔法は、塔の複雑な構造を攻略する上で必須となる。

    Utility Spells:「Clone(クローン)」で分身を作り、「Disguise(ディスガイズ)」で変装し、「Confuse(コンフューズ)」で敵を混乱させる。戦略的に使えば、モンスターを欺いて安全に破壊工作を進められる。

    音声認識の精度は驚くほど高い。英語だけでなく、日本語を含む多言語に対応しており、中国語(北京語)にも対応している。ただし、発音が曖昧だったり、周囲の雑音が多いと誤認識される場合がある。実際、カジュアルな会話中に偶然「ブリンク」に似た言葉を発してしまい、友人を崖から突き落としてしまったこともあった。

    また、パズル要素にも音声認識が組み込まれている。ある部屋では、巨大な円盤状のパズルがあり、ボールを中心に導く必要がある。このパズルは「OOOOOO」と高い声を出せば左に回転し、「EEEEEE」と低い声を出せば右に回転する。チーム全員で叫びながらパズルを解く体験は、笑いと緊張が入り混じった奇妙な楽しさがある。

    ジェスターとアーマーチェア──塔を守る恐怖のモンスターたち

    破壊工作を邪魔するのが、塔に配置された魔法生物とモンスターたちだ。彼らはプレイヤーを発見すると追跡し、捕まれば即死またはノックダウンされる。

    Jester(ジェスター):最も恐れられているモンスターの一つ。ピエロのような姿をしており、プレイヤーを発見すると猛烈な速度で追いかけてくる。一度ロックオンされると逃げるのは極めて困難で、壁を貫通して攻撃してくることもある。杖のクールダウン中に遭遇すると、ほぼ確実に死が待っている。

    Armchair(アーマーチェア):歩く椅子のモンスター。見た目はコミカルだが、攻撃力は馬鹿にできない。近づいてきたら即座に「ブリンク」でテレポートするか、「プッシュ」で押し返すのが定石だ。

    その他の魔法生物:塔には他にも様々な魔法生物が徘徊している。それぞれが異なる行動パターンを持ち、対処法を学ぶ必要がある。

    AIの挙動は一貫性がなく、時には「脳死状態」のように動かず、時には「特殊部隊並み」の精度でプレイヤーを追跡する。この不安定さが、本作のホラー要素をさらに増幅させている。予測不可能な敵は、予測可能な敵よりも遥かに恐ろしい。

    ソロプレイは地獄、マルチプレイは天国

    『YAPYAP』を語る上で避けて通れないのが、マルチプレイの重要性だ。はっきり言おう──このゲームをソロでプレイするのは地獄だ。

    経済バランスはチームプレイを前提に設計されており、ソロでは稼げるゴールドが少なく、強力な杖を購入するまでに膨大な時間がかかる。モンスターも複数人で注意を分散させることを前提にデザインされており、一人では対処しきれない。そして何より、ソロプレイでは本作最大の魅力である「混沌とした楽しさ」が失われてしまう。

    一方、3〜6人でプレイすると、『YAPYAP』は本領を発揮する。チームメイトが「ブリンク!ブリンク!」と叫びながらジェスターから逃げ回る姿を見たり、誰かが「フィッシファイ」でモンスターを魚に変えて全員が爆笑したり、パズルを解くために全員で奇声を上げたり──これらの体験は、マルチプレイでしか味わえない。

    ただし、リリース時点ではパブリックマッチメイキングが実装されていない。つまり、ランダムプレイヤーとのマッチングはできず、基本的にフレンドとプレイする必要がある。開発チームはフレンドリスト機能やプライベート/パブリック/フレンドオンリーのロビー設定を追加したと発表しているが、完全なパブリックマッチメイキングはまだ実装されていない。

    友人がいない場合は、Discordコミュニティに参加してプレイヤーを探すのが最善の選択肢だ。

    PS1風グラフィックと技術的な課題

    ビジュアル面では、『YAPYAP』は「呪われたPS1」美学を採用している。重いピクセルフィルター、低ポリゴンモデル、粗いテクスチャが組み合わさり、独特の不気味な雰囲気を醸し出している。このレトロなグラフィックスタイルは、現代のホラーゲームにはない独特の恐怖感を生み出している。

    しかし、技術的な面では課題も多い。

    バグの多さ:床をすり抜けて落下する、杖が虚空に消える、クラッシュでセーブデータが消えるなど、数多くのバグが報告されている。私自身、良い進行状況を記録していたセッション中にクラッシュし、すべてを失った経験が3回ある。

    パフォーマンス問題:低スペックPCでの最適化が不十分で、フレームレートが10〜15fpsまで低下することがある。グラフィック設定のオプションが限られており、特に解像度設定がパフォーマンスに大きく影響するにも関わらず、調整の幅が狭い。

    ネットワークの不安定さ:協力プレイ中に、一部のプレイヤーが他のプレイヤーの画面では浮遊して動かないように見えるデシンク問題が発生する。再接続で解決できる場合もあるが、頻繁に発生するため煩わしい。

    音声認識の誤動作:バックグラウンドノイズや訛りがある場合、音声認識の精度が低下する。また、偶発的な友好的火力(味方への誤射)も頻発する。

    開発チームはアクティブにパッチをリリースしており、コミュニティのフィードバックに積極的に対応している。リリース後数日で複数のパッチがリリースされ、マップからプレイヤーがスタックした際にテレポートできる機能や、中国語音声認識の改善などが実装された。

    経済バランスと「金持ちはより金持ちに」問題

    『YAPYAP』の経済システムには、重大な欠陥がある。それが「富の格差」問題だ。

    ゴールドは共有制だが、稼ぎにくい。3回のランを重ねてようやくFire Wandを購入できる程度のゴールドが貯まるが、バグやワンショットメカニックで死亡すると装備をすべて失う。そして、それを取り戻すためにまた1時間かかる。

    Wind Wand(基本装備)はQuota 2以降ではほぼ無力になるが、他の杖を購入する余裕がない。これにより「金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に」というループが発生する。一度悪いランが続くと、夜全体が台無しになる。

    この経済バランスは、ゲームの最大の欠点の一つだ。装備を失うこと自体はジャンルの定石だが、その喪失が「プレイヤーの時間を尊重していない」と感じられる点が問題だ。

    それでも『YAPYAP』は特別だ

    技術的な問題、経済バランスの不備、ソロプレイの厳しさ──これらすべての欠点を認めた上で、それでも『YAPYAP』は特別なゲームだ。

    このゲームが生み出す「自然発生的なコメディ」は、AAA級のスタジオが何億円かけても再現できない。友人が「ブリンク!」と叫びながらモンスターから逃げ回る姿、誰かが偶然にも味方を魚に変えてしまった瞬間の爆笑、パズルを解くために全員で奇声を上げる光景──これらは台本では書けない、プレイヤー同士の相互作用から生まれる純粋な楽しさだ。

    サンドイッチ一個分の価格(通常1,200円、セール中960円)で、友人たちと何時間も笑い転げる体験を提供してくれる。それだけで十分な価値がある。

    多くの低評価レビューが「アップデートがあれば評価を変えたい」と締めくくっているのは、このゲームの潜在能力を誰もが信じているからだ。開発チームのMaison Bapは、前作『BAPBAP』でも同様に82%の好評価を獲得しており、コミュニティへの対応力には定評がある。

    欠陥だらけの杖であっても、放たれる閃光は本物の魔法だった。

    基本情報

    ゲーム名:YAPYAP
    開発元:Maison Bap
    パブリッシャー:Maison Bap
    対応プラットフォーム:PC(Steam)
    リリース日:2026年2月3日
    価格:¥1,200(リリース記念セール:¥960 / 2月18日まで)
    プレイ人数:1〜6人(協力プレイ)
    対応言語:日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、フランス語、スペイン語ほか
    Steam評価:非常に好評(82% / 1,020件以上のレビュー)

    システム要件

    • 最低:Core i5 6600、GeForce GTX 970相当以上
    • 推奨:より高性能なCPU/GPU(最適化が不十分なため)

    ジャンル:協力型ホラー、マルチプレイヤー、音声認識アクション、ダンジョンクローラー
    プレイ時間:1セッション30分〜1時間程度
    難易度:中〜高(チームプレイ前提、AIの不安定さ)

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  • 釣った魚にマシンガンを乱射!?最強に狂った釣りゲーム『Fish Hunters: Most Lethal Fishing Simulator』で友達とカオスな海洋大虐殺を楽しもう

    釣った魚にマシンガンを乱射!?最強に狂った釣りゲーム『Fish Hunters: Most Lethal Fishing Simulator』で友達とカオスな海洋大虐殺を楽しもう

    最初にSteamストアページで『Fish Hunters: Most Lethal Fishing Simulator』を見つけたとき、正直言って目を疑った。「釣りシミュレーター」という文字の横に、明らかにマシンガンを持ったキャラクターの画像。そして説明文を読むと「釣った魚を撃ち落とせ」とある。

    一体何なんだ、これは。

    通常の釣りゲームなら、静かな湖畔で竿を振って、のんびりと魚がかかるのを待つものだろう。しかし『Fish Hunters』は全くもって違う。こちらは釣り上げた魚に対してマシンガンやショットガンをぶちかまし、空中でぶっ飛ばして「収穫」するという、前代未聞のカオスな釣りアクションなのだ。

    釣りの概念を完全に破壊するゲームデザイン

    実際にプレイしてみると、このゲームの狂気じみたコンセプトが更に明確になった。プレイヤーは美しい自然の中で釣り糸を垂らすが、魚がかかった瞬間から地獄絵図が始まる。

    釣り上げられた魚は空中に舞い上がり、そこでプレイヤーは様々な銃器を使ってそれらを「撃ち落とす」のだ。この時点で既に「釣りシミュレーター」というジャンルの定義を完全に逸脱している。むしろ「フィッシング・シューティング・アクション」と呼ぶべきかもしれない。

    開発チームのPmdk23は明らかにこの矛盾を狙ってゲームを作っている。ゲーム内には140種類以上の魚が登場するが、その中には普通の魚から巨大な水生モンスターまで含まれており、どれも最終的には銃弾の餌食となる運命だ。

    最大4人協力プレイの大混乱が止まらない

    このゲームの真の魅力は、最大4人での協力プレイにある。一人でプレイしても十分にカオスなのだが、友達と一緒にプレイすると混乱は指数関数的に増大する。

    想像してみてほしい。4人のプレイヤーが同じ釣り場で竿を振り、次々と魚を釣り上げては空中で銃撃戦を繰り広げる光景を。魚は飛び交い、銃声が響き渡り、プレイヤーたちは「俺の魚を撃つな!」「でかいのが逃げた!」と大騒ぎする。

    これはもはや釣りではない。完全に新しい娯楽の形だ。

    ゲーム内には3つの異なるロケーションが用意されており、それぞれ独特の雰囲気と魚の種類を持っている。そしてプレイヤーは様々な釣り竿、ルアー、そして最も重要な「武器」をアンロックしていく。10種類以上の武器が用意されており、それぞれ異なる威力と射撃パターンを持っている。

    図鑑コンプリートという名の大量殺戮計画

    一般的な釣りゲームでは、釣った魚を図鑑に記録して達成感を味わうものだ。『Fish Hunters』でも同様のシステムがあるが、その過程が尋常ではない。

    167種類の魚を「発見」するためには、それらを釣り上げて撃ち落とさなければならない。開発チームは「ONE MILLION FISH DESTROYED」という狂気のマイルストーンまで設定している。100万匹の魚を破壊するという目標は、もはやエコテロリズムの領域に達している。

    しかし不思議なことに、このゲームをプレイしていると罪悪感は全く感じない。むしろ次々と新しい魚を発見し、より大きな獲物を狙いたくなってしまう。ゲームデザインが巧妙に中毒性を持たせているのだ。

    190以上のカスタマイズアイテムも用意されており、プレイヤーは自分だけのハンター装備を組み立てることができる。これは『モンスターハンター』の装備カスタマイズシステムを彷彿とさせる充実度だ。

    ボスフィッシュとの死闘が熱い!

    通常サイズの魚を撃ち落とすだけでも十分に楽しいのだが、『Fish Hunters』にはボスクラスの巨大魚も登場する。これらとの戦闘は、まさにこのゲームのクライマックスと呼べる体験だ。

    巨大な魚影が水面に現れた時の興奮は格別で、仲間と連携して強力な火力を集中させる必要がある。ボス戦では単純な銃撃だけでなく、タレット設置やクエストクリアなど、戦略的要素も重要になってくる。

    そして勝利の後には、キャンプファイヤーを囲んでビールを飲みながら仲間と戦果を語り合う時間が待っている。この緩急のバランスが絶妙で、プレイヤーを長時間ゲームに引き込む要因となっている。

    Steam評価は賛否両論だが、話題性は抜群

    Steamでの評価を見ると、423件のレビューで64%がポジティブという「賛否両論」の評価となっている。これは2026年1月30日にリリースされたばかりの新作としては、まずまずの数字と言えるだろう。

    否定的なレビューでは「バグが多い」「ロード画面で止まる」といった技術的な問題が指摘されている。実際、筆者もプレイ中に数回のフリーズを経験した。開発チームも迅速にバグ修正を行っているが、完全に安定するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

    一方でポジティブなレビューでは「友達と遊ぶと最高に面白い」「コンセプトが狂ってて好き」「中毒性がヤバい」といったコメントが多く見られる。バグはあるものの、ゲームの根本的な面白さは多くのプレイヤーに評価されているようだ。

    カジュアル?ハードコア?絶妙なバランス感覚

    『Fish Hunters』の興味深い点は、一見カジュアルな釣りゲームでありながら、実は奥深い戦略性を持っていることだ。

    魚の種類によって最適な武器や戦術が異なるため、プレイヤーは試行錯誤を重ねて効率的な狩猟方法を見つけ出す必要がある。また、限られた弾薬やリロード時間を考慮した立ち回りも重要で、単純な連射ゲームではない緊張感がある。

    同時に、キャンプファイヤーでのんびり休憩したり、美しい景色を眺めたりするリラックス要素もしっかり用意されている。この緩急のバランスが、長時間プレイしても疲れない理由かもしれない。

    価格とアクセシビリティ

    現在『Fish Hunters』は21%オフのローンチセールで7.70ユーロ(約1,049円)で購入可能だ。この価格であれば、話のネタとして購入しても十分に元は取れるだろう。

    ゲームは日本語にも対応しており、他にも英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語など9言語をサポートしている。ただし、Steam Deckでの動作は現時点では未確認となっている。

    サポーターパックも別途販売されており、開発チームを応援したいプレイヤーは追加購入することで、さらなるカスタマイズオプションを入手できる。

    結論:釣りゲームの概念を破壊する革命的作品

    『Fish Hunters: Most Lethal Fishing Simulator』は、間違いなく今年最も話題になる「釣りゲーム」だろう。従来の釣りシミュレーターの常識を完全に打ち破り、全く新しいジャンルを創造している。

    バグの存在や技術的な粗さは確かに気になるが、それを補って余りある独創性とエンターテイメント性を持っている。特に友達と一緒にプレイする際の爆笑レベルは、他のゲームでは決して体験できない。

    もしあなたが「普通じゃない」ゲーム体験を求めているなら、『Fish Hunters』は絶対にプレイすべき作品だ。ただし、魚愛護団体の方にはおすすめしない。


    基本情報

    ゲーム名: Fish Hunters: Most Lethal Fishing Simulator 🐟
    開発者: Pmdk23, Pomadka23, Dos Ivánes
    パブリッシャー: Polden Publishing
    リリース日: 2026年1月30日
    プラットフォーム: Steam (Windows)
    価格: 1,049円 (現在21%オフで828円)
    言語: 日本語対応 (他8言語)
    プレイ人数: 1-4人協力プレイ
    Steam評価: 賛否両論 (64% of 423 reviews)

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  • 呪いのボードゲームから脱出せよ!『Turnbound ターンバウンド』が魅せる新時代のオートバトラー体験

    呪いのボードゲームから脱出せよ!『Turnbound ターンバウンド』が魅せる新時代のオートバトラー体験

    最初は困惑、でもやめられない!オートバトラーなのに”考える時間”がたっぷり

    Steamで早期アクセス開始されたばかりの『Turnbound – ターンバウンド』。最初にこのゲームの説明を読んだとき、正直なところ「???」という感じだった。「呪いのボードゲームから脱出する」「非同期PvP」「インベントリ管理」…聞き慣れない要素の組み合わせに、一体どんなゲームなのか全く想像がつかなかった。

    でも、いざプレイしてみると…これがとんでもなく面白い!

    一般的なオートバトラーといえば、リアルタイムでテンポよく進行し、時間に追われながら戦略を練るものが多い。しかし『Turnbound』は違う。非同期システムにより、自分のペースでじっくりと考えながら戦略を練ることができるのだ。

    これは革命的だった。オートバトラーの醍醐味である戦略構築の楽しさはそのままに、時間の制約から解放された快適さを味わえる。まさに「新時代のオートバトラー」と呼ぶにふさわしい体験だ。

    “他のプレイヤーの魂”と戦う…それって一体どういうこと?

    『Turnbound』最大の特徴は、その独特な対戦システムにある。プレイヤーは「呪いのボードゲームに囚われた魂」として、他のプレイヤーが残した「魂の痕跡」と戦うことになる。

    つまり、対戦相手は過去に他のプレイヤーが構築したビルドの”亡霊“なのだ。これらの亡霊たちは、元のプレイヤーがゲームオーバーになった際に保存された構成で、新たなプレイヤーの前に立ちはだかる。

    このシステムの素晴らしいところは、常に新鮮な対戦相手と戦えることだ。どれだけプレイしても、同じパターンの敵と戦うことはない。他のプレイヤーの創意工夫が詰まったビルドと対戦するため、毎回新しい発見がある。

    「なるほど、こんな組み合わせもあるのか」「この配置、真似してみよう」といった具合に、対戦を通じて学びが得られるのも魅力的だ。

    タイル配置こそがすべて!戦略の奥深さに震える

    ゲームの核心は、限られたグリッド上でのタイル配置とシナジー構築にある。武器、遺物、装身具などのタイルを戦略的に配置し、強力な連鎖効果を生み出すことが勝利の鍵となる。

    最初は単純に「強いアイテムを集めればいいんでしょ?」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、そう簡単ではない。配置の仕方ひとつで同じアイテムでも全く違う効果を発揮するのだ。

    例えば、ある武器タイルを左上に配置するか右下に配置するかで、隣接するタイルとの相互作用が変わり、最終的な戦闘力に大きな差が生まれる。この奥深さは、パズルゲーム好きなら間違いなくハマるはずだ。

    さらに感動的なのは、同じアイテムセットでも無限の可能性があることだ。プレイヤーの数だけ異なる戦略とビルドが存在し、それぞれが独自の強さを持つ。この自由度の高さこそが『Turnbound』最大の魅力といえるだろう。

    3人のレジェンドヒーローがそれぞれ違う戦略を要求

    現在の早期アクセス版では、3人の個性的なヒーローが選択できる。孫悟空、不思議の国のアリス、ロビン・フッド…いずれも誰もが知る伝説の人物だが、ゲーム内では全く異なる戦略を要求してくる。

    孫悟空は近接戦闘特化で、攻撃的なビルドを好む。一方、ロビン・フッドは遠距離攻撃とクリティカルに長けており、精密な立ち回りが求められる。そしてアリスは…これがまた独特で、トリッキーな効果を駆使する魔法的な戦闘スタイルだ。

    それぞれのヒーローで全く違ったゲーム体験ができるため、飽きることがない。「今度は違うヒーローで挑戦してみよう」という気持ちが自然と湧いてくる。

    Slay the Spireコラボで話題沸騰!あの「スネッコアイ」が登場

    早期アクセス開始と同時に発表されたのが、Slay the Spire』との特別コラボだ。あの有名な遺物「スネッコアイ」が『Turnbound』にゲスト参戦している!

    この粋なコラボレーションは、ローグライク愛好者には堪らない演出だ。『Slay the Spire』をプレイしたことがある人なら、スネッコアイの特殊効果がどれほどゲームチェンジングかを知っているはずだ。

    コラボ要素があることで、既存のローグライクファンも『Turnbound』に興味を持ちやすくなり、コミュニティの拡大にも寄与している。開発陣の戦略的な判断といえるだろう。

    開発チームが凄い!Roll7、Ubisoft出身の実力派集団

    『Turnbound』を開発する1TK Gamesは、業界屈指の実力派スタジオだ。メンバーには『OlliOlli』シリーズで知られるRoll7や、大手UbisoftでAAA級タイトル開発に携わった経験豊富な開発者が名を連ねている。

    この豪華な開発陣だからこそ実現できた、洗練されたゲームシステムと完成度の高いユーザー体験。早期アクセス段階でありながら、既に製品版レベルの品質を感じさせる仕上がりになっている。

    チーム名の「1TK」は「1ターンキル」の略で、彼らの戦略ゲームに対する情熱とこだわりを表している。ユーザーコミュニティとの対話も積極的で、今後のアップデートにも期待が高まる。

    Steam評価83%の高評価!ユーザーの声が証明する完成度

    リリースから間もないにも関わらず、Steam評価83%という高い評価を獲得している『Turnbound』。レビューを読んでいると、多くのプレイヤーが同じような感動を味わっていることがわかる。

    「最初は戸惑ったが、理解すると止まらなくなった」 「オートバトラーの新しい可能性を見せてくれた」 「非同期システムが革新的」

    特に評価されているのは、時間に縛られない快適さ戦略の奥深さだ。仕事や家事で忙しい社会人プレイヤーからも、「自分のペースで楽しめる」として好評を得ている。

    ただし、一部では「ゲームシステムの理解に時間がかかる」という意見もあり、初心者向けのチュートリアル拡充が今後の課題として挙げられている。

    これは間違いなく”次世代オートバトラー”だ

    『Turnbound』をプレイして確信したのは、これが単なるオートバトラーの亜種ではないということだ。非同期PvPシステムとインベントリ管理の組み合わせにより、全く新しいジャンルの扉を開いたといっても過言ではない。

    オートバトラーが好きな人はもちろん、パズルゲーム愛好者、戦略ゲームファン、さらにはローグライク経験者まで、幅広いプレイヤーが楽しめる懐の深さを持っている。

    早期アクセス段階でこの完成度なら、正式版リリース時にはさらなる進化を遂げているはずだ。今のうちにプレイしておけば、きっと「あの時から知ってたよ」と自慢できる日が来るだろう。

    基本情報

    ゲーム名: Turnbound – ターンバウンド
    開発・パブリッシャー: 1TK / Gambit Digital
    プラットフォーム: PC(Steam)
    リリース日: 2026年1月22日(早期アクセス開始)
    価格: 定価1,700円(早期アクセス版・10%オフ価格1,530円、2月6日まで)
    日本語対応: あり
    プレイ人数: 1人(非同期マルチプレイヤー対応)
    ジャンル: オートバトラー / 戦略 / ローグライク

    Steam評価: 非常に好評(83%、140件中)
    対応言語: 英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ブラジルポルトガル語、ロシア語、簡体字中国語、繁体字中国語

    システム要件:

    • OS: Windows 10 / macOS / Linux
    • メモリ: 4 GB RAM
    • グラフィック: Vulkan 1.0対応
    • ストレージ: 500 MB

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3802470/Turnbound/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.1tk.gg/
    Discord: https://discord.gg/turnbound
    X (Twitter): @1TKgames

  • 見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    タイトルを見た瞬間に困惑した……

    Steamのストアページでこのゲームを初めて目にしたとき、正直言って最初はスルーするつもりだった。『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』というタイトルからして「またよくあるポーカーゲームの亜種でしょ?」くらいに思っていたからだ。

    しかし、Steam評価91%という数字に思わず二度見。936件のレビューで89%が好評って何事? しかも700円という手頃な価格設定。気になってストアページをよく見てみると……あれ? これポーカーじゃなくて 放置系クリッカーゲーム じゃないか!

    ジェスターの魔の手にかかった男

    本作は、悪の道化師レスター・ザ・ジェスター(Lester the Jester)に捕まってしまった主人公が、10億コインを稼いで自由を勝ち取るという設定だ。最初は1枚のカードをひたすらめくることから始まり、ポーカーの役を作って小銭を稼いでいく。

    「なんだ、やっぱりポーカーじゃん」と思ったのも束の間、このゲームの本領はそこから発揮される。稼いだコインでカードの枚数を増やし、手札を複数同時に動かし、自動でカードをめくる機能をアンロックしていくうちに、気づけば完全に別次元のゲームと化していた。

    10億コイン という目標額を見て「無理だろ……」と思ったのに、プレイしていると本当に10億という数字が現実味を帯びてくるのが恐ろしい。最初は1回の役で2000〜5000コインしか手に入らないのに、アップグレードを重ねると一瞬で数万、数十万というコインが転がり込んでくる。

    探検隊が運んでくる異次元カード

    本作で最も中毒性が高いのが 「探索遠征」システム だ。稼いだお金を使って探検隊を派遣すると、5分ほどの遠征を経て宝箱を持ち帰ってくる。その中から出てくるカードが、もはやポーカーの常識を完全に無視した代物ばかりなのだ。

    スペードとダイヤの両方のスートを持つカード、2〜10のすべての数字として扱えるオールマイティカード、そしてその役が完成すると報酬が 12倍 になる超レアカードなど、まさに「異世界のカード」という表現がピッタリの性能を誇る。

    こういった特殊カードを手に入れると、それまでの戦略が一変する。普通のカードを破棄して強力なカードだけでデッキを構築したり、特定の役を狙い撃ちできるように調整したりと、まるで デッキ構築ゲーム のような楽しさが待っている。

    メアリー妖精との危険な取引

    10億コインを達成したとき「ついにクリアだ!」と思ったのも束の間、今度は メアリー・ザ・フェアリー という妖精が現れて、さらなる深淵へと誘ってくる。彼女との取引により、今度は ポーカーチップ という新通貨を使った別次元のアップグレードシステムが開放される。

    このポーカーチップを稼ぐためには、これまで築き上げた資産をすべて手放して「転生」しなければならない。いわゆる プレステージシステム だ。最初は「せっかく作り上げたのに……」と躊躇したが、転生後の成長速度の爆発力は凄まじい。

    クエストシステムによる自動収益、実績解除による大幅ボーナス、そして謎の装飾品たちが勝手にコインを生み出してくれる仕組みなど、もはや完全に 「数字を見て脳汁を出す装置」 と化していた。

    実はバラトロ系じゃない!?本格クリッカーゲーム

    Steam のタグには「Balatro-inspired」とあるが、実際にプレイしてみると本作の正体は Cookie Clicker系の正統派インクリメンタルゲーム だった。ポーカー要素はあくまでテーマであり、その実態は「数字をひたすら大きくしていく」という放置系ゲームの王道を行く作品だ。

    開発者のMashが一人で作り上げたこの作品は、シンプルながら非常に洗練されている。ドット絵で描かれたカードのアニメーション、派手なエフェクト、そして 「次に何が起こるかわからない」 というワクワク感が絶妙なバランスで配合されている。

    5〜10時間という短めのプレイ時間も絶妙だ。「もうちょっと続けたい」と思ったところで終わるからこそ、満足度の高いゲーム体験を提供してくれる。長すぎず、短すぎず、ちょうどいい。まさに 「ポテトチップスを一袋食べ切る感覚」 でクリアできる手軽さが魅力だ。

    「こんなのポーカーじゃない」からこそ面白い

    タイトル通り、これは確かに「ポーカーじゃない」。でもだからこそ面白いのだ。ポーカーのルールを知らなくても楽しめるし、知っていても既存の常識を覆される驚きがある。

    Steam レビューにも 「ポーカーを買ったのにポーカーがない。あるのはカオスだけ。ルールがわからない。ルールも私がわからない。助けて! 10/10点」 という秀逸なレビューがあるが、まさにこれがこのゲームの本質を表している。

    真面目にポーカーをプレイしたい人には向かないが、脳死で数字を眺めながら 「うぉおおお数字が大きくなってる!」 という原始的な喜びを味わいたい人には最高の体験を提供してくれる。

    700円という価格も魅力的だ。コーヒー一杯と同じ値段で、数時間から十数時間の濃密な 「数字中毒体験」 が手に入るのは破格と言えるだろう。

    基本情報

    タイトル: This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない
    開発: Mash
    パブリッシャー: Oro Interactive, Drillhounds
    ジャンル: インクリメンタル・アイドルクリッカー
    プラットフォーム: Steam (PC)
    リリース日: 2025年12月11日
    プレイ時間: 5〜10時間
    価格: 700円
    Steam評価: 非常に好評 (91%, 936件のレビュー)
    日本語対応: あり

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  • ガラスの悪魔がスケボーで月を喰らう『Skate Story』。地獄の9層を滑り抜ける異色のスケートアドベンチャー

    ガラスの悪魔がスケボーで月を喰らう『Skate Story』。地獄の9層を滑り抜ける異色のスケートアドベンチャー

    『Skate Story』。「ガラスと苦痛で作られた悪魔がスケートボードで月を食べる」という、一見すると意味も突拍子もない設定に最初は困惑したものの、実際にプレイしてみるとその奥深さと美しさに完全に魅了されてしまった。

    これは単なるスケートボードゲームではない。6年の歳月をかけて個人開発者 Sam Eng 氏が作り上げた、スケート文化の魂を込めた芸術作品とも呼べる作品だ。ニューヨークの夜を滑る感覚を冥界に移し替えた、唯一無二の体験がここにある。

    この設定、アリなの? ガラスの悪魔と悪魔王の契約

    プレイヤーは冥界の悪魔となり、悪魔王から一枚のスケートボードを渡される。契約の内容は至ってシンプル──「月を食べて冥界の9つの層を制覇し、自分の魂を取り戻せ」。月を食べるたびに重くなった体が下の層へと沈んでいき、最終的に悪魔王との対峙を目指すというストーリーだ。

    最初は「スケボーで月を食べるって何それ?」と思わずツッコんでしまったが、プレイしてみると不思議としっくりくる。ガラスでできた半透明の体が街の光を反射させながら滑る様子は、まさに幻想的で美しい。開発者の Sam Eng 氏がニューヨークの夜をスケートしながら聴いていたシンセウェーブ音楽の世界観が、見事に冥界の設定に昇華されているのだ。

    Blood Cultures が奏でる、極上のサイケデリック・サウンドトラック

    本作の音楽を手がける Blood Cultures は、ニューヨークを拠点とするエニグマティックなアーティスト。彼らが作り出すサイケデリックなサウンドは、まさに「地獄のスケート」にピッタリだった。

    滑走中のチルなトラックから、ボス戦での激しいビートまで、音楽とゲームプレイが完璧にシンクロしている。特に印象的だったのは、長い通路をただ滑り抜けるだけのシーンで流れる楽曲。複雑なトリックは必要ない、ただパワースライドでカーブを攻めて、オーリーで段差を越えていくだけなのに、音楽と相まって言葉にできないカッコよさがある。

    筆者は音楽に詳しくないが、どこか Crystal Castles のような Witch House 系の雰囲気も感じられて、魂で「よく分からんけど好き」と感じてしまう類のサウンドだ。このゲームをプレイするなら、ぜひヘッドホンで体験してほしい。

    70種類以上のトリックと、奥深いスケートメカニクス

    一見すると「雰囲気ゲー」に見えるかもしれないが、本作のスケートシステムは驚くほど本格的だ。基本のオーリーやキックフリップから始まり、最終的には 70 種類以上のトリックを習得できる。

    特に感動したのは、トリックを決めたときの「重み」の表現。スケートボードとガラスの体が一体となって回転する感覚、着地時に足を踏みつけるような生々しい手応え。これらすべてが、実際のスケート文化が持つ「ボードとの一体感」を見事に再現している。

    ボス戦では、トリックで稼いだコンボポイントを「攻撃力」として活用する独特のシステムを採用。月や巨大な敵に対して、360フリップで攻撃を仕掛けたり、パワースライドで回避したりと、スケートが戦闘そのものになる体験は他では味わえない。

    魂を通貨にしたカスタマイゼーション要素

    冥界で集める「魂」を使って、デッキ、ホイール、トラック、ステッカーなどでスケートボードをカスタマイズできる。70種類以上のアイテムが用意されており、自分だけのボードを作り上げる楽しさは格別だ。

    面白いのは、スケートボードが使用するにつれて実際に傷んでいくところ。現実のスケートと同じように、愛用のデッキにも寿命がある。ただし、傷ついたボードにも愛着が湧いてくるのがスケーターの性──ボロボロになったデッキでも、なかなか新しいものに交換する気になれなかった。

    冥界の9層、それぞれが持つ独特の世界観

    各層には個性豊かなキャラクターたちが住んでおり、彼らとの交流も本作の魅力の一つ。物忘れの激しいカエルを助けたり、巨大な哲学者の石の頭と対話したり、洗濯物として逃げ出した悪魔の服を追いかけたり……。シュールながらもユーモラスなエピソードの数々が、地獄という設定を親しみやすいものにしている。

    各層のビジュアルデザインも秀逸で、ドット絵でありながら post-processing の技術によって現代的な美しさを実現している。ガラスの体が光を屈折させる表現や、街の光がボードに反射する様子など、細部へのこだわりが随所に感じられる。

    Steam Deck でも快適、ただし後半は要注意

    Steam 公式認証を受けているだけあって、Steam Deck での動作は基本的に良好。60FPS で滑らかなスケート体験を楽しめる。ただし、チャプター3以降の複雑なステージでは 45FPS 程度まで落ち込むことがあるため、安定性を重視するなら最初から 45FPS 制限をかけることをオススメしたい。

    これぞ真のインディーゲームの傑作

    『Skate Story』は、確実に人を選ぶゲームだ。万人受けするタイプの作品ではない。しかし、その独特の世界観とアート性、そして何より「スケート文化への深い愛情」を感じ取れる人にとっては、間違いなく今年のベスト級の体験となるだろう。

    開発者の Sam Eng 氏が 6 年かけて注ぎ込んだ情熱が、ゲーム全体から溢れ出している。これは単なるゲームではなく、一つの芸術作品として完成されている。

    プレイ時間は 6-7 時間程度と短めだが、その密度は計り知れない。「夢中で遊び尽くす」という言葉がピッタリの、濃縮された体験がここにある。

    基本情報

    タイトル: Skate Story
    開発: Sam Eng
    パブリッシャー: Devolver Digital
    プラットフォーム: Steam, PlayStation 5, Nintendo Switch 2
    プレイ時間: 6-7時間
    難易度: 初心者向け〜中級者向け
    Steam評価: 圧倒的に好評 (96%)
    リリース日: 2025年12月9日
    価格: 2,300円
    日本語対応: 完全対応

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  • 架空言語を解読して薬を処方!『トルービズの秘薬師』は”読めるようになる”快感がクセになる短編パズルゲーム

    架空言語を解読して薬を処方!『トルービズの秘薬師』は”読めるようになる”快感がクセになる短編パズルゲーム

    『トルービズの秘薬師』、予想を遥かに超える中毒性だった。わけのわからない記号が次第に意味を持ち始め、気がつけば「あ、これはこういう意味だ!」と理解できる瞬間の快感。この”読めるようになる”体験が、とんでもなく気持ちいい。本記事では、筆者のプレイ体験を赤裸々に共有したい。語らせてくれ。

    架空古代語の解読という唯一無二のパズル体験

    本作の舞台は、トルービズ地方の薬局。プレイヤーは薬師として3日間(Steam版では10日間に拡張)の勤務を命じられる。しかしこの薬局、厄介なことに古代薬師釜を使用しており、そのマニュアルがすべて架空の古代語で書かれているのだ。

    ゲームを始めると、まず目に飛び込んでくるのは意味不明な記号の羅列。これが薬の調合方法や効能を示しているらしいのだが、当然ながら最初は何一つ理解できない。しかし、ここからが本作の真骨頂だ。

    患者が訪れ、症状を訴える。マニュアルを見ながら、記号のパターンから「もしかしてこの薬かな?」と推測して調合し、処方してみる。すると患者の反応から、その薬の効能が明らかになる。時には症状が改善し、時には悪化することもある。この試行錯誤を繰り返すことで、少しずつ古代語の意味が見えてくるのだ。

    最初は「△」が何を意味するのかすらわからなかった。しかし、数回の処方を経て「あ、これは『頭痛』を表す記号だ!」と気づく瞬間——この達成感がたまらない。まるで暗号を解読している気分で、パズルゲーム好きなら間違いなく夢中になれる要素だ。

    失敗も楽しい。周回プレイで完璧な治療を目指せ

    本作の素晴らしい点は、失敗してもペナルティがほとんどないこと。間違った薬を処方して患者の症状を悪化させてしまっても、ゲームオーバーにはならない。むしろ、その失敗から新たな情報を得られるため、「失敗も学びの一部」という設計になっているのだ。

    そして10日間の勤務が終わると、エンディングを迎える。しかし、ここで終わりではない。本作には複数のエンディングが用意されており、治療の成否や選択によって結末が分岐する。完璧な治療を目指すもよし、あえて処方ミスを重ねて別のエンディングを見るもよし。リプレイ性が高く、何度も遊びたくなる作りになっている。

    筆者は最初のプレイで患者の半数ほどしか正しく治療できず、「うーん、もっとちゃんと理解したい!」と思わず2周目に突入してしまった。そして2周目では、1周目で得た知識を活かして大半の患者を治療できた。この”成長実感”がまた気持ちいいのだ。

    短編だからこそ、完成度が高い

    本作のプレイ時間は、1周あたり1〜2時間程度。短編ゲームとしては十分なボリュームだが、「もっと遊びたい!」と思わせる絶妙な長さでもある。

    開発者のkinjo氏は、過去に四則演算パズルゲーム『Electrogical』をリリースしており、パズルデザインの巧みさには定評がある。本作『トルービズの秘薬師』も、元々は2022年のUnity1週間ゲームジャムで公開された作品だが、Steam版ではグラフィック担当のむじ氏による可愛らしいドット絵が全面的に刷新され、勤務期間も3日間から10日間に拡張されている。

    そしてなにより、価格が非常にリーズナブル。定価470円で、セール時には20%オフの376円で購入できる。この価格でこのクオリティの言語解読パズルが楽しめるのは、正直破格だと思う。

    Steamレビューは驚異の97%が好評

    本作のSteam評価は、記事執筆時点で「非常に好評」を獲得している。108件のレビューのうち、なんと97%が好評という驚異的な数字だ。

    レビューを見てみると、「シンプルだけど奥深い」「短時間でクリアできるけどリプレイ性が高い」「言語解読の快感がたまらない」といった声が多い。また、『Chants of Sennaar』や『Heaven’s Vault』といった言語解読ゲームの名作と比較しながら、「コンパクトにまとまっていて手軽に楽しめる」という評価も目立つ。

    個人的に印象的だったのは、「ゲームジャム版から追いかけていて、製品版をプレイできて嬉しい」というレビューだ。開発者のkinjo氏はX(旧Twitter)で開発状況を積極的に発信しており、ファンとのコミュニケーションも大切にしている。こうした姿勢が、高評価につながっているのだろう。

    こんな人にオススメ

    『トルービズの秘薬師』は、以下のような人に特にオススメしたい。

    • パズルゲームが好きな人:言語解読という独特のパズル要素が楽しめる
    • 短時間でサクッと遊びたい人:1周1〜2時間で完結するので、気軽にプレイできる
    • リプレイ性を求める人:複数エンディングと周回プレイ前提の設計
    • 言語や暗号解読に興味がある人:『Chants of Sennaar』や『Heaven’s Vault』が好きならハマる
    • ドット絵が好きな人:むじ氏による可愛らしいグラフィックが魅力的

    逆に、長時間じっくり遊べるゲームを求めている人には物足りないかもしれない。しかし、この”コンパクトさ”こそが本作の強みであり、「ちょっとした時間に遊べる良質なパズルゲーム」として非常に優れている。

    基本情報

    ゲーム名: トルービズの秘薬師(The Apothecary of Trubiz)
    開発: kinjo、Image Labo
    販売: kinjo
    配信日: 2025年11月6日
    プラットフォーム: Steam(Windows)
    価格: 470円(税込)※セール時376円
    プレイ時間: 1〜2時間(1周)
    ジャンル: パズル、言語解読、カジュアル
    対応言語: 日本語、英語、簡体字中国語
    Steam評価: 非常に好評(97%、108件)

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    関連リンク

  • 涙腺崩壊確定。天国を駆けるコーギーが飼い主を迎えに行く感動作『マイリトルパピー』

    涙腺崩壊確定。天国を駆けるコーギーが飼い主を迎えに行く感動作『マイリトルパピー』

    このゲーム、反則すぎる……

    Steamのストアページで初めて『マイリトルパピー』を見たとき、正直言って「これは……やばいやつだ」と直感した。「人が死ぬと、先にあの世に旅立った犬が迎えに来る」という伝承をベースにしたゲーム。しかも主人公はウェルシュ・コーギーのボング……。

    もうこの時点で涙腺が緩み始めていた。そして実際にプレイしてみると、想像の500倍「やばい」ゲームだった。ハンカチどころかバスタオルが必要なレベルだ。

    体験版をプレイして号泣した

    本作を開発したのはKRAFTON傘下のクリエイティブスタジオ・Dreamotion Inc.。2025年11月7日にSteam版が正式リリースされ、すでにSteamレビューでは98%という「圧倒的に好評」の評価を獲得している。

    ゲームは2~3時間でクリアできるボリュームながら、その間にプレイヤーの感情を揺さぶり続ける。筆者も体験版の時点ですでに涙が止まらなくなり、製品版では開始30分で号泣、エンディングでは声を出して泣いてしまった。

    「感動的なゲーム」は数あれど、ここまで容赦なく涙腺を破壊してくるゲームは久しぶりだ。

    ボングの旅は、すべての犬好きへのラブレター

    物語の主人公は、犬の天国で暮らすウェルシュ・コーギーのボング。彼はかつて保護施設で暮らす8歳の高齢犬だった。断尾された尻尾から、かつては誰かに飼われていたことがわかる。しかし何らかの理由で捨てられ、持病もあって新しい家族を見つけるのは困難だった。

    ある日、奇跡が起こる。少しぼさぼさで不器用そうな男性が、ボングを引き取りに来た。その人の匂いを嗅いだ瞬間、ボングは「この人だ」と確信する。それが「パパ」との運命的な出会いだった。

    そして時は流れ、ボングは天国で他の犬たちと幸せに暮らしている。ある日昼寝から目覚めたボングは、懐かしいパパの匂いを感じ取る。パパがこちら側の世界に来ようとしている──!

    ボングは天国を飛び出し、パパを迎えに行く旅に出る。砂漠、雪山、海辺……死後の世界のさまざまな場所を駆け抜けながら、ボングはパパの匂いを追いかける。

    道中では、同じように飼い主を待つ犬たちや、まだ心の整理がつかない人間の魂たちと出会う。彼らにはそれぞれの物語があり、ボングは小さな身体で彼らの悩みを解決していく。

    犬視点だからこそ、心に刺さる

    本作の素晴らしい点は、徹底的に「犬視点」で描かれていることだ。ボングは人間の言葉を話せない。できることは吠える、匂いを嗅ぐ、走る、ジャンプする……犬としての限られた行動だけ。

    しかし、だからこそ伝わってくるものがある。ボングが一生懸命に匂いを追いかける姿、困っている誰かを助けようと必死に走る姿。それは飼い主なら誰もが見たことのある、愛犬の純粋な優しさそのものなのだ。

    ゲームプレイとしては、3Dプラットフォーマーの要素を中心に、パズル解き、ちょっとしたアクション、レースシーン、さらには格闘ゲーム風のミニゲームまで多彩なジャンルが織り交ぜられている。

    特に印象的なのは、ボングが匂いの痕跡を辿っていくシーン。パパの匂いが濃くなるほど、画面が温かい色に染まっていく演出が美しい。「もうすぐ会える」という期待感と、「本当に会えるのか」という不安が入り混じり、胸が締め付けられる。

    多様なゲームプレイで飽きさせない工夫

    本作のゲームデザインは非常によく練られている。基本的には探索とパズル解きが中心だが、突然レーシングゲームになったり、リズムゲーム要素が入ってきたり、ボス戦で格闘ゲーム風のバトルが始まったりと、プレイヤーを飽きさせない工夫が随所に施されている。

    操作も直感的で、キーボード&マウスでもゲームパッドでも快適にプレイできる。筆者はXboxコントローラーでプレイしたが、ボングの動きは非常に滑らかで、コーギー特有のちょこちょこ走る姿がめちゃくちゃかわいい。

    ビジュアルは温かみのあるスタイライズされた3Dグラフィック。カラフルで美しい世界は、悲しいストーリーとは対照的に、どこか希望に満ちている。そして音楽……音楽がまた素晴らしい。穏やかで優しいメロディが、ボングの旅を温かく包み込む。

    この音楽を聴きながらエンディングを迎えたとき、筆者は完全に感情のダムが決壊した。

    すべての犬好きに捧げる必携の一作

    『マイリトルパピー』は、犬を愛するすべての人にプレイしてほしいゲームだ。現在愛犬と暮らしている人、かつて愛犬を見送った人、これから犬を飼おうと思っている人……すべての人の心に響く物語がここにある。

    プレイ中、筆者は何度も自分の愛犬のことを思い出した。今は元気に走り回っている愛犬も、いつかは虹の橋を渡る日が来る。そのとき、彼らは本当にこうして私たちを迎えに来てくれるのだろうか……。

    このゲームが教えてくれるのは、愛は決して死によって断ち切られないということ。たとえ時間が離れていても、空間が隔てられていても、運命的に結ばれた者同士は必ず再会できるということ。

    エンディングを迎えたあと、筆者はすぐに愛犬を抱きしめに行った。今この瞬間、一緒にいられることの奇跡を噛み締めながら。

    ちなみに本作は現在Steamで20%オフの発売記念セール中(11月18日まで)。日本語を含む15言語に対応しており、将来的にはコンソール版のリリースも予定されているとのこと。

    プレイする際は、必ずティッシュかハンカチを用意してほしい。そして、できれば愛犬の写真を近くに置いておくことをおすすめする。きっと、改めて彼らへの愛おしさが溢れてくるはずだから。

    『マイリトルパピー』は、2~3時間という短い時間で、人生で最も大切なことを思い出させてくれるゲームだ。犬との絆、別れの悲しみ、そして再会の喜び──。すべてがここに詰まっている。

    基本情報

    タイトル: マイリトルパピー (My Little Puppy)
    開発: Dreamotion Inc.
    パブリッシャー: Dreamotion Inc., KRAFTON, Inc.
    プラットフォーム: Steam(将来的にコンソール版も予定)
    リリース日: 2025年11月7日
    プレイ時間: 2~3時間(やり込み要素含めると4~7時間)
    難易度: 初心者向け
    Steam評価: 圧倒的に好評 (98%)
    価格: 2,900円(発売記念セール20%オフで2,320円11月18日まで)
    日本語対応: あり(15言語対応)
    実績: 21個のSteam実績

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  • たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    見た目で判断してごめんなさい……

    正直に告白しよう。Steamストアで『9 Kings』を初めて見たとき、筆者の第一印象は「……ドット絵? 3×3のマス? なんか地味じゃね?」だった。

    2025年5月にリリースされた本作は、Sad Socketが開発し、『Manor Lords』でお馴染みのHooded Horseがパブリッシングを担当する王国建設ローグライク。カードを引いて3×3のマスに配置し、押し寄せる敵軍と戦う……というシンプル極まりないゲーム性だ。

    しかし、Steam評価は92%という驚異的な「非常に好評」。発売初週で25万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数は1万3000人を突破。デモ版の段階から海外インフルエンサーの間で話題沸騰し、正式リリース後も勢いが止まらない。

    「……そんなに面白いの?」

    半信半疑でプレイボタンを押した筆者は、気づけば6時間ぶっ通しでプレイしていた。そして今こうして記事を書いている最中も、「もう1ゲームだけ……」という悪魔の囁きが聞こえてくる。

    これは、ヤバいゲームだ。

    カードを置くだけなのに、なぜこんなに面白いのか

    ゲームのルールは驚くほどシンプルだ。プレイヤーは9人の王の中から1人を選び、その王固有の9枚のカードデッキを使って王国を発展させる。

    毎ターン手札からカードを1枚選び、3×3のマス目に配置する。カードには「ユニット」「建物」「エンチャント(バフ効果)」の3種類があり、配置したカードは即座に効果を発揮する。

    ターンが終わると、敵の王が軍勢を率いて攻めてくる。ここからはオートバトル。プレイヤーは特殊技を発動するタイミングを選ぶ以外、ただ見守るしかない。自分が築いた王国が敵を蹂躙するか、それとも蹂躙されるか──その結果はすべて、これまでの選択の積み重ねで決まる。

    勝利すれば、倒した敵の王のデッキから1枚カードを獲得できる。負ければ、最初からやり直しだ。

    たったこれだけ。でも、この「たったこれだけ」が恐ろしいほど中毒性が高い。

    「無の王」から始まる、破滅への序章

    最初にプレイできるのは「無の王(King of Nothing)」だけだ。騎士、弓兵、防衛塔といったオーソドックスな中世ヨーロッパ風のユニットで構成された、まさに”普通”の王。

    「なんだ、普通じゃん」と思ってプレイを始めた筆者は、1回目のプレイであっさり全滅した。

    理由は簡単。「どこに何を置けばいいのか分からない」からだ。

    3×3という限られたスペースに、前衛、後衛、支援施設をどう配置するか。バフ効果を持つ建物はどのユニットの隣に置くべきか。城(本拠地)をどこに配置すれば守りやすいか──考えることは山ほどある。

    そして2回目。今度は慎重に配置を考え、なんとか5年目まで生き延びた。だが、強力な敵に押し切られて敗北。

    3回目。配置の基本が分かってきた。騎士を前列に、弓兵を後列に、城は一番後ろ。バフ効果を持つ建物は主力ユニットの隣に置く。この基本を守るだけで、10年目まで到達できた。

    そして4回目。ついに初クリアを達成した瞬間、筆者は気づいた。

    「あ、これ……止まらないやつだ」

    9人の王、9通りの狂気

    クリアするごとに新しい王が解放されていく。そして、それぞれの王はまったく別のゲームを遊んでいるかのように個性的だ。

    血の王(King of Blood)」は自軍のユニットを犠牲にすることで、悪魔や吸血鬼を強化する。序盤は弱いが、雪だるま式に強くなっていくビルドの快感がヤバい。

    強欲の王(King of Greed)」は金で傭兵を雇いまくる資本主義の権化。ガトリング塔で敵を薙ぎ払う爽快感は筆舌に尽くしがたい。

    進歩の王(King of Progress)」に至っては、もはやファンタジーを捨てている。機関銃、ガトリング塔、火炎放射器──中世ファンタジーの王国に突如現れる近代兵器の暴力に、敵も味方も困惑するしかない。

    筆者が最もハマったのは「自然の王(King of Nature)」だ。キノコ、樹木、毒といった自然の力を操り、じわじわと敵を弱らせていく戦い方が実に戦略的で面白い。

    そして何より、敵を倒すたびに相手のカードを1枚奪えるシステムが天才的だ。

    自然の王でプレイ中、強欲の王からガトリング塔を奪った瞬間、筆者の王国は「森と機械銃が共存する狂った王国」へと変貌した。この予測不能な展開こそが、『9 Kings』の最大の魅力だ。

    シンプルなのに、絶妙に難しい

    本作の難易度は絶妙だ。

    基本ルールは誰でも理解できるほどシンプル。だが、勝つためには配置の最適化、カードシナジーの理解、敵の特性把握が不可欠となる。

    特に難易度「King」以上になると、運任せでは絶対に勝てない。毎ターンの選択が勝敗を分ける、まさにチェスのような戦略性が求められる。

    だが、何度負けても「もう1回だけ……」と思わせる中毒性がある。それは、敗因が明確だからだ。

    「あそこで城を後ろに置いておけば……」 「バフ建物をもっと早く建てるべきだった……」 「あのカードを選ばなければ……」

    反省点が明確だから、次のプレイでは改善できる。そして改善すれば、確実に強くなる。この成長の実感が、プレイヤーを離さない。

    止まらない。本当に止まらない

    『9 Kings』の1プレイは約30分。だが、その30分が無限に続く

    「今回はいい感じだ。クリアできそう」 →クリア →「次は別の王を試してみるか」 →「あ、この組み合わせ強い!」 →「もう1回だけ……」

    気づけば朝。これが『9 Kings』の恐ろしさだ。

    ピクセルアートは確かにシンプルだ。3×3のマス目も、一見地味に見える。だが、そのシンプルさが完璧に計算されている

    複雑なグラフィックや派手な演出は不要。プレイヤーが集中すべきは、選択と戦略だけ。そして、その選択が生み出す無限の組み合わせこそが、本作の真髄だ。

    筆者は今、プレイ時間が60時間を超えた。それでもまだ、「試していないビルド」「挑戦していない難易度」が山ほどある。

    発売から数ヶ月経った今も、開発チームは定期的にアップデートを実施している。新しい王、新しいカード、新しいモード──まだまだ進化し続けるこのゲームは、本当に終わりが見えない

    もし、あなたが「ちょっとした暇つぶし」を探しているなら、このゲームには手を出すな。

    これは暇つぶしではなく、時間泥棒だ。

    だが、もしあなたが「シンプルなルールで奥深い戦略を楽しみたい」「何度でもリプレイしたくなる中毒性を求めている」なら──

    迷わずプレイボタンを押してほしい。

    そして筆者と同じ、抜け出せない沼へようこそ。


    基本情報

    タイトル: 9 Kings(9 キングス)
    開発: Sad Socket
    パブリッシャー: Hooded Horse, INSTINCT3
    プラットフォーム: Steam (PC), Mac
    リリース日: 2025年5月23日(早期アクセス)
    価格: 1,980円(通常価格)
    プレイ時間: 1プレイ約30分、エンドレスモードあり
    日本語対応: あり(30言語対応)
    Steam評価: 非常に好評(92%、14,000件以上のレビュー)

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