
「メトロイドヴァニアって、もう出尽くしたんじゃないの?」
2021年に登場した『GRIME』の続編が2026年3月31日にリリースされると聞いても、「ああ、また一つメトロイドヴァニアが増えるのね」くらいの認識だったのだ。
しかし、実際にプレイしてみると……この認識は完全に覆された。
本作『GRIME II』は、ただのメトロイドヴァニアではない。敵を吸収し、その形を”モルド”として召喚するという独自のシステム、ソウルライク的な緊張感、そして芸術作品としか言いようのないシュールな世界観が三位一体となった、唯一無二の体験だった。
敵を吸収し、モルドとして召喚する!戦闘システムの奥深さ

本作の最大の特徴は、”吸収”と”モルド召喚”というメカニクスにある。
主人公は「フォームレス」と呼ばれる芸術模倣体。手の形をした触手(テンドリル)を放ち、敵を掴んで吸収することができる。吸収した敵は「モルド」として記録され、戦闘中に召喚して特殊攻撃やサポートに使えるのだ。
たとえば、ある敵を吸収すれば投擲攻撃に、別の敵を吸収すれば範囲スタン効果に、さらに別の敵を吸収すれば召喚獣として戦わせることもできる。敵の種類は豊富で、どのモルドを組み合わせるかによってプレイスタイルが大きく変わる。
戦闘はソウルライク寄りの慎重なアプローチが求められる。敵の攻撃は強力で、油断すればあっという間に体力を削られる。ここで重要になるのが「パリィ」と「グラスプ」だ。
パリィは従来型の防御アクションだが、本作にはさらに「グラスプ」という特殊カウンターが存在する。敵が隙を見せた瞬間に触手で掴み、大ダメージを与えつつ吸収のチャンスを得られる。このグラスプのタイミングを見極める瞬間が、本作の戦闘における最高の快感ポイントだ。

さらに、本作には「フォース」というスタミナに似たゲージがある。攻撃やダッシュで消費されるが、フォースが一定以上溜まっていると攻撃力がブーストされる。攻守のバランスを常に考えながら立ち回る必要があり、この緊張感がたまらない。
30種以上の武器、60種以上の防具、12種の能力が用意されており、ビルドの自由度も高い。近接特化、遠距離特化、モルド召喚メインなど、プレイヤーの数だけ戦い方が存在する。
芸術に取り憑かれた世界を探索する快感

本作の舞台は、芸術に取り憑かれた異形の世界だ。
前作『GRIME』が岩と石の世界だったのに対し、本作は「ペイント」を中心とした色彩豊かな世界観に一新されている。手の形をした石像が背景で蠢き、精子のような光が空中を漂い、主人公からは乳白色のペイントが爆発する。フロイト的なモチーフが随所に散りばめられ、グロテスクでありながら幼稚ではない、成熟した芸術表現が際立つ。
各エリアはビジュアル的に明確に区別されており、探索のたびに新しい驚きがある。「手の神殿」では無数の手のモチーフが、「ペイントの滝」エリアでは流れ落ちる絵の具が、「爪のエリア」では不気味な爪が世界を彩る。毒の沼地さえも、緑ではなく紫色で表現されるという徹底ぶりだ。
探索はメトロイドヴァニアの王道を踏襲しつつ、前作よりも大幅に改善されている。
ファストトラベルシステムは前作の「駅方式」から、各エリアに2つのシールを見つけることで解放される方式に変更。最初のシールでマップが明らかになり、2つ目でワープが可能になる。シールの位置は視覚的なヒントで示されるため、迷いにくくなっている。
隠し通路、能力ゲートエリア、壊せる壁、グラップルポイントなど、秘密の要素も豊富だ。探索することで強力な装備、ハント・ピグメント(染料アイテム)、フォースゲージ強化のオーブなどが手に入る。メインストーリーだけを追うこともできるが、隅々まで探索すればするほど、後半の戦いが楽になる仕組みだ。
プレイヤーの声を反映した続編

開発元のClover Biteは、イスラエルのハイファにあるTiltan School of Designの内部スタジオだ。チーム「Malignant」を中心に、6~9年の経験を持つ6人の開発者が本作を手掛けている。
興味深いのは、彼らが前作『GRIME』のプレイヤーフィードバックを徹底的に分析し、続編に反映させている点だ。
前作ではファストトラベルの不便さ、装備の見た目と性能の不一致、スタミナシステムの制約などが指摘されていた。本作ではこれらがすべて改善されている。
スタミナは完全に廃止され、代わりにフォースゲージが導入された。装備の見た目をカスタマイズできる「トランスモグリフィケーション」システムも搭載。アイテムはすべて永続的で有用なものに変更され、「難しいチャレンジの先に使えないアイテム」という事態も解消された。

さらに本作は、前作の約2倍のボス数、より広大なマップ、豊富なNPCとストーリーを誇る。プレイ時間は30時間以上にも及び、サイドコンテンツまで含めれば40時間を超える大ボリュームだ。
ストーリーも前作より深化している。芸術の本質、創造と消費の暴力性、検閲と表現の自由といったテーマが、NPCとの会話や環境デザインを通じて語られる。対話はスキップ可能で、せっかちなプレイヤーにも配慮されている。
イスラエル発、世界に挑むインディーゲーム
開発者のヤルデン・ヴァイスブロット氏は、「イスラエルのゲーマーが誇れるものを作りたかった」と語っている。
モバイルゲームが主流のイスラエルにおいて、家庭用ゲーム機向けのタイトルを作ること自体が挑戦だった。前作『GRIME』は2021年にリリースされ、IGNから9/10の高評価を獲得。Steamでは「非常に好評」(90%)を記録し、世界的な成功を収めた。

本作『GRIME II』は、その成功を受けて約5年の開発期間を経てリリースされた。前作のパブリッシャーAkupara Gamesとは別れ、今回はKwaleeとタッグを組んでいる。
Steam版では発売直後から「ほぼ好評」(78%)の評価を獲得。レビューの多くが「戦闘の深さ」「ビジュアルの美しさ」「探索の楽しさ」を称賛している。一方で、一部のバグやプラットフォームの問題も指摘されており、開発チームは迅速にパッチを配信して対応している。
基本情報
開発: Clover Bite / Team Malignant
販売: Kwalee
リリース日: 2026年3月31日
価格: 2,800円(定価)/ 2,380円(発売記念セール価格・15%オフ)
プラットフォーム: PC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|S
プレイ人数: 1人
言語: 英語、日本語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語
ジャンル: アクション、インディー、RPG
Steam評価: ほぼ好評(78% – 628件のレビュー)
購入リンク
Steam: https://store.steampowered.com/app/2529790/GRIME_II/
Xbox Store: https://www.xbox.com/en-US/games/store/grime-ii/9n1hcmvbcv3s
PlayStation Store: https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10017769
公式リンク
公式サイト: https://grimegame.com/
X (Twitter): https://x.com/Play_GRIME
Discord: https://discord.gg/grime
YouTube: https://www.youtube.com/@cloverbite
