カテゴリー: ホラー

  • 森の声が聞こえたら、もう助からない。『Tiny Bunny』が描く白黒の恐怖に慄然

    森の声が聞こえたら、もう助からない。『Tiny Bunny』が描く白黒の恐怖に慄然

    まさかここまで背筋が凍るとは……

    Steamでお気に入りのホラーゲームを漁っていた時、一枚の白黒のスクリーンショットが目に飛び込んできた。『Tiny Bunny』——可愛らしい名前とは裏腹に、そのビジュアルからは得も言われぬ不気味さが滲み出ている。96%という圧倒的な高評価に釣られてプレイしてみたところ、これが想像を遥かに超える恐怖体験だった。

    シベリアの雪深い村を舞台にしたこのホラービジュアルノベルは、子供の失踪事件と森に潜む謎の存在を描いた作品。Dmitry Mordas氏の原作小説をベースにSaikono氏が手がけた本作は、ただのホラーゲームではない。これは90年代ロシアの田舎町で起こる、現実と悪夢の境界が曖昧になっていく物語なのだ。

    1998年の雪景色が呼び覚ます童心の恐怖

    物語の舞台は1998年の冬、シベリアの森に囲まれた名もない村。6年生のアントン・ペトロフが家族と共に都市部から引っ越してきたことから悲劇が始まる。転校初日から彼を待ち受けていたのは、陰湿ないじめと不可解な村の慣習、そして何より——夜な夜な森から響いてくる「声」の存在だった。

    このゲームの白黒のグラフィックが実に秀逸だ。モノクロームの世界は、まるで古い写真や映画フィルムを見ているような感覚を与える。雪に覆われた村の風景、薄暗い校舎の廊下、そして不気味に枝を伸ばす森の木々——全てが絶妙なタッチで描かれ、プレイヤーを1990年代の東欧の片田舎へと引き込んでいく。

    特に印象的なのは、キャラクターの表情描写だ。アントンをいじめるクラスメイトたちの歪んだ顔、謎めいた微笑みを浮かべる大人たち、そして動物の仮面を被った謎の存在——これらが白黒の世界で織りなす恐怖は、カラーでは表現できない独特の不気味さを醸し出している。

    選択が分岐する5つのエピソードの恐怖

    『Tiny Bunny』は全5エピソードで構成され、プレイヤーの選択によって物語が大きく分岐していく。2025年12月5日に最終エピソードが配信完了し、ついに物語の全貌が明らかになった。総プレイ時間は約10時間だが、その密度の濃さは他の追随を許さない。

    各エピソードでプレイヤーは様々な選択を迫られる。クラスメイトとの関わり方、大人への対応、そして最も重要な——森からの誘いにどう応えるか。これらの選択は単なる分岐点ではなく、アントンの精神状態や周囲の人間関係を大きく左右し、最終的に20種類以上のエンディングへと導かれる。

    興味深いのは、どの選択が「正解」なのかが最後まで分からないことだ。一見すると良い選択に思えることが、後々悲劇を招くこともある。逆に、道徳的に問題があるような選択が、意外な救済をもたらすこともある。この曖昧さこそが、現実世界の複雑さを反映している。

    90年代ノスタルジアと現代に通じる普遍的恐怖

    このゲームが特筆すべきは、90年代ロシアの生活様式を丁寧に描写している点だ。カセットテープ、たまごっち、UAZ(ロシア製の車)など、当時を知る人なら思わず懐かしさを感じる小道具が随所に登場する。これらの描写は単なる時代考証ではなく、プレイヤーを物語の世界に没入させる重要な装置として機能している。

    しかし本作の恐怖は決してノスタルジアに依存したものではない。学校でのいじめ、家庭内の不和、大人たちの無理解——これらは時代や場所を問わず、多くの子供が直面する普遍的な問題だ。アントンが感じる孤独感や疎外感は、現代の読者にも深く響くものがある。

    森に潜む謎の存在「動物たち」も、単なる超常現象として描かれるのではなく、子供時代の恐怖や不安の象徴として機能している。彼らが提供する「永遠の子供時代」という誘惑は、現実逃避への欲求を表現しているのかもしれない。

    音響設計が織りなす恐怖の演出

    『Tiny Bunny』の音響設計は、視覚的な恐怖と同じかそれ以上に重要な役割を果たしている。Vladimir Bulaev氏を筆頭とする作曲陣が手がけたサウンドトラックは、不協和音と美しいメロディーを巧みに織り交ぜ、プレイヤーの心理状態を巧妙に操る。

    特に印象的なのは、森のシーンで使われる環境音だ。風の音、雪の降る音、そして時折聞こえる正体不明の声——これらが組み合わさることで、画面の向こうから本当に何かが現れそうな錯覚を覚える。ヘッドフォンでプレイすることを強く推奨したい。

    また、キャラクターのセリフには部分的に音声が付けられており、これが文字だけでは表現できない感情の機微を伝えている。特に恐怖や錯乱を表現するシーンでの音声演出は圧巻だ。

    賛否を呼んだ最終エピソード

    2025年12月に配信された最終第5エピソードは、ファンの間で大きな議論を呼んでいる。20種類以上のエンディングが用意されているものの、その中には「全ては夢だった」というオーソドックスなものから、主人公が動物に変身するというぶっ飛んだものまで様々だ。

    Steam レビューでは「最初の4エピソードは完璧だったのに、最後で台無しになった」という辛辣な意見も見受けられる一方で、「複数のエンディングがあることで、プレイヤー各自が自分なりの解釈を見つけられる」という好意的な評価もある。

    個人的には、この多様なエンディングは作品のテーマである「曖昧さ」を体現したものだと思う。現実において、全ての謎が明快に解決されることは稀だ。むしろ、複数の解釈が並存することこそが、この作品の持つリアリティなのではないだろうか。

    基本情報

    Tiny Bunny

    開発者: Saikono
    パブリッシャー: Serenity Forge
    プラットフォーム: Steam, macOS
    プレイ時間: 約10時間
    難易度: 中級者向け
    Steam評価: 圧倒的に好評 (96%)
    リリース日: 2025年12月5日
    カテゴリ: レビュー
    ゲームジャンル: ホラービジュアルノベル
    価格: 1,300円(Steam)(1月6日まで25%オフ)

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    公式リンク:

  • 8億の人口を0にするディストピア・クリッカー『Execute』。2000年代フラッシュゲームの悪夢が現代によみがえる

    8億の人口を0にするディストピア・クリッカー『Execute』。2000年代フラッシュゲームの悪夢が現代によみがえる

    なぜ……なぜこんなゲームを作ったんだ…??

    Steamで気になるゲームを物色していると、時々とんでもないタイトルに出くわすことがある。今回紹介する『Execute』もそんなゲームの一つだ。「世界人口を80億人から0人まで減らす」という設定を見た時、筆者は思わずストアページを二度見してしまった。

    ギロチンのアイコンと「Execute(処刑)」という直球すぎるタイトル。まるで2000年代初頭のNewgroundsやStickpageで見つけていたような、危険で不謹慎なフラッシュゲームが現代によみがえったかのような印象だ。

    しかも、これがインクリメンタル(数値成長)ゲームだというから二度びっくり。平和的な数値成長ゲームに慣れた身としては、「人口削減がテーマのクリッカーゲーム」という組み合わせの破壊力に完全にやられてしまった。

    古いコンピューターが告げる恐ろしい「提案」

    ゲームを開始すると、まず古めかしいコンピューターの画面が表示される。Windows 95を思い起こさせるようなレトロなUIで、どこか懐かしささえ覚えてしまう。

    そして画面上のプログラムが告げる内容がこれだ。「世界人口をコントロールすることができます。目標は一つ——80億人の人口を処刑によって0にすることです……これは現実じゃありませんよね?」

    最後の「現実じゃありませんよね?」という問いかけが妙にリアルで、プレイヤーに一抹の不安を与える。確かにこれは現実ではない。ただのゲーム。そう自分に言い聞かせながら、恐る恐るプレイを開始した。

    シンプルなのに妙に中毒性があるゲームプレイ

    ゲームの基本システムは極めてシンプル。最初はギロチンから始まり、クリックするたびに人々を「処刑」していく。処刑した人数に応じて資金が得られ、その資金でより効率的な「処刑装置」や自動化システムを購入していく。

    何とも言えない暗いユーモアがあるのは、処刑の進行に合わせて「鉱山に送る!」といった新しいオプションが解放されることだ。単純な処刑から産業化された「人口削減システム」へと発展していく様子は、まさにディストピア小説の世界そのもの。

    時間が経つと核兵器まで登場し、「核サプライチェーンの最適化」なんていう恐ろしい要素まで実装されている。プレイしているうちに、自分がとんでもないことをシミュレートしているという事実を忘れてしまいそうになる。

    2000年代フラッシュゲームの「あの感覚」が完璧に再現されている

    本作の最大の魅力は、なんといっても2000年代初頭のフラッシュゲーム特有の「危険な魅力」を現代技術で完璧に再現していることだ。当時、学校のコンピューター室でこっそり遊んでいたような、背徳感あふれるゲーム体験がそのまま蘇る。

    ドット絵で描かれたシンプルなグラフィック、効率化を求めずにはいられないゲームデザイン、そして何より「こんなゲーム作っちゃダメでしょ」という危険な魅力——これらすべてが絶妙なバランスで成り立っている。

    実際にプレイしていると、その中毒性の高さに驚かされる。「あと少しで次の装置がアンロックされる」「もう少し効率を上げたい」という思考に支配され、気がつけば1時間以上プレイし続けていた。数値が大きくなっていく快感は、テーマがテーマなだけに複雑な気持ちになるが……。

    現代のインクリメンタルゲームとしてもよくできている

    不謹慎なテーマに目を奪われがちだが、インクリメンタルゲームとしての完成度も高い。プレステージ(リセットして永続アップグレードを得る)システムや、段階的にアンロックされる新要素など、ジャンルの定石をしっかりと抑えている。

    特に「坑道」システムは面白く、処刑した人々を鉱山で働かせて資源を採掘し、それを使ってより大規模な「処刑インフラ」を構築していく。ゲーム内経済が複雑に絡み合い、プレイヤーは効率化の沼にどんどんハマっていく構造になっている。

    また、自動化システムも充実しており、最終的にはほとんど放置でも人口削減が進んでいく。この「放置要素」があることで、罪悪感を感じながらも続けてしまう絶妙な心理状態を作り出している。

    倫理的な問題はあるが、だからこそ印象に残る

    正直に言って、本作をプレイすることに倫理的な問題を感じる人は多いだろう。世界人口の削減をテーマにしたゲームなど、普通に考えればとんでもない代物だ。

    しかし、だからこそこのゲームは印象に残る。2000年代のインターネット文化を知る人なら、当時の「危険で自由だったネット空間」への郷愁を感じずにはいられないはずだ。現在では到底許されないようなコンテンツが、当たり前のように存在していた時代があったのだ。

    制作者のPeebly氏も、明らかに確信犯的にこのテーマを選んでいる。Steam版の価格は1,000円以下に設定されており、「気軽に悪いことをする」体験を提供することを意図しているのは明らかだ。

    まとめ:危険だからこそ体験する価値がある

    『Execute』は間違いなく問題作だ。万人にオススメできるゲームではないし、プレイする際は十分な覚悟が必要である。

    しかし、2000年代フラッシュゲーム文化への完璧なオマージュとして、そして現代のインクリメンタルゲームとしても、本作は非常に興味深い作品に仕上がっている。禁断の果実を味わいたい好事家なら、一度は体験してみる価値があるだろう。

    ただし、プレイ後は必ず現実世界に戻ってくることをお忘れなく。これはあくまでゲームの世界の話なのだから。

    基本情報

    Execute

    • 開発・販売: Peebly
    • リリース日: 2025年12月16日
    • プラットフォーム: Steam
    • 価格: 700円(40%オフセール時420円)
    • ジャンル: インクリメンタル・クリッカー
    • 言語: 日本語
    • プレイ時間: 5-10時間程度
    • 対象年齢: 成人向け推奨

    リンク情報

  • ビリヤード×ロシアンルーレット、まさかの組み合わせが生む極限の緊張感『Nine-Ball Roulette』。88%という驚異の高評価の理由とは?

    ビリヤード×ロシアンルーレット、まさかの組み合わせが生む極限の緊張感『Nine-Ball Roulette』。88%という驚異の高評価の理由とは?

    なんで銃を向けてるの???

    Steam で初めて『Nine-Ball Roulette』を見た瞬間、正直驚いた。ビリヤードゲームなのに、なぜかプレイヤーがリボルバーを頭に向けている画像が表示されている。「え、ビリヤードで負けたら本当に死ぬの?」という疑問が脳裏をよぎった。

    まさかビリヤードとロシアンルーレットを組み合わせるなんて、いったい誰が考えついたのだろうか。ストアページを眺めていると、「これまでで最もスリリングなビリヤードゲーム」「最後の一人になるまで排除し合う」という言葉が並んでいる。なにやら物騒な文字が躍っているが、Steam評価は 88% の非常に好評。これは一体どういうことなのか。

    そんな疑問を解消すべく、筆者は恐る恐る『Nine-Ball Roulette』の世界に足を踏み入れることにした。

    まずはビリヤードから理解しよう

    本作の基本は、正統派のナインボールだ。1番から9番までのボールを使い、必ず最小番号のボールから順番に当てていくルール。最終的に9番ボールをポケットに入れたプレイヤーが勝利となる。

    操作は意外にもシンプル。マウスでキューを構えて、力加減とスピンを調整してショット。物理演算もしっかりしており、ボールの動きは非常にリアルだ。「高左スピンに少しの右下回転」など、細かなテクニックも再現できる。初心者でも基本操作は覚えやすいが、上達の余地は十分にある。

    ゲームモードは4-ball、6-ball、9-ball の3種類を用意。4-ball は最もシンプルで、初心者はここからスタートする。慣れてきたら徐々に難易度を上げていけばいい。最大4人でのオンライン対戦が可能で、ボイスチャット機能も搭載している。

    しかし、ここからが本作の真骨頂だ。普通のビリヤードゲームなら、負けても「また次頑張ろう」で済む。ところが『Nine-Ball Roulette』では、ゲームに負けたプレイヤーは必ずロシアンルーレットをしなければならない。

    死のルーレット、その名も「運命の引き金」

    ゲームが決着した瞬間、勝利したプレイヤーの一つ前の打順のプレイヤーがロシアンルーレットの対象になる。リボルバーを頭に向けて、震える指で引き金を引くのだ。

    最初は発射される確率は低い。しかし、命拾いするたびに次回の発射確率が上昇していく。つまり、ゲームに負け続けるほど、死のリスクが高まっていくという恐ろしいシステムだ。そして一度でも実弾が発射されれば、そのプレイヤーはゲームから脱落。最後に生き残った1人だけが真の勝者となる。

    この仕組みが、ただのビリヤードゲームを極限の緊張感あふれる体験に変えている。普通なら「まあ、負けてもいいか」と思える局面でも、本作では文字通り命がかかっている。1ショット1ショットに、これまで感じたことのない重みを感じるのだ。

    プレッシャーが技術を上回る瞬間

    実際にプレイしてみると、このプレッシャーがいかに凄まじいかがよくわかる。普段なら確実に入れられるようなシンプルなショットでも、「これを外したらロシアンルーレット」と思った途端、手が震えてしまう。

    特に終盤、残り2人になったときの緊張感は尋常ではない。相手も同じプレッシャーを感じているはずなのに、なぜか自分だけが不利に思えてくる。キューを構えた瞬間、心臓の鼓動が聞こえてくる。まさにゲームタイトル通りの「心臓の鼓動を感じる」体験だ。

    面白いのは、この極限状態が逆に集中力を高めることもある点だ。「絶対に負けられない」という状況で、普段以上の精密なショットを決められることがある。そんな時の爽快感は、他のどんなゲームでも味わえない特別なものだ。

    『Liar’s Bar』の影響?心理戦要素への期待

    レビューを見ていると、多くのプレイヤーが『Liar’s Bar』との類似点を指摘している。同じくテーブルゲームにロシアンルーレットを組み合わせた作品で、心理的駆け引きが魅力の人気作だ。

    現在の『Nine-Ball Roulette』は純粋にビリヤードの技術勝負だが、プレイヤーからは「ブラフ要素があればもっと面白い」という声も聞かれる。実際、開発チームも今後のアップデートでさらなる心理戦要素の追加を検討している可能性がある。

    技術だけでなく、相手を惑わす心理戦も加われば、本作は完全に別次元のゲーム体験を提供できるかもしれない。

    早期アクセスながら完成度は十分

    現在本作は早期アクセス版として配信中。正式リリースまでは6~12か月を予定しており、その間にゲームモードの追加、キャラクターカスタマイズ機能、トーナメント・ランキングシステムなどが実装予定だ。

    価格は 470円と非常に手頃。この価格でこれだけユニークな体験ができるのは、正直驚きだ。Steam評価が 88% の非常に好評を維持しているのも納得できる。

    ただし、現在はゲーム終了時にのみロシアンルーレットが発生するため、「4-ballモードでも10-15分待つことがある」という意見も見られる。今後のアップデートで、より頻繁にスリルを味わえるオプションが追加されることを期待したい。

    仲間を集めて、命をかけた勝負を

    『Nine-Ball Roulette』は、ただのビリヤードゲームではない。技術、運、そして極限の心理的プレッシャーが組み合わさった、他に類を見ない体験を提供している。

    友達3人を集めて、誰が最後まで生き残れるかを競ってみてほしい。きっと、これまで体験したことのないスリルと興奮を味わえるはずだ。ただし、友情にヒビが入る可能性も覚悟の上で……。

    基本情報

    Nine-Ball Roulette

    • 開発・販売: WaveBox Labs
    • プラットフォーム: PC (Steam)
    • 価格: 470円
    • プレイ人数: 1-4人(オンライン協力プレイ対応)
    • リリース日: 2025年12月5日
    • 対応言語: 日本語含む多言語対応
    • Steam評価: 88%(非常に好評)

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  • 13年の歳月を経て遂にお出まし!月面基地の悪夢を描く『ROUTINE』。レトロ未来の恐怖が蘇る

    13年の歳月を経て遂にお出まし!月面基地の悪夢を描く『ROUTINE』。レトロ未来の恐怖が蘇る

    2012年に初めて発表されてから実に13年。その間に何度も開発が中断・再開を繰り返し、いつしか「幻のゲーム」として語られるようになった『ROUTINE』が、ついに2025年12月4日にリリースされた。Steamでの評価は「圧倒的に好評」(93%)と高く、まさに待ちに待った宇宙ホラーの傑作だ。

    月面基地という舞台設定を聞いた時は正直「またいつものエイリアン系ホラーでしょ?」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、そんな軽い気持ちは開始10分で木端微塵に吹き飛ばされた。これは単なるホラーゲームではない。1980年代のレトロフューチャリズムが創り出す、唯一無二の恐怖体験だった。

    なんだこのCATツールは!操作するたびに没入感が高まる

    本作最大の特徴は、主人公が持つ「C.A.T.(Cosmonaut Assistance Tool)」という万能ツールだ。一見するとバーコードスキャナーのような見た目だが、このツールこそが本作の没入感を決定づける要素になっている。

    従来のホラーゲームなら「Eキーで開ける」で済むドアも、本作では実際にC.A.T.のボタンを押し、モジュールを差し込み、手動でスキャンする必要がある。最初は「なんて面倒な」と思ったが、この一手間が恐怖を倍増させるのだ。

    敵に追われている最中に、震える手でC.A.T.の小さなボタンを正確にクリックしなければならない緊張感。バッテリー残量を気にしながらセキュリティシステムにアクセスする焦燥感。この触覚的なゲームプレイが、プレイヤーを確実に月面基地の住人にしていく。

    80年代の月面基地がこんなに恐ろしいなんて

    舞台となる月面基地「ユニオン・プラザ」は、1980年代に描かれた未来そのものだ。CRTモニターが並ぶ制御室、アナログメーターが並ぶ機械室、木製のテーブルが置かれた居住区域。このレトロフューチャー感が、なんとも言えない不安感を醸し出している。

    特に印象的なのは音響設計だ。古いダイヤルアップモデムを思わせる電子音、蛍光灯のハム音、そしてパトロール中の敵ロボットが発する機械的な駆動音。これらの音が重なり合い、まるで1970年代のSF映画の中にいるような錯覚を覚える。開発初期にMick Gordonが関わっていたというのも納得の、完璧なサウンドスケープだ。

    敵ロボットとの鬼ごっこが異常に怖い

    本作の敵は主に暴走した警備ロボットだが、これらとの遭遇が異様に恐ろしい。なぜなら、基本的に「逃げる」ことしかできないからだ。C.A.T.ツールで一時的にショートさせることは可能だが、根本的な解決にはならない。

    プレイ中、通路の奥から聞こえてくる金属的な足音に何度心臓が止まりそうになったことか。ロボットのサーチライトが壁に映る影を見ただけで、条件反射的に最寄りの物陰に隠れてしまう。これが約7時間続くのだから、精神的な疲労は相当なものだ。

    しかし、この恐怖の中にも絶妙なバランス感覚がある。常に追われ続けるわけではなく、謎解きやストーリー理解のための「息継ぎ時間」が適度に用意されている。この緩急のつけ方が、プレイヤーを最後まで飽きさせない秘訣だろう。

    謎解きの質の高さに感動

    本作の謎解きは、よくあるゲーム的な論理ではなく、実際にその場にいたらどうするかという「常識」に基づいている。例えば、自分のIDバッジを探すクエストでは、実際に自分の胸元を見下ろせば済む。コンピューターが故障していれば、一度電源を切って入れ直せば直る。

    この現実的なアプローチが、ゲーム世界への没入感を大きく高めている。複雑すぎる謎解きでプレイの流れが止まることもなく、かといって単純すぎて退屈することもない。絶妙なバランスだ。

    Steam Deckでの宇宙恐怖体験

    本作はSteam Deck検証済みで、ハンドヘルドでの恐怖体験も格別だ。小さな画面に集中することで、より一層の没入感を得られる。深夜に布団の中でプレイすれば、まさに宇宙の孤独感を体験できるだろう。

    ただし、音響設計が重要な本作では、可能な限り良いヘッドフォンの使用を推奨したい。敵の接近を知らせる微細な音の変化や、機械の異音など、細かな音の情報がゲームプレイの鍵となるからだ。

    物語の後半に待つ衝撃

    詳細はネタバレになるため控えるが、物語の後半では予想外の展開が待っている。単純な企業陰謀論から、より根源的で哲学的なテーマへとシフトしていく構成は、好みが分かれるところかもしれない。

    ただし、この唐突な変化も含めて『ROUTINE』という作品なのだろう。13年という長い開発期間で培われた独特の世界観が、最後まで一貫して表現されている。

    基本情報

    タイトル: ROUTINE
    開発: Lunar Software
    販売: Raw Fury
    配信日: 2025年12月4日
    プラットフォーム: Steam、Xbox Series X/S、Xbox One、Xbox Game Pass
    価格: 2,800円(Steam セール中10%オフ2,520円)
    プレイ時間: 7-10時間
    日本語対応: あり(字幕・インターフェース)
    Steam評価: 圧倒的に好評(93%)

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  • 学園で悪魔退治は想像以上にハード!『Demonschool』は移動=攻撃の革新的タクティクスRPG。ペルソナ×女神転生な90年代ノスタルジーに浸れ

    学園で悪魔退治は想像以上にハード!『Demonschool』は移動=攻撃の革新的タクティクスRPG。ペルソナ×女神転生な90年代ノスタルジーに浸れ

    ペルソナ風のゲームって聞いてたのに……全然違うじゃん!

    Steam Next Festで配信されたデモ版が話題を呼び、当初の発売予定から延期を経て2025年11月19日にようやくリリースされた『Demonschool』。見下ろし型のアイソメトリック視点、大学を舞台にした学園生活、悪魔との戦い……確かにこれらの要素だけ見れば「現代版ペルソナ」という触れ込みも納得できる。

    が、実際にプレイしてみると印象は大きく変わった。本作は確かにペルソナやShin Megami Tenseiシリーズからインスピレーションを受けているが、その戦闘システムは全く別物。むしろ「移動=攻撃」という革新的なシステムを採用したタクティクスRPGであり、パズルゲームとしての側面すら持ち合わせている。

    「ペルソナっぽいゲームかぁ」なんて軽い気持ちで始めた筆者は、独特すぎる戦闘システムに最初こそ戸惑ったものの……気が付けば55時間もプレイしてしまっていた。

    移動するだけで攻撃!? 常識を覆す戦闘システムの衝撃

    本作の最大の特徴は、なんといっても「移動=攻撃」という斬新な戦闘システムだ。

    通常のタクティクスRPGでは、移動→攻撃という2つのアクションを順番に行うのが一般的。しかし『Demonschool』では、キャラクターをグリッド上で移動させると、その移動先に敵がいれば自動的に攻撃が発動する。つまり「移動すること」それ自体が攻撃手段になっているのだ。

    最初は「え? これだけ?」と思った。確かに操作は極めてシンプル。マス目を選んでクリックするだけで移動と攻撃が同時に完了する。だが、実際にプレイしてみると……これが想像以上に奥深い。

    本作の戦闘は「計画フェーズ」と「アクションフェーズ」の2段階に分かれている。計画フェーズでは、8つのアクションポイント(AP)を使って最大4人のパーティメンバーの行動を自由に設定できる。重要なのは、同じキャラクターを連続で動かすほどAPの消費量が増えていく点だ。

    1回目の行動は1AP、2回目は2AP、3回目は3AP……という具合に、どんどんコストが上がっていく。つまり、特定のキャラクターだけを使い続けるのは非効率。全員をバランスよく動かして、8APを最大限に活用する必要がある。

    さらに面白いのが、計画フェーズ中は何度でも行動を巻き戻せる点だ。「あ、この動きだと囲まれちゃうな」と思ったら即座にやり直し、別の戦略を試せる。この試行錯誤の過程が、まるでパズルを解いているような感覚を生み出している。

    最適な動きを見つけ出し、アクションフェーズで一気に実行する瞬間の爽快感たるや……! 計画通りに敵を次々となぎ倒していく様は、まるで自分が天才軍師になったかのような全能感に浸れる。

    個性豊かすぎるキャラクターたちの連携が鍵

    主人公のフェイは、デーモンハンターの末裔として謎の島・ヘムスクにある大学に入学する。そこで出会うのは、個性的すぎる15人の仲間たち。

    各キャラクターは固有の攻撃パターンを持っている。フェイは敵をノックバックさせ、ナマコは敵を自分の背後に移動させながらデバフを付与する。この特性を活かして、敵を一列に並べてから一気に倒す……なんてコンボが決まったときの気持ちよさは格別だ。

    戦闘では最大4人のパーティを編成できるが、誰を選ぶかで戦略が大きく変わる。近接攻撃に特化したキャラ、遠距離から支援できるキャラ、状態異常を撒き散らすキャラ……組み合わせは無限大。筆者は試行錯誤の末、ナマコとデスティンの連携プレイに落ち着いたが、人によってベストな組み合わせは全然違うはずだ。

    ちなみに、本作には従来のRPGのような「ステータス強化」の概念がほぼ存在しない。全キャラクターのHPは驚くほど低く設定されており、レベルアップによる能力上昇も控えめ。勝利の鍵は「正しい配置」と「適切なスキルの選択」に尽きる。

    この思い切った簡略化により、本作は「誰でも気軽に始められるタクティクスRPG」として完成している。ステータスの数値を細かく気にする必要がなく、純粋に戦術を練ることに集中できるのは素晴らしい設計だ。

    学園生活は思ったよりカジュアル

    ペルソナシリーズといえば、時間管理とスケジュール調整が重要な要素だが、『Demonschool』は大きく異なるアプローチを取っている。

    本作では、メインストーリーを進めると自動的に時間が経過し、朝・昼・夜とフェーズが切り替わる。プレイヤーは島のさまざまな場所を自由に探索でき、NPCとの会話やサイドクエストをこなすことで仲間との親密度を上げられる。

    ただし、ペルソナのような「限られた時間でどう過ごすか」という緊張感はほぼない。好きなタイミングで好きな場所に行けるし、特定のイベントを見逃したからといって取り返しがつかなくなることもない。この点は賛否が分かれるところだろう。

    個人的には、この緩さが逆に心地よかった。戦闘での緊張感が高い分、探索パートではリラックスして島を散策できる。住民との会話からは島の謎が少しずつ明かされ、記憶喪失の住人や不可解な現象の正体が気になって仕方なくなる。

    ちなみに、本作では最大5人のキャラクターとロマンス関係になれる。筆者は4人の女性キャラと同時進行したが……誰も怒らなかった。むしろ全員が筆者(フェイ)に優しかった。これが大学生活……?

    90年代風ビジュアルが醸し出す独特の雰囲気

    『Demonschool』の見た目も独特だ。2Dスプライトと3D環境を組み合わせたビジュアルは、どこかセガサターン時代のゲームを彷彿とさせる。

    特に戦闘シーンでの演出は圧巻。世界がグニャリと歪み、日常空間から戦闘フィールドへと切り替わる瞬間のビジュアルは何度見ても飽きない。敵のグロテスクなデザインも印象的で、頭蓋骨がパカッと割れて脳みそが飛び出すボスなんかは、レトロな表現だからこそ逆に生々しさを感じる。

    サウンドトラックも素晴らしい。ジャズからファンク、オーケストラまで多彩な楽曲が用意されており、戦闘中は曲がダイナミックに変化する。特に計画フェーズから行動フェーズに移る瞬間、BGMのテンポが一気に上がる演出が最高にアガる。

    Steam Deck OLEDでプレイしたが、この鮮やかな色彩はOLED画面で映えること間違いなし。11ワットという低消費電力で約5時間もバッテリーが持つため、寝っ転がりながらじっくり戦略を練るのに最適だった。

    タクティクスRPGの入口に

    技術的な問題やストーリーの粗はあるものの、『Demonschool』は間違いなく唯一無二のタクティクスRPGだ。

    「移動=攻撃」という革新的なシステムは、ジャンルに新風を吹き込んでいる。ペルソナやShin Megami Tenseiのファンが期待するような深い社会シミュレーション要素はないが、代わりに誰でも楽しめる戦術パズルとしての完成度を手に入れている。

    Steam評価94%(500件以上)、Metacritic 75点という評価は妥当だろう。万人受けするゲームではないが、刺さる人には徹底的に刺さる作品だ。

    特にタクティクスRPG初心者にこそオススメしたい。難解なステータス管理や複雑なスキルツリーに悩まされることなく、純粋に戦術を考える楽しさを味わえる。Steam Deckでも快適に遊べるため、通勤通学のお供にも最適だ。

    価格は3,520円(10%オフ期間中、3,168円)。プレイ時間は50~60時間が目安で、複数のエンディングを見るにはさらに時間が必要だ。コストパフォーマンスは申し分ない。

    90年代ノスタルジーと現代的なゲームデザインが融合した異色のタクティクスRPG『Demonschool』。ペルソナを期待して買うと肩透かしを喰らうが、オープンマインドで挑めば想像以上の体験が待っている。

    学園で悪魔退治、始めてみませんか?


    基本情報

    タイトル: Demonschool
    開発: Necrosoft Games
    パブリッシャー: Ysbryd Games
    プラットフォーム: Steam, PlayStation 4, PlayStation 5, Xbox One, Xbox Series X/S, Nintendo Switch
    リリース日: 2025年11月19日
    価格: 3,520円
    プレイ時間: 50〜60時間(メインストーリー)
    難易度: 初心者〜中級者向け
    Steam評価: 非常に好評 (94%)
    日本語対応: ○

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  • 恐怖の館になって訪問者を恐怖のどん底へ。デッキ構築ローグライク『Deck of Haunts』で味わう、加害者側のホラー体験

    恐怖の館になって訪問者を恐怖のどん底へ。デッキ構築ローグライク『Deck of Haunts』で味わう、加害者側のホラー体験

    ホラーゲームなのに……加害者側!?

    ホラーゲームといえば、プレイヤーは逃げる側、怯える側が定番だ。幽霊や怪物から必死に逃げ、隠れ、生き延びる……そんなドキドキハラハラの体験こそがホラーゲームの醍醐味だと思っていた。

    ところが、PC(Steam)向けゲーム『Deck of Haunts』は、その常識を真っ向から覆してくる。本作でプレイヤーが操るのは、なんと恐怖の館そのもの。侵入してくる人間たちを恐怖に陥れ、精神を追い詰め、魂のエキスを搾り取る……。完全に加害者側なのだ。

    最初にストアページを見たとき、「館になるってどういうこと?」「デッキ構築と館の建築が合体?」と、正直かなり困惑した。が、プレイしてみると、この発想の転換がとんでもなく面白い。被害者になって怯えるのではなく、加害者として恐怖を演出する――この逆転の構図が、『Deck of Haunts』を唯一無二のホラー体験へと昇華させているのだ。

    昼は建築、夜は恐怖――二段構えのゲームシステム

    ゲームの基本的な流れは非常にシンプル。昼間に館の間取りを設計し、夜になると侵入者が現れるので、カードを駆使して恐怖を与えていく。この昼夜のサイクルを28日間繰り返し、館の核となる「ハートルーム」を守り抜けばクリアだ。

    昼間のフェーズでは、タイル状のグリッドに部屋を配置して館を建築していく。ゲストルーム、リビング、キッチンといった基本的な部屋から、フォビアルーム(恐怖の部屋)、メカニカルルーム(機械仕掛けの部屋)、サクリファイスルーム(生贄の部屋)など、特殊な効果を持つ部屋まで用意されている。

    部屋の配置は自由度が高く、迷路のような複雑な構造を作り上げることも可能だ。ハートルームを守るため、侵入者を効率的に迷わせ、消耗させるレイアウトを考えるのが、このゲームの戦略の要となる。

    夜間のフェーズになると、館に人間たちが侵入してくる。彼らはそれぞれ体力と正気度のパラメータを持っており、プレイヤーはカードを使ってこれらを削っていく。悲鳴を上げさせる、床をきしませる、幽霊を召喚する、壁を動かす……手札のカードを駆使して、訪問者を精神的に追い詰めていくのだ。

    カードにはダメージカード、正気度を削るドレインカード、緊張感を高めるテンションカードなどがあり、それぞれ使用条件が設定されている。たとえば「部屋に一人きりの状態でないと使えない」といった制限があるため、単純にカードを出せばいいわけではない。部屋の配置と訪問者の動きを読み、タイミングを見計らってカードをプレイする――このパズル的な戦略性が、じわじわと病みつきになってくるのだ。

    死んでも学べるローグライクの妙味

    ゲームオーバーになっても、集めたカードや解放した部屋は次のランに引き継がれる。つまり、死ぬたびに戦略の選択肢が広がっていく、典型的なローグライクのメタプログレッションだ。

    最初のランでは、基本的なカードと部屋しか使えず、侵入者に圧倒されてあっさりハートルームを破壊されてしまうことも多い。が、ランを重ねるごとに強力なカードが手に入り、特殊な部屋も使えるようになっていくと、徐々に館の恐怖支配が板についてくる。

    特に面白いのが、侵入者の種類が増えていくことだ。最初は一般市民だけだが、悪名が高まると警察官、神父、そして謎の組織「ストーン・メイソン」まで現れる。彼らはそれぞれ特殊能力を持っており、たとえば「Pathfinder」というトレイトを持つ敵は、入口ではなくランダムな部屋からスタートする。

    これがまたやっかいで、下手をするとハートルームのすぐ隣に出現することもある。そんなときは「え、初手でこれ!?」と絶望するが、そういう理不尽さも含めてローグライクの魅力だ。対処できるカードがなければ潔く諦め、次のランで対策を練る――このトライ&エラーの繰り返しが、プレイヤーを成長させてくれる。

    Steam評価84%の高評価、だが課題も

    Steam上での評価は「非常に好評」で、708件のレビューのうち84%が好意的だ。特に「デッキ構築とタワーディフェンスの融合が斬新」「館の建築が楽しい」といった声が多く、独特なゲームデザインが高く評価されている。

    ただし、いくつかの課題も指摘されている。最も多いのが「反復性が高い」という点だ。28日間のランは毎回同じスタートカードと館レイアウトから始まるため、15日目あたりから既視感が強くなってくる。また、正気度を削る戦略よりも直接ダメージを与える方が効率的なため、戦略の幅が狭まりがちだという意見もある。

    加えて、部屋配置の自由度は高いものの、最初のグリッドが小さく、ハートルームの位置が固定されているため、創造性に限界があるとも言われている。とはいえ、開発元のMantis Gamesは継続的にアップデートを行っており、シナリオビルダー機能も実装予定とのことだ。Steam Workshopとの連携も計画されているため、コミュニティによる拡張に期待が高まる。

    1970年代アメリカのゴシックな雰囲気

    本作の舞台は1970年代のアメリカ。アールデコ調の不気味な館と、ゴシックホラーの美学が見事に融合した世界観が、プレイヤーを引き込む。

    グラフィックはアイソメトリック視点の2.5Dで、ドット絵ではないがスタイライズされた表現が特徴的だ。暗い色調とシネマティックな演出が、古典的なホラー映画を彷彿とさせる。

    BGMも秀逸で、不協和音を効かせた不穏な旋律が、館の邪悪さを際立たせている。侵入者が発狂するときの演出も凝っており、ホラーゲームとしての没入感は十分だ。

    プレイ時間は20~100時間以上! リプレイ性の高さ

    一度のランは28日間で、クリアまでの所要時間は約2~3時間程度。だが、複数のエンディングが用意されており、選択肢によって結末が変化するため、リプレイ性は高い。

    さらに、カードや部屋の組み合わせによって全く異なる戦略が取れるため、「今度は正気度特化で攻めてみるか」「特殊部屋を駆使した迷宮を作ろう」といった試行錯誤が楽しめる。筆者は現在30時間ほどプレイしているが、まだ全カードを解放しきれていない。100時間以上遊べるコンテンツ量があると言っても過言ではないだろう。

    難易度は初心者向け~上級者向けの3段階

    本作には3段階の難易度設定があり、初心者でも安心して楽しめる。イージーモードでは侵入者の体力が低く、ハートルームへのダメージも少ないため、じっくりとゲームシステムを学べる。

    逆にハードモードでは、初日から強力な敵が押し寄せ、一瞬の判断ミスが命取りとなる。ローグライク上級者やデッキ構築ゲームのベテランなら、ハードモードでの完全クリアを目指してほしい。

    基本情報

    タイトル: Deck of Haunts
    開発: Mantis Games
    パブリッシャー: DANGEN Entertainment, Game Source Entertainment
    プラットフォーム: PC(Steam)※コンソール版は2025年後半予定
    リリース日: 2025年5月7日
    価格: 2,300円(税込)
    プレイ時間: 20~100時間以上
    難易度: 初心者向け~上級者向け(3段階設定)
    Steam評価: 非常に好評(84%)
    日本語対応: あり

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  • 父から継いだ造船所で闇に立ち向かえ!『Sunken Engine』は船舶修理×ラヴクラフトホラーの異色作

    父から継いだ造船所で闇に立ち向かえ!『Sunken Engine』は船舶修理×ラヴクラフトホラーの異色作

    船の修理シミュレーション。それだけ聞けば、のどかで落ち着いたゲーム体験を想像するだろう。しかし本作、『Sunken Engine』は、そんな予想を良い意味で完全に裏切ってくれる作品だ。

    PC(Steam)向けに2025年10月16日から早期アクセスが開始された本作は、父親から継いだ造船所で船舶修理業を営みながら、ラヴクラフト作品のような不気味で超自然的な現象に立ち向かうという、一風変わったホラーシミュレーションゲームだ。

    ストアページを初めて見たとき、筆者の頭には「船の修理? ホラー? どういうこと?」という困惑があった。だが、実際にプレイしてみると、その独特な世界観と緊張感あふれるゲームプレイに完全に引き込まれてしまった。

    本作のSteam評価は87%という高評価(早期アクセス開始時)。プレイヤーレビューでは「クリエイティブで記憶に残るラヴクラフト体験」「進行の流れが素晴らしく、常に次の船を修理したくなる」といった声が寄せられている。

    日常業務に潜む闇

    ゲームの舞台は、父親の突然の死によってあなたが継いだ小さな造船所。訪れる船を修理して代金を受け取り、ビジネスを続けていく……というのが表向きの目的だ。

    しかし、この造船所がある島には何かがおかしい。修理を依頼してくる船には、単なる物理的な損傷だけでなく、暗い物語や不吉な秘密が隠されている。そして業務中、超自然的な現象に遭遇すると、プレイヤーの「正気度」が削られていくのだ。

    正気度システムこそが本作最大の特徴。精神状態が不安定になると、作業効率が落ちるだけでなく、闇の存在の注意を引いてしまう。船を修理しながら正気を保つ方法を見つけなければ、この島の真実にたどり着くことはできないだろう。

    最初は「船を修理するだけでしょ?」と高を括っていた。が、プレイしてみると、この造船所での生活は想像以上に緊張感に満ちていた。

    修理は一筋縄ではいかない

    本作の船舶修理は、ポイント・アンド・クリック形式を基本としたツールベースのインタラクションシステム。損傷した部分を見つけ、適切な工具を使って修理していく。

    一見シンプルに思えるが、各修理作業には独自のリズムがあり、慣れるまでは手間取ることも多い。さらに、修理中に奇妙な音が聞こえたり、視界の端に何かが見えたりと、常に不穏な雰囲気が漂っている。

    特に夜間になると、島の雰囲気は一変する。昼間は静かだった造船所も、夜になると得体の知れない存在が徘徊し始める。そんな中でも修理作業は続けなければならないのだ。

    収益源は修理だけじゃない

    造船所の経営が苦しくなったら、海から引き上げた貴重品を造船所裏の露店で販売することもできる。沈没船から回収した品々には、時に高値で売れるアイテムも含まれている。

    ただし、引き上げるものの中には、触れてはいけないものも混じっているかもしれない。何を売り、何を手元に置いておくべきか。その判断も、このゲームの重要な要素だ。

    修理代金と販売収益を使って、作業場の設備をアップグレードしたり、正気度を回復するためのアイテムを購入したりできる。リソース管理も本作の醍醐味の一つだ。

    早期アクセスの現状と今後の展開

    現在、本作は早期アクセス段階にあり、開発チームは頻繁にアップデートを実施している。プレイヤーからのフィードバックを基に、コントローラー対応の改善や、バグ修正、ゲームバランスの調整が継続的に行われている。

    早期アクセス期間は約6ヶ月を予定しているが、プレイヤーフィードバック次第で変動する可能性があるとのこと。

    じわじわと迫る恐怖を体験せよ

    『Sunken Engine』は、日常的な作業の中に恐怖を織り込んだ、独特なホラー体験を提供してくれる。派手なジャンプスケアではなく、じわじわと迫る不穏な雰囲気が本作の持ち味だ。

    筆者は最初、「船の修理なんて地味そう……」と思っていた。だが実際にプレイしてみると、次の船が来るのが待ち遠しくなり、そしてその船が持ち込む新たな謎に引き込まれていく。この中毒性こそが、本作最大の魅力だろう。

    ラヴクラフト作品のファンはもちろん、日常に潜む恐怖を描いた作品が好きな方、あるいは変わったシミュレーションゲームを探している方にぜひおすすめしたい。

    10月31日まで15%オフの1,020円でプレイできるこの機会に、不気味な島の造船所で父の遺産と向き合ってみてはいかがだろうか。


    基本情報

    開発: Two Nomads Studio
    パブリッシャー: PlayWay S.A.
    プラットフォーム: PC (Steam)
    早期アクセス開始日: 2025年10月16日
    プレイ時間: 現段階で5-10時間程度(完成版ではさらに拡張予定)
    難易度: 中程度(正気度管理とリソース管理が鍵)
    Steam評価: 非常に好評 (87%)
    価格: 1,200円(10月31日まで15%オフで1,020円)
    日本語対応: あり
    対応言語: 24言語対応

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  • うるさい背後霊リュウジと過ごす30分間のドタバタ除霊劇『だる絡み背後霊』。下ネタ全開でも愛おしくなる奇妙な友情

    うるさい背後霊リュウジと過ごす30分間のドタバタ除霊劇『だる絡み背後霊』。下ネタ全開でも愛おしくなる奇妙な友情

    何このタイトル?だる絡み?え?

    Steamのストアページを眺めていたときのことだ。ゲーム一覧の中にひときわ異彩を放つタイトルが目に飛び込んできた。その名も『だる絡み背後霊』……。

    なんともキャッチーで奇妙なタイトルである。

    開発者AlleyInnの個人制作作品で、価格はわずか350円。しかも発売からわずか数日でSteam評価100%の好評という異例の滑り出しを見せている。一体どんなゲームなのか?そんな疑問を抱きつつ、筆者は恐る恐るこの謎めいた除霊の世界に足を踏み入れることにした。

    リュウジがうるさすぎる問題

    本作は除霊師として呪われたお化け屋敷の呪いを解くことを目指す短編ホラーコメディゲームだ。プレイ時間は約30分という短さで、アニメ1話分程度の内容となっている。

    ストーリーはシンプル。金銭的に困窮したスター除霊師の主人公が、「どんな依頼でも受け入れる」と決めた矢先に舞い込んできたのが、この呪われたお化け屋敷の除霊依頼だった。

    しかし、いざお化け屋敷に足を踏み入れてみると、そこは完全に「悪霊パラダイス」と化していた。そんな状況で頼りになるのが、背後霊のリュウジである。

    このリュウジという背後霊がとにかくうるさい。常にペラペラと喋り続けており、その内容は大体どうでもいい話ばかり。ギャグマンガ日和の影響を強く受けたというだけあって、そのノリは完全にあのハイテンションギャグの世界だ。

    「呪いに敏感で危険を察知するヒントをくれる」という設定のはずなのだが、実際のところ彼の喋る内容の8割は脱線した雑談である。しかしこの脱線こそが本作の魅力であり、プレイヤーを笑わせる最大の要因でもある。

    30分間のドタバタ劇でも確かな達成感

    ゲームプレイは一人称視点のアドベンチャー形式で進行する。お化け屋敷内を探索しながら、祠に呪いぶっ飛ばしアイテムを持参するという、一見シンプルなミッションだ。

    しかし屋敷内は悪霊だらけで、プレイヤーは常に恐怖と隣り合わせの状況に置かれる。驚かせる演出も多数用意されており、ホラーゲーム苦手な人には少々キツイかもしれない。

    それでも本作が多くのプレイヤーに愛される理由は、リュウジの存在にある。彼のひたすらのどうでもいい話が、恐怖を和らげてくれるのだ。彼がいることで、怖いはずのホラー体験が何だか楽しいドタバタコメディに変わってしまう。

    エンディングは1つしか用意されていないが、そこに至るまでの過程は十分にカオスで笑える内容となっている。プレイ時間は短いものの、濃密な30分間を過ごすことができる。

    これぞ愛すべきB級インディー作品

    本作には「驚かせる演出」や「少年誌相当の下ネタ・下品な表現」が多く含まれているという注意書きがある。実際にプレイしてみると、その通りの内容だった。下ネタは確かに多めで、人によっては眉をひそめる表現もある。

    しかし、そんな下品さも含めて本作の魅力なのだ。真面目なホラーゲームを期待する人には向かないが、バカバカしいコメディを求める人には間違いなく刺さる作品である。

    特に注目すべきは、これが完全に個人制作の作品だということ。AlleyInn氏がクラウドファンディングで資金を調達し、当初の夏発売予定から延期を経て、2025年10月16日にようやくリリースに漕ぎ着けた労作だ。

    Steam評価100%という異例の高評価も納得である。短時間でサクッと楽しめて、値段も手頃。何より、プレイ後には「なんだかリュウジが愛おしく思えてくる」という不思議な感覚に包まれる。

    これが愛すべきB級インディー作品の真骨頂だろう。完璧な作品ではないかもしれないが、プレイヤーの心に確実に爪痕を残していく。うるさい背後霊リュウジとの30分間の珍道中を、ぜひ体験してみてほしい。

    基本情報

    ゲーム名: だる絡み背後霊
    開発: AlleyInn
    販売: AlleyInn
    プラットフォーム: PC (Steam)
    プレイ時間: 約30分
    難易度: 初心者向け
    Steam評価: 好評 (100%)
    リリース日: 2025年10月16日
    価格: 350円
    日本語対応: 日本語のみ

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  • カードで問う、声なき探偵の物語。『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』は不気味だけど、どこか優しい

    カードで問う、声なき探偵の物語。『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』は不気味だけど、どこか優しい

    Steamストアを眺めていたとき、1枚のビジュアルに目が釘付けになった。これは… カード…? 薄暗い森の中、古びた小屋。そして「カードで会話する」という一風変わった文字面。

    CRITICAL REFLEXといえば『Mouthwashing』や『Buckshot Roulette』など、リリースごとに話題をさらう気鋭のパブリッシャーだ。そんな彼らが手掛ける新作『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』は、10月6日にSteamでリリースされた一人称視点のホラーアドベンチャー。

    プレイ前は「ホラーゲーム」という先入観から、ジャンプスケアや追いかけっこを想像していた。が、実際にプレイしてみると……この作品、恐怖よりも「不穏」、そして何より「優しさ」が際立つ、まったく新しいホラー体験だったのだ。

    言葉を持たないからこそ、カードで問う

    プレイヤーが操作するのは「カリマラ」と呼ばれる小さな妖精のような存在。苔と鏡の光から生まれた、言葉を持たない魔法使いだ。

    依頼内容はシンプル。森の奥にある古びた小屋の地下室に住み着いた幽霊を退治すること。老婆から依頼を受けたカリマラは、この家に隠された謎を解き明かすため、独特な方法でコミュニケーションを取る。

    それが「フラッシュカード」だ。

    家の中にあるあらゆる物体、出会うキャラクターとの会話から、カードが生成される。そのカードを相手に見せることで、情報を引き出していく。まるで手話のような、言葉を持たない者だけが使える魔法のコミュニケーション。

    最初は「なんだこのシステム……」と戸惑った。普通のアドベンチャーゲームなら選択肢を選ぶだけなのに、カードを集めて、適切なタイミングで見せる必要がある。

    だが、プレイしていくうちに気づいた。このカードシステムこそが、本作の核心なのだと。

    幽霊は問いかけてくる。「私は誰か」「誰が私を殺したのか」「何で殺されたのか」。

    答えを見つけるには、家中を探索し、老婆やフクロウ、そして壁の中に住むハツカネズミと会話し、集めたカードから真実を導き出す必要がある。間違った答えを提示しても死ぬわけではない。ただ気絶して、もう一度やり直すだけだ。

    このトライ&エラーの過程が、まるでクルー(手がかりを集めて推理する)のようで心地よい。焦る必要はない。じっくり観察し、思索し、カードを選ぶ。その静かな時間が、本作の魅力を形作っている。

    PS1風グラフィックが生む、独特の不気味さ

    本作のビジュアルは、一目で「何か違う」とわかる。

    ローポリゴンで描かれたキャラクターたち。ザラついたテクスチャ。限られた色彩。そしてストップモーションのようなカクカクしたアニメーション。

    まるで1990年代のプレイステーション1を思わせるレトロな質感だが、決して懐古趣味で終わっていない。開発者のBastinus Rex氏は、自身の父親の手の写真をキャラクターのテクスチャに使用し、母親の庭から植物の素材を集めたという。

    つまり、このゲームには「家族の記憶」が織り込まれている。

    だからこそ、このゲームの不気味さには「人間味」がある。老婆は確かに不気味だが、どこか寂しげだ。フクロウは嫌味を言いながらも、老婆のことを心配している。ハツカネズミは……まあ、アレは完全にヤバい奴だが。

    ホラーゲームでありながら、登場キャラクターたちに「生活」が感じられる。彼らは単なる怪物ではなく、それぞれの事情を抱えた「住人」なのだ。

    短いけど、濃密な1時間

    本作のプレイ時間は約1〜2時間。正直、最初は「短いな」と思った。

    だが、プレイしてみると、この長さが絶妙だとわかる。無駄がない。引き延ばしもない。必要な要素だけが凝縮されている。

    そして、一度クリアしても終わりではない。家の中には隠された秘密が散りばめられており、それらを見つけることで物語の解像度が上がる。特定のカードを持っているかどうかで、会話の内容も変化する。

    クリア後に再び家を探索すると、見落としていた細部に気づく。「ここにこんなものが……」「このセリフ、こういう意味だったのか……」。発見のたびに、この小さな世界への愛着が深まっていく。

    ノルマンディー民話が紡ぐ、優しくて悲しい物語

    開発者のBastinus Rex氏はフランス・ノルマンディー出身。本作には、その土地に伝わる民話が色濃く反映されている。

    ノルマンディーの民話といえば、妖精や悪魔、幽霊が登場する暗くて不思議な物語が多い。だが同時に、そこには必ず「人間の温かさ」も描かれる。

    『CARIMARA』もまた、そんな物語だ。

    幽霊は確かに恐ろしい。だが、その幽霊にも過去があり、感情があり、何かを求めている。そして老婆も、フクロウも、みんなそれぞれの痛みを抱えて生きている。

    この家は、悲しみの記憶で満ちている。だが同時に、かつてそこに確かにあった「愛」の痕跡も残されている。

    クリア後、筆者はしばらく余韻に浸っていた。怖かったわけではない。ただ、この小さな世界に住む者たちの人生を思うと、胸が締め付けられたのだ。

    サンドイッチ1個分の価格で、唯一無二の体験を

    499円。開発者が「良いサンドイッチ1個分」と表現する価格設定だ。10月21日まではリリース記念セールで10%オフの449円で購入できる。

    この価格で、これだけ丁寧に作り込まれたゲーム体験が手に入るのは驚異的だ。AAA級のグラフィックもなければ、派手なアクションもない。でも、確かにそこには「魂」がある。

    ハロウィンの夜、1時間だけ時間があるなら。ちょっと変わったホラー体験をしてみたいなら。あるいは、インディーゲームが持つ無限の可能性を感じたいなら。

    『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』は、間違いなくその期待に応えてくれる。

    カードを手に、声なき探偵として。古びた家に隠された物語を、あなた自身の手で紐解いてほしい。


    基本情報

    開発: Bastinus Rex
    販売: CRITICAL REFLEX
    配信日: 2025年10月6日
    プラットフォーム: PC (Steam)
    言語: 日本語対応
    プレイ時間: 1〜2時間
    Steam評価: 非常に好評 (96%)
    定価: 499円(10月21日まで449円)

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  • 12ゲージショットガンで挑む地獄のギャンブル『Buckshot Roulette』。命を賭けたロシアンルーレットが恐ろしくも中毒的

    12ゲージショットガンで挑む地獄のギャンブル『Buckshot Roulette』。命を賭けたロシアンルーレットが恐ろしくも中毒的

    ショットガンでロシアンルーレット!正気じゃないぞ。

    地下ナイトクラブの奥で行われる命懸けのギャンブル。相手は正体不明の「ディーラー」で、武器は12ゲージのショットガン。PC(Steam)向けゲーム『Buckshot Roulette』は、従来のロシアンルーレットを革命的に再構築した心理戦ホラーだ。

    Steamストアページで初めて見たときは「またバイオレンス系のゲームか」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、これはただのホラーゲームではない。運と戦略が絶妙に絡み合う、極限の心理戦が待っていた。

    なにこれ、心臓がもたない……

    ゲームが始まると、薄暗い地下クラブの一室で巨大な口を持つ不気味なディーラーと対峙することになる。ルールは単純だ。ショットガンには実弾と空弾がランダムに装填され、自分か相手のどちらかを撃つ。空弾で自分を撃てばもう1ターン、実弾なら相手のターンに移る。3ラウンド制で、相手のライフをゼロにすれば勝利だ。

    「なんだ簡単じゃん」と思ったのも束の間。実際にプレイしてみると、この単純なルールの奥深さに驚愕した。

    最初のラウンドこそ運任せだが、2ラウンド目からは様々なアイテムが配布される。虫眼鏡で次の弾を確認できたり、のこぎりでダメージを倍増できたり、ビール缶で弾を排出できたりと、戦略の幅が一気に広がる。

    特に興味深いのが「携帯電話」というアイテム。使用すると、ショットガン内のランダムな弾の種類と位置を教えてくれる。「4番目の弾は実弾」という情報を元に、相手の行動を予測し、自分の戦略を立てる必要がある。

    ディーラーのAIが恐ろしく賢い(そして時々バカ)

    このゲームで最も印象的なのは、ディーラーのAIだ。基本的にはかなり賢く、確実に勝てる状況では容赦なく攻撃してくる。虫眼鏡で弾を確認してから確実に実弾で撃ってきたり、のこぎりでダメージを倍増してから攻撃してきたりと、油断していると一瞬で形勢が逆転する。

    しかし面白いことに、このAIは完全に確率計算をしているわけではない。実弾が3発、空弾が2発残っていても、平気で自分に向けて撃つことがある。この「人間らしい不完璧さ」が、逆にゲームを面白くしている。完璧すぎるAIだと勝ち目がなくなるが、時々のミスがプレイヤーに希望を与えてくれる。

    緊張感がハンパじゃない

    最も印象的だったのは、最終ラウンドの「サドンデス」モード。通常は除細動器でライフを回復できるのだが、最終ラウンドでは一度死んだら本当にゲームオーバーだ。手錠でディーラーの行動を封じたり、アドレナリンで相手のアイテムを奪ったりと、あらゆる手段を駆使して勝利を目指す。

    実弾が1発しか残っていない状況で、ディーラーがのこぎりを使ってダメージを倍増させた瞬間の絶望感は筆舌に尽くしがたい。しかも相手は虫眼鏡も持っている。「詰んだ……」と思った瞬間、ディーラーが何を思ったか自分に向けて撃ち、空弾だった時の安堵感ときたら……。

    短時間で濃密な体験

    1プレイは15~20分程度と短いが、その短時間に凝縮された緊張感は他のゲームでは味わえない。クリア後に解放される「ダブル・オア・ナッシング」モードでは、連勝すればするほど賞金が倍増していくが、一度でも負ければすべてを失う。まさにギャンブルの醍醐味だ。

    また、最大4人でプレイできるマルチプレイヤーモードも実装されており、友人同士での心理戦を楽しめる。フレンドと一緒にプレイすれば、きっと友情に亀裂が入ること間違いなしだ(いい意味で)。

    工業的な雰囲気が恐怖を演出

    ビジュアル面では、暗い地下クラブの工業的な雰囲気が印象的だ。錆びた金属、薄暗い照明、そして絶え間なく鳴り響くテクノミュージック。これらすべてが、命を賭けたギャンブルという異常な状況を演出している。

    開発者のMike Klubnika氏が作曲したサウントラックも秀逸で、緊張感を高めるインダストリアルなビートが、プレイヤーの心拍数を確実に上げてくる。

    Steam Deckでも快適プレイ

    Steam Deckでのプレイも問題なく、通勤中や寝る前の短時間プレイに最適だ。バッテリー消費は若干多めだが、1プレイが短いため実用上は問題ない。

    操作はD-padでの選択が基本となるため、Steam Deckのコントロールとも相性が良い。ただし、慣れるまではジョイスティックを使いたくなってしまうかもしれない。

    400万本売れた理由がわかる

    『Buckshot Roulette』は、2023年12月のitch.io版リリース以来、TwitchやTikTokで爆発的な人気を博し、Steam版は発売2週間で100万本を突破。現在までに400万本以上を売り上げている。

    この成功の理由は明確だ。シンプルなルール、短時間プレイ、そして極限の緊張感。さらに配信映えする要素も多く、視聴者と一緒に楽しめる作りになっている。

    Steam評価も96%と圧倒的に好評で、「中毒性がやばい」「友達と一緒にプレイしたら修羅場になった」といったレビューが並んでいる。

    基本情報

    タイトル: Buckshot Roulette
    開発: Mike Klubnika
    パブリッシャー: CRITICAL REFLEX
    配信日: 2024年4月4日(Steam版)
    定価: 350円(Steam)
    プラットフォーム: PC(Steam)、itch.io
    プレイ人数: 1人(シングルプレイ)、最大4人(マルチプレイ)
    プレイ時間: 15-20分/1プレイ
    日本語: 対応
    Steam評価: 圧倒的に好評(96%)

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