カテゴリー: デッキ構築

  • 見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    タイトルを見た瞬間に困惑した……

    Steamのストアページでこのゲームを初めて目にしたとき、正直言って最初はスルーするつもりだった。『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』というタイトルからして「またよくあるポーカーゲームの亜種でしょ?」くらいに思っていたからだ。

    しかし、Steam評価91%という数字に思わず二度見。936件のレビューで89%が好評って何事? しかも700円という手頃な価格設定。気になってストアページをよく見てみると……あれ? これポーカーじゃなくて 放置系クリッカーゲーム じゃないか!

    ジェスターの魔の手にかかった男

    本作は、悪の道化師レスター・ザ・ジェスター(Lester the Jester)に捕まってしまった主人公が、10億コインを稼いで自由を勝ち取るという設定だ。最初は1枚のカードをひたすらめくることから始まり、ポーカーの役を作って小銭を稼いでいく。

    「なんだ、やっぱりポーカーじゃん」と思ったのも束の間、このゲームの本領はそこから発揮される。稼いだコインでカードの枚数を増やし、手札を複数同時に動かし、自動でカードをめくる機能をアンロックしていくうちに、気づけば完全に別次元のゲームと化していた。

    10億コイン という目標額を見て「無理だろ……」と思ったのに、プレイしていると本当に10億という数字が現実味を帯びてくるのが恐ろしい。最初は1回の役で2000〜5000コインしか手に入らないのに、アップグレードを重ねると一瞬で数万、数十万というコインが転がり込んでくる。

    探検隊が運んでくる異次元カード

    本作で最も中毒性が高いのが 「探索遠征」システム だ。稼いだお金を使って探検隊を派遣すると、5分ほどの遠征を経て宝箱を持ち帰ってくる。その中から出てくるカードが、もはやポーカーの常識を完全に無視した代物ばかりなのだ。

    スペードとダイヤの両方のスートを持つカード、2〜10のすべての数字として扱えるオールマイティカード、そしてその役が完成すると報酬が 12倍 になる超レアカードなど、まさに「異世界のカード」という表現がピッタリの性能を誇る。

    こういった特殊カードを手に入れると、それまでの戦略が一変する。普通のカードを破棄して強力なカードだけでデッキを構築したり、特定の役を狙い撃ちできるように調整したりと、まるで デッキ構築ゲーム のような楽しさが待っている。

    メアリー妖精との危険な取引

    10億コインを達成したとき「ついにクリアだ!」と思ったのも束の間、今度は メアリー・ザ・フェアリー という妖精が現れて、さらなる深淵へと誘ってくる。彼女との取引により、今度は ポーカーチップ という新通貨を使った別次元のアップグレードシステムが開放される。

    このポーカーチップを稼ぐためには、これまで築き上げた資産をすべて手放して「転生」しなければならない。いわゆる プレステージシステム だ。最初は「せっかく作り上げたのに……」と躊躇したが、転生後の成長速度の爆発力は凄まじい。

    クエストシステムによる自動収益、実績解除による大幅ボーナス、そして謎の装飾品たちが勝手にコインを生み出してくれる仕組みなど、もはや完全に 「数字を見て脳汁を出す装置」 と化していた。

    実はバラトロ系じゃない!?本格クリッカーゲーム

    Steam のタグには「Balatro-inspired」とあるが、実際にプレイしてみると本作の正体は Cookie Clicker系の正統派インクリメンタルゲーム だった。ポーカー要素はあくまでテーマであり、その実態は「数字をひたすら大きくしていく」という放置系ゲームの王道を行く作品だ。

    開発者のMashが一人で作り上げたこの作品は、シンプルながら非常に洗練されている。ドット絵で描かれたカードのアニメーション、派手なエフェクト、そして 「次に何が起こるかわからない」 というワクワク感が絶妙なバランスで配合されている。

    5〜10時間という短めのプレイ時間も絶妙だ。「もうちょっと続けたい」と思ったところで終わるからこそ、満足度の高いゲーム体験を提供してくれる。長すぎず、短すぎず、ちょうどいい。まさに 「ポテトチップスを一袋食べ切る感覚」 でクリアできる手軽さが魅力だ。

    「こんなのポーカーじゃない」からこそ面白い

    タイトル通り、これは確かに「ポーカーじゃない」。でもだからこそ面白いのだ。ポーカーのルールを知らなくても楽しめるし、知っていても既存の常識を覆される驚きがある。

    Steam レビューにも 「ポーカーを買ったのにポーカーがない。あるのはカオスだけ。ルールがわからない。ルールも私がわからない。助けて! 10/10点」 という秀逸なレビューがあるが、まさにこれがこのゲームの本質を表している。

    真面目にポーカーをプレイしたい人には向かないが、脳死で数字を眺めながら 「うぉおおお数字が大きくなってる!」 という原始的な喜びを味わいたい人には最高の体験を提供してくれる。

    700円という価格も魅力的だ。コーヒー一杯と同じ値段で、数時間から十数時間の濃密な 「数字中毒体験」 が手に入るのは破格と言えるだろう。

    基本情報

    タイトル: This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない
    開発: Mash
    パブリッシャー: Oro Interactive, Drillhounds
    ジャンル: インクリメンタル・アイドルクリッカー
    プラットフォーム: Steam (PC)
    リリース日: 2025年12月11日
    プレイ時間: 5〜10時間
    価格: 700円
    Steam評価: 非常に好評 (91%, 936件のレビュー)
    日本語対応: あり

    購入リンク:

  • 3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    在宅ワークの休憩中、気づけば7時間もプレイしてしまったゲーム──それが『オートナイト団(Tiny Auto Knights)』だ。

    2025年11月7日にSteamで正式リリースされたばかりの本作は、ドイツの小規模開発チームMumpitz Gamesが手がけた、3×3のグリッド上で繰り広げられるPvPオートバトラー。Steam評価は87%と「非常に好評」を獲得しており、リリース直後から話題を集めている。

    デモ版の時点でSteam全世界デモランキングTop 25入りを果たし、ピーク同時接続227人を記録。正式版リリースと同時に35%オフの発売記念セールも実施されており、現在975円で購入できる。

    だが本作の魅力は価格だけではない。60体以上のユニークなヒーローを組み合わせ、予想外のシナジーを生み出す戦略性の深さ。そして「もう一回だけ」が止まらない中毒性の高さにある。

    60体のヒーローから30体を選ぶ。自分だけのデッキで挑む3×3の戦場

    本作の最大の特徴は、カスタムデッキシステムだ。プレイヤーは60体以上のヒーローから30体を選んでデッキを構築。バトル開始時にはそのデッキからランダムに3体が提示され、配置するかリロールするかを選択する。

    ヒーローは5つのレアリティに分かれており、序盤は低レアリティのヒーローが中心。バトルを重ねるごとに徐々にレアリティの高いヒーローが出現するようになる。同じヒーロー2体を合成すればレベルアップし、より強力なスキルが解放される仕組みだ。

    3×3のグリッド上での配置が戦況を大きく左右する。前列に配置すれば先制攻撃のチャンスが増えるが、敵の攻撃も受けやすい。後列に配置すれば安全だが、攻撃順が遅くなる。ヒーローの位置関係によってスキル発動順も変わるため、どこに誰を置くかが勝敗の分かれ目となる。

    バトルが始まれば後は自動進行。ヒーローたちは配置された位置に応じて攻撃し、スキルを発動していく。毒、氷結、出血、アーマーといったステータス効果が戦況を複雑にし、一見不利な状況からの大逆転も珍しくない。

    「召喚型」か「バフ集中型」か。メタを読んで戦略を変える楽しさ

    本作の戦略性の核となるのがシナジーの概念だ。特定のヒーローを組み合わせることで、予想外の相乗効果が生まれる。

    初心者プレイヤーに人気なのは「召喚ビルド」。召喚系ヒーローを複数配置し、大量のミニオンで敵を圧倒する戦法だ。序盤は強力だが、上級者になると召喚ユニットを無視して本体を狙う戦術が主流になる。

    一方、ランクマッチの上位勢に多いのが「バフ集中型ビルド」。1〜2体のヒーローに複数のバフを重ね掛けし、攻撃力200超え、HP200超えのモンスターを作り上げる。ウィザードやリザードガードといった特定のヒーローが強化されやすいとコミュニティで話題になっている。

    面白いのは、開発チームがこうしたメタの変化を積極的にアップデートで調整している点だ。リリース直後から複数のバランス調整パッチが配信され、特定のヒーローが強すぎる状態や、逆に弱すぎる状態が修正されている。

    プレイヤーはメタの変化に対応しながらデッキを組み替え、新しいシナジーを模索する。「今週はこのビルドが強い」「次のパッチでこのヒーローが弱体化されそう」といった情報交換が、公式Discordやコミュニティで盛んに行われている。

    非同期PvPだから気軽。でも負ければめちゃくちゃ悔しい

    本作のPvPは非同期マルチプレイ方式を採用している。つまり、リアルタイムで他プレイヤーと対戦するのではなく、他プレイヤーが過去に組んだチーム編成と戦う形式だ。

    これにより、自分のペースでじっくり考えながらプレイできる。マッチング待ち時間もなく、サクサク進められるのが魅力だ。1ランあたり10〜15分程度で完結するため、ちょっとした空き時間にもプレイしやすい。

    だが油断は禁物。非同期とはいえ、対戦相手の編成は本物のプレイヤーが考え抜いたものだ。「あと1ターンあれば勝てたのに……!」「この配置ミスがなければ……!」と、負けたときの悔しさはリアルタイム対戦に劣らない。

    筆者が特に悔しかったのは、同じ対戦相手と3ターン連続でマッチングし、3連敗したとき。相手の編成は明らかに格上で、どう戦っても勝てる気がしない。「せめて別の相手と戦わせてくれ……!」と叫びたくなったが、それもまた運の要素だ。

    ただし、コミュニティからは「同じ対戦相手とは一度しか戦えないようにしてほしい」という要望も出ている。開発チームは積極的にフィードバックを受け入れているため、今後のアップデートで改善される可能性は高い。

    レリックとレベルアップ報酬で、毎回違う展開が楽しめる

    バトルに勝利すると「アンロックトークン」を獲得でき、これを使って新しいヒーローをデッキに追加できる。また、ヒーローがレベルアップするたびに選べるレベルアップ報酬も用意されている。

    さらに注目すべきはレリックシステムだ。ランダムに獲得できるレリックは、チーム全体にパッシブボーナスを付与する強力なアイテム。「全ヒーローの攻撃力+10%」「スキル発動時にHP回復」といった効果が、戦略に新たな幅を与える。

    レリックの組み合わせ次第で、同じデッキでも全く異なる戦い方ができる。「毒ダメージ強化」のレリックを引いた場合は毒ビルドに切り替え、「召喚ユニット強化」を引いた場合は召喚ビルドに特化する──といった臨機応変な戦略が求められる。

    このローグライク的なランダム性が、本作のリプレイ性を大幅に高めている。同じデッキで何度プレイしても、毎回違う展開が待っているのだ。

    ピクセルアートの可愛さと、小規模チームならではの愛情

    本作のビジュアルは、カラフルなピクセルアートで描かれている。騎士、魔法使い、ドラゴン、エルフ──ファンタジーの定番キャラクターたちが、ドット絵で可愛らしく表現されている。

    派手なエフェクトや3Dグラフィックとは無縁だが、だからこそ戦況が把握しやすい。誰がどのスキルを使ったのか、どのヒーローが毒状態なのか、一目で分かる。この視認性の高さは、戦略ゲームとして重要なポイントだ。

    開発元のMumpitz Gamesは、小規模なインディースタジオ。それでも、プレイヤーからのフィードバックに迅速に対応し、リリース直後から複数のアップデートを配信している。公式Discordでは開発者自らがコミュニティと交流し、次のアップデート内容についても積極的に情報を公開している。

    「愛情込めて作られた」という表現がぴったりの本作。AAAタイトルにはない、インディーゲームならではの温かさがある。

    「もう一回!」が止まらない。気づけば7時間

    本作の魅力を一言で表すなら、「もう一回」が止まらない中毒性だろう。

    負ければ「次こそは勝てる」と思い、勝てば「次はもっと高いスコアを目指そう」と思う。新しいヒーローをアンロックすれば「このヒーローを使ったデッキを試したい」と思い、強力なシナジーを発見すれば「この組み合わせで勝ちまくりたい」と思う。

    そうして気づけば、筆者は7時間もプレイしていた。寝る前に、休日に、そして…仕事の合間に──本作は常に「もう一回だけ」と呼びかけてくる。

    もちろん、本作にも改善点はある。現在はPvPモードのみで、ソロプレイヤー向けのAI対戦モードやシングルプレイコンテンツはない。また、ランクマッチでのメタ進行報酬が少ないため、「勝っても得られるものがない」と感じるプレイヤーもいる。

    だが、開発チームは今後のアップデートで新ヒーロー追加やバランス調整を予定しており、コミュニティの要望にも耳を傾けている。早期アクセスではなく正式リリースされた現時点で、すでに完成度の高いゲーム体験が提供されているのは間違いない。

    オートバトラーというジャンルに馴染みがない人も、戦略ゲーム好きも、カジュアルにPvPを楽しみたい人も──『オートナイト団』は、あらゆるプレイヤーに「もう一回」の中毒性を提供してくれる。

    今なら発売記念セールで35%オフ。この機会にぜひ、3×3のマス目で繰り広げられる熱い戦略バトルを体験してほしい。


    基本情報

    ゲーム名: オートナイト団(Tiny Auto Knights)
    開発: Mumpitz Games
    販売: Mumpitz Games
    リリース日: 2025年11月7日
    プラットフォーム: Steam
    価格: 通常1,500円(税込)※発売記念セール中は35%オフで975円
    プレイ人数: 1人(オンライン非同期PvP対応)
    対応言語: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語など全13言語
    Steam評価: 非常に好評(87%)
    推奨プレイ時間: 10分〜(1ランあたり)

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  • たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    見た目で判断してごめんなさい……

    正直に告白しよう。Steamストアで『9 Kings』を初めて見たとき、筆者の第一印象は「……ドット絵? 3×3のマス? なんか地味じゃね?」だった。

    2025年5月にリリースされた本作は、Sad Socketが開発し、『Manor Lords』でお馴染みのHooded Horseがパブリッシングを担当する王国建設ローグライク。カードを引いて3×3のマスに配置し、押し寄せる敵軍と戦う……というシンプル極まりないゲーム性だ。

    しかし、Steam評価は92%という驚異的な「非常に好評」。発売初週で25万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数は1万3000人を突破。デモ版の段階から海外インフルエンサーの間で話題沸騰し、正式リリース後も勢いが止まらない。

    「……そんなに面白いの?」

    半信半疑でプレイボタンを押した筆者は、気づけば6時間ぶっ通しでプレイしていた。そして今こうして記事を書いている最中も、「もう1ゲームだけ……」という悪魔の囁きが聞こえてくる。

    これは、ヤバいゲームだ。

    カードを置くだけなのに、なぜこんなに面白いのか

    ゲームのルールは驚くほどシンプルだ。プレイヤーは9人の王の中から1人を選び、その王固有の9枚のカードデッキを使って王国を発展させる。

    毎ターン手札からカードを1枚選び、3×3のマス目に配置する。カードには「ユニット」「建物」「エンチャント(バフ効果)」の3種類があり、配置したカードは即座に効果を発揮する。

    ターンが終わると、敵の王が軍勢を率いて攻めてくる。ここからはオートバトル。プレイヤーは特殊技を発動するタイミングを選ぶ以外、ただ見守るしかない。自分が築いた王国が敵を蹂躙するか、それとも蹂躙されるか──その結果はすべて、これまでの選択の積み重ねで決まる。

    勝利すれば、倒した敵の王のデッキから1枚カードを獲得できる。負ければ、最初からやり直しだ。

    たったこれだけ。でも、この「たったこれだけ」が恐ろしいほど中毒性が高い。

    「無の王」から始まる、破滅への序章

    最初にプレイできるのは「無の王(King of Nothing)」だけだ。騎士、弓兵、防衛塔といったオーソドックスな中世ヨーロッパ風のユニットで構成された、まさに”普通”の王。

    「なんだ、普通じゃん」と思ってプレイを始めた筆者は、1回目のプレイであっさり全滅した。

    理由は簡単。「どこに何を置けばいいのか分からない」からだ。

    3×3という限られたスペースに、前衛、後衛、支援施設をどう配置するか。バフ効果を持つ建物はどのユニットの隣に置くべきか。城(本拠地)をどこに配置すれば守りやすいか──考えることは山ほどある。

    そして2回目。今度は慎重に配置を考え、なんとか5年目まで生き延びた。だが、強力な敵に押し切られて敗北。

    3回目。配置の基本が分かってきた。騎士を前列に、弓兵を後列に、城は一番後ろ。バフ効果を持つ建物は主力ユニットの隣に置く。この基本を守るだけで、10年目まで到達できた。

    そして4回目。ついに初クリアを達成した瞬間、筆者は気づいた。

    「あ、これ……止まらないやつだ」

    9人の王、9通りの狂気

    クリアするごとに新しい王が解放されていく。そして、それぞれの王はまったく別のゲームを遊んでいるかのように個性的だ。

    血の王(King of Blood)」は自軍のユニットを犠牲にすることで、悪魔や吸血鬼を強化する。序盤は弱いが、雪だるま式に強くなっていくビルドの快感がヤバい。

    強欲の王(King of Greed)」は金で傭兵を雇いまくる資本主義の権化。ガトリング塔で敵を薙ぎ払う爽快感は筆舌に尽くしがたい。

    進歩の王(King of Progress)」に至っては、もはやファンタジーを捨てている。機関銃、ガトリング塔、火炎放射器──中世ファンタジーの王国に突如現れる近代兵器の暴力に、敵も味方も困惑するしかない。

    筆者が最もハマったのは「自然の王(King of Nature)」だ。キノコ、樹木、毒といった自然の力を操り、じわじわと敵を弱らせていく戦い方が実に戦略的で面白い。

    そして何より、敵を倒すたびに相手のカードを1枚奪えるシステムが天才的だ。

    自然の王でプレイ中、強欲の王からガトリング塔を奪った瞬間、筆者の王国は「森と機械銃が共存する狂った王国」へと変貌した。この予測不能な展開こそが、『9 Kings』の最大の魅力だ。

    シンプルなのに、絶妙に難しい

    本作の難易度は絶妙だ。

    基本ルールは誰でも理解できるほどシンプル。だが、勝つためには配置の最適化、カードシナジーの理解、敵の特性把握が不可欠となる。

    特に難易度「King」以上になると、運任せでは絶対に勝てない。毎ターンの選択が勝敗を分ける、まさにチェスのような戦略性が求められる。

    だが、何度負けても「もう1回だけ……」と思わせる中毒性がある。それは、敗因が明確だからだ。

    「あそこで城を後ろに置いておけば……」 「バフ建物をもっと早く建てるべきだった……」 「あのカードを選ばなければ……」

    反省点が明確だから、次のプレイでは改善できる。そして改善すれば、確実に強くなる。この成長の実感が、プレイヤーを離さない。

    止まらない。本当に止まらない

    『9 Kings』の1プレイは約30分。だが、その30分が無限に続く

    「今回はいい感じだ。クリアできそう」 →クリア →「次は別の王を試してみるか」 →「あ、この組み合わせ強い!」 →「もう1回だけ……」

    気づけば朝。これが『9 Kings』の恐ろしさだ。

    ピクセルアートは確かにシンプルだ。3×3のマス目も、一見地味に見える。だが、そのシンプルさが完璧に計算されている

    複雑なグラフィックや派手な演出は不要。プレイヤーが集中すべきは、選択と戦略だけ。そして、その選択が生み出す無限の組み合わせこそが、本作の真髄だ。

    筆者は今、プレイ時間が60時間を超えた。それでもまだ、「試していないビルド」「挑戦していない難易度」が山ほどある。

    発売から数ヶ月経った今も、開発チームは定期的にアップデートを実施している。新しい王、新しいカード、新しいモード──まだまだ進化し続けるこのゲームは、本当に終わりが見えない

    もし、あなたが「ちょっとした暇つぶし」を探しているなら、このゲームには手を出すな。

    これは暇つぶしではなく、時間泥棒だ。

    だが、もしあなたが「シンプルなルールで奥深い戦略を楽しみたい」「何度でもリプレイしたくなる中毒性を求めている」なら──

    迷わずプレイボタンを押してほしい。

    そして筆者と同じ、抜け出せない沼へようこそ。


    基本情報

    タイトル: 9 Kings(9 キングス)
    開発: Sad Socket
    パブリッシャー: Hooded Horse, INSTINCT3
    プラットフォーム: Steam (PC), Mac
    リリース日: 2025年5月23日(早期アクセス)
    価格: 1,980円(通常価格)
    プレイ時間: 1プレイ約30分、エンドレスモードあり
    日本語対応: あり(30言語対応)
    Steam評価: 非常に好評(92%、14,000件以上のレビュー)

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  • スロット×ファンタジーRPGの魔改造!『スロット&ダガー』で運と戦略の狭間に立つ緊張感がクセになる

    スロット×ファンタジーRPGの魔改造!『スロット&ダガー』で運と戦略の狭間に立つ緊張感がクセになる

    スロットマシンでモンスターと戦う…ふむふむ…

    Steamのストアページで『スロット&ダガー | Slots & Daggers』を初めて見たとき、筆者の頭には「面白そう!」よりも「スロットマシン? ファンタジーRPG? なぜこの組み合わせ?」という困惑の方が強かった。

    パッと見た感じはレトロな雰囲気のスロットマシンと、その画面に映し出されるゴブリンや悪魔といったモンスターたち。「スロットを回して敵を倒す」という説明を読んでも、正直ピンとこない。確かに『Balatro』や『CloverPit』といったスロット系ローグライクは最近人気だが、これらとはまた違う独自の魅力があるという。

    そんなストアページの謎を解明すべく、筆者は『スロット&ダガー』の世界へと足を踏み入れることにした。

    シンプルだけど奥が深い…これぞスロットの魔改造

    ゲーム性は一見シンプル。スロットマシンを回し、出た目に応じて攻撃・防御・魔法といったアクションを実行。敵の体力を削り切れば勝利、こちらの体力がゼロになれば敗北。ターン制バトルの基本を忠実に守りながら、スロットという運要素を組み込んだシステムだ。

    最初は剣、盾、コインの3つのシンボルから選択してスロットマシンを構築。剣は攻撃、盾は防御、コインはお金を稼ぐといった具合に、各シンボルには明確な役割がある。

    「なんだ簡単じゃん。スロット回して剣が出れば攻撃、盾が出れば防御。要するに運ゲーでしょ」と思い、最初のステージに挑んでみると……

    即死した。

    敵が強いのか、こちらが弱いのかはわからないが、とにかくあっという間に体力がゼロになる。最初のハンマーゴブリンでさえ、油断すれば2、3ターンで倒されてしまう。「え、これ本当に序盤?」と戸惑いながら再挑戦するも、結果は同じ。攻撃が足りず、防御も足りず、気づけば体力ゲージは真っ赤だ。

    ここで「あれ? これ運だけじゃ勝てなくね?」と完全に意識が切り替わった。

    運だけじゃない…目押しと戦略が勝利のカギ

    (自称)ローグライク好きな筆者がこんなに苦戦するとは。この絶妙な難易度を生み出しているのは、実は「目押し」システムだ。

    スロットのリールは自動では止まらない。プレイヤーが手動で1つずつ止める必要があり、タイミング次第で狙ったシンボルを引き寄せることができる。完全なランダムではなく、プレイヤーのスキルが介入できる余地が残されているのだ。

    さらに、同じシンボルが3つ揃うとクリティカルヒットが発動。攻撃力が3倍になったり、特殊効果が追加されたりと、戦況を一気に逆転させるチャンスが生まれる。この「狙える運ゲー」という絶妙なバランスが、本作の最大の魅力だ。

    が、目押しだけでは勝てない。重要なのはスロットマシンのカスタマイズだ。

    各バトルの合間には商人が登場し、ここで新しいシンボルを購入したり、既存のシンボルを強化したりできる。毒ダメージを与えるダガー、回復効果のあるポーション、魔法ダメージを与えるスペルブック……選択肢は多岐にわたる。

    しかし、ここで注意が必要なのは、シンボルを増やしすぎると狙ったシンボルが出にくくなるということ。攻撃シンボルばかり詰め込めば火力は上がるが、防御が疎かになり一撃で倒されてしまう。逆に防御シンボルを多く入れれば生存率は上がるが、敵を倒すのに時間がかかり、結局ジリ貧になる。

    この「どのシンボルを入れるか、どのシンボルを削るか」という選択が、デッキ構築型ローグライクのような戦略性を生み出している。筆者は試行錯誤の末、毒ダメージを与える小剣と、ライフスティール効果のある魔法を軸にしたビルドを構築。これが意外にハマり、じわじわと敵の体力を削りながら自分は回復するという、かなりえげつない戦法で勝利を重ねることができた。

    スキルチェックというミニゲーム要素も熱い

    さらに本作には「スキルチェック」というミニゲーム要素がある。特定のシンボル(大剣やメイスなど)が出ると、画面にメーターが表示され、プレイヤーはタイミングよくボタンを押してメーターを止める必要がある。成功すれば高ダメージ、失敗すればダメージが減少するという、アクション要素だ。

    このスキルチェックが意外と難しい。メーターの速度はランダムで、速いときは本当に一瞬で通過してしまう。「今だ!」と思ってボタンを押しても、微妙にズレて失敗することも多い。しかし、この緊張感がたまらない。スロットという運要素に、さらにプレイヤースキルを上乗せすることで、単なる運ゲーではない深みが生まれている。

    死んでも諦めない…永続強化で少しずつ強くなる快感

    そして本作はローグライクなので、当然ながら死ぬと最初からやり直しとなる。カスタマイズしたスロットマシンも、購入したシンボルも、すべてリセット。

    が、ここで重要なのが「チップ」という永続通貨だ。強敵を倒すとチップが手に入り、これを使って基礎能力を強化できる。体力の最大値を増やしたり、魔法ダメージをブーストしたり、コインのドロップ率を上げたり……地道だが確実に強くなっていく。

    最初は「こんなの無理ゲーじゃん!」と思っていた敵も、チップで強化を重ねるうちに「あれ、意外と楽に倒せるようになったな」と実感できる。この「少しずつ強くなる」という感覚が、ローグライク好きにはたまらない。

    トライ&エラーを繰り返していくと、「このビルドなら行けるかも」という手応えがつかめてくる。毒と回復の組み合わせ、大剣とスキルチェックに特化したビルド、防御を固めて長期戦に持ち込む戦法……プレイヤーごとに独自の戦略が生まれるのだ。

    そうなればもうこっちのもの。スロットを回すたびに「次は何が出るか」というドキドキ感と、「このビルドなら勝てる」という確信が混ざり合い、気づけば「もう一回だけ…」と何時間もプレイしてしまっていた。

    レトロなビジュアルと心地よいサウンドが最高

    本作の魅力は、ゲームプレイだけではない。レトロなピクセルアート調のビジュアルと、ヒップホップ調のドラムマシンサウンドが、独特の雰囲気を醸し出している。

    スロットマシンの画面に映し出されるモンスターたちは、どこかコミカルでありながらも不気味。ハンマーゴブリン、ガンスリンガー、巨大な蛾のモスガル……それぞれが個性的なデザインで、レトロながらも印象に残る。

    そして何より、スロットを回したときの「ジャラジャラ」という音、コインが落ちる「チャリン」という音、クリティカルヒットが決まったときの「ドーン!」という効果音。これらすべてが、プレイヤーの脳内に快感をもたらす。まさに「アーケードゲームの中毒性」を体現しているかのようだ。

    開発者のFriedemannは、前作『SUMMERHOUSE』で癒し系サンドボックスゲームを作った人物。その彼が今回は真逆のアプローチで、スロットマシンという中毒性の高いシステムを使ってゲームを作り上げたというのだから、その振り幅に驚かされる。

    唯一の欠点は…もっと遊びたくなること

    ただし、本作には1つだけ欠点がある。それは、ボリュームがやや少ないということだ。

    メインキャンペーンのプレイ時間は4〜8時間程度。ローグライクとしては決して短くはないが、一度クリアしてしまうと「もっと遊びたい!」という気持ちが強くなる。幸いにも「エッグアリーナ」という無限モードが用意されており、ここでハイスコアを競うことができるが、それでもまだ「新しいエリアや新しいボスが欲しい」という欲求は消えない。

    また、一部のシンボルや強化が強すぎて、特定のビルドに偏りがちという意見も見られる。リスピン(スロットを回し直す)系のシンボルを集めると、ほぼ負けることがないという状況になってしまうため、開発者も最近のアップデートでバランス調整を行っている。

    それでも、この価格(920円、現在は30%オフで644円)でこれだけの中毒性と戦略性を味わえるのであれば、文句のつけようがない。むしろ「こんなに楽しいゲームがこんなに安いのか!」と驚くレベルだ。

    運と戦略の狭間で揺れる、新感覚ローグライク

    『スロット&ダガー』は、スロットマシンという運要素と、デッキ構築という戦略要素を見事に融合させた、新感覚のローグライクだ。

    目押しによるプレイヤースキルの介入、スキルチェックによるアクション要素、永続強化による成長実感……すべてが絶妙なバランスで組み合わさり、「もう一回だけ」という中毒性を生み出している。

    ローグライク好きはもちろん、『Balatro』や『CloverPit』にハマった人、手軽に遊べる戦略ゲームを探している人には、ぜひともプレイしてほしい。

    スロットを回すたびに心臓が高鳴る。この感覚、クセになる。


    基本情報

    タイトル: スロット&ダガー | Slots & Daggers
    開発: Friedemann
    パブリッシャー: Future Friends Games
    配信日: 2025年10月24日
    定価: 920円(Steam)※現在30%オフで644円(11月8日まで)
    日本語: ○
    プレイ時間: 4〜8時間(メインキャンペーン)
    難易度: 中級者向け
    Steam評価: 非常に好評(94%)
    販売本数: 10万本突破(2025年11月時点)

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  • 恐怖の館になって訪問者を恐怖のどん底へ。デッキ構築ローグライク『Deck of Haunts』で味わう、加害者側のホラー体験

    恐怖の館になって訪問者を恐怖のどん底へ。デッキ構築ローグライク『Deck of Haunts』で味わう、加害者側のホラー体験

    ホラーゲームなのに……加害者側!?

    ホラーゲームといえば、プレイヤーは逃げる側、怯える側が定番だ。幽霊や怪物から必死に逃げ、隠れ、生き延びる……そんなドキドキハラハラの体験こそがホラーゲームの醍醐味だと思っていた。

    ところが、PC(Steam)向けゲーム『Deck of Haunts』は、その常識を真っ向から覆してくる。本作でプレイヤーが操るのは、なんと恐怖の館そのもの。侵入してくる人間たちを恐怖に陥れ、精神を追い詰め、魂のエキスを搾り取る……。完全に加害者側なのだ。

    最初にストアページを見たとき、「館になるってどういうこと?」「デッキ構築と館の建築が合体?」と、正直かなり困惑した。が、プレイしてみると、この発想の転換がとんでもなく面白い。被害者になって怯えるのではなく、加害者として恐怖を演出する――この逆転の構図が、『Deck of Haunts』を唯一無二のホラー体験へと昇華させているのだ。

    昼は建築、夜は恐怖――二段構えのゲームシステム

    ゲームの基本的な流れは非常にシンプル。昼間に館の間取りを設計し、夜になると侵入者が現れるので、カードを駆使して恐怖を与えていく。この昼夜のサイクルを28日間繰り返し、館の核となる「ハートルーム」を守り抜けばクリアだ。

    昼間のフェーズでは、タイル状のグリッドに部屋を配置して館を建築していく。ゲストルーム、リビング、キッチンといった基本的な部屋から、フォビアルーム(恐怖の部屋)、メカニカルルーム(機械仕掛けの部屋)、サクリファイスルーム(生贄の部屋)など、特殊な効果を持つ部屋まで用意されている。

    部屋の配置は自由度が高く、迷路のような複雑な構造を作り上げることも可能だ。ハートルームを守るため、侵入者を効率的に迷わせ、消耗させるレイアウトを考えるのが、このゲームの戦略の要となる。

    夜間のフェーズになると、館に人間たちが侵入してくる。彼らはそれぞれ体力と正気度のパラメータを持っており、プレイヤーはカードを使ってこれらを削っていく。悲鳴を上げさせる、床をきしませる、幽霊を召喚する、壁を動かす……手札のカードを駆使して、訪問者を精神的に追い詰めていくのだ。

    カードにはダメージカード、正気度を削るドレインカード、緊張感を高めるテンションカードなどがあり、それぞれ使用条件が設定されている。たとえば「部屋に一人きりの状態でないと使えない」といった制限があるため、単純にカードを出せばいいわけではない。部屋の配置と訪問者の動きを読み、タイミングを見計らってカードをプレイする――このパズル的な戦略性が、じわじわと病みつきになってくるのだ。

    死んでも学べるローグライクの妙味

    ゲームオーバーになっても、集めたカードや解放した部屋は次のランに引き継がれる。つまり、死ぬたびに戦略の選択肢が広がっていく、典型的なローグライクのメタプログレッションだ。

    最初のランでは、基本的なカードと部屋しか使えず、侵入者に圧倒されてあっさりハートルームを破壊されてしまうことも多い。が、ランを重ねるごとに強力なカードが手に入り、特殊な部屋も使えるようになっていくと、徐々に館の恐怖支配が板についてくる。

    特に面白いのが、侵入者の種類が増えていくことだ。最初は一般市民だけだが、悪名が高まると警察官、神父、そして謎の組織「ストーン・メイソン」まで現れる。彼らはそれぞれ特殊能力を持っており、たとえば「Pathfinder」というトレイトを持つ敵は、入口ではなくランダムな部屋からスタートする。

    これがまたやっかいで、下手をするとハートルームのすぐ隣に出現することもある。そんなときは「え、初手でこれ!?」と絶望するが、そういう理不尽さも含めてローグライクの魅力だ。対処できるカードがなければ潔く諦め、次のランで対策を練る――このトライ&エラーの繰り返しが、プレイヤーを成長させてくれる。

    Steam評価84%の高評価、だが課題も

    Steam上での評価は「非常に好評」で、708件のレビューのうち84%が好意的だ。特に「デッキ構築とタワーディフェンスの融合が斬新」「館の建築が楽しい」といった声が多く、独特なゲームデザインが高く評価されている。

    ただし、いくつかの課題も指摘されている。最も多いのが「反復性が高い」という点だ。28日間のランは毎回同じスタートカードと館レイアウトから始まるため、15日目あたりから既視感が強くなってくる。また、正気度を削る戦略よりも直接ダメージを与える方が効率的なため、戦略の幅が狭まりがちだという意見もある。

    加えて、部屋配置の自由度は高いものの、最初のグリッドが小さく、ハートルームの位置が固定されているため、創造性に限界があるとも言われている。とはいえ、開発元のMantis Gamesは継続的にアップデートを行っており、シナリオビルダー機能も実装予定とのことだ。Steam Workshopとの連携も計画されているため、コミュニティによる拡張に期待が高まる。

    1970年代アメリカのゴシックな雰囲気

    本作の舞台は1970年代のアメリカ。アールデコ調の不気味な館と、ゴシックホラーの美学が見事に融合した世界観が、プレイヤーを引き込む。

    グラフィックはアイソメトリック視点の2.5Dで、ドット絵ではないがスタイライズされた表現が特徴的だ。暗い色調とシネマティックな演出が、古典的なホラー映画を彷彿とさせる。

    BGMも秀逸で、不協和音を効かせた不穏な旋律が、館の邪悪さを際立たせている。侵入者が発狂するときの演出も凝っており、ホラーゲームとしての没入感は十分だ。

    プレイ時間は20~100時間以上! リプレイ性の高さ

    一度のランは28日間で、クリアまでの所要時間は約2~3時間程度。だが、複数のエンディングが用意されており、選択肢によって結末が変化するため、リプレイ性は高い。

    さらに、カードや部屋の組み合わせによって全く異なる戦略が取れるため、「今度は正気度特化で攻めてみるか」「特殊部屋を駆使した迷宮を作ろう」といった試行錯誤が楽しめる。筆者は現在30時間ほどプレイしているが、まだ全カードを解放しきれていない。100時間以上遊べるコンテンツ量があると言っても過言ではないだろう。

    難易度は初心者向け~上級者向けの3段階

    本作には3段階の難易度設定があり、初心者でも安心して楽しめる。イージーモードでは侵入者の体力が低く、ハートルームへのダメージも少ないため、じっくりとゲームシステムを学べる。

    逆にハードモードでは、初日から強力な敵が押し寄せ、一瞬の判断ミスが命取りとなる。ローグライク上級者やデッキ構築ゲームのベテランなら、ハードモードでの完全クリアを目指してほしい。

    基本情報

    タイトル: Deck of Haunts
    開発: Mantis Games
    パブリッシャー: DANGEN Entertainment, Game Source Entertainment
    プラットフォーム: PC(Steam)※コンソール版は2025年後半予定
    リリース日: 2025年5月7日
    価格: 2,300円(税込)
    プレイ時間: 20~100時間以上
    難易度: 初心者向け~上級者向け(3段階設定)
    Steam評価: 非常に好評(84%)
    日本語対応: あり

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  • 図形から戦士を量産せよ!『ShapeHero Factory』で工場経営の新境地を開拓する

    図形から戦士を量産せよ!『ShapeHero Factory』で工場経営の新境地を開拓する

    工場ゲームとタワーディフェンスの奇跡的な出会い

    「工場建設ゲームって、いつも最初が一番楽しいよなぁ……」

    こんなことを思ったことのあるゲーマーは少なくないはず。設備を一つ一つ配置して、コンベアベルトでつないで、最初の製品が完成したときの達成感。でも時間が経つにつれて、巨大化した工場の管理に疲れてしまい、結局リセットして最初からやり直す……そんなサイクルを繰り返していた人にこそ、ぜひ手に取ってほしいタイトルがある。

    それが、アソビズムが開発した『ShapeHero Factory』だ。Steam で87%という驚異的な高評価を誇る本作は、工場建設、ローグライト、タワーディフェンスの3つの要素を絶妙に組み合わせた、まったく新しいゲーム体験を提供してくれる。

    〇△□から生まれる無限の可能性

    本作の基本システムは実にユニークだ。プレイヤーは魔法のスクロール上に工場を建設し、〇(丸)、△(三角)、□(四角)といった基本図形を組み合わせてヒーローを製造する。〇と△を組み合わせれば兵士が、〇と□なら戦車が生まれる仕組みだ。

    この図形の組み合わせシステムが実に奥深い。単純な2つの図形の組み合わせから始まり、ゲームが進むにつれて3つ、4つの図形を使った複雑なヒーローも製造できるようになる。さらに、図形の色によってもヒーローの特性が変化するため、「赤い〇と青い△で作ったヒーロー」と「青い〇と赤い△で作ったヒーロー」では全く違う能力を持つことになる。

    製造したヒーローはコンベアベルトでポータルまで運ばれ、自動的に魔導書の奥深くで待ち受ける敵と戦闘を開始する。プレイヤーは直接戦闘をコントロールできない代わりに、より多くの、より強力なヒーローを効率的に製造することに専念できるのだ。

    制限時間がもたらす絶妙な緊張感

    『ShapeHero Factory』が他の工場建設ゲームと決定的に違うのは、各ステージに制限時間が設けられていることだ。この制限時間内にできるだけ多くのヒーローを製造し、戦場に送り込まなければならない。

    最初は「時間制限なんて邪魔だなあ」と思っていたのだが、実際にプレイしてみると、この制限こそが本作の魅力の核心だということが分かる。無限に時間があったら、プレイヤーは完璧な工場を目指して延々と改良を続けてしまうだろう。しかし制限時間があることで、「とりあえずこれで行くか!」という決断を下し、次のウェーブに進むことができる。

    そしてここがローグライト要素の真髄なのだが、戦闘に勝利すると新しい設備や強化アイテム(アーティファクト)を入手できる。これを使って工場をより効率的にアップグレードし、次のステージに挑むのだ。つまり、毎回異なる戦略で工場を構築する楽しさを、何度でも味わえるというわけだ。

    戦略の多様性こそがやみつきの理由

    本作には複数の「マスター」(プレイアブルキャラクター)が用意されており、それぞれ製造できるヒーローの種類や工場の戦略が大きく異なる。ミニオンマスターは基本的なヒーローの大量生産を得意とし、スペルマスターは魔法攻撃に特化したユニットを製造する。

    例えば、ミニオンマスターでプレイする場合、〇△□の基本図形を使って歩兵、弓兵、戦車といったオーソドックスなヒーローを大量生産する戦略が基本となる。コンベアベルトの配置を工夫し、複数のキャンバス(製造装置)を並列稼働させて生産効率を最大化することが重要だ。

    一方、スペルマスターでは魔法のインクを活用した特殊なヒーローが製造可能。火の玉を投げるメイジや、味方を回復するヒーラーなど、戦術的な多様性に富んだ部隊編成ができる。ただし、これらのヒーローは製造に時間がかかるため、少数精鋭の戦略を取らざるを得ない。

    アーティファクトが生む無限の組み合わせ

    戦闘に勝利すると入手できるアーティファクト(設備)は、工場の可能性を劇的に広げる存在だ。コンベアベルトの速度を向上させるものから、特定の図形を自動生成する装置、ヒーローの能力を大幅に強化する魔法陣まで、その種類は実に豊富だ。

    特に印象的だったのは「ヒーローの像」を入手したとき。この設備は、一度製造したヒーローの複製を自動生成してくれる優れものだ。強力だが製造に時間のかかるヒーローを一体作れば、あとは像が同じヒーローを量産してくれる。まさに「工場の自動化」を体現した設備と言えるだろう。

    また、「研究ツリー」システムも見逃せない。ゲームを進めることで獲得できる「大いなる知識」ポイントを使って、永続的な強化を施すことができる。コンベアベルトの配置効率向上、特定ヒーローの能力強化、新しい図形の解放など、プレイヤーの好みに合わせてキャラクターを成長させられる。

    Steam Deckでも快適!隙間時間の最高の相棒

    本作は Steam Deck にも完全対応しており、通勤電車や休憩時間にサクッとプレイするのに最適だ。1ステージが15~30分程度で完結するため、「ちょっとだけ」のつもりで始めても区切りの良いところで止められる。

    操作も直感的で、タッチスクリーンとコントローラーの両方に対応。スクロール上での設備配置は特にタッチ操作と相性が良く、まるで本当に工場の設計図を描いているような感覚が味わえる。

    画面の情報量も程よく整理されており、小さなスクリーンでも視認性は良好。バッテリーの持ちも良く、3時間程度の連続プレイなら問題なくこなせる印象だ。

    チャレンジモードで腕試し

    通常モードをクリアすると解放される「チャレンジモード」も見逃せない。限られたスクロール領域での工場建設や、敵を全滅させるまで終わらないデスマッチなど、上級者向けの歯ごたえのあるステージが用意されている。

    特に「制限されたスクロール」は、普段の何倍も効率を意識した工場設計が求められる。コンベアベルトの配置一つ取っても、無駄のない最適解を見つける必要があり、まさに工場建設ゲームの醍醐味が凝縮されている。

    「総力戦」では最初からすべてのヒーローレシピが解放されている代わりに、図形素材を自分で選択する必要がある。通常とは真逆のプレイスタイルが要求され、新鮮な戦略体験を提供してくれる。

    飛び出す絵本のような温かみのあるビジュアル

    本作のもう一つの魅力は、その愛らしいビジュアルデザインだ。まるで絵本から飛び出してきたような 2.5D グラフィックは、工場ゲームの無機質さを感じさせない温かみがある。

    〇△□で構成されたヒーローたちは、シンプルながらも表情豊かで愛嬌たっぷり。戦闘シーンでも、小さなヒーローたちが一生懸命敵と戦う様子は微笑ましく、つい応援したくなってしまう。

    敵キャラクターのデザインも秀逸で、インクから生まれた「大災厄」の眷属たちは不気味ながらもどこかユーモラス。真剣にやりこみ要素と向き合いつつも、肩の力を抜いて楽しめるバランスが絶妙だ。

    まとめ:工場建設ゲームの新たな可能性

    『ShapeHero Factory』は、工場建設ゲームの「最初が一番楽しい」という課題に対する一つの明確な解答だ。ローグライト要素によって毎回違う戦略を楽しめ、タワーディフェンス要素によって明確な目標が与えられる。制限時間というプレッシャーが、かえってプレイヤーの創造性を刺激する。

    また、Steam で2,100円という価格も魅力的だ。この価格なら気軽に試してみる価値は十分にある。Nintendo Switch、PlayStation 5でももプレイ可能なので、好みのプラットフォームでプレイできるのも嬉しいポイントだ。

    工場建設ゲームが好きな人はもちろん、タワーディフェンスやローグライトゲームのファンにも強くお勧めしたい。そして何より、「ゲームを始めたはいいものの、なかなか辞め時が見つからない」という悩みを抱えている社会人ゲーマーにこそ、ぜひ手に取ってほしい一作だ。


    基本情報

    タイトル: ShapeHero Factory / シェイプヒーローファクトリー
    開発: Asobism.Co.,Ltd
    パブリッシャー: Asobism.Co.,Ltd
    プラットフォーム: Steam, Nintendo Switch, Nintendo Switch 2, PlayStation 5
    プレイ人数: 1人
    ジャンル: 工場シミュレーション / ローグライト / タワーディフェンス
    リリース日: 2025年9月17日(Steam正式版)、2025年9月18日(コンソール版)
    価格: 2,100円(Steam)
    日本語: 対応
    Steam評価: 非常に好評(87%、722件のレビュー)

    購入リンク:

    公式情報:

  • デッキ構築ローグライクの決定版!『Slay the Spire』で味わう中毒性の正体とは。1回やったらもう止められない

    デッキ構築ローグライクの決定版!『Slay the Spire』で味わう中毒性の正体とは。1回やったらもう止められない

    これが本当に「あと1回だけ……」の始まりだった

    「よし、今度こそクリアしてやる」 そう意気込んで塔への挑戦を始めてから、気がつくと外はもう明け方。時計を見ると朝の6時……あれ?昨日の夜に「ちょっとだけ」プレイするつもりじゃなかったっけ?

    こんな経験をした人は、きっと少なくないはずだ。PC(Steam)をはじめ、Nintendo Switch、PS4、Xbox One、さらにはiOSやAndroidまで、あらゆるプラットフォームで愛され続けているデッキ構築ローグライク『Slay the Spire』の魔力にかかった人たちなら。

    2019年にMega Crit Gamesからリリースされた本作は、Steam上で97%という圧倒的な高評価を獲得し、「デッキ構築ローグライク」というジャンル自体を確立した記念すべき作品でもある。実際にプレイしてみると、その中毒性の高さは尋常じゃない。「簡単そうに見えて奥が深い」なんて月並みな表現では片付けられないほどの完成度を誇っている。

    そんな本作の魅力を、ついつい徹夜してしまった筆者の体験も交えながら紹介していこう。

    12枚のカードから始まる、無限の可能性

    ゲームの基本ルールはいたってシンプル。プレイヤーは4人のキャラクター(アイアンクラッド、サイレント、ディフェクト、ウォッチャー)から1人を選び、12枚の基本的なカードデッキを持って謎の塔に挑む。

    敵を倒すたびに新しいカードを1枚選んでデッキに追加し、強力なレリック(装身具)を獲得して、より強いデッキを構築していく。そして全3層+αからなる塔の頂上を目指すというもの。

    「なんだ、カードゲームか……」と最初は軽く見ていた筆者だったが、実際にプレイしてみるとこれが大間違いだった。

    最初のキャラクター、アイアンクラッドで挑戦してみたところ……1回目、あっさりと第1層のボスに敗北。「まあ、初回だしこんなもんでしょ」と軽く考えていたのだが、2回目も3回目も同じようにボスの前で散っていく。

    そこで気づいたのが、このゲームの奥深さだった。ただ強いカードを集めればいいというわけではなく、カード同士の「シナジー」を考えなければならないのだ。

    予想以上にハードコアな戦略性

    例えば、アイアンクラッドの代表的な戦略の一つに「筋力ビルド」がある。筋力を上昇させるカードを軸に、その恩恵を受けるアタックカードを集めて大ダメージを叩き出すという構築だ。

    一見単純に思えるが、実際にやってみると「筋力を上げる前に敵に倒されてしまう」「筋力は上がったけどアタックカードが引けない」「序盤の雑魚敵が倒せずにダメージを蓄積してしまう」といった問題にぶつかる。

    そこで重要になってくるのが、デッキのバランス調整。攻撃カードだけでなく、防御用のスキルカード、継続的な効果を発揮するパワーカード、そして時には「カードを引く」「エネルギーを得る」といったドロー・加速効果まで考慮した精密な構築が求められる。

    さらに厄介なのが、レリックの存在だ。例えば「カードを1枚多く引けるが、手札の上限が1枚減る」といった一長一短の効果を持つものや、「毒系カードの効果が倍増する」といった特定のビルドを大幅に強化するものまで、その種類は膨大。

    運良く引いたレリックに合わせてデッキの方針を変更することもあれば、逆に今のデッキに合わないレリックは泣く泣く見送ることもある。この判断が実に悩ましくて楽しい。

    「負けたら最初から」だからこそ燃える

    本作最大の特徴は、ローグライクならではの「死んだら最初から」というシステム。どれだけ強力なデッキを構築しても、一度でも負けてしまえば塔の入り口からやり直しとなる。

    最初はこのシステムに「せっかく強くなったのに……」と落胆していたが、プレイを重ねるうちにこれこそが本作の魅力だと気づいた。

    なぜなら、毎回異なる展開が待っているからだ。前回は筋力ビルドで攻めたから、今度は毒ダメージで戦ってみよう。今回は序盤から高コストカードが多く出たから、エネルギー増加を狙ってみよう。といった具合に、その都度異なる戦略を模索することになる。

    そして何より、前回の敗因を踏まえた新しいアプローチで挑めるのが楽しい。「あのボスには高火力が必要だから、今度はもっと攻撃的に構築してみよう」「前回はカードが多すぎて事故ったから、今度はデッキを薄く保とう」といった感じで、失敗が次への学びになる。

    キャラクターごとに全く違う戦略性

    4人のプレイアブルキャラクターは、それぞれが個性的な戦闘スタイルを持っている。

    序盤におすすめなのは、シンプルで分かりやすいアイアンクラッド。筋力アップや体力回復など、直感的に理解しやすいカードが多い。一方のサイレントは、毒やシヴ(短剣)を駆使したトリッキーな戦術が得意。

    ディフェクトは、オーブと呼ばれるエネルギー体を生成・活用するテクニカルなキャラクター。そして最後に追加されたウォッチャーは、「怒り」「冷静」「神性」という3つのスタンスを切り替える独特のシステムが特徴だ。

    筆者が一番ハマったのはサイレント。毒ダメージをメインとした「毒ビルド」で遊んだときの快感は忘れられない。序盤は地味にチクチクと毒ダメージを蓄積させるだけなのだが、デッキが完成すると敵が行動する前に毒で倒してしまうほどの威力になる。

    この「最初は弱いけど、完成すると圧倒的」という成長曲線がたまらなく気持ちいい。まさに「弱い者いじめ」から「圧倒的強者」への成り上がりを体験できるのだ。

    Steam Deck でも快適。どこでも「もう1回」

    本作の素晴らしい点の一つが、プラットフォームを選ばない遊びやすさ。特にSteam Deckでのプレイは快適で、電車や飛行機での移動中にもサクッと1プレイできる。

    ターン制のカードバトルなので、途中でスリープにしても問題ないし、1プレイが1~2時間程度で完結するのも嬉しい。「ちょっと時間が空いたから、1回だけ……」が気づけば5回、6回とプレイしてしまうのは、もはや本作の宿命と言えるかもしれない。

    また、本作には「デイリークライム」という日替わりチャレンジモードも用意されている。全世界のプレイヤーと同じ条件で挑戦し、スコアを競うモードで、これがまた絶妙に中毒性が高い。

    「人生を変えたゲーム」と呼びたくなる完成度

    正直に言って、筆者にとって『Slay the Spire』は「人生を変えたゲーム」の一つだ。このゲームに出会うまでは、カードゲーム系には全く興味がなかった。ところが本作をプレイしてからというもの、デッキ構築ローグライクというジャンルに完全にハマってしまった。

    何がそんなに魅力的なのか。それは「頭を使う楽しさ」と「運要素のスリル」、そして「成長の実感」が絶妙にブレンドされているからだと思う。

    毎回異なる展開、毎回異なる戦略、毎回異なる結果。でも確実に上達している手応えもある。負けても「次こそは……」と思える絶妙な難易度調整。これらすべてが組み合わさって、他では味わえない中毒性を生み出している。

    現在はSteam、Nintendo Switch、PlayStation、Xbox、iOS、Androidと、ほぼ全てのプラットフォームでプレイ可能。価格も手頃なので、「ちょっと気になるな」と思った人はぜひ一度試してみてほしい。

    ただし、覚悟しておいてほしいことが一つある。最初の1回をプレイしてしまったら、もう後戻りはできない。気がつけば何時間も、何十時間も、このゲームの虜になってしまうということを。

    でも、それだけの価値はある。約束する。

    基本情報

    タイトル: Slay the Spire
    開発: Mega Crit Games
    販売: Mega Crit Games
    プラットフォーム: Steam, Nintendo Switch, PlayStation 4, PlayStation 5, Xbox One, Xbox Series X/S, iOS, Android
    プレイ時間: 1プレイ 1-2時間程度(無限にリプレイ可能)
    難易度: 初心者向け~上級者向け(アセンション20段階)
    Steam評価: 圧倒的に好評 (97%)
    リリース日: 2019年1月23日(正式版)

    価格:2,800円(Steam)
    ゲームジャンル: デッキ構築ローグライク
    日本語: 対応済み

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