『Master Lemon: The Quest for Iceland』は、多言語話者として生きた一人の青年への、開発者からの愛に満ちた手紙だ。しかしそれは決して過去だけを見つめる作品ではない。言語が持つ力、文化が織りなす多様性、そして人と人とのつながりが、ゲームを通じてプレイヤーの心に確かに刻まれていく。
ポーランド出身でドイツに移住したMarian Majewski氏――通称Ariano氏――が、たった一人で4年間開発を続けた本作。元々は『The Settlings』というタイトルで開発されていたが、2024年にARIANO Games GmbHを設立し、正式名称を『Craftlings』に変更してリリースに漕ぎつけた。
開発の道のりは決して平坦ではなかった。パブリッシング契約の解除、限られたリソース、そして何より「売上が開発コストをカバーできていない」という厳しい現実。それでもAriano氏は諦めず、2025年3月には新マップ「Shark of Wall Street」を追加する1.1アップデートを実施するなど、精力的にゲームの改善を続けている。
カナダの学生開発スタジオNeon Polygonsが手がける『Piece by Piece』は、レベルそのものがジグソーパズルのピースに分解されており、それをつなげたり外したりしながらゴールを目指す、まさにリテラルなパズル・プラットフォーマーだ。2026年3月13日にSteamでリリースされたこの作品は、発売から2週間足らずでSteam評価100%という驚異的な支持を獲得している。
そんな苦労の末に完成した本作だが、リリース直前に思わぬハプニングが起きる。なんと、まったく別のスタジオが開発した『Piece by Piece』(キツネが修理屋を営む、のんびり系シミュレーション)が、わずか2日違いで同時期にリリースされることになったのだ。
普通なら大混乱になりそうなこの状況だが、両開発チームはお互いに協力することを選択。Steam上で「Piece by Piece Double Bundle」として2作品をセット販売し、お互いのゲームをプロモートし合うという心温まる展開になった。Chase_P氏は「発売初日で開発費を回収できた」とRedditに投稿しており、このコラボレーションが両作品にとってプラスになったことがうかがえる。
本作のもう一つの魅力は、民話へのリスペクトだ。登場するモンスターは全て実在する伝承に基づいており、ゲーム内の「Book of Taliesin」では各クリーチャーの詳細な背景を読むことができる。Black Annis(子供をさらう魔女)、Jenny Greenteeth(沼に潜む水の精霊)、Grendel(ベオウルフの怪物)、Puca(いたずら好きの妖精)など、ケルト、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの伝説が丁寧に織り込まれている。
2026年1月19日にSteamでリリースされた本作は、開発者Zxima氏が手がける「やさしい終末(tender post-apocalypse)」シリーズの最新作。リリース直後からSteamで98%という圧倒的好評を獲得し、海外メディアからも「stupid little hamster(バカみたいに小さいハムスター)を大量破壊兵器として使うゲーム」と愛情を込めて紹介されている。
Zxima氏自身も本作について「小さくて可愛くて、めちゃくちゃ強いキャラクターで暴れられたら最高じゃない?」とコメントしており、そのコンセプトが見事に形になっている。ちなみに氏の前作『Catastrophe Restaurant』は、Google Play Indie Games Festival 2022でTop 3賞を受賞した実績もある。