カテゴリー: カードゲーム

  • 料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    「デッキビルダーのローグライトって、結局戦って倒すゲームばかりでしょ?」しかし、『ハングリー・ホラーズ(Hungry Horrors)』は違った。このゲームでは、モンスターを倒すのではなく「満腹にする」のだ。

    英国ブライトンを拠点とする2人組インディースタジオClumsy Bear Studioが開発した本作は、戦闘の代わりに料理でモンスターをもてなすという、ジャンルの常識を覆す斬新なアイデアで2026年1月19日にSteam早期アクセスを開始。わずか1ヶ月で168件のレビューのうち98%が好評という圧倒的な支持を獲得している。

    戦わない、料理で生き残る!

    本作の最大の特徴は、デッキビルダーでありながら「戦闘」が存在しないこと。プレイヤーは英国とアイルランドの伝承料理のカードを駆使して、次々と襲いかかる神話上のクリーチャーたちを満腹にし、こちらに到達する前に満足させなければならない。

    ゲームプレイの核となるのは「味の連鎖(Flavour Combo)」システムだ。各料理には甘味、塩味、酸味、苦味、旨味、淡白という6つの味覚タグが付与されており、これらを連続して組み合わせることで強力なコンボが発動する。例えば「青→黄→茶→青」の順で料理を提供すると、初撃が20ダメージでも5撃目には100ダメージまで跳ね上がるのだ。

    さらに、各モンスターには「大好物」と「嫌いな料理」が設定されている。Black Annisはベイクウェル・タルトを愛するが、フィッシュ&チップスは大嫌い。Jenny Greentteeth、Grendel、Dullahan、Glaistigといった伝承のクリーチャーそれぞれに固有の食の好みがあり、彼らの嗜好を理解しながら最適な料理を提供する戦略性が求められる。

    料理カードの種類も豊富で、ハギス、スターゲイジー・パイ、クラナカン、バラ・ブリス、クレンポグなど、実在する英国・アイルランドの伝統料理が40種類以上登場する。ただし、これらは単なる料理カードではなく、スパイスやハーブ、調理器具といった「バフカード」と組み合わせることでさらに効果を強化できるのだ。

    8つのレルムを探索するローグライトの深み

    本作はローグライトとして、永続的な成長要素を実装している。各ランの後、プレイヤーは城のキッチンに戻り、新しいレシピのアンロック、調理器具のアップグレード、特殊な食材の獲得といった要素を通じてデッキを強化できる。失敗しても「運命ポイント(Fate Points)」が蓄積され、次回プレイ時に有利なアイテムや仲間を初期状態で入手可能だ。

    冒険の舞台となるのは8つのバイオーム──Woods(森)、Bog(沼地)、Meadows(草原)、Town(街)など、それぞれ独自のモンスターとイベントが用意されている。各バイオームには複数のルートがあり、扉を選択することで進路が分岐。道中ではNPCとの出会い、クエストの受諾、アイテムショップでの買い物など、多彩なイベントが待ち受ける。

    特筆すべきは、このゲームのストーリー性の高さだ。主人公は気まぐれな王女で、相棒は皮肉屋の猫。王国に広がった「飢餓の呪い」と、その中心で目覚めたドラゴンの謎を解き明かすため、伝説の怪物たちに料理を振る舞いながら冒険を進めていく。各NPCには固有のクエストラインがあり、最新アップデート(Patch 0.1.16)では、Herne、Wulver、Fear Gorta、Ellen Moreといったキャラクターに新たなクエストが追加された。

    さらに、このアップデートでは「ファミリア(Familiars)」システム、釣り、衣装の染色カスタマイズ、Fear Gortaのスパイスショップなど、ゲームプレイの幅を広げる要素が続々と実装されている。

    2人で紡いだ2年間の情熱

    Clumsy Bear Studioは、Scott FitzsimmonsとJerzy Pilchという実生活でもパートナーである2人組が運営する自己資金型インディースタジオだ。Scottがプログラミング、Jerzy がマーケティングとストーリーを担当し、全てのアート、デザイン、コーディングを内製で制作。音楽はHenry Taylorが手がけている。

    開発には2年以上の歳月を費やし、その間に様々な困難に見舞われた。2025年のロンドン・ゲームズ・フェスティバル直前には、滞在先で地震に遭遇して避難を余儀なくされ、さらに新しい作業場所はゴキブリだらけ。そんな過酷な状況の中、Scottは腕を骨折し、6週間以上コーディングができない状態に陥った。それでも彼らは諦めず、2025年7月にはDevelop:Brighton 2025でIndie Showcase Awardを受賞。そして2026年1月19日、ついに早期アクセス版をリリースした。

    開発ツールはGodot EngineとAseprite。すべてのピクセルアートは手作業でドット打ちされており、Apple IIを思わせるレトロな質感と、丁寧に描き込まれたキャラクターアニメーションが魅力だ。モンスターの目がハートになる演出や、各モンスター固有の「王女の死亡アニメーション」など、細部へのこだわりが随所に見られる。

    リラックスして楽しめる「戦わないデッキビルダー」

    開発者のJerzyは、本作のコンセプトについてこう語っている。「私たちは仕事の後にリラックスして遊べるゲームを作りたかった。だからターン制にして、じっくり考える時間を確保した。料理という要素は、軽いクラフト要素を加えつつ、モンスターを倒すだけではない何かを提供したかったから」

    実際、本作のゲームプレイは驚くほど快適だ。バトルは数分で完結し、テンポよく進行する。Steam Deckとの互換性も完璧で、移動中や寝る前のちょっとした時間に気軽に楽しめる。UIも直感的で、色だけでなくシンボルも併用されているため色覚特性を持つプレイヤーにも配慮されている。

    とはいえ、最初の数バイオームこそ優しいものの、徐々に難易度は上昇していく。フレーバーコンボの仕組み、各モンスターの嗜好、バフカードの効果、デッキ構築の最適化──これらすべてを理解しなければ先に進めない。だが、この絶妙な難易度バランスこそが、プレイヤーを「もう一回だけ」と何度もリトライさせる中毒性の源泉なのだ。

    英国・アイルランド民話への深い敬意

    本作のもう一つの魅力は、民話へのリスペクトだ。登場するモンスターは全て実在する伝承に基づいており、ゲーム内の「Book of Taliesin」では各クリーチャーの詳細な背景を読むことができる。Black Annis(子供をさらう魔女)、Jenny Greenteeth(沼に潜む水の精霊)、Grendel(ベオウルフの怪物)、Puca(いたずら好きの妖精)など、ケルト、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの伝説が丁寧に織り込まれている。

    料理もまた然り。登場する40種類以上のレシピは全て実在する伝統料理で、ゲームを通じて英国・アイルランドの食文化に触れることができる。開発者たちは「表面的な参考ではなく、民話と料理をゲームプレイの中核に組み込むこと」にこだわり、その結果、他のデッキビルダーにはない独自の世界観を構築することに成功した。

    早期アクセス版の現在、ストーリーはまだ完結していないが、開発チームは「1年以内の正式リリース」を目標に掲げている。ただし、「コミュニティのフィードバック次第では、もう少し時間をかけてでも完璧な1.0を目指す」とのことで、プレイヤーと共にゲームを作り上げていく姿勢を明確にしている。

    『ハングリー・ホラーズ』は、デッキビルダーというジャンルに新しい風を吹き込んだ作品だ。戦闘ではなく料理で、破壊ではなく満足で、相手を倒すのではなく満腹にする──このシンプルながら革新的なアイデアが、驚くほど深いゲームプレイと豊かなストーリーテリングと融合している。

    「モンスターを倒さずに餌付けする」という発想の転換。英国・アイルランド民話への深い愛情。2人の情熱が生んだ手作りのピクセルアート。そして、何よりプレイヤーを思いやる優しい設計思想──これらすべてが組み合わさったとき、『ハングリー・ホラーズ』は単なるゲームを超えた「体験」となる。

    あなたも、伝説の怪物たちに最高の料理でおもてなしをしてみてはいかがだろうか。ただし、料理が口に合わなければ、次の食事はあなた自身になることをお忘れなく。

    基本情報

    開発: Clumsy Bear Studio (Scott Fitzsimmons、Jerzy Pilch)
    販売: Clumsy Bear Studio
    リリース日: 2026年1月19日(早期アクセス)
    価格: 1,520円(通常価格)※発売から2週間は30%オフ
    プラットフォーム: PC (Windows, Mac, Linux), Steam Deck対応
    プレイ人数: 1人
    言語: 英語(日本語未対応)
    ジャンル: ローグライト、デッキビルダー、カードゲーム、ストラテジー、料理
    Steam評価: 圧倒的に好評 (98% – 168件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3048840/Hungry_Horrors/
    Steam Demo: https://store.steampowered.com/app/3530560/Hungry_Horrors_Demo/
    itch.io: https://clumsy-bear-studio.itch.io/hungry-horrors

    公式リンク

    公式サイト: https://hungryhorrorsgame.com/
    X (Twitter): https://x.com/clumsybeargames
    Discord: Clumsy Bear Studio Discord
    YouTube: @clumsybearstudio

  • ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    『Viractal(ヴィラクタル)』は、2025年9月のアーリーアクセス開始から約4ヶ月、プレイヤーの声を丁寧に拾い上げながら完成させた本作。ダイスロールとデッキ構築という一見相反する要素を見事に融合させた、まさに”奇跡のハイブリッド作品”だったのだ。

    Steamでの評価は非常に好評(89%)、レビュー数は200件を超え、プレイ時間2〜3時間という手頃さとリプレイ性の高さで多くのプレイヤーを虜にしている。『Dokapon Kingdom』を生み出したStingの新作ということで注目を集めていたが、実際にプレイしてみると、それは単なる”Dokaponの後継”ではなく、『Slay the Spire』的なデッキ構築と協力プレイの楽しさを掛け合わせた、全く新しいゲーム体験だった。

    ダイス運に翻弄されない! DPシステムこそがすべて!

    本作の最大の特徴は「ダイスロールで移動」という一見運任せなシステムを、「DP(ダイスポイント)システム」で戦略的な選択肢に昇華させた点だ。

    ダイスを振って出た目の分だけマップを移動する――これだけ聞くと完全に運ゲーに思えるが、ここが『Viractal』の素晴らしいところ。使わなかった移動ポイントは「DP」として蓄積され、イベントでの選択肢を増やしたり、戦闘で強力なバフをかけたりできるのだ。

    つまり、「6が出たけど1マスしか進みたくない」という状況でも、残りの5ポイントはDPとして保存され、後々の冒険で活きてくる。この仕組みのおかげで、ダイスの出目が悪くてもガッカリすることがない。むしろ「あえて移動せずにDPを溜める」という戦略すら成立するのだ。

    Steamのレビューでも「運要素があるのに運ゲーじゃない絶妙なバランス」と評されており、この設計の巧みさがプレイヤーから高く評価されている理由のひとつだろう。

    プロシージャル生成が生む、毎回違う冒険

    『Viractal』の舞台となる箱庭世界「ヴィラクタリア」は、プレイするたびにマップがランダム生成される。同じステージでも配置が変わるため、毎回異なる戦略が求められるのだ。

    正式版では全4つのステージが用意されており、それぞれ「ドラゴンの庭園」「雲と氷のスカイハーモニア」「溶岩と魔王城」、そして3つのステージを統合した最終章「旅の記憶」という構成になっている。各ステージは約2〜3時間でクリアできるため、仕事や学校で忙しい人でも気軽に1周できる絶妙な長さだ。

    特に「旅の記憶」ステージでは、パーティーメンバーが分かれて別々のクエストに挑み、最終的に3つのボスと連戦するという熱い展開が待っている。まるでTRPGのキャンペーンを体験しているかのような没入感があり、フレンドと協力プレイすれば興奮は倍増する。

    カードバトルは軽量級『Slay the Spire』!? でも奥深い!

    戦闘システムはカードバトル形式で、手札から選んだカードを使って敵を倒していく。『Slay the Spire』のようなヘビーなデッキ構築ゲームと比べるとシンプルだが、それゆえに戦略の幅が広い。

    カードは攻撃、防御、バフ・デバフ、特殊効果など多岐にわたり、冒険中に手に入れたカードをデッキに追加したり、不要なカードを削除したりできる。さらに、キャラクターごとに固有のスキルカードがあり、レベルアップ時に獲得できるアビリティと組み合わせることで、自分だけのビルドを構築できる。

    正式版で追加された新キャラ「ムギ(コボルト)」は、同じカードを連続使用することでボーナスダメージを得られる攻撃的なプレイスタイルが特徴。既存のキャラクターとは一線を画す戦い方ができるため、プレイの幅がさらに広がった。

    また、戦闘中にDPを消費することで強力なバフを発動できるため、「ここぞ」という場面でのリソース管理が勝敗を分ける。このシステムのおかげで、運だけでなくプレイヤーの判断力が試される戦略性の高いバトルが楽しめるのだ。

    協力プレイが生む”友情と裏切り”のドラマ

    『Viractal』は最大3人までのオンライン協力プレイに対応しており、ソロプレイとは全く異なる体験ができる。フレンドと一緒に冒険すれば、難敵も協力して倒せるし、アイテムを融通し合うこともできる。

    しかし、本作には「悪魔のささやき」という特殊なシステムが存在する。これは一部のイベントで発動し、仲間を裏切ることで自分だけが利益を得られるという……まさに友情破壊装置のような仕組みだ。ボイスチャットをしている場合、契約が成立すると声が変化するという演出まであり、プレイヤー同士の駆け引きが熱い。

    Steamのレビューでも「友達と遊んで3時間があっという間に過ぎた」「協力しているつもりが気づいたら騙されていた」といった声が多く、マルチプレイの評価は非常に高い。特に『Dokapon Kingdom』のような対戦要素ではなく、あくまで”協力”がベースになっている点が好評だ。

    アーリーアクセスから正式版へ――開発者の誠実な姿勢

    『Viractal』は2025年9月にアーリーアクセス版としてリリースされ、約4ヶ月間でプレイヤーからのフィードバックを丁寧に反映してきた。初期は「バグが多い」「バランスが悪い」といった厳しい意見もあったが、開発チームは定期的にアップデートを重ね、UIの改善、バトルバランスの調整、新コンテンツの追加を着実に進めてきた。

    特に2025年10月の「スカイハーモニア」アップデート、12月の「魔王城」アップデートでは新ステージと新キャラクターが追加され、プレイヤーからは「開発が本気で作り込んでいる」と高く評価された。そして2026年1月の正式版リリースでは、最終ステージ「旅の記憶」と新キャラ「ムギ」が実装され、ついに完成形となった。

    Steamのレビューを見ると、アーリーアクセス初期の低評価レビューと正式版後の高評価レビューで明確に温度差があり、開発チームの努力がしっかりと実を結んでいることがわかる。「最初は不満もあったが、今では自信を持っておすすめできる」という声も多く、誠実な開発姿勢が信頼を勝ち取った好例と言えるだろう。

    立体音響とボイスチャットが生む没入感

    本作のもうひとつの特徴が、ヤマハの仮想立体音響ソリューション「Sound xR Core」とCRI TeleXusを活用した音響システムだ。

    ヘッドフォンでプレイすると、川のせせらぎや風の音が立体的に聞こえ、戦闘シーンではキャラクターの位置に応じて音が変化する。まるでその場にいるかのような没入感があり、特にマルチプレイ時のボイスチャットでは「悪魔のささやき」イベントで声が変化する演出が非常に面白い。

    技術的な話になるが、CRI TeleXusはゲーム内ボイスチャットを簡単に実装できるミドルウェアで、『Viractal』ではこれを使って特殊な音声エフェクトを実現している。開発チームの技術力の高さが垣間見える部分だ。

    “万人向け”ではないが、ハマる人には刺さりまくる

    正直に言おう。『Viractal』は万人におすすめできる作品ではない。

    1プレイが2〜3時間と長めなこと、ダイスロールという運要素があること、協力プレイ前提のバランスになっている点など、人によっては合わない要素もある。実際、Steamのレビューでも「ソロプレイだとちょっと厳しい」「理不尽な展開が多い」といった意見も見られる。

    しかし、逆に言えば「2〜3時間でひとつの冒険を完結させたい」「運と戦略のバランスが絶妙なゲームが好き」「フレンドとワイワイ遊びたい」という人には最高にマッチする作品だ。特に『Dokapon Kingdom』や『Slay the Spire』、ボードゲームが好きな人なら、間違いなくハマるだろう。

    筆者も最初は「どうせすぐ飽きるだろう」と思っていたが、気づけば50時間以上プレイしていた。毎回違うマップ、毎回違うカード、毎回違う展開――この中毒性は他のゲームではなかなか味わえない。

    基本情報

    開発: Sting
    販売: Sting
    リリース日: 2026年1月25日(正式版)
    価格: 3,960円(税込)
    プラットフォーム: PC(Steam)
    プレイ人数: 1〜3人(オンライン協力プレイ、ローカル協力プレイ、LAN対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語
    ジャンル: ボードゲーム型RPG、デッキ構築、ローグライク、協力プレイ
    Steam評価: 非常に好評(89% – 200件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2909580/Viractal/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.sting.co.jp/
    X (Twitter): https://x.com/sting_pr
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.gg%2FxCPzGEtmbe

  • 7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    「デッキ構築型ローグライクの続編なんて、どうせ焼き直しでしょ?」しかし、2026年3月6日にSteamで早期アクセスが開始された『Slay the Spire 2』は違った。リリースからわずか24時間で同時接続プレイヤー数が約40万人を突破し、Steam売上ランキング1位を獲得。前作が2017年に記録した193人という初日同時接続数と比較すると、なんと92,982%増という驚異的な数字を叩き出している。

    開発はシアトルを拠点とするインディースタジオMega Crit。Anthony GiovannettiとCasey Yanoの2人が創業したこのスタジオは、前作『Slay the Spire』で「デッキ構築型ローグライク」というジャンルそのものを確立した伝説的な存在だ。続編の開発は慎重に進められ、2024年4月の発表から約2年を経ての早期アクセスリリースとなった。

    「同じ」ことこそが最大の誠実さ

    本作最大の特徴は、良い意味で「前作とほぼ同じ」であることだ。ユニークなデッキを構築し、奇怪な生物と遭遇し、強力なレリック(遺物)を発見しながらスパイアの頂上を目指す——この核となるゲームループは一切変わっていない。戦闘はターン制で、限られたエネルギーを使ってカードをプレイし、敵の行動パターンを読みながら立ち回る緊張感も健在だ。

    「7年も待たせてこれか?」という声も確かに存在する。Steam レビューには「前作の慎重すぎるコピー」「新鮮味がない」といった指摘も散見される。しかし、筆者はあえて言いたい。ローグライクにおける「同じ」とは、必ずしも悪ではない。むしろ、システムの根幹が揺るがないことは、続編としての「誠実さ」の表れなのだ。

    前作で完成されていたゲームデザインに無理な変革を加えず、プレイヤーが本当に求めていた「もっと遊びたい」という欲求に真正面から応えた——これこそが『Slay the Spire 2』の真価である。

    5体のキャラクター、500枚超のカード、275種類のレリック

    プレイアブルキャラクターは全5体。前作から続投するアイアンクラッド(筋肉ゴリラ系近接戦士)、サイレント(毒とドローに特化した暗殺者)、ディフェクト(電気とオーブを操るロボット)に加え、新キャラとしてリージェント(デバフと弱体化のスペシャリスト)とネクロバインダー(死霊術師)が登場する。

    注目すべきは、前作で人気を博したウォッチャーが今作には登場しないこと。これは早期アクセス段階での判断であり、開発チームは今後のアップデートで追加する可能性を示唆している。実際、Mega Critは「1~2年の早期アクセス期間中にコンテンツを追加・調整していく」と明言しており、ウォッチャーのファンは続報を待つことになる。

    カードは500枚以上、レリックは275種類以上と、組み合わせのバリエーションは膨大だ。前作プレイヤーなら懐かしいカードが多数登場する一方、新カードも約30~40%を占めており、「85%が前作と同じ」というレビューは正確ではない。むしろ、既存カードの効果が微調整されているケースが多く、前作の知識が完全に通用しないバランスになっている点が重要だ。

    エンチャント、年代記、そして卵から孵る相棒

    新要素として最も目を引くのが「エンチャント」システムだ。これは、選択したカードに特定の効果を付与する新機能で、ボス撃破後やイベントで獲得できる。たとえば「種まきエンチャント」をアタックカードに付与すれば、そのカードをプレイするたびに追加効果が発動する仕組みだ。

    「年代記(Timeline)」システムも新登場。これは、スパイアの歴史やNPCの背景ストーリーを断片的に解き明かしていくコレクション要素で、何度も挑戦するうちに世界観の全貌が見えてくる仕掛けになっている。前作ではほとんど語られなかった設定が、今作では「実際にコミュニティが形成されている」という描写に変わっており、ストーリー面での進化を感じさせる。

    そして個人的に最も気に入っているのが、「卵イベント」で孵化させられる相棒キャラクターだ。筆者の初回プレイでは、前作で敵として登場していたビャードという鳥型クリーチャーが味方として参戦。戦闘中に隣で「スウープ(急降下攻撃)」してくれるその姿に、思わず「このコのために死ねる」と感じた。相棒キャラは複数種類存在し、それぞれ異なる支援効果を持つため、どの卵を引けるかも運の要素となっている。

    4人協力プレイという革命

    『Slay the Spire 2』最大の新要素は、間違いなく「4人協力プレイ」だ。前作が完全ソロ専用だったのに対し、本作ではフレンドと最大4人でスパイアに挑戦できる。マルチプレイ専用カードやチームシナジーが用意されており、協力してルートを選択し、報酬を共有しながら進む体験は、ソロプレイとは全く異なる魅力を持つ。

    現時点ではマッチメイキング機能はなく、Steamフレンド招待でのみグループが組める仕様だ。ボイスチャット機能も実装されていないため、DiscordやSteamの通話機能を併用する必要がある。ただし、ピング機能(地点指示)やエモート機能は実装予定とのことで、コミュニケーション手段は今後拡充される見込みだ。

    「マルチプレイがこのゲームのハイライト」というレビューも多く、ソロでは味わえない戦略の深さと、フレンドを「沼に引きずり込む」楽しさが評価されている。実際、筆者も初日にフレンドと2人でプレイしたが、「あと1ターン」が「気づけば明け方」に変わる中毒性は健在だった。

    早期アクセスの現実:バグと未完成要素

    ただし、早期アクセス版であることを忘れてはいけない。リリース初日には、すべてのテキストが「W」の文字で埋め尽くされる通称「WWWWバグ」が発生し、一部言語では進行不能に陥った。マルチプレイ終了後にゲームがソフトロック(進行不能状態)する不具合も報告されており、Mega Critは即日ホットフィックスで対応したものの、完全には解消されていない。

    Steamアチーブメントは現時点で無効化されている。これは、今後追加されるコンテンツ量が確定していないためで、正式リリース時に実装予定だ。真のエンディングもまだ存在せず、現在プレイできるのは3つのアクト(章)までとなっている。

    Steam Deckでの動作は「Unknown(不明)」ステータスだが、ユーザーレビューでは「完璧に動作する」「バッテリー持ちも良好」という報告が多数上がっている。Godotエンジンを採用したことで、前作のUnityエンジンよりも軽量化されており、ネイティブLinux対応も実現している。

    「同じ」だからこそ、また沼に堕ちる

    バグや未完成要素を飲み込んでなお、プレイヤーを徹夜へと誘う「中毒性の原液」がここにはある。前作で400時間以上プレイし、全キャラクターで最高難度アセンション20をクリアした筆者ですら、「早くアンインストールしないと人生が終わる」と感じているのだ。

    Steam評価は「圧倒的に好評」(97%ポジティブ、レビュー数2万件超)を記録しており、初日からこれほど高評価を維持している早期アクセスタイトルは極めて珍しい。「前作と同じだけど、それが最高」「デッキ構築型ローグライクの決定版が帰ってきた」「鳥の相棒が可愛いから10/10」といったレビューが並ぶ。

    基本情報

    開発: Mega Crit Games
    販売: Mega Crit Games
    リリース日: 2026年3月5日
    価格: 2,800円
    プラットフォーム: PC(Steam)、macOS、Linux
    プレイ人数: 1~4人(協力プレイ対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、その他全22言語
    ジャンル: ローグライク、デッキ構築、カードゲーム、ターン制戦略
    Steam評価: 圧倒的に好評(97% – 20,534件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2868840/Slay_the_Spire_2/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.megacrit.com/
    X (Twitter): https://x.com/MegaCrit
    Discord: https://discord.gg/slaythespire
    Reddit: https://www.reddit.com/r/slaythespire/
    TikTok: https://www.tiktok.com/@megacritgames

  • 友情を破壊するエイリアン頭脳爆発カードゲーム『Bogos Binted?』──月面で繰り広げられる嘘と策略のパーティーゲーム

    友情を破壊するエイリアン頭脳爆発カードゲーム『Bogos Binted?』──月面で繰り広げられる嘘と策略のパーティーゲーム

    Steamを漁っていたら、またしても奇妙なタイトルに遭遇してしまった。その名も『Bogos Binted?』。何だこのタイトル……と思いながらストアページを開くと、そこには大きな目をしたエイリアンたちが月面のテーブルを囲み、カードゲームに興じている様子が映し出されていた。

    本作は、最大4人で遊べるオンラインマルチプレイヤーのパーティーゲームだ。プレイヤーは月面に降り立ったエイリアンとなり、4種類のユニークなテーブルゲームモードで勝利を目指す。そして最大の特徴は、負けると文字通り「頭が爆発する」という、なんともシュールな設定である。

    嘘つきエイリアンの月面カードバトル

    『Bogos Binted?』には現在4つのゲームモードが収録されている。基本となる「Zogblorp」モードでは、プレイヤーは数字カードと特殊カードからなるデッキを持ち、順番にカードを出して合計値を調整していく。目標数値を超えてしまうと、プレイヤーの頭部に接続されたコンプレッサーが作動し、頭が膨張。複数回の失敗で文字通り頭が爆発し、そのラウンドから脱落となる。

    「Zinky Zoogle」は嘘つきゲームの一種で、各ラウンドでテーブルに選ばれたカードと同じカードを伏せて出していく。ここでプレイヤーは嘘をついてもよい。疑われて嘘がバレれば頭が膨らむが、うまく嘘をつき通せば相手を出し抜ける。ブラフと心理戦が重要な、まさに友情破壊ゲームだ。

    「Beeble Meep」と「Vorp」もそれぞれ独自のルールを持ち、どのモードも一筋縄ではいかない。特に「Vorp」は、ランダムに選ばれた単語を知らない「VORP」役のプレイヤーを見つけ出すゲームで、議論と投票を通じて裏切り者を暴き出す、マフィアゲーム的な要素が楽しめる。

    奇妙な魅力とコミュニティの熱狂

    開発はインディースタジオのunderbadgerが担当。当初はゲームジャムのサイドプロジェクトとして始まった本作だが、2025年7月のアーリーアクセス開始から正式リリースまでの半年で10万本の販売を達成している。Steamでの評価は「非常に好評」(92%)で、プレイヤーからは「友達と遊ぶと最高に面白い」「笑いが止まらない」といったレビューが寄せられている。

    本作の大きな魅力は、そのシンプルながら奥深いゲーム性にある。ルール自体は簡単で誰でもすぐに理解できるが、プレイヤー同士の駆け引きや心理戦が加わることで、毎回異なる展開が生まれる。特殊カードを使ったトリッキーなプレイや、最後の最後で形勢が逆転する瞬間は、プレイヤーを興奮させる。

    一人称視点で描かれるエイリアンたちの表情やリアクションも秀逸だ。互いに睨み合い、身振り手振りで疑いをかけ、時には絶望の表情を浮かべる──このコミュニケーションの妙が、本作を単なるカードゲームから「体験」へと昇華させている。

    気軽に楽しめる価格設定と今後の展開

    現在、本作は642円(税込)で販売中だ。この価格帯で4つのゲームモードを楽しめ、しかもオンラインマルチプレイに対応しているのは非常にコストパフォーマンスが高い。開発チームは今後も新しいテーブルゲームモードやカスタマイズ要素の追加を予定しており、長く遊べる作品になりそうだ。

    週1回のアップデートも精力的に行われており、クイックモードの追加やバランス調整、バグ修正など、コミュニティの声に真摯に耳を傾ける姿勢が見られる。小規模な開発チームながら、プレイヤーとの距離が近いインディーゲームならではの良さが感じられる。


    『Bogos Binted?』は、友人と集まってワイワイ遊ぶのに最適なパーティーゲームだ。真面目なゲームに疲れたとき、気軽に笑いたいとき、あるいは友情を試したいとき(?)──そんな瞬間にぴったりの一本である。月面でエイリアンになって、頭を爆発させながらカードゲームに興じる。なんともシュールだが、それがこのゲームの最大の魅力なのだ。

    基本情報

    • タイトル: Bogos Binted?
    • 開発: underbadger
    • 販売: GameDev.ist, underbadger
    • プラットフォーム: PC(Steam)
    • リリース日: 2026年1月28日(アーリーアクセス: 2025年7月24日)
    • 価格:642円(税込)
    • プレイ人数: 1~4人(オンラインマルチプレイ対応)
    • 日本語対応: あり(12言語対応)
    • Steam評価: 非常に好評(92%、879件のレビュー)

    購入リンク

  • 薄暗いキャビンで運命のダイスを振れ!『Pirate’s Gambit』は恐怖とスリルが絶妙にブレンドされたローグライク・ダイスビルダー

    薄暗いキャビンで運命のダイスを振れ!『Pirate’s Gambit』は恐怖とスリルが絶妙にブレンドされたローグライク・ダイスビルダー

    ダイスの目が運命を左右する。そんなスリルを味わえる新作インディーゲームが登場した。2026年2月5日にSteamでリリースされた『Pirate’s Gambit』は、デッキ構築とヨット・ダイス・メカニクスを融合させた、これまでにないローグライク体験を提供してくれる作品だ。

    最初に本作をプレイしたとき、「また海賊ゲームか」と思っていた私の考えは、薄暗いキャビンでダイスを振った瞬間に一変した。これは単なる海賊アドベンチャーゲームではない。運命そのものとの駆け引きを楽しむ、独創的な恐怖体験なのだ。

    ダイスに支配されるのか、それともダイスを支配するのか

    本作の魅力は、なんといってもダイスとカードが織りなす絶妙なシナジーシステムにある。プレイヤーはキャプテン・キッドが残した不気味な賭けに足を踏み入れ、薄暗いキャビンでダイスを振りながらデッキを構築していく。

    ダイスの出目によってカードの効果が決まり、カードによってダイスの価値が変化する——この相互作用が生み出すコンボの可能性は無限大だ。Balatroのようなシナジーの快感と、『Inscryption』を彷彿とさせる不気味な雰囲気が見事に融合している。

    実際にプレイしてみると、「このダイスの目なら、あのカードと組み合わせて…」という思考が止まらなくなる。運任せかと思いきや、実は戦略性が非常に高い。ダイスという不確定要素を計算に入れながら最適解を探る過程は、まさに知的パズルそのものだった。

    「バラトロ以来の中毒性」Steam高評価の理由

    Steam上で94%の「非常に好評」を獲得している理由が、プレイして数時間で理解できた。ユーザーレビューでは「バラトロの代替として完璧」「目が疲れにくく、雰囲気が最高」「常に『もう一回だけ』と思わせる中毒性」といった声が多数寄せられている。

    特に印象的だったのは、マップ移動が独自のリソース管理パズルになっている点だ。ランダムに進むか、限られたツールを消費して確実なルートを選ぶか——この選択が戦略の幅を大きく広げている。

    プレイヤーの一人は「コンパスとニルヴァナカードのコンボで無双していたのに、ラスボスの呪いで戦略が破綻した時は本当に悔しかった」とコメント。このような予想外の展開が、プレイヤーを夢中にさせる要因の一つなのだろう。

    計算されたバランスと継続的なアップデート

    開発チームの丁寧な調整も本作の魅力だ。バージョン1.0.2では、深淵の契約カードの効果強化やリフォージカードのコイン獲得量増加など、プレイヤーフィードバックに基づいた改良が施されている。

    モーフダイスやカオスダイスの効果表示改善、カードスロット上限時の自動シュレッダー出現など、細かな配慮も光る。「公正な海風を」という開発チームからのメッセージからは、長期的なサポートへの意気込みが感じられた。

    難易度については「イージーすぎず、ハードすぎず」という絶妙なバランス。最初は戸惑うものの、システムを理解すれば着実に進歩を実感できる設計だ。実際、3桁の時間をプレイすることになりそうな予感がしている。

    ダークで不気味な海洋冒険

    ビジュアル面では、海賊テーマのメニュー、スタイリッシュなオープニングシーケンス、陰鬱な雰囲気が完璧にマッチしている。灼熱の火山から凍てつく荒野まで、多彩な環境を航海しながら、船に隠された長年の秘密を徐々に明かしていく展開は圧巻だ。

    チャレンジモード、実績システム、中断可能なセーブ機能など、現代的なローグライクに求められる要素もしっかりと搭載。プレイヤーが最後のイベント地点から再開できる親切設計は、忙しい現代人にも優しい。

    「果たして自分がダイスをコントロールしているのか、それともダイスのゲームの単なる駒なのか?」——本作が投げかけるこの問いは、プレイし続けるほどに深みを増していく。

    まとめ:2026年の隠れた傑作

    『Pirate’s Gambit』は、ダイスビルダーというニッチなジャンルに新たな可能性をもたらした作品だ。『Slay the Spire』や『Inscryption』といった名作の影響を受けながらも、独自のアイデンティティを確立している。

    現在Steamで15%オフの1,020円で販売中。2026年初頭の隠れた傑作として、強く推奨したい一作だ。


    基本情報

    • 開発者: Domestic Black Cat
    • パブリッシャー: Studio Amateur
    • プラットフォーム: PC (Windows/Mac)
    • リリース日: 2026年2月5日
    • 価格: 1,200円(現在15%オフで1,020円)
    • 日本語対応: あり
    • プレイ時間: 1プレイ約1-2時間
    • 難易度: 中程度(学習曲線あり)

    購入リンク

    公式リンク

  • もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    正直、最初は困惑した

    「RPGとカードゲームの融合」と聞いて、最初に頭に浮かんだのは「またSlay the Spireのようなローグライクか?」という疑問だった。だが、『Dawncaster | The RPG Cardventure』のSteamストアページを見て驚いた。1100枚を超える手作りカード、100以上のユニークなチャレンジ、そして何より「ストーリー主導のRPGとカードゲームの戦略性を融合」という開発者の野心的な試みが見えたからだ。

    これは本当にただのデッキ構築ゲームなのか?それとも新しいジャンルの誕生なのか?

    闇に堕ちた王国での冒険が始まる

    物語の舞台は、アエトスの王国。ここは光と闇の争いに巻き込まれた世界だ。伝説の英雄「ドーンブリンガー」が行方不明となり、希望を失った人々の前に立ちはだかるのは、復活を目論む悪魔の脅威。

    プレイヤーは高貴な騎士、止められない戦士、狡猾なローグなど、複数のクラスから一つを選んで冒険に挑む。これだけ聞けば典型的なダークファンタジーRPGだが、戦闘はすべてカードで行われる。最初は「なぜカード?」と思ったが、プレイしてみるとその理由がよくわかる。

    カードで紡ぐ物語がすべて!

    本作の最大の魅力は、カード一枚一枚に込められた戦略性だ。戦闘中、プレイヤーは手札のカードを駆使して敵と戦う。だが、ただカードを出すだけではない。進行に合わせてカードを「追加」「変更」「コピー」「アップグレード」「削除」できるのだ。

    例えば、序盤で役立った攻撃カードも、中盤以降は足手まといになることがある。そんな時は思い切って削除し、より強力なカードに入れ替える。この判断がゲームの行方を大きく左右する。

    初回プレイでは、手当たり次第にカードを取得していた筆者だが、これが大きな間違いだった。デッキが肥大化し、欲しいカードが手札に来ない状況が多発。敗北を重ねながら、「選択と集中」の重要性を痛感した。

    クラスごとの個性がハンパない

    各クラスの違いは想像以上に大きい。騎士は装甲と耐久力に特化し、正々堂々とした戦いを得意とする。一方、ローグは機動力と奇襲に長け、相手の隙を突く戦術が基本となる。

    特に印象的だったのは、同じ敵でもクラスによって全く異なるアプローチが必要になることだ。騎士なら正面突破で攻略できる敵も、ローグでは回避とトリックを駆使しなければならない。これにより、クラスを変えるだけで全く違うゲーム体験が味わえる。

    Steamでの評価も上々

    Steam上での評価は非常に好調で、66レビュー中83%が好評という数字を記録している。特に「リプレイ性が異常に高い」「各クラスに豊富な戦術がある」といった声が目立つ。価格も現在2,300円と、このボリュームを考えれば十分リーズナブルだ。

    元々モバイル向けに開発され、25万人のユーザーに愛されてきた本作が、ついにSteamに登場。PCプラットフォームでの最適化も施され、より快適にプレイできるようになっている。

    真のローグライクが待っている

    本作は「真のローグライク体験」を謳っており、実際にプレイ回数を重ねても飽きることがない。ランダムに生成される遭遇、選択によって変化するストーリー、そして膨大なカードの組み合わせ。これらすべてが合わさって、まさに無限のリプレイ性を実現している。

    さらに「サンフォージ」と呼ばれるハイペースなボスラッシュモード、ウィークリーチャレンジ、そして上級者向けの「インフェルナル・インベージョン」モードまで用意されており、やり込み要素も十分だ。

    基本情報

    ゲーム名: Dawncaster | The RPG Cardventure
    開発者: Wanderlost Interactive
    パブリッシャー: Wanderlost Interactive
    プラットフォーム: Steam(Windows、macOS、Linux)
    価格:2,300円※発売記念10%OFF実施中
    リリース日: 2026年2月6日
    言語: 日本語対応
    ジャンル: デッキ構築、ローグライク、RPG

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3966890/Dawncaster__The_RPG_Cardventure/

    公式リンク

    公式サイト: https://dawncaster.wanderlost.games/
    Discord: https://discord.com/invite/pfeMG9c

  • 見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    見た目はポーカー、中身はとんでもクリッカー!『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』で脳汁ドバドバな放置ライフが始まった

    タイトルを見た瞬間に困惑した……

    Steamのストアページでこのゲームを初めて目にしたとき、正直言って最初はスルーするつもりだった。『This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない』というタイトルからして「またよくあるポーカーゲームの亜種でしょ?」くらいに思っていたからだ。

    しかし、Steam評価91%という数字に思わず二度見。936件のレビューで89%が好評って何事? しかも700円という手頃な価格設定。気になってストアページをよく見てみると……あれ? これポーカーじゃなくて 放置系クリッカーゲーム じゃないか!

    ジェスターの魔の手にかかった男

    本作は、悪の道化師レスター・ザ・ジェスター(Lester the Jester)に捕まってしまった主人公が、10億コインを稼いで自由を勝ち取るという設定だ。最初は1枚のカードをひたすらめくることから始まり、ポーカーの役を作って小銭を稼いでいく。

    「なんだ、やっぱりポーカーじゃん」と思ったのも束の間、このゲームの本領はそこから発揮される。稼いだコインでカードの枚数を増やし、手札を複数同時に動かし、自動でカードをめくる機能をアンロックしていくうちに、気づけば完全に別次元のゲームと化していた。

    10億コイン という目標額を見て「無理だろ……」と思ったのに、プレイしていると本当に10億という数字が現実味を帯びてくるのが恐ろしい。最初は1回の役で2000〜5000コインしか手に入らないのに、アップグレードを重ねると一瞬で数万、数十万というコインが転がり込んでくる。

    探検隊が運んでくる異次元カード

    本作で最も中毒性が高いのが 「探索遠征」システム だ。稼いだお金を使って探検隊を派遣すると、5分ほどの遠征を経て宝箱を持ち帰ってくる。その中から出てくるカードが、もはやポーカーの常識を完全に無視した代物ばかりなのだ。

    スペードとダイヤの両方のスートを持つカード、2〜10のすべての数字として扱えるオールマイティカード、そしてその役が完成すると報酬が 12倍 になる超レアカードなど、まさに「異世界のカード」という表現がピッタリの性能を誇る。

    こういった特殊カードを手に入れると、それまでの戦略が一変する。普通のカードを破棄して強力なカードだけでデッキを構築したり、特定の役を狙い撃ちできるように調整したりと、まるで デッキ構築ゲーム のような楽しさが待っている。

    メアリー妖精との危険な取引

    10億コインを達成したとき「ついにクリアだ!」と思ったのも束の間、今度は メアリー・ザ・フェアリー という妖精が現れて、さらなる深淵へと誘ってくる。彼女との取引により、今度は ポーカーチップ という新通貨を使った別次元のアップグレードシステムが開放される。

    このポーカーチップを稼ぐためには、これまで築き上げた資産をすべて手放して「転生」しなければならない。いわゆる プレステージシステム だ。最初は「せっかく作り上げたのに……」と躊躇したが、転生後の成長速度の爆発力は凄まじい。

    クエストシステムによる自動収益、実績解除による大幅ボーナス、そして謎の装飾品たちが勝手にコインを生み出してくれる仕組みなど、もはや完全に 「数字を見て脳汁を出す装置」 と化していた。

    実はバラトロ系じゃない!?本格クリッカーゲーム

    Steam のタグには「Balatro-inspired」とあるが、実際にプレイしてみると本作の正体は Cookie Clicker系の正統派インクリメンタルゲーム だった。ポーカー要素はあくまでテーマであり、その実態は「数字をひたすら大きくしていく」という放置系ゲームの王道を行く作品だ。

    開発者のMashが一人で作り上げたこの作品は、シンプルながら非常に洗練されている。ドット絵で描かれたカードのアニメーション、派手なエフェクト、そして 「次に何が起こるかわからない」 というワクワク感が絶妙なバランスで配合されている。

    5〜10時間という短めのプレイ時間も絶妙だ。「もうちょっと続けたい」と思ったところで終わるからこそ、満足度の高いゲーム体験を提供してくれる。長すぎず、短すぎず、ちょうどいい。まさに 「ポテトチップスを一袋食べ切る感覚」 でクリアできる手軽さが魅力だ。

    「こんなのポーカーじゃない」からこそ面白い

    タイトル通り、これは確かに「ポーカーじゃない」。でもだからこそ面白いのだ。ポーカーのルールを知らなくても楽しめるし、知っていても既存の常識を覆される驚きがある。

    Steam レビューにも 「ポーカーを買ったのにポーカーがない。あるのはカオスだけ。ルールがわからない。ルールも私がわからない。助けて! 10/10点」 という秀逸なレビューがあるが、まさにこれがこのゲームの本質を表している。

    真面目にポーカーをプレイしたい人には向かないが、脳死で数字を眺めながら 「うぉおおお数字が大きくなってる!」 という原始的な喜びを味わいたい人には最高の体験を提供してくれる。

    700円という価格も魅力的だ。コーヒー一杯と同じ値段で、数時間から十数時間の濃密な 「数字中毒体験」 が手に入るのは破格と言えるだろう。

    基本情報

    タイトル: This Ain’t Even Poker, Ya Joker こんなのポーカーじゃない
    開発: Mash
    パブリッシャー: Oro Interactive, Drillhounds
    ジャンル: インクリメンタル・アイドルクリッカー
    プラットフォーム: Steam (PC)
    リリース日: 2025年12月11日
    プレイ時間: 5〜10時間
    価格: 700円
    Steam評価: 非常に好評 (91%, 936件のレビュー)
    日本語対応: あり

    購入リンク:

  • 3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    在宅ワークの休憩中、気づけば7時間もプレイしてしまったゲーム──それが『オートナイト団(Tiny Auto Knights)』だ。

    2025年11月7日にSteamで正式リリースされたばかりの本作は、ドイツの小規模開発チームMumpitz Gamesが手がけた、3×3のグリッド上で繰り広げられるPvPオートバトラー。Steam評価は87%と「非常に好評」を獲得しており、リリース直後から話題を集めている。

    デモ版の時点でSteam全世界デモランキングTop 25入りを果たし、ピーク同時接続227人を記録。正式版リリースと同時に35%オフの発売記念セールも実施されており、現在975円で購入できる。

    だが本作の魅力は価格だけではない。60体以上のユニークなヒーローを組み合わせ、予想外のシナジーを生み出す戦略性の深さ。そして「もう一回だけ」が止まらない中毒性の高さにある。

    60体のヒーローから30体を選ぶ。自分だけのデッキで挑む3×3の戦場

    本作の最大の特徴は、カスタムデッキシステムだ。プレイヤーは60体以上のヒーローから30体を選んでデッキを構築。バトル開始時にはそのデッキからランダムに3体が提示され、配置するかリロールするかを選択する。

    ヒーローは5つのレアリティに分かれており、序盤は低レアリティのヒーローが中心。バトルを重ねるごとに徐々にレアリティの高いヒーローが出現するようになる。同じヒーロー2体を合成すればレベルアップし、より強力なスキルが解放される仕組みだ。

    3×3のグリッド上での配置が戦況を大きく左右する。前列に配置すれば先制攻撃のチャンスが増えるが、敵の攻撃も受けやすい。後列に配置すれば安全だが、攻撃順が遅くなる。ヒーローの位置関係によってスキル発動順も変わるため、どこに誰を置くかが勝敗の分かれ目となる。

    バトルが始まれば後は自動進行。ヒーローたちは配置された位置に応じて攻撃し、スキルを発動していく。毒、氷結、出血、アーマーといったステータス効果が戦況を複雑にし、一見不利な状況からの大逆転も珍しくない。

    「召喚型」か「バフ集中型」か。メタを読んで戦略を変える楽しさ

    本作の戦略性の核となるのがシナジーの概念だ。特定のヒーローを組み合わせることで、予想外の相乗効果が生まれる。

    初心者プレイヤーに人気なのは「召喚ビルド」。召喚系ヒーローを複数配置し、大量のミニオンで敵を圧倒する戦法だ。序盤は強力だが、上級者になると召喚ユニットを無視して本体を狙う戦術が主流になる。

    一方、ランクマッチの上位勢に多いのが「バフ集中型ビルド」。1〜2体のヒーローに複数のバフを重ね掛けし、攻撃力200超え、HP200超えのモンスターを作り上げる。ウィザードやリザードガードといった特定のヒーローが強化されやすいとコミュニティで話題になっている。

    面白いのは、開発チームがこうしたメタの変化を積極的にアップデートで調整している点だ。リリース直後から複数のバランス調整パッチが配信され、特定のヒーローが強すぎる状態や、逆に弱すぎる状態が修正されている。

    プレイヤーはメタの変化に対応しながらデッキを組み替え、新しいシナジーを模索する。「今週はこのビルドが強い」「次のパッチでこのヒーローが弱体化されそう」といった情報交換が、公式Discordやコミュニティで盛んに行われている。

    非同期PvPだから気軽。でも負ければめちゃくちゃ悔しい

    本作のPvPは非同期マルチプレイ方式を採用している。つまり、リアルタイムで他プレイヤーと対戦するのではなく、他プレイヤーが過去に組んだチーム編成と戦う形式だ。

    これにより、自分のペースでじっくり考えながらプレイできる。マッチング待ち時間もなく、サクサク進められるのが魅力だ。1ランあたり10〜15分程度で完結するため、ちょっとした空き時間にもプレイしやすい。

    だが油断は禁物。非同期とはいえ、対戦相手の編成は本物のプレイヤーが考え抜いたものだ。「あと1ターンあれば勝てたのに……!」「この配置ミスがなければ……!」と、負けたときの悔しさはリアルタイム対戦に劣らない。

    筆者が特に悔しかったのは、同じ対戦相手と3ターン連続でマッチングし、3連敗したとき。相手の編成は明らかに格上で、どう戦っても勝てる気がしない。「せめて別の相手と戦わせてくれ……!」と叫びたくなったが、それもまた運の要素だ。

    ただし、コミュニティからは「同じ対戦相手とは一度しか戦えないようにしてほしい」という要望も出ている。開発チームは積極的にフィードバックを受け入れているため、今後のアップデートで改善される可能性は高い。

    レリックとレベルアップ報酬で、毎回違う展開が楽しめる

    バトルに勝利すると「アンロックトークン」を獲得でき、これを使って新しいヒーローをデッキに追加できる。また、ヒーローがレベルアップするたびに選べるレベルアップ報酬も用意されている。

    さらに注目すべきはレリックシステムだ。ランダムに獲得できるレリックは、チーム全体にパッシブボーナスを付与する強力なアイテム。「全ヒーローの攻撃力+10%」「スキル発動時にHP回復」といった効果が、戦略に新たな幅を与える。

    レリックの組み合わせ次第で、同じデッキでも全く異なる戦い方ができる。「毒ダメージ強化」のレリックを引いた場合は毒ビルドに切り替え、「召喚ユニット強化」を引いた場合は召喚ビルドに特化する──といった臨機応変な戦略が求められる。

    このローグライク的なランダム性が、本作のリプレイ性を大幅に高めている。同じデッキで何度プレイしても、毎回違う展開が待っているのだ。

    ピクセルアートの可愛さと、小規模チームならではの愛情

    本作のビジュアルは、カラフルなピクセルアートで描かれている。騎士、魔法使い、ドラゴン、エルフ──ファンタジーの定番キャラクターたちが、ドット絵で可愛らしく表現されている。

    派手なエフェクトや3Dグラフィックとは無縁だが、だからこそ戦況が把握しやすい。誰がどのスキルを使ったのか、どのヒーローが毒状態なのか、一目で分かる。この視認性の高さは、戦略ゲームとして重要なポイントだ。

    開発元のMumpitz Gamesは、小規模なインディースタジオ。それでも、プレイヤーからのフィードバックに迅速に対応し、リリース直後から複数のアップデートを配信している。公式Discordでは開発者自らがコミュニティと交流し、次のアップデート内容についても積極的に情報を公開している。

    「愛情込めて作られた」という表現がぴったりの本作。AAAタイトルにはない、インディーゲームならではの温かさがある。

    「もう一回!」が止まらない。気づけば7時間

    本作の魅力を一言で表すなら、「もう一回」が止まらない中毒性だろう。

    負ければ「次こそは勝てる」と思い、勝てば「次はもっと高いスコアを目指そう」と思う。新しいヒーローをアンロックすれば「このヒーローを使ったデッキを試したい」と思い、強力なシナジーを発見すれば「この組み合わせで勝ちまくりたい」と思う。

    そうして気づけば、筆者は7時間もプレイしていた。寝る前に、休日に、そして…仕事の合間に──本作は常に「もう一回だけ」と呼びかけてくる。

    もちろん、本作にも改善点はある。現在はPvPモードのみで、ソロプレイヤー向けのAI対戦モードやシングルプレイコンテンツはない。また、ランクマッチでのメタ進行報酬が少ないため、「勝っても得られるものがない」と感じるプレイヤーもいる。

    だが、開発チームは今後のアップデートで新ヒーロー追加やバランス調整を予定しており、コミュニティの要望にも耳を傾けている。早期アクセスではなく正式リリースされた現時点で、すでに完成度の高いゲーム体験が提供されているのは間違いない。

    オートバトラーというジャンルに馴染みがない人も、戦略ゲーム好きも、カジュアルにPvPを楽しみたい人も──『オートナイト団』は、あらゆるプレイヤーに「もう一回」の中毒性を提供してくれる。

    今なら発売記念セールで35%オフ。この機会にぜひ、3×3のマス目で繰り広げられる熱い戦略バトルを体験してほしい。


    基本情報

    ゲーム名: オートナイト団(Tiny Auto Knights)
    開発: Mumpitz Games
    販売: Mumpitz Games
    リリース日: 2025年11月7日
    プラットフォーム: Steam
    価格: 通常1,500円(税込)※発売記念セール中は35%オフで975円
    プレイ人数: 1人(オンライン非同期PvP対応)
    対応言語: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語など全13言語
    Steam評価: 非常に好評(87%)
    推奨プレイ時間: 10分〜(1ランあたり)

    購入リンク:

    公式リンク:

  • たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    見た目で判断してごめんなさい……

    正直に告白しよう。Steamストアで『9 Kings』を初めて見たとき、筆者の第一印象は「……ドット絵? 3×3のマス? なんか地味じゃね?」だった。

    2025年5月にリリースされた本作は、Sad Socketが開発し、『Manor Lords』でお馴染みのHooded Horseがパブリッシングを担当する王国建設ローグライク。カードを引いて3×3のマスに配置し、押し寄せる敵軍と戦う……というシンプル極まりないゲーム性だ。

    しかし、Steam評価は92%という驚異的な「非常に好評」。発売初週で25万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数は1万3000人を突破。デモ版の段階から海外インフルエンサーの間で話題沸騰し、正式リリース後も勢いが止まらない。

    「……そんなに面白いの?」

    半信半疑でプレイボタンを押した筆者は、気づけば6時間ぶっ通しでプレイしていた。そして今こうして記事を書いている最中も、「もう1ゲームだけ……」という悪魔の囁きが聞こえてくる。

    これは、ヤバいゲームだ。

    カードを置くだけなのに、なぜこんなに面白いのか

    ゲームのルールは驚くほどシンプルだ。プレイヤーは9人の王の中から1人を選び、その王固有の9枚のカードデッキを使って王国を発展させる。

    毎ターン手札からカードを1枚選び、3×3のマス目に配置する。カードには「ユニット」「建物」「エンチャント(バフ効果)」の3種類があり、配置したカードは即座に効果を発揮する。

    ターンが終わると、敵の王が軍勢を率いて攻めてくる。ここからはオートバトル。プレイヤーは特殊技を発動するタイミングを選ぶ以外、ただ見守るしかない。自分が築いた王国が敵を蹂躙するか、それとも蹂躙されるか──その結果はすべて、これまでの選択の積み重ねで決まる。

    勝利すれば、倒した敵の王のデッキから1枚カードを獲得できる。負ければ、最初からやり直しだ。

    たったこれだけ。でも、この「たったこれだけ」が恐ろしいほど中毒性が高い。

    「無の王」から始まる、破滅への序章

    最初にプレイできるのは「無の王(King of Nothing)」だけだ。騎士、弓兵、防衛塔といったオーソドックスな中世ヨーロッパ風のユニットで構成された、まさに”普通”の王。

    「なんだ、普通じゃん」と思ってプレイを始めた筆者は、1回目のプレイであっさり全滅した。

    理由は簡単。「どこに何を置けばいいのか分からない」からだ。

    3×3という限られたスペースに、前衛、後衛、支援施設をどう配置するか。バフ効果を持つ建物はどのユニットの隣に置くべきか。城(本拠地)をどこに配置すれば守りやすいか──考えることは山ほどある。

    そして2回目。今度は慎重に配置を考え、なんとか5年目まで生き延びた。だが、強力な敵に押し切られて敗北。

    3回目。配置の基本が分かってきた。騎士を前列に、弓兵を後列に、城は一番後ろ。バフ効果を持つ建物は主力ユニットの隣に置く。この基本を守るだけで、10年目まで到達できた。

    そして4回目。ついに初クリアを達成した瞬間、筆者は気づいた。

    「あ、これ……止まらないやつだ」

    9人の王、9通りの狂気

    クリアするごとに新しい王が解放されていく。そして、それぞれの王はまったく別のゲームを遊んでいるかのように個性的だ。

    血の王(King of Blood)」は自軍のユニットを犠牲にすることで、悪魔や吸血鬼を強化する。序盤は弱いが、雪だるま式に強くなっていくビルドの快感がヤバい。

    強欲の王(King of Greed)」は金で傭兵を雇いまくる資本主義の権化。ガトリング塔で敵を薙ぎ払う爽快感は筆舌に尽くしがたい。

    進歩の王(King of Progress)」に至っては、もはやファンタジーを捨てている。機関銃、ガトリング塔、火炎放射器──中世ファンタジーの王国に突如現れる近代兵器の暴力に、敵も味方も困惑するしかない。

    筆者が最もハマったのは「自然の王(King of Nature)」だ。キノコ、樹木、毒といった自然の力を操り、じわじわと敵を弱らせていく戦い方が実に戦略的で面白い。

    そして何より、敵を倒すたびに相手のカードを1枚奪えるシステムが天才的だ。

    自然の王でプレイ中、強欲の王からガトリング塔を奪った瞬間、筆者の王国は「森と機械銃が共存する狂った王国」へと変貌した。この予測不能な展開こそが、『9 Kings』の最大の魅力だ。

    シンプルなのに、絶妙に難しい

    本作の難易度は絶妙だ。

    基本ルールは誰でも理解できるほどシンプル。だが、勝つためには配置の最適化、カードシナジーの理解、敵の特性把握が不可欠となる。

    特に難易度「King」以上になると、運任せでは絶対に勝てない。毎ターンの選択が勝敗を分ける、まさにチェスのような戦略性が求められる。

    だが、何度負けても「もう1回だけ……」と思わせる中毒性がある。それは、敗因が明確だからだ。

    「あそこで城を後ろに置いておけば……」 「バフ建物をもっと早く建てるべきだった……」 「あのカードを選ばなければ……」

    反省点が明確だから、次のプレイでは改善できる。そして改善すれば、確実に強くなる。この成長の実感が、プレイヤーを離さない。

    止まらない。本当に止まらない

    『9 Kings』の1プレイは約30分。だが、その30分が無限に続く

    「今回はいい感じだ。クリアできそう」 →クリア →「次は別の王を試してみるか」 →「あ、この組み合わせ強い!」 →「もう1回だけ……」

    気づけば朝。これが『9 Kings』の恐ろしさだ。

    ピクセルアートは確かにシンプルだ。3×3のマス目も、一見地味に見える。だが、そのシンプルさが完璧に計算されている

    複雑なグラフィックや派手な演出は不要。プレイヤーが集中すべきは、選択と戦略だけ。そして、その選択が生み出す無限の組み合わせこそが、本作の真髄だ。

    筆者は今、プレイ時間が60時間を超えた。それでもまだ、「試していないビルド」「挑戦していない難易度」が山ほどある。

    発売から数ヶ月経った今も、開発チームは定期的にアップデートを実施している。新しい王、新しいカード、新しいモード──まだまだ進化し続けるこのゲームは、本当に終わりが見えない

    もし、あなたが「ちょっとした暇つぶし」を探しているなら、このゲームには手を出すな。

    これは暇つぶしではなく、時間泥棒だ。

    だが、もしあなたが「シンプルなルールで奥深い戦略を楽しみたい」「何度でもリプレイしたくなる中毒性を求めている」なら──

    迷わずプレイボタンを押してほしい。

    そして筆者と同じ、抜け出せない沼へようこそ。


    基本情報

    タイトル: 9 Kings(9 キングス)
    開発: Sad Socket
    パブリッシャー: Hooded Horse, INSTINCT3
    プラットフォーム: Steam (PC), Mac
    リリース日: 2025年5月23日(早期アクセス)
    価格: 1,980円(通常価格)
    プレイ時間: 1プレイ約30分、エンドレスモードあり
    日本語対応: あり(30言語対応)
    Steam評価: 非常に好評(92%、14,000件以上のレビュー)

    購入リンク

    公式リンク

  • スロット×ファンタジーRPGの魔改造!『スロット&ダガー』で運と戦略の狭間に立つ緊張感がクセになる

    スロット×ファンタジーRPGの魔改造!『スロット&ダガー』で運と戦略の狭間に立つ緊張感がクセになる

    スロットマシンでモンスターと戦う…ふむふむ…

    Steamのストアページで『スロット&ダガー | Slots & Daggers』を初めて見たとき、筆者の頭には「面白そう!」よりも「スロットマシン? ファンタジーRPG? なぜこの組み合わせ?」という困惑の方が強かった。

    パッと見た感じはレトロな雰囲気のスロットマシンと、その画面に映し出されるゴブリンや悪魔といったモンスターたち。「スロットを回して敵を倒す」という説明を読んでも、正直ピンとこない。確かに『Balatro』や『CloverPit』といったスロット系ローグライクは最近人気だが、これらとはまた違う独自の魅力があるという。

    そんなストアページの謎を解明すべく、筆者は『スロット&ダガー』の世界へと足を踏み入れることにした。

    シンプルだけど奥が深い…これぞスロットの魔改造

    ゲーム性は一見シンプル。スロットマシンを回し、出た目に応じて攻撃・防御・魔法といったアクションを実行。敵の体力を削り切れば勝利、こちらの体力がゼロになれば敗北。ターン制バトルの基本を忠実に守りながら、スロットという運要素を組み込んだシステムだ。

    最初は剣、盾、コインの3つのシンボルから選択してスロットマシンを構築。剣は攻撃、盾は防御、コインはお金を稼ぐといった具合に、各シンボルには明確な役割がある。

    「なんだ簡単じゃん。スロット回して剣が出れば攻撃、盾が出れば防御。要するに運ゲーでしょ」と思い、最初のステージに挑んでみると……

    即死した。

    敵が強いのか、こちらが弱いのかはわからないが、とにかくあっという間に体力がゼロになる。最初のハンマーゴブリンでさえ、油断すれば2、3ターンで倒されてしまう。「え、これ本当に序盤?」と戸惑いながら再挑戦するも、結果は同じ。攻撃が足りず、防御も足りず、気づけば体力ゲージは真っ赤だ。

    ここで「あれ? これ運だけじゃ勝てなくね?」と完全に意識が切り替わった。

    運だけじゃない…目押しと戦略が勝利のカギ

    (自称)ローグライク好きな筆者がこんなに苦戦するとは。この絶妙な難易度を生み出しているのは、実は「目押し」システムだ。

    スロットのリールは自動では止まらない。プレイヤーが手動で1つずつ止める必要があり、タイミング次第で狙ったシンボルを引き寄せることができる。完全なランダムではなく、プレイヤーのスキルが介入できる余地が残されているのだ。

    さらに、同じシンボルが3つ揃うとクリティカルヒットが発動。攻撃力が3倍になったり、特殊効果が追加されたりと、戦況を一気に逆転させるチャンスが生まれる。この「狙える運ゲー」という絶妙なバランスが、本作の最大の魅力だ。

    が、目押しだけでは勝てない。重要なのはスロットマシンのカスタマイズだ。

    各バトルの合間には商人が登場し、ここで新しいシンボルを購入したり、既存のシンボルを強化したりできる。毒ダメージを与えるダガー、回復効果のあるポーション、魔法ダメージを与えるスペルブック……選択肢は多岐にわたる。

    しかし、ここで注意が必要なのは、シンボルを増やしすぎると狙ったシンボルが出にくくなるということ。攻撃シンボルばかり詰め込めば火力は上がるが、防御が疎かになり一撃で倒されてしまう。逆に防御シンボルを多く入れれば生存率は上がるが、敵を倒すのに時間がかかり、結局ジリ貧になる。

    この「どのシンボルを入れるか、どのシンボルを削るか」という選択が、デッキ構築型ローグライクのような戦略性を生み出している。筆者は試行錯誤の末、毒ダメージを与える小剣と、ライフスティール効果のある魔法を軸にしたビルドを構築。これが意外にハマり、じわじわと敵の体力を削りながら自分は回復するという、かなりえげつない戦法で勝利を重ねることができた。

    スキルチェックというミニゲーム要素も熱い

    さらに本作には「スキルチェック」というミニゲーム要素がある。特定のシンボル(大剣やメイスなど)が出ると、画面にメーターが表示され、プレイヤーはタイミングよくボタンを押してメーターを止める必要がある。成功すれば高ダメージ、失敗すればダメージが減少するという、アクション要素だ。

    このスキルチェックが意外と難しい。メーターの速度はランダムで、速いときは本当に一瞬で通過してしまう。「今だ!」と思ってボタンを押しても、微妙にズレて失敗することも多い。しかし、この緊張感がたまらない。スロットという運要素に、さらにプレイヤースキルを上乗せすることで、単なる運ゲーではない深みが生まれている。

    死んでも諦めない…永続強化で少しずつ強くなる快感

    そして本作はローグライクなので、当然ながら死ぬと最初からやり直しとなる。カスタマイズしたスロットマシンも、購入したシンボルも、すべてリセット。

    が、ここで重要なのが「チップ」という永続通貨だ。強敵を倒すとチップが手に入り、これを使って基礎能力を強化できる。体力の最大値を増やしたり、魔法ダメージをブーストしたり、コインのドロップ率を上げたり……地道だが確実に強くなっていく。

    最初は「こんなの無理ゲーじゃん!」と思っていた敵も、チップで強化を重ねるうちに「あれ、意外と楽に倒せるようになったな」と実感できる。この「少しずつ強くなる」という感覚が、ローグライク好きにはたまらない。

    トライ&エラーを繰り返していくと、「このビルドなら行けるかも」という手応えがつかめてくる。毒と回復の組み合わせ、大剣とスキルチェックに特化したビルド、防御を固めて長期戦に持ち込む戦法……プレイヤーごとに独自の戦略が生まれるのだ。

    そうなればもうこっちのもの。スロットを回すたびに「次は何が出るか」というドキドキ感と、「このビルドなら勝てる」という確信が混ざり合い、気づけば「もう一回だけ…」と何時間もプレイしてしまっていた。

    レトロなビジュアルと心地よいサウンドが最高

    本作の魅力は、ゲームプレイだけではない。レトロなピクセルアート調のビジュアルと、ヒップホップ調のドラムマシンサウンドが、独特の雰囲気を醸し出している。

    スロットマシンの画面に映し出されるモンスターたちは、どこかコミカルでありながらも不気味。ハンマーゴブリン、ガンスリンガー、巨大な蛾のモスガル……それぞれが個性的なデザインで、レトロながらも印象に残る。

    そして何より、スロットを回したときの「ジャラジャラ」という音、コインが落ちる「チャリン」という音、クリティカルヒットが決まったときの「ドーン!」という効果音。これらすべてが、プレイヤーの脳内に快感をもたらす。まさに「アーケードゲームの中毒性」を体現しているかのようだ。

    開発者のFriedemannは、前作『SUMMERHOUSE』で癒し系サンドボックスゲームを作った人物。その彼が今回は真逆のアプローチで、スロットマシンという中毒性の高いシステムを使ってゲームを作り上げたというのだから、その振り幅に驚かされる。

    唯一の欠点は…もっと遊びたくなること

    ただし、本作には1つだけ欠点がある。それは、ボリュームがやや少ないということだ。

    メインキャンペーンのプレイ時間は4〜8時間程度。ローグライクとしては決して短くはないが、一度クリアしてしまうと「もっと遊びたい!」という気持ちが強くなる。幸いにも「エッグアリーナ」という無限モードが用意されており、ここでハイスコアを競うことができるが、それでもまだ「新しいエリアや新しいボスが欲しい」という欲求は消えない。

    また、一部のシンボルや強化が強すぎて、特定のビルドに偏りがちという意見も見られる。リスピン(スロットを回し直す)系のシンボルを集めると、ほぼ負けることがないという状況になってしまうため、開発者も最近のアップデートでバランス調整を行っている。

    それでも、この価格(920円、現在は30%オフで644円)でこれだけの中毒性と戦略性を味わえるのであれば、文句のつけようがない。むしろ「こんなに楽しいゲームがこんなに安いのか!」と驚くレベルだ。

    運と戦略の狭間で揺れる、新感覚ローグライク

    『スロット&ダガー』は、スロットマシンという運要素と、デッキ構築という戦略要素を見事に融合させた、新感覚のローグライクだ。

    目押しによるプレイヤースキルの介入、スキルチェックによるアクション要素、永続強化による成長実感……すべてが絶妙なバランスで組み合わさり、「もう一回だけ」という中毒性を生み出している。

    ローグライク好きはもちろん、『Balatro』や『CloverPit』にハマった人、手軽に遊べる戦略ゲームを探している人には、ぜひともプレイしてほしい。

    スロットを回すたびに心臓が高鳴る。この感覚、クセになる。


    基本情報

    タイトル: スロット&ダガー | Slots & Daggers
    開発: Friedemann
    パブリッシャー: Future Friends Games
    配信日: 2025年10月24日
    定価: 920円(Steam)※現在30%オフで644円(11月8日まで)
    日本語: ○
    プレイ時間: 4〜8時間(メインキャンペーン)
    難易度: 中級者向け
    Steam評価: 非常に好評(94%)
    販売本数: 10万本突破(2025年11月時点)

    購入リンク

    公式リンク