カテゴリー: ローグライク

  • 武器クラフトこそがすべて! ウクライナ発の本格派バレットヘル『Grind Survivors』

    武器クラフトこそがすべて! ウクライナ発の本格派バレットヘル『Grind Survivors』

    2026年3月16日にリリースされたこの作品は、ウクライナのPushka Studiosが開発した、本気の「グラインド」を求めるプレイヤーのためのバレットヘル・ローグライトだ。タイトルに偽りなし。このゲームは文字通り、武器をひたすら「研ぎ澄ます」ことに特化している。

    地獄の鍛冶場「The Forge」が生み出す無限の可能性

    本作の最大の特徴は「The Forge(鍛冶場)」と呼ばれる武器クラフトシステムだ。これが、同ジャンルの他のゲームと一線を画す要素となっている。

    『Vampire Survivors』系のゲームでは、ラン中に拾ったアップグレードでビルドが完成する。しかし『Grind Survivors』では、ランの外で武器そのものを作り込むことができる。リボルバー、ショットガン、デュアルSMG、レールガン、そしてテスラガンなど8種類の武器タイプがあり、それぞれにコモンからレジェンダリーまでの5段階のレアリティが存在する。

    The Forgeでは以下の4つのシステムが使える:

    Infuse(融合): 同じタイプの武器5つを組み合わせて、より高いレアリティの武器を生成。5つの武器すべてのステータスとアフィックス(特殊効果)を引き継ぐため、運と戦略次第でとんでもない性能の武器が生まれる。

    Improve(強化): Ash(灰)を消費して武器のダメージとクリティカルダメージを強化。ただし、強化レベルが上がるごとに失敗率も上昇し、失敗すると今までの強化がすべて水の泡に。このギャンブル要素が、プレイヤーの心臓をバクバクさせる。

    Reforge(再鍛造): 武器のステータスを再ロール。理想のビルドを目指すなら避けては通れない道だが、これもまたギャンブル。何度もリロールしていると、気づけばAshが底をつく。

    Recycle(リサイクル): いらない武器をAshに変換。序盤は全然足りないので、レア度の低い武器はガンガンリサイクルすることになる。

    筆者がプレイして最も興奮したのは、Improveシステムだ。+14まで強化した愛用のリボルバーを+15にしようとボタンに手をかけたとき、失敗率75%の文字が目に入った。「やめておくべきか……?」と一瞬迷ったが、結局ポチッと。

    成功。

    その瞬間の快感は、まさにギャンブルで勝ったときのそれ。このスリルがたまらない。

    コミックブック調のビジュアルと完璧な最適化

    ビジュアル面でも『Grind Survivors』は一級品だ。コミックブック調のアートスタイルは、ゴア表現(血しぶきや悪魔の四肢切断)がありながらもカートゥーンライクで、不快感を与えない絶妙なバランスになっている。

    開発元のPushka Studiosはこれまでポーティング(移植)作業を中心に手掛けてきたスタジオで、『Spider Heck』や『Phantom Abyss』などの移植実績がある。その技術力は本作にも如実に表れており、最適化が驚くほど完璧だ。

    レビューを見ても「フレームドロップがまったくない」「何百体の敵に囲まれてもスムーズ」との声が多数。筆者も実際にプレイして、画面が敵の群れで埋め尽くされる状況でも一度もカクつきを感じなかった。Steam Deckでもプレイ可能だが、高難易度になると負荷が高くなるとの報告もある。

    グラインド、グラインド、そしてグラインド

    しかし、本作は決して万人向けではない。タイトルが『Grind Survivors』である以上、グラインドは避けられない。

    本作には3つのバイオーム(焦土と化した都市、燃える森、腐敗した荒野)があり、それぞれに5段階の難易度が設定されている。つまり、同じマップを何度も何度もプレイして、徐々に難易度を上げていく構造だ。

    「同じマップ? 飽きるでしょ」と思うかもしれない。その通り、実際に飽きる。レビューでも「3つのバイオームは単なる色違い」「敵のバリエーションが少ない」という指摘が多い。

    だが、それでもプレイし続けてしまうのは、The Forgeの魔力だ。「次のランでレジェンダリーが手に入るかもしれない」「この武器を+15まで強化できたら最強になれる」——そんな期待が、プレイヤーを画面に釘付けにする。

    筆者も「あと1ラン」「あと1ラン」と繰り返しているうちに、気づけば5時間が経過していた。これぞまさにハクスラの本質。

    バランス問題と今後のアップデート

    現時点での最大の問題は、武器バランスだ。特にテスラガン(電撃銃)が強すぎて、他の武器の存在意義が問われるレベル。レビューでも「テスラガンがほぼ必須」との声が多数上がっている。

    また、スキルツリーが「地味すぎる」との批判もある。単なる数値上昇がメインで、ゲームプレイを大きく変えるような派手なスキルがない。これは確かに物足りなさを感じる部分だ。

    ただし、開発元のPushka Studiosはコミュニティの声に耳を傾けており、今後のアップデートでバランス調整が期待できる。ウクライナという厳しい環境下で開発を続けているチームだけに、応援したくなるのも事実だ。

    34種類のルーンと4人のキャラクター

    メタプログレッション(永続的な強化要素)も充実している。

    Hell Dust(地獄の塵)を使ってスキルツリーを強化し、Ashで武器をアップグレード。さらに、34種類のルーン(装備可能なパッシブバフ)をアンロックすることで、ビルドの幅が大きく広がる。

    キャラクターは4人いて、それぞれ異なるパッシブとアクティブ能力を持つ:

    • Cascade: リコシェット(跳弾)特化
    • Solara: アビリティクールダウンDPS特化
    • Orfeo: Ash獲得サポート
    • Vex: 冷気による群衆コントロール

    特にOrfeoはAsh稼ぎに最適で、武器クラフトを加速させたい人にオススメだ。

    ウクライナの情熱が生んだインディーゲーム

    Pushka Studiosは、ウクライナのドニプロを拠点とする小規模なスタジオだ。『Grind Survivors』は彼らにとって初のオリジナルタイトルであり、これまでの移植作業で培った技術力をすべて注ぎ込んだ渾身の一作となっている。

    本作には「Ukraine Supporter Pack」というDLCも用意されており、売上の一部がウクライナ支援財団に寄付される仕組みになっている。ゲームを楽しみながら支援もできる——これ以上に素晴らしいことがあるだろうか。

    Steamでの評価はMostly Positive(72%)。675件のレビューのうち、賛否が分かれているのは事実だが、「ハマる人はとことんハマる」タイプのゲームだと言える。実際、筆者もその一人だ。

    基本情報

    開発: Pushka Studios
    販売: Assemble Entertainment
    リリース日: 2026年3月16日
    価格: 1,500円
    プラットフォーム: PC (Steam / GOG / Epic Games Store)、PlayStation 5、Xbox Series X/S
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語対応(12言語対応)
    ジャンル: アクション・ローグライク・バレットヘル・ルータシューター
    Steam評価: Mostly Positive(72% – 675件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3816930/Grind_Survivors/
    GOG: https://www.gog.com/en/game/grind_survivors

    公式リンク

    公式サイト: https://www.grindsurvivors.com/
    X (Twitter): https://x.com/PushkaStudios
    パブリッシャー: https://www.assemble-entertainment.com/

  • 料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    「デッキビルダーのローグライトって、結局戦って倒すゲームばかりでしょ?」しかし、『ハングリー・ホラーズ(Hungry Horrors)』は違った。このゲームでは、モンスターを倒すのではなく「満腹にする」のだ。

    英国ブライトンを拠点とする2人組インディースタジオClumsy Bear Studioが開発した本作は、戦闘の代わりに料理でモンスターをもてなすという、ジャンルの常識を覆す斬新なアイデアで2026年1月19日にSteam早期アクセスを開始。わずか1ヶ月で168件のレビューのうち98%が好評という圧倒的な支持を獲得している。

    戦わない、料理で生き残る!

    本作の最大の特徴は、デッキビルダーでありながら「戦闘」が存在しないこと。プレイヤーは英国とアイルランドの伝承料理のカードを駆使して、次々と襲いかかる神話上のクリーチャーたちを満腹にし、こちらに到達する前に満足させなければならない。

    ゲームプレイの核となるのは「味の連鎖(Flavour Combo)」システムだ。各料理には甘味、塩味、酸味、苦味、旨味、淡白という6つの味覚タグが付与されており、これらを連続して組み合わせることで強力なコンボが発動する。例えば「青→黄→茶→青」の順で料理を提供すると、初撃が20ダメージでも5撃目には100ダメージまで跳ね上がるのだ。

    さらに、各モンスターには「大好物」と「嫌いな料理」が設定されている。Black Annisはベイクウェル・タルトを愛するが、フィッシュ&チップスは大嫌い。Jenny Greentteeth、Grendel、Dullahan、Glaistigといった伝承のクリーチャーそれぞれに固有の食の好みがあり、彼らの嗜好を理解しながら最適な料理を提供する戦略性が求められる。

    料理カードの種類も豊富で、ハギス、スターゲイジー・パイ、クラナカン、バラ・ブリス、クレンポグなど、実在する英国・アイルランドの伝統料理が40種類以上登場する。ただし、これらは単なる料理カードではなく、スパイスやハーブ、調理器具といった「バフカード」と組み合わせることでさらに効果を強化できるのだ。

    8つのレルムを探索するローグライトの深み

    本作はローグライトとして、永続的な成長要素を実装している。各ランの後、プレイヤーは城のキッチンに戻り、新しいレシピのアンロック、調理器具のアップグレード、特殊な食材の獲得といった要素を通じてデッキを強化できる。失敗しても「運命ポイント(Fate Points)」が蓄積され、次回プレイ時に有利なアイテムや仲間を初期状態で入手可能だ。

    冒険の舞台となるのは8つのバイオーム──Woods(森)、Bog(沼地)、Meadows(草原)、Town(街)など、それぞれ独自のモンスターとイベントが用意されている。各バイオームには複数のルートがあり、扉を選択することで進路が分岐。道中ではNPCとの出会い、クエストの受諾、アイテムショップでの買い物など、多彩なイベントが待ち受ける。

    特筆すべきは、このゲームのストーリー性の高さだ。主人公は気まぐれな王女で、相棒は皮肉屋の猫。王国に広がった「飢餓の呪い」と、その中心で目覚めたドラゴンの謎を解き明かすため、伝説の怪物たちに料理を振る舞いながら冒険を進めていく。各NPCには固有のクエストラインがあり、最新アップデート(Patch 0.1.16)では、Herne、Wulver、Fear Gorta、Ellen Moreといったキャラクターに新たなクエストが追加された。

    さらに、このアップデートでは「ファミリア(Familiars)」システム、釣り、衣装の染色カスタマイズ、Fear Gortaのスパイスショップなど、ゲームプレイの幅を広げる要素が続々と実装されている。

    2人で紡いだ2年間の情熱

    Clumsy Bear Studioは、Scott FitzsimmonsとJerzy Pilchという実生活でもパートナーである2人組が運営する自己資金型インディースタジオだ。Scottがプログラミング、Jerzy がマーケティングとストーリーを担当し、全てのアート、デザイン、コーディングを内製で制作。音楽はHenry Taylorが手がけている。

    開発には2年以上の歳月を費やし、その間に様々な困難に見舞われた。2025年のロンドン・ゲームズ・フェスティバル直前には、滞在先で地震に遭遇して避難を余儀なくされ、さらに新しい作業場所はゴキブリだらけ。そんな過酷な状況の中、Scottは腕を骨折し、6週間以上コーディングができない状態に陥った。それでも彼らは諦めず、2025年7月にはDevelop:Brighton 2025でIndie Showcase Awardを受賞。そして2026年1月19日、ついに早期アクセス版をリリースした。

    開発ツールはGodot EngineとAseprite。すべてのピクセルアートは手作業でドット打ちされており、Apple IIを思わせるレトロな質感と、丁寧に描き込まれたキャラクターアニメーションが魅力だ。モンスターの目がハートになる演出や、各モンスター固有の「王女の死亡アニメーション」など、細部へのこだわりが随所に見られる。

    リラックスして楽しめる「戦わないデッキビルダー」

    開発者のJerzyは、本作のコンセプトについてこう語っている。「私たちは仕事の後にリラックスして遊べるゲームを作りたかった。だからターン制にして、じっくり考える時間を確保した。料理という要素は、軽いクラフト要素を加えつつ、モンスターを倒すだけではない何かを提供したかったから」

    実際、本作のゲームプレイは驚くほど快適だ。バトルは数分で完結し、テンポよく進行する。Steam Deckとの互換性も完璧で、移動中や寝る前のちょっとした時間に気軽に楽しめる。UIも直感的で、色だけでなくシンボルも併用されているため色覚特性を持つプレイヤーにも配慮されている。

    とはいえ、最初の数バイオームこそ優しいものの、徐々に難易度は上昇していく。フレーバーコンボの仕組み、各モンスターの嗜好、バフカードの効果、デッキ構築の最適化──これらすべてを理解しなければ先に進めない。だが、この絶妙な難易度バランスこそが、プレイヤーを「もう一回だけ」と何度もリトライさせる中毒性の源泉なのだ。

    英国・アイルランド民話への深い敬意

    本作のもう一つの魅力は、民話へのリスペクトだ。登場するモンスターは全て実在する伝承に基づいており、ゲーム内の「Book of Taliesin」では各クリーチャーの詳細な背景を読むことができる。Black Annis(子供をさらう魔女)、Jenny Greenteeth(沼に潜む水の精霊)、Grendel(ベオウルフの怪物)、Puca(いたずら好きの妖精)など、ケルト、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの伝説が丁寧に織り込まれている。

    料理もまた然り。登場する40種類以上のレシピは全て実在する伝統料理で、ゲームを通じて英国・アイルランドの食文化に触れることができる。開発者たちは「表面的な参考ではなく、民話と料理をゲームプレイの中核に組み込むこと」にこだわり、その結果、他のデッキビルダーにはない独自の世界観を構築することに成功した。

    早期アクセス版の現在、ストーリーはまだ完結していないが、開発チームは「1年以内の正式リリース」を目標に掲げている。ただし、「コミュニティのフィードバック次第では、もう少し時間をかけてでも完璧な1.0を目指す」とのことで、プレイヤーと共にゲームを作り上げていく姿勢を明確にしている。

    『ハングリー・ホラーズ』は、デッキビルダーというジャンルに新しい風を吹き込んだ作品だ。戦闘ではなく料理で、破壊ではなく満足で、相手を倒すのではなく満腹にする──このシンプルながら革新的なアイデアが、驚くほど深いゲームプレイと豊かなストーリーテリングと融合している。

    「モンスターを倒さずに餌付けする」という発想の転換。英国・アイルランド民話への深い愛情。2人の情熱が生んだ手作りのピクセルアート。そして、何よりプレイヤーを思いやる優しい設計思想──これらすべてが組み合わさったとき、『ハングリー・ホラーズ』は単なるゲームを超えた「体験」となる。

    あなたも、伝説の怪物たちに最高の料理でおもてなしをしてみてはいかがだろうか。ただし、料理が口に合わなければ、次の食事はあなた自身になることをお忘れなく。

    基本情報

    開発: Clumsy Bear Studio (Scott Fitzsimmons、Jerzy Pilch)
    販売: Clumsy Bear Studio
    リリース日: 2026年1月19日(早期アクセス)
    価格: 1,520円(通常価格)※発売から2週間は30%オフ
    プラットフォーム: PC (Windows, Mac, Linux), Steam Deck対応
    プレイ人数: 1人
    言語: 英語(日本語未対応)
    ジャンル: ローグライト、デッキビルダー、カードゲーム、ストラテジー、料理
    Steam評価: 圧倒的に好評 (98% – 168件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3048840/Hungry_Horrors/
    Steam Demo: https://store.steampowered.com/app/3530560/Hungry_Horrors_Demo/
    itch.io: https://clumsy-bear-studio.itch.io/hungry-horrors

    公式リンク

    公式サイト: https://hungryhorrorsgame.com/
    X (Twitter): https://x.com/clumsybeargames
    Discord: Clumsy Bear Studio Discord
    YouTube: @clumsybearstudio

  • ハムスターが大量破壊兵器!? 終末世界でペットを育てるタワーディフェンス『MOCHI-O』が予想外に深い

    ハムスターが大量破壊兵器!? 終末世界でペットを育てるタワーディフェンス『MOCHI-O』が予想外に深い

    「ハムスターで国を守る」って言われて、最初は正直ピンとこなかった。可愛いペット育成ゲームかな?それとも単なるネタゲー? でも実際にプレイしてみると、『MOCHI-O』はそのどちらでもなく、むしろペット育成とタワーディフェンスを見事に融合させた、驚くほど中毒性の高いタイトルだったのだ。

    2026年1月19日にSteamでリリースされた本作は、開発者Zxima氏が手がける「やさしい終末(tender post-apocalypse)」シリーズの最新作。リリース直後からSteamで98%という圧倒的好評を獲得し、海外メディアからも「stupid little hamster(バカみたいに小さいハムスター)を大量破壊兵器として使うゲーム」と愛情を込めて紹介されている。

    MOCHI-Oって、一体何者なのか?

    本作の主人公は、見た目はハムスターそのものだが、実は人類を守るために開発された大量破壊兵器という設定の「MOCHI-O(モチオ)」だ。プレイヤーは新人の「飼育係(keeper)」として配属され、MOCHI-Oを育てながら外敵から祖国を守るという任務を遂行していく。

    ゲームの流れはシンプルで、戦闘パート育成パートを交互に繰り返していく構成。戦闘では画面右側から次々と襲来する敵軍に対し、MOCHI-Oを右手に持って照準を合わせ、攻撃ボタンを連打して迎撃する。倒した敵からは「種(seed)」がドロップし、これを集めることで経験値を獲得。レベルアップ時にはランダムで提示されるスキルから好きなものを選択し、MOCHI-Oを強化していくというローグライト要素も搭載されている。

    このバトルシステムが実に絶妙で、シンプルながら戦略性が高い。発射速度、クリティカル率、攻撃範囲、クールダウン短縮など、どのステータスを優先するかでプレイスタイルが大きく変わるのだ。連射重視で弾幕を張るもよし、一撃必殺の重火力ビルドを組むもよし、範囲攻撃で制圧するもよし。プレイを重ねるほど「次はこのビルドを試してみよう」と考える楽しさが増していく。

    育成要素がバトルに直結する設計の妙

    戦闘の合間には、MOCHI-Oの世話をする育成パートが挟まれる。ここでプレイヤーは、MOCHI-Oを撫でたり、種を与えたり、部屋を飾り付けたりして、彼(彼女?)との信頼関係を深めていく。

    この育成パートが単なる箸休めではないのが本作の秀逸なところ。MOCHI-Oとの信頼度(trust level)が上がると、戦闘能力も向上するという仕組みになっているため、「可愛がりたいから世話をする」だけでなく「強くしたいから世話をする」という動機も生まれる。感情的な愛着とゲームメカニクス上の利益が完全に一致しているのだ。

    筆者も最初は「ペット育成要素なんて飾りでしょ」と思っていたが、気づけば戦闘が終わるたびにMOCHI-Oの部屋に直行し、せっせと種を与えて撫で回している自分がいた。この小さなハムスター型兵器に、いつの間にか本気で愛着が湧いていたのである。

    ソロ開発者が紡ぐ「やさしい終末」の世界

    開発を手がけるZxima氏は、2017年から独立開発者として活動を続けるベテランだ。これまでに『Parasite Days』『Post-apocalypse Bakery』『Catastrophe Restaurant』など10作以上のゲームをリリースしており、そのすべてに共通するのが「tender post-apocalypse(やさしい終末)」というテーマ。

    世界が滅びかけているのに、なぜか温かい。登場人物たちは絶望的な状況下でも前向きで、ユーモアを忘れない。『MOCHI-O』もまさにその系譜で、上司である「Director(所長)」とのやり取りや、MOCHI-Oとのコミュニケーションが妙に心温まるのだ。

    Zxima氏自身も本作について「小さくて可愛くて、めちゃくちゃ強いキャラクターで暴れられたら最高じゃない?」とコメントしており、そのコンセプトが見事に形になっている。ちなみに氏の前作『Catastrophe Restaurant』は、Google Play Indie Games Festival 2022でTop 3賞を受賞した実績もある。

    メタ進行とやり込み要素も充実

    各バトルで獲得したお金は、メタ進行システムに投資できる。新しい武器のアンロック、永続的なステータス強化、MCHI-Oの部屋の装飾品購入など、プレイを重ねるほど有利になる要素が盛りだくさん。

    特に武器の種類が豊富で、通常弾からホーミングミサイル、果ては宇宙からのレーザービームまで用意されている。どの武器を選ぶかで戦闘の感触がガラリと変わるため、飽きが来ない。

    また、敵のバリエーションも多彩だ。素早く飛び回る小型機、耐久力の高いタンク、画面を埋め尽くすように迫るロケット弾など、それぞれに対処法が異なるため、ステージごとに適切なビルドを考える戦略性が求められる。

    さらに、爆弾やビームといった全画面攻撃の必殺技も用意されており、ピンチの時に一気に形勢を逆転させられる爽快感がたまらない。

    完璧ではないが、それでも魅力的

    もちろん本作にも課題はある。海外レビューでは「UIの読みづらさ」や「コントローラーサポートの不完全さ」が指摘されており、特にフルスクリーンモードでフォントが小さく表示される問題は改善の余地がある。また、日本語・英語には対応しているものの、メニュー操作がやや直感的でない部分もある。

    それでも、500円前後という価格を考えれば十分すぎるほどのボリュームと完成度を誇っている。1ランあたりのプレイ時間も短く、「もう1回だけ」とついつい続けてしまう中毒性の高さは本物だ。

    IndieGamesのレビューでは「メカニクスはシンプルだが、それがすぐにマスターできる良さにつながっている。ラウンドが時間制限付きなので、1回のプレイが10分も食われることはない。次のラウンドをもう1回やりたくなる、そんな短時間の楽しさが詰まっている」と評価されている。

    こんな人におすすめ

    『MOCHI-O』は以下のような人に強くおすすめできる:

    • ローグライトやタワーディフェンスが好きな人 — ビルド構築の自由度が高く、毎回違った展開を楽しめる
    • ペット育成ゲームが好きな人 — MOCHI-Oへの愛着が自然と湧く設計が秀逸
    • 短時間でサクッと遊びたい人 — 1ランが短く、スキマ時間にも最適
    • ドット絵やレトロ調のビジュアルが好きな人 — 意図的にローポリに寄せたグラフィックが独特の味わい
    • B級映画的なノリを楽しめる人 — 設定の荒唐無稽さとストーリーの温かさのギャップが最高

    逆に、「最新グラフィックで没入感のあるゲームがしたい」「複雑で歯ごたえのある戦略ゲームが好き」という人には向かないかもしれない。本作の魅力は、あくまでシンプルさと中毒性、そしてちょっとした温かさにあるのだから。

    基本情報

    開発: Zxima
    販売: Kodansha
    リリース日: 2026年1月19日
    価格:580円(通常価格) セール中20%オフ 464円
    プラットフォーム: PC(Steam)/ iOS・Android版は後日配信予定
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語・英語対応
    ジャンル: タワーディフェンス / ペット育成 / ローグライト
    Steam評価: 圧倒的に好評(98% – 184件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3596670/MOCHIO/

  • ルーンの組み合わせで戦況を支配する!北欧神話×デッキ構築ローグライク『ルーンボーン』

    ルーンの組み合わせで戦況を支配する!北欧神話×デッキ構築ローグライク『ルーンボーン』

    「デッキ構築ローグライクってもう飽和状態じゃない?」

    名作『Slay the Spire』以降、似たようなフォロワー作品が溢れ、食傷気味だったのは事実だ。

    だが、Early Accessで登場した『ルーンボーン(Runeborn)』をプレイして、その考えは一変した。本作が扱うのは、ただの紙のカードではない。古代の魔力が宿る「ルーン文字」だ。文字を組み合わせ、石板に刻み、神話の力を呼び覚ます――その手触りは、驚くほど重厚で、知的な興奮に満ちていた。

    ルーンの力こそがすべて!カードと魔法陣が融合した戦闘システム

    本作の最大の特徴は、ルーン文字を活用した独自の戦闘メカニクスだ。プレイヤーは北欧神話に登場する古代ルーン文字をカードとして扱い、それらを組み合わせることで強力な効果を発動する。単体では弱いルーンも、特定の配置や順序で使用することで、想像を超える破壊力やサポート効果を生み出す。

    戦闘はターン制で進行し、手札のルーンカードを戦略的に配置していく。ここで重要なのが「ルーンの相性」だ。例えば、火を象徴するルーンと氷を象徴するルーンを隣接させると相殺されてしまうが、火と風を組み合わせると炎の範囲が拡大し、複数の敵を巻き込む強力な攻撃に変化する。

    さらに、ルーンには「発動条件」が設定されているものもある。特定のルーンを3つ揃える、HPが一定以下のときに使用する、敵が特定の状態異常にかかっているときのみ発動——といった具合だ。この条件を満たすために、あえて防御を捨てて攻撃に転じたり、回復を後回しにしてコンボを優先したりと、リスクとリターンを天秤にかける判断が求められる

    戦闘中に使用できるルーンは限られており、デッキ構築の段階でどのルーンを採用するかが勝敗を分ける。強力だが発動条件が厳しいルーン、汎用性は高いが威力は控えめなルーン、サポート特化のルーン——プレイスタイルに応じて無数の組み合わせが存在する。

    ローグライクの醍醐味!毎回異なる運命を辿る旅

    『ルーンボーン』はローグライクゲームとして、毎回異なるダンジョン構造とランダムイベントを用意している。プレイヤーは北欧神話の世界を舞台に、神々や巨人、モンスターたちが支配する領域を探索しながら、最深部に潜むボスを目指す。

    道中で遭遇するイベントは多岐にわたる。商人からレアなルーンを購入できるチャンス、謎めいた神殿で強化を受けられる祝福、あるいは危険な賭けに挑む選択肢——どれを選ぶかで、その後の展開が大きく変わる。特に印象的だったのは、「ルーンを犠牲にして強力な祝福を得る」というイベントだ。デッキの核となるルーンを失うリスクを冒してでも、その祝福を得るべきか?この葛藤がたまらない。

    ボス戦は特に戦略性が問われる。通常の敵とは比較にならない体力と攻撃力を持つボスに対しては、ルーンのシナジーを最大限に活かした完璧なコンボが不可欠だ。さらに、ボスごとに固有の能力やギミックがあり、それを理解しないまま挑むと瞬殺される。何度も挑戦し、パターンを覚え、デッキを改良していく——このトライ&エラーの過程こそがローグライクの醍醐味だ。

    北欧神話の世界観が織りなす美しくも過酷な物語

    本作のビジュアルスタイルは、北欧神話の神秘性と荒々しさを見事に表現している。手描き風のアートワークは温かみがありながらも、戦闘シーンでは迫力満点のエフェクトが画面を彩る。ルーンが発動する瞬間の光の演出、敵が倒れる際のパーティクルエフェクト——細部まで丁寧に作り込まれている。

    サウンドトラックもまた秀逸だ。静かなダンジョン探索時には神秘的な旋律が流れ、ボス戦では緊張感を煽る激しいオーケストラが鳴り響く。特に印象的だったのは、ルーンを配置する際の効果音だ。カードゲームらしい「パチン」という音ではなく、石板に刻まれるような重厚な音が採用されており、「古代の力を扱っている」という没入感を高めている。

    物語の背景も興味深い。プレイヤーは「ルーンボーン」と呼ばれる存在として、神々の戦いに巻き込まれた世界を救うために旅をする。断片的に語られる神話や、NPCとの会話から少しずつ明かされる世界の真実——すべてをクリアしたとき、この世界で何が起きていたのかが明らかになる構成だ。

    ソロ開発者の情熱が生んだ挑戦作

    本作を開発したのは、ソロインディー開発者Rift Forgeスタジオだ。デッキ構築ローグライクというジャンルは『Slay the Spire』以降、多くの作品が登場しているが、『ルーンボーン』はルーンという独自のメカニクスで差別化を図っている。

    開発者は過去のインタビューで、「北欧神話の持つ神秘性と、ルーン文字の組み合わせによる無限の可能性を表現したかった」と語っている。実際、プレイしてみるとその意図が明確に伝わってくる。単なるカードゲームではなく、古代の魔術を操る感覚が見事に再現されているのだ。

    Early Accessでのリリースということもあり、現時点ではコンテンツ量やバランス調整に改善の余地がある。しかし、コアとなるゲームプレイの完成度は非常に高く、今後のアップデートでさらに磨かれていくことが期待できる。開発者はコミュニティのフィードバックを積極的に取り入れており、Discordサーバーでは頻繁にアップデート情報が共有されている。

    Steam評価は「ほぼ好評」!コミュニティの反応

    Steamでの評価は**「ほぼ好評」(81% – 52件のレビュー)**と上々のスタートを切っている。プレイヤーからは「ルーンのシナジーシステムが奥深い」「北欧神話の世界観が素晴らしい」といった高評価が寄せられている一方で、「コンテンツ量がもう少し欲しい」「一部のルーンのバランスが偏っている」という改善要望も見られる。

    海外コミュニティでは、特にRedditの/r/roguelikesやX(旧Twitter)で話題になっている。「Slay the Spireが好きなら絶対にプレイすべき」「ルーンの組み合わせを考えるのが楽しすぎる」といったコメントが多数投稿されており、デッキ構築ローグライク好きの間で確実に注目を集めている。


    『ルーンボーン』は、デッキ構築ローグライクというジャンルに新たな風を吹き込む意欲作だ。ルーンの組み合わせによる無限のシナジー、戦略性の高い戦闘、そして美しい北欧神話の世界観——すべてが高いレベルで融合している。

    Early Accessという段階ではあるが、すでにコアとなるゲームプレイは完成されており、今後のアップデートでさらなる進化が期待できる。デッキ構築ゲームが好きなら、今すぐプレイする価値がある。古代ルーンの力を手に、神々の戦いに身を投じてみてはいかがだろうか。


    基本情報

    開発: Rift Forge
    販売: Rift Forge
    リリース日: 2025年2月19日(Early Access)
    価格: ¥1,499 セール中30%オフで¥ 1,049
    プラットフォーム: Windows
    プレイ人数: 1人(シングルプレイヤー)
    ジャンル: ローグライク、デッキ構築、戦略、北欧神話
    Steam評価: ほぼ好評 (81% – 52件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3073990/_/

  • 配線一本が命綱!モジュールボードで武器をプログラムする異色のタワーディフェンス『Wireworks』

    配線一本が命綱!モジュールボードで武器をプログラムする異色のタワーディフェンス『Wireworks』

    「タワーディフェンスなんて、結局は決められた場所に砲台を置くだけのパズルでしょ?」 もし君がそう思っているなら、今すぐその認識をアップデートしたほうがいい。2026年3月9日にリリースされた『Wireworks』は、僕らが知っているTDの常識を、文字通り「根底から」破壊してしまった。

    本作の中核にあるのは、配置ではない「配線(ワイヤリング)」だ。モジュールボードという名の基板の上で、武器の挙動を自らプログラムし、回路を組み上げる。この異質すぎる体験に、僕は数時間で完全に骨抜きにされた。

    配線がすべて!基板の上で繰り広げられる頭脳戦

    本作の舞台は、中央の拠点を守るための「モジュールボード」だ。プレイヤーはこのボード上に武器モジュール、補助モジュール、移動制御モジュールなどを配置し、それらをワイヤーで接続することで防衛システムを構築していく。

    最初は意味不明だった。「なぜ剣に電流を流すのか?」「移動パターンを配線するってどういうことだ?」――しかし、数回のウェーブを乗り越えるうちに、その天才的なシステムデザインに気付かされる。

    例えば、剣のモジュールに「円運動」の信号を送れば、剣は円を描いて敵を薙ぎ払う。そこに「ダメージ増幅」の信号を重ねれば火力が上がり、「攻撃速度上昇」を追加すれば回転速度が増す。つまり、配線の組み合わせ次第で、同じ剣モジュールがまったく異なる兵器に変貌するのだ。

    これは単なるタワーディフェンスではない。プレイヤー自身が武器の挙動をプログラムし、戦場をデザインする、究極のカスタマイズ型オートバトラーなのである。

    無限の組み合わせが生む、唯一無二のビルド

    本作には150種類以上のアイテムとスキルが用意されており、それらの組み合わせは文字通り無限に近い。筆者が特に感銘を受けたのは、「タグシステム」による相乗効果の深さだ。

    武器やモジュールには「メカ」「魔法」「ペット」などのタグが付与されており、同じタグを持つアイテムを集めることで強力なシナジーが発生する。例えば「メカビルド」なら火力を極限まで高められるし、「魔法ビルド」ならマナ再生に特化した持久戦が可能になる。

    Steamコミュニティで話題になっていたのは、「ネクロスタッフ+爆発ビルド」だ。あるプレイヤーは18時間のプレイセッション(途中3時間の仮眠含む)で、エンドレスモード107ウェーブまで到達したという。各ラウンドの処理時間が長すぎて、フレームレートが60FPSから4~5FPSまで低下するほどの物量だったらしい。

    また、別のプレイヤーは「クロス+インダクター+ダイナマイトビルド」で圧倒的な戦果を報告している。配線の可能性は、プレイヤーの創意工夫によってどこまでも広がっていくのだ。

    ローグライク要素が生む、中毒性の高いリプレイ性

    本作はタワーディフェンスでありながら、ローグライク要素を色濃く持っている。各ラウンドの合間にショップが現れ、そこで新しいモジュールやアイテムを購入できる。だが、何が並ぶかはランダムだ。

    つまり、毎回のプレイで異なる戦略を強いられる。前回はメカビルドで圧勝したのに、今回はメカパーツがまったく出ない――そんなときは、魔法やペットに切り替えて戦術を練り直す必要がある。この予測不可能性が、本作の中毒性を生み出している。

    用意されているのは3つのユニークなエリアで、それぞれ異なる敵タイプとボスが登場する。通常の難易度をクリアしたら、次は「上昇難易度(Ascending Difficulties)」に挑戦できる。そして最終的には、どこまで生き残れるかを試すエンドレスモードが待っている。

    新しい発想を求める者へ

    筆者が『Wireworks』に感じたのは、開発者JJJの「既存のジャンルに新風を吹き込みたい」という強い意志だ。本作は、タワーディフェンスという確立されたジャンルに、プログラミング的思考と物理演算ベースの配線システムを持ち込むことで、まったく新しい遊びを提示している。

    確かに、タグベースのシナジーシステムには改善の余地がある。Steamレビューでも「メカ・魔法・ペット以外のアイテムが弱すぎる」という指摘が見られる。また、2マス占有するアイテムの価値が低いという声もある。だが、これらは早期アクセスではなく正式版としてリリースされた現在、今後のアップデートで調整されていく可能性が高い。

    何より重要なのは、本作が「ただの模倣ではない、独自の体験」を提供していることだ。配線を繋ぎ、信号を組み合わせ、シナジーを発見する――この過程には、他のどのゲームにもない知的快感がある。

    Steam評価は154件のレビューで89%が好評という圧倒的な支持を得ている。価格も20%オフの期間中なら非常にお手頃だ。タワーディフェンスに飽きた人、プログラミング的思考が好きな人、そして「今までにない何か」を求めている人には、間違いなくオススメできる一作である。

    配線の一本一本が命綱であり、設計図であり、戦場を支配する意志そのもの――『Wireworks』は、そんな新しいストラテジーの形を教えてくれる。

    基本情報

    開発: JJJ
    販売: JJJ
    リリース日: 2026年3月9日
    価格: 600円(通常時)※セール時20%オフで480円
    プラットフォーム: PC (Steam)
    プレイ人数: シングルプレイヤー
    言語: 英語、日本語
    ジャンル: タワーディフェンス、ローグライクデッキ構築、オートバトラー、ストラテジー
    Steam評価: 非常に好評(89% – 154件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/4206270/Wireworks/

  • 「打てば死ぬ」の絶望。タイピングが凶器に変わるメタホラー『Dyping Escape』

    「打てば死ぬ」の絶望。タイピングが凶器に変わるメタホラー『Dyping Escape』

    画面に現れた不気味な目玉に促されるまま「Please kill me(私を殺してください)」と打ち込んだ瞬間、ゲームオーバー。打った言葉が現実になる。この恐怖を、あなたは想像できるだろうか。

    無料ゲーム投稿サイト「unityroom」で50万回以上プレイされた『DYPING』が、大幅にパワーアップしてSteamに登場。開発元はHeaviside Creations、パブリッシャーはPLAYISMが担当してい

    る。2026年3月13日にリリースされたばかりのこの作品は、Steam評価92%(108件のレビュー中)という高評価を獲得している。

    「打てば現実になる」恐怖のタイピングシステム

    本作の核心は、プレイヤーが打ったテキストがそのままゲーム内の現実として襲いかかってくるという、極めてメタ的なホラーメカニクスにある。

    ゲームマスターを名乗る不気味な目玉の指示に従い、プレイヤーは画面に表示される文章をそのまま打ち込んでいく。最初は「言われた通りにキーを打てばいいですからね。頭を使う必要はまったくありません」という親切な(?)言葉に導かれ、単純なタイピング練習かと思いきや、やがて不穏な契約書への署名を強要される。

    そして恐怖の本番が始まる。「Please kill me」と打てば即死。「I offer you my left eye(私の左目を捧げます)」と打てば……何が起こるかは想像に難くない。打たなければ先に進めない。しかし打てば破滅が待っている。この理不尽な絶望こそが『Dyping Escape』の真骨頂だ。

    メタ的恐怖が第四の壁を破壊する

    本作が秀逸なのは、単なるテキストベースホラーに留まらず、プレイヤーのPC環境そのものをゲームの一部として取り込む点にある。

    ゲーム内では、あなたのPC環境から取得した情報が表示されることがある。システム時刻を変更しなければ進めない謎解き、PCのファイルシステムを操作させられる悪夢、そして自分のコンピュータが徐々に壊れていくかのような演出。ゲームと現実の境界が曖昧になり、「本当に自分のPCは大丈夫なのか?」という不安が頭をよぎる。

    このため、配信者向けには「ストリーマーモード」が用意されており、個人情報の表示を防ぐ配慮がなされている。逆に言えば、それほどまでにゲームは現実に介入してくるということだ。

    実際、Steamコミュニティでは「システム時刻変更後、ゲームを再起動しないと認識されない」といった技術的な壁に阻まれるプレイヤーも。ゲームは容赦なく、プレイヤーに「ゲームの外」での行動を要求する。BioShockの「Would you kindly?」を彷彿とさせる、指示に従う行為そのものへの問いかけがここにはある。

    猫との協力で脱出を目指せ

    絶望的な状況の中、唯一の希望となるのが、古代のゲームから目覚めた謎の猫だ。この猫はプレイヤーの味方となり、目玉の悪意に対抗する手段を教えてくれる。

    ゲームは全3章構成で、各章ごとに異なるエンディングが用意されている。プレイヤーの選択や行動次第でストーリーが分岐し、タイピングゲームのスコアシステムまで搭載。Sランクを目指すやり込み要素もある。

    さらに、ローグライク要素として「フラグメント」と呼ばれるカードシステムが存在する。これは文字や単語を改変できるアイテムで、目玉が課す理不尽な死を回避するための切り札となる。プレイごとに異なるフラグメントが手に入るため、毎回新しい戦略を考える楽しみがある。

    レトロなビジュアルと不穏なサウンド

    本作のビジュアルは手描きのピクセルアート。2Dのドット絵で描かれたキャラクターやUI要素は、一見するとカジュアルな印象を与えるが、その裏に潜む狂気が徐々に滲み出てくる。

    サイケデリックな色使いと不協和音が混ざり合ったBGMは、プレイヤーの精神を徐々に削っていく。ジャンプスケアや流血表現に頼らない、じわじわと迫りくる心理的恐怖が本作の持ち味だ。

    開発者Heaviside Creationsの情熱

    開発を手がけたHeaviside Creationsは、日本の個人開発者。前作『DYPING』がunityroomで大きな支持を集めたことを受け、PLAYISMとタッグを組んで本作を完成させた。

    無料版から有料版への進化は単なる拡張ではなく、ストーリーの大幅な追加、新メカニクスの実装、より深いホラー体験の構築という形で結実している。Indieゲームシーンにおけるメタフィクションホラーの新たな地平を切り開いた作品と言えるだろう。

    本作は「INDIE Live Expo 2025.4.13 Official Selection」や「BitSummit the 13th AWARD – Innovative Outlaw Award」のノミネート作品でもあり、業界内でも高い評価を受けている。

    まとめ:タイピングの先にある恐怖

    『Dyping Escape』は、タイピングという日常的な行為を恐怖の源泉に変えた野心作だ。ゲームと現実の境界を曖昧にし、プレイヤーの意思決定そのものを問いかけるメタホラー体験は、従来のホラーゲームとは一線を画している。

    日本語・英語・簡体字中国語に対応しているため、言語の壁も低い。ただし、ゲームの性質上、タイピングスキルがある程度必要となる点は留意してほしい。

    現在、発売記念セールとして10%オフの990円で購入可能(セール期間は3月28日まで)。通常価格1,100円という手頃な価格で、この濃密なホラー体験を味わえるのは大きな魅力だ。

    無料デモ版も配信されており、セーブデータは製品版に引き継ぎ可能。気になる方はまずデモ版から試してみることをオススメする。

    「打ちたくない言葉を打たされる恐怖」。それは、あなたがキーボードに触れるたびに蘇る悪夢となるだろう。


    基本情報

    開発: Heaviside Creations
    販売: PLAYISM
    リリース日: 2026年3月13日
    価格: 通常1,100円/ 発売記念セール990円(3月28日まで)
    プラットフォーム: PC(Windows)
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語、英語、簡体字中国語
    ジャンル: タイピングホラー、心理的ホラー、インタラクティブフィクション
    Steam評価: 非常に好評(92% – 108件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3406810/Dyping_Escape/
    Steam(デモ版): https://store.steampowered.com/app/4080380/Dyping_Escape_Demo/

    公式リンク

    公式サイト: https://playism.com/en/game/dyping-escape/
    X (Twitter): https://x.com/HeaviCre
    YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCno9JtoeBA2Lev5x8y34hIQ

  • 『Don’t Starve』のKleiが仕掛ける新境地! 『Rotwood』はローグライトとベルトスクロールが見事に融合したハクスラアクションだ

    『Don’t Starve』のKleiが仕掛ける新境地! 『Rotwood』はローグライトとベルトスクロールが見事に融合したハクスラアクションだ

    「Kleiの新作って、いつもジャンルがバラバラじゃない?」サバイバルホラーの『Don’t Starve』、ステルスアクションの『Mark of the Ninja』、そしてカードRPGの『Griftlands』……確かに統一感はないけど、そのどれもがインディーズゲーム界に強烈な爪痕を残してきた名作ばかり。そんなKlei Entertainmentが満を持して送り出したのが、2026年3月3日に正式リリースされた『Rotwood』だ。

    Castle Crashersの正統進化系!? だけど、それ以上のものがある

    本作を初めて見たとき、多くの人が「あれ? Castle Crashersっぽくない?」と思ったはず。実際、筆者もそう感じた。横スクロールのベルトアクション、最大4人協力プレイ、カラフルなビジュアル……確かに表面的には似ている。でも、プレイしてみると驚くほど違う。

    『Rotwood』が他のベルトスクロールアクションと一線を画しているのは、ローグライトとハック&スラッシュの要素を完璧に融合させている点だ。Castle Crashersでは各キャラクターの技がほぼ同じで、長時間プレイするとどうしてもマンネリ化してしまった。しかし『Rotwood』は違う。ハンマー、スピア、キャノン、ボールという4種類の武器はそれぞれまったく異なる戦闘スタイルを提供し、さらにスキルやパワーアップの組み合わせで、毎回新鮮な体験が味わえる。

    特に注目すべきはキャノンだ。通常の回避ボタンがリロードに置き換わり、強攻撃で後方に吹っ飛びながら敵を攻撃する。つまり、移動手段そのものが戦闘アクションになっているのだ。弾数管理、ポジショニング、タイミング……この武器ひとつで、ゲーム全体の戦い方が劇的に変わる。こんな大胆な武器設計、なかなかお目にかかれない。

    スキルこそがすべて! 運より実力が勝敗を分ける設計

    ローグライト系のゲームでよくある不満が「運ゲーすぎる」という点だ。たまたま強力なアイテムを引けたから勝てた、逆に引けなかったから負けた……そんな展開にウンザリした経験がある人も多いだろう。

    しかし『Rotwood』は違う。公式が明言している通り、「真の達成感はスキル、適応力、正確な実行から生まれる」という哲学が貫かれている。確かにパワーアップはランダムで出現するが、それはあくまでスパイスに過ぎない。各武器の攻撃パターンを習得し、敵の行動を理解し、回避のタイミングを完璧に掴む……そうしたプレイヤー自身の成長こそが、攻略の鍵なのだ。

    実際、ハンマーを使えば特定の攻撃中にジャンプしてダメージを回避できるし、スピアは多段ヒットで手数勝負が可能。ボールは投げて跳ね返ってきたところを再度打ち返す、まるでテニスのような戦い方ができる。こうした武器ごとの個性を理解し、使いこなせるようになった瞬間、本作の本当の面白さが開花する。

    ボス戦の緊張感が尋常じゃない

    各エリアの最後には強力なボスが待ち構えている。こいつらがまた、手強い。攻撃パターンが複雑で、弱点を見極めて武器を使い分けないと突破できない。しかも、リスポーンは拠点に戻されるだけで、装備やスキルはそのまま持ち越せるとはいえ、一度死ぬと再びボスまで辿り着くのが面倒だ。

    でも、だからこそ勝てたときの達成感が凄まじい。ボスを倒すと、次のエリアに進むために必要なユニークな素材が手に入る。この「倒さなければ先に進めない」という明確なゴール設定が、緊張感とモチベーションを高めてくれる。

    そして何より、協力プレイでのボス戦がめちゃくちゃ楽しい。4人で役割分担しながら、「お前は遠距離で削ってくれ! 俺が前衛でヘイトを稼ぐ!」なんてやり取りをしながら巨大なボスに立ち向かう興奮は、ソロでは絶対に味わえない。

    拠点建設で冒険を支える温かみ

    戦闘だけでなく、拠点建設要素も本作の大きな魅力だ。ダンジョンで集めた素材を使って、果樹園や農場、工房を建設し、仲間を雇って拡張していく。これが単なるおまけではなく、しっかりとゲームプレイに組み込まれている。

    拠点で作った装備やアイテムは次の冒険に持っていけるし、素材を効率よく集めるために何度も同じダンジョンに潜る……というメタプログレッションのサイクルが心地よい。戦闘で疲れたら拠点に戻って建設を楽しみ、またダンジョンへ……この緩急のバランスが絶妙だ。

    Klei特有のアートスタイルが光る

    Kleiといえば、独特のコミック調アートスタイルだ。『Rotwood』でもその伝統はしっかり受け継がれており、ケモノキャラクターたちが暴れまわる様子は見ているだけで楽しい。

    特に敵デザインが秀逸で、堕落したRotと呼ばれるクリーチャーたちは、可愛さと不気味さが同居している。一見ポップなのに、どこか邪悪な雰囲気が漂う……この絶妙なバランスがKleiらしい。

    早期アクセスから2年、ついに完成した傑作

    本作は2024年4月にSteam早期アクセスとして登場し、約2年の開発期間を経て2026年3月3日に正式リリースされた。その間、Kleiは丁寧にアップデートを重ね、プレイヤーのフィードバックを反映してきた。

    正式リリース版では、新たなエンディング、最終ボス、そして「Super Frenzy」と呼ばれるエンドゲームコンテンツが追加されている。つまり、クリア後もやり込める要素がたっぷり用意されているのだ。

    Steamでの評価は?

    現在のSteam評価は全体で91%が好評(2,069件のレビュー)、直近30日では63%(57件)とやや下がっているが、これは正式リリース直後の混乱期によくある現象だろう。長期的にはポジティブな評価が安定すると予想される。

    ソロでも楽しい、でも協力プレイが真骨頂

    『Rotwood』はソロでも十分楽しめるが、やはり最大4人協力プレイこそが真骨頂だ。ローカル協力プレイとオンライン協力プレイの両方に対応しており、友達と一緒にワイワイ遊ぶも良し、野良マッチで見知らぬプレイヤーと共闘するも良し。

    特に、難易度が4段階用意されており、上位難易度では協力が必須になってくる。「簡単すぎてつまらない」なんてことはまず起きないので安心してほしい。

    結論:ハクスラ×ベルトスクロール好きなら絶対買い

    『Rotwood』は、ベルトスクロールアクションの爽快感、ハック&スラッシュの中毒性、ローグライトのリプレイ性、そして拠点建設の温かみを見事に融合させた傑作だ。

    Klei Entertainmentというブランドに恥じない、圧倒的なクオリティと独自性。『Don’t Starve』や『Mark of the Ninja』が好きだった人はもちろん、『Castle Crashers』や『Hades』のようなゲームを楽しんだ人にも全力でオススメしたい。

    唯一の欠点は……中毒性が高すぎて時間が溶けることくらいだろうか。筆者も「あと1回だけ……」が何度「あと10回」になったか分からない。


    基本情報

    開発: Klei Entertainment
    販売: Klei Entertainment
    リリース日: 2026年3月3日(正式版)
    価格: ¥3,400(税込)
    プラットフォーム: PC (Steam), Nintendo Switch 2
    プレイ人数: 1-4人(ローカル協力 / オンライン協力)
    言語: 日本語対応(フルローカライズ)
    ジャンル: ハック&スラッシュ、ローグライト、ベルトスクロールアクション、ダンジョンクローラー
    Steam評価: 非常に好評(91% – 2,069件のレビュー)


    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2015270/Rotwood/


    公式リンク

    公式サイト: https://www.klei.com/games/rotwood
    X (Twitter): https://x.com/klei
    Discord: https://discord.gg/klei
    YouTube:https://www.youtube.com/kleient
    Twitch: https://www.twitch.tv/kleientertainment

  • 7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    「デッキ構築型ローグライクの続編なんて、どうせ焼き直しでしょ?」しかし、2026年3月6日にSteamで早期アクセスが開始された『Slay the Spire 2』は違った。リリースからわずか24時間で同時接続プレイヤー数が約40万人を突破し、Steam売上ランキング1位を獲得。前作が2017年に記録した193人という初日同時接続数と比較すると、なんと92,982%増という驚異的な数字を叩き出している。

    開発はシアトルを拠点とするインディースタジオMega Crit。Anthony GiovannettiとCasey Yanoの2人が創業したこのスタジオは、前作『Slay the Spire』で「デッキ構築型ローグライク」というジャンルそのものを確立した伝説的な存在だ。続編の開発は慎重に進められ、2024年4月の発表から約2年を経ての早期アクセスリリースとなった。

    「同じ」ことこそが最大の誠実さ

    本作最大の特徴は、良い意味で「前作とほぼ同じ」であることだ。ユニークなデッキを構築し、奇怪な生物と遭遇し、強力なレリック(遺物)を発見しながらスパイアの頂上を目指す——この核となるゲームループは一切変わっていない。戦闘はターン制で、限られたエネルギーを使ってカードをプレイし、敵の行動パターンを読みながら立ち回る緊張感も健在だ。

    「7年も待たせてこれか?」という声も確かに存在する。Steam レビューには「前作の慎重すぎるコピー」「新鮮味がない」といった指摘も散見される。しかし、筆者はあえて言いたい。ローグライクにおける「同じ」とは、必ずしも悪ではない。むしろ、システムの根幹が揺るがないことは、続編としての「誠実さ」の表れなのだ。

    前作で完成されていたゲームデザインに無理な変革を加えず、プレイヤーが本当に求めていた「もっと遊びたい」という欲求に真正面から応えた——これこそが『Slay the Spire 2』の真価である。

    5体のキャラクター、500枚超のカード、275種類のレリック

    プレイアブルキャラクターは全5体。前作から続投するアイアンクラッド(筋肉ゴリラ系近接戦士)、サイレント(毒とドローに特化した暗殺者)、ディフェクト(電気とオーブを操るロボット)に加え、新キャラとしてリージェント(デバフと弱体化のスペシャリスト)とネクロバインダー(死霊術師)が登場する。

    注目すべきは、前作で人気を博したウォッチャーが今作には登場しないこと。これは早期アクセス段階での判断であり、開発チームは今後のアップデートで追加する可能性を示唆している。実際、Mega Critは「1~2年の早期アクセス期間中にコンテンツを追加・調整していく」と明言しており、ウォッチャーのファンは続報を待つことになる。

    カードは500枚以上、レリックは275種類以上と、組み合わせのバリエーションは膨大だ。前作プレイヤーなら懐かしいカードが多数登場する一方、新カードも約30~40%を占めており、「85%が前作と同じ」というレビューは正確ではない。むしろ、既存カードの効果が微調整されているケースが多く、前作の知識が完全に通用しないバランスになっている点が重要だ。

    エンチャント、年代記、そして卵から孵る相棒

    新要素として最も目を引くのが「エンチャント」システムだ。これは、選択したカードに特定の効果を付与する新機能で、ボス撃破後やイベントで獲得できる。たとえば「種まきエンチャント」をアタックカードに付与すれば、そのカードをプレイするたびに追加効果が発動する仕組みだ。

    「年代記(Timeline)」システムも新登場。これは、スパイアの歴史やNPCの背景ストーリーを断片的に解き明かしていくコレクション要素で、何度も挑戦するうちに世界観の全貌が見えてくる仕掛けになっている。前作ではほとんど語られなかった設定が、今作では「実際にコミュニティが形成されている」という描写に変わっており、ストーリー面での進化を感じさせる。

    そして個人的に最も気に入っているのが、「卵イベント」で孵化させられる相棒キャラクターだ。筆者の初回プレイでは、前作で敵として登場していたビャードという鳥型クリーチャーが味方として参戦。戦闘中に隣で「スウープ(急降下攻撃)」してくれるその姿に、思わず「このコのために死ねる」と感じた。相棒キャラは複数種類存在し、それぞれ異なる支援効果を持つため、どの卵を引けるかも運の要素となっている。

    4人協力プレイという革命

    『Slay the Spire 2』最大の新要素は、間違いなく「4人協力プレイ」だ。前作が完全ソロ専用だったのに対し、本作ではフレンドと最大4人でスパイアに挑戦できる。マルチプレイ専用カードやチームシナジーが用意されており、協力してルートを選択し、報酬を共有しながら進む体験は、ソロプレイとは全く異なる魅力を持つ。

    現時点ではマッチメイキング機能はなく、Steamフレンド招待でのみグループが組める仕様だ。ボイスチャット機能も実装されていないため、DiscordやSteamの通話機能を併用する必要がある。ただし、ピング機能(地点指示)やエモート機能は実装予定とのことで、コミュニケーション手段は今後拡充される見込みだ。

    「マルチプレイがこのゲームのハイライト」というレビューも多く、ソロでは味わえない戦略の深さと、フレンドを「沼に引きずり込む」楽しさが評価されている。実際、筆者も初日にフレンドと2人でプレイしたが、「あと1ターン」が「気づけば明け方」に変わる中毒性は健在だった。

    早期アクセスの現実:バグと未完成要素

    ただし、早期アクセス版であることを忘れてはいけない。リリース初日には、すべてのテキストが「W」の文字で埋め尽くされる通称「WWWWバグ」が発生し、一部言語では進行不能に陥った。マルチプレイ終了後にゲームがソフトロック(進行不能状態)する不具合も報告されており、Mega Critは即日ホットフィックスで対応したものの、完全には解消されていない。

    Steamアチーブメントは現時点で無効化されている。これは、今後追加されるコンテンツ量が確定していないためで、正式リリース時に実装予定だ。真のエンディングもまだ存在せず、現在プレイできるのは3つのアクト(章)までとなっている。

    Steam Deckでの動作は「Unknown(不明)」ステータスだが、ユーザーレビューでは「完璧に動作する」「バッテリー持ちも良好」という報告が多数上がっている。Godotエンジンを採用したことで、前作のUnityエンジンよりも軽量化されており、ネイティブLinux対応も実現している。

    「同じ」だからこそ、また沼に堕ちる

    バグや未完成要素を飲み込んでなお、プレイヤーを徹夜へと誘う「中毒性の原液」がここにはある。前作で400時間以上プレイし、全キャラクターで最高難度アセンション20をクリアした筆者ですら、「早くアンインストールしないと人生が終わる」と感じているのだ。

    Steam評価は「圧倒的に好評」(97%ポジティブ、レビュー数2万件超)を記録しており、初日からこれほど高評価を維持している早期アクセスタイトルは極めて珍しい。「前作と同じだけど、それが最高」「デッキ構築型ローグライクの決定版が帰ってきた」「鳥の相棒が可愛いから10/10」といったレビューが並ぶ。

    基本情報

    開発: Mega Crit Games
    販売: Mega Crit Games
    リリース日: 2026年3月5日
    価格: 2,800円
    プラットフォーム: PC(Steam)、macOS、Linux
    プレイ人数: 1~4人(協力プレイ対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、その他全22言語
    ジャンル: ローグライク、デッキ構築、カードゲーム、ターン制戦略
    Steam評価: 圧倒的に好評(97% – 20,534件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2868840/Slay_the_Spire_2/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.megacrit.com/
    X (Twitter): https://x.com/MegaCrit
    Discord: https://discord.gg/slaythespire
    Reddit: https://www.reddit.com/r/slaythespire/
    TikTok: https://www.tiktok.com/@megacritgames

  • ヒゲを蓄えし戦士たちの軍団、戦場を駆ける!オーストリアの個人開発者が生んだ「時間が溶ける」オートバトラー『ドワーフオートバトル』

    ヒゲを蓄えし戦士たちの軍団、戦場を駆ける!オーストリアの個人開発者が生んだ「時間が溶ける」オートバトラー『ドワーフオートバトル』

    「オートバトルなんてスマホゲーと一緒でしょ?」しかし、『ドワーフオートバトル』は違った。4年の歳月をかけて丹精込められたこの作品は、一見シンプルなゲームデザインの奥に、数百時間遊べる底なしの戦略性とビルドの多様性を隠し持っていた。

    オーストリアの個人開発者Ichbinhamma氏が手がけた本作は、2023年8月の早期アクセス開始から約2年半を経て、2026年1月22日にSteam、iOS、Android、Nintendo Switchで正式リリースを迎えた。Steam版のユーザーレビューは1,762件中82%が好評という「非常に好評」ステータスを獲得。レビューには「気づいたら時間が溶けている」「数百時間プレイしている」という声が散見される、まさに中毒性のあるタイトルだ。

    3人のドワーフから始まる、果てしなき戦いの旅

    本作のゲームループは実にシンプルだ。プレイヤーは新米指揮官として、貧弱な装備しか持たない3人のドワーフと出会う。彼らを装備で強化し、新たな戦士を雇い入れ、次々と押し寄せるオークの軍団を倒していく。戦闘が終わるたびに3つの選択肢が提示され、次の行動を選ぶ。モンスターと戦ってレベルアップするか、装備を購入するか、新たな戦士を雇用するか──。

    だが、このシンプルさこそが罠だった。戦闘はオートで進行するため、プレイヤーがすべきことは戦う前の準備だ。10人までのドワーフ軍団をどう編成するか、誰にどの装備を与えるか、どのフォーメーションを採用するか。この事前準備の段階で、プレイヤーは無限に近い選択肢と向き合うことになる。 <image>

    本作の最大の特徴は「装備がすべてを決める」という点だ。ドワーフたちは与えられた装備によって、タンクにも魔法使いにもアサシンにもなる。固定された職業はなく、プレイヤーの判断次第でどんな役割も演じられる。序盤は質素な装備で苦戦を強いられるが、戦場から集めたゴールドと経験値で徐々に軍団を強化していく。鍛造システムでアイテムを合成し、倉庫システムで装備を管理し、スキルツリーで能力を解放していく。この積み重ねが、やがて数百体のオークを蹂躙する圧倒的な軍団を生み出す。

    装備シナジーこそがすべて!

    正式版では、早期アクセス版から大幅な再構築が施された。開発者のIchbinhamma氏は「職業の役割+装備シナジー+バースト感」を軸に据え、どの流派でも完成時に明確な個性と爽快感を発揮できるよう調整したという。

    装備は6段階のレアリティ(ノーマル、グッド、レア、エピック、レジェンダリー、ミシック)に分かれており、全24種類のセット装備が用意されている。セット装備を揃えれば特殊ボーナスが発動し、軍団の戦闘力が飛躍的に向上する。さらに、バイオームごとに装備のステータスが変化するため、敵の編成や戦場の環境に応じて装備を使い分ける戦略性が求められる。

    フォーメーションも重要な要素だ。ベルセルカーフォーメーションで近接職を強化するか、レンジャーフォーメーションで遠距離攻撃を重視するか、ファランクスフォーメーションで全員の速度を統一するか。最大2つのフォーメーションを同時に発動でき、バフの重ねがけによる爆発的な火力や防御力を実現できる。

    プレイヤーたちの間では「ウォープリーストが最強」「いやビーストマスターこそトップDPS」「ファイアメイジが最高」と論争が絶えない。だが、それこそが本作の魅力だ。どのクラスも装備と編成次第で圧倒的な強さを発揮できる。無限のビルドの可能性が、プレイヤーを飽きさせない。

    個人開発者の4年間が生んだ奇跡

    本作を手がけたIchbinhamma氏は、オーストリア在住のフルタイムインディーゲーム開発者だ。ドワーフとカカポ(絶滅危惧種の鳥)をテーマにしたゲームを制作しており、本作は彼の最新プロジェクトである。

    開発期間は4年に及び、早期アクセス開始からわずか1ヶ月で35,000本を売り上げるという快挙を成し遂げた。その成功の秘訣は、Redditでの早期公開と配信者たちの支援だった。開発開始から4ヶ月後にWebプレイ可能版を公開し、プレイヤーからのフィードバックを積極的に取り入れた。SplatterCatをはじめとする配信者たちが本作を見つけ、「これは脳に何かをしている。続けたくなる」と評価。その「あともう1ターン」という感覚が、多くのプレイヤーを虜にした。

    Ichbinhamma氏は「UI全体の刷新と、元々1つだったカードデッキを3つに分割したこと」が大きな改善だったと語る。プレイヤーからの細かなQoL改善の指摘を実装することで、ゲームの質が劇的に向上したという。開発者としては気づきにくい小さな変更が、プレイ体験を大きく向上させることを実感したそうだ。

    永遠の戦いへ──エンドコンテンツの深淵

    本作の真の魅力は、エンドコンテンツにある。ルーンサークルと呼ばれる永続的なスキルツリーで、ジェムとルーンポイントを消費して基礎ステータスやアルティメットスキルを強化できる。このシステムがあるため、何度敗北しても次のランが確実に強くなっていく。

    しかし、プレイヤーたちが指摘する問題もある。「ジェム集めが長すぎる」「ルーンサークルが高額すぎる」「すべてを解放するには70時間でも足りない」。目標のビルドを完成させるまでに、数十時間の周回が必要になることもある。だが、逆に言えばそれだけ長く遊べるコンテンツが詰まっているということだ。

    正式版では最終ボス「フォージデーモン」が追加され、エターナルバトルモードでは無限に続く戦いに挑戦できる。リーダーボードには6,000ウェーブ以上到達したプレイヤーも存在し、コミュニティでは「10人プリーストビルド」「カカポスタッフ9本+ジン1本」といった極限ビルドが共有されている。

    敵もウェーブが進むにつれて凶悪になっていく。サンダースタッフを持ったオークが後衛を瞬殺し、ハンマーオークがドワーフを吹き飛ばし、毒ダメージで勝利後も戦士が倒れる。ひとつの判断ミスが軍団の壊滅につながる緊張感が、プレイヤーを画面に釘付けにする。

    誰でも楽しめる、でも極めるのは一生かかる

    本作の難易度設定は幅広い。イージーモードでゆっくり学びながら進めるもよし、ハードモードで歯ごたえのある挑戦を楽しむもよし、デスモードで極限の緊張感を味わうもよし。コントローラーとSteam Deckにも対応しているため、どこでも気軽にドワーフ軍団を率いることができる。

    一方で、極めようとすればするほど奥深さが見えてくる。装備のステータスロール、フォーメーションの組み合わせ、敵の行動パターンの学習、ビルドの最適化。シンプルな見た目に反して、本作は驚くほど戦略的なゲームだ。

    Steamのレビューには「70時間プレイしてもまだ全部解放できていない」「数百時間遊んでいる」という声が並ぶ。まさに「時間が溶ける」という表現がぴったりのゲームだ。仕事の合間の息抜きに、と思って起動したら、気づけば数時間が経過している。そんな中毒性が本作にはある。

    ヒゲを蓄え、斧を掲げ、栄光のために!

    『ドワーフオートバトル』は、一見するとシンプルなオートバトラーに見える。だが、その奥には無限のビルドの可能性と、数百時間遊べる深いゲームプレイが隠されている。個人開発者が4年をかけて磨き上げた本作は、ローグライクRPGとオートバトルの融合という新しい体験を提供してくれる。

    装備を整え、軍団を編成し、オークの大軍を蹂躙する。この単純な繰り返しが、なぜこれほど楽しいのか。それは、すべての選択に意味があり、すべての戦いに学びがあり、すべての敗北が次の勝利への糧となるからだ。

    モバイル版とNintendo Switch版も配信されているため、どこでもドワーフ軍団を率いることができる。「あともう1ターン」の誘惑に負けて、数百時間を捧げる覚悟があるなら、ぜひこの戦場に足を踏み入れてみてほしい。

    ヒゲを蓄え、斧を掲げ、栄光と死と戦利品を求めて──。Rock and Stone!

    基本情報

    開発: Hamma Studios (Ichbinhamma)

    販売: Sidekick Publishing, Gamersky Games

    リリース日: 2026年1月22日(正式版)

    早期アクセス開始日: 2023年8月16日

    価格: 1,700円(通常価格)

    プラットフォーム: PC (Steam), iOS, Android, Nintendo Switch

    プレイ人数: 1人

    言語: 日本語対応(全22言語対応)

    ジャンル: オートバトラー, ローグライク, RPG, ストラテジー Steam評価: 非常に好評 (82% – 1,762件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2205850/_/

    公式リンク

    公式サイト: https://dwarves.ateo.ch

    X (Twitter): https://x.com/KakapoCalypse

    Discord:https://discord.com/invite/kwYUam5zfn

    YouTube: https://www.youtube.com/@ichbinhamma

  • 完全無料なのにここまでできるの!? ソロ開発者が贈る物理演算カオスCoopゲーム『Delivery &Beyond』

    完全無料なのにここまでできるの!? ソロ開発者が贈る物理演算カオスCoopゲーム『Delivery &Beyond』

    「無料のインディーゲームって実際そんなに遊べるの?」しかし、『Delivery & Beyond』は違った。ソロ開発者FailCakeが完全無料でリリースしたこのゲームは、リリースからわずか数日でSteamレビュー89%という驚異的な評価を獲得。TikTokやRedditでバズったその理由を、実際にプレイして確かめてみた。

    配達?いいえ、カオスです

    本作は最大5人でプレイできるオンライン協力ゲームで、プレイヤーは怪しい配達会社「&Beyond」の社員となる。会社からの指示は明確だ。「契約を取れ。配達しろ。ノルマを達成しろ」。しかし、肝心の「どうやって」については一切説明がない。

    ゲームが始まると、プレイヤーはオープンワールドマップ上に配置された様々な建物に侵入し、家具や電化製品などをかき集めて「Delivery Maker 3000」という謎のマシンに投げ込む。すると、集めたガラクタが配達用パッケージに変換され、それを指定された場所に届ければミッション完了というわけだ。

    問題は、そのプロセスが想像以上にカオスだということ。建物への正規の入り口なんて使わない。窓をぶち破り、壁を突き破り、時には屋根から侵入する。椅子を投げ、机を破壊し、パソコンを粉々にする。そして警察が来る前に逃げ出す。これはもはや配達ではなく、強盗だ。

    プロップサーフィンこそがすべて!

    本作の最大の特徴は「プロップサーフィン」と呼ばれる移動システムだ。これは、ゲーム内のあらゆる物体に乗って移動できる物理演算ベースのメカニクスで、ファイルキャビネット、樽、オフィスチェア、果てはドラム缶まで、立てる物なら何でも乗り物になる。

    実際の操作は単純だ。物体を掴み、その上に立ち、そのまま投げる。すると物体が飛んでいく方向にプレイヤーも一緒に飛ばされる。これを使えば、橋のない深い谷を越えたり、高い壁を乗り越えたり、時には建物の屋上まで一気に到達できる。

    問題は、物理演算が予測不可能だということ。椅子に乗って華麗に谷を飛び越えたと思ったら、着地に失敗して奈落の底へ真っ逆さま。仲間が投げた机に轢かれて即死。自分が投げたドラム缶が跳ね返って自爆。マルチプレイでは、こうした予期せぬ事故が笑いを誘う。

    Garry’s Modのような物理サンドボックスの自由度と、Lethal Companyのような協力プレイの緊張感が見事に融合している。Reddit上では「友達と遊んだら3時間があっという間だった」「無料ゲームとは思えないクオリティ」といったコメントが溢れている。

    吸引、破壊、そして配達

    各プレイヤーは特殊な掃除機のようなツールを装備しており、これであらゆる物体を吸い込める。小さなゴミ箱から巨大な冷蔵庫まで、サイズは関係ない。すべて吸い込んで、スクラップに変換し、Delivery Maker 3000に投入する。

    ゲームの基本ループはシンプルだ。契約を受ける → 建物に侵入 → スクラップを集める → 配達用パッケージを作成 → 脱出 → ノルマ達成。しかし、各ステージには時間制限があり、さらに様々な敵や罠が待ち構えている。

    敵の種類も多彩で、警備員、自動砲台、謎の生物など、ステージごとに異なる脅威が登場する。これらから逃げながら、仲間と協力してスクラップを集め、制限時間内に脱出する。一見単純だが、プロップサーフィンによる予測不可能な動きが加わることで、毎回異なる展開が生まれる。

    ソロ開発者の情熱が生んだ奇跡

    『Delivery & Beyond』の開発者はFailCakeという名のソロインディー開発者だ。GitHubのプロフィールには「ただのクレイジーな開発者」とだけ書かれており、本作以外にもUnity向けのツールやゲームエンジンの開発を手掛けている技術者だ。

    実は本作、2022年のGitHub Game Jamで初めてプロトタイプが公開されており、約3年の開発期間を経て2026年1月27日に正式リリースされた。開発者自身が「ソロ開発だからできることには限界がある」とコミュニティに投稿しているが、その限界を感じさせない完成度に多くのプレイヤーが驚いている。

    特筆すべきは、本作が完全無料で提供されており、マイクロトランザクションや広告も一切ないという点だ。開発者はBlueskyで「自分のおかしなハイエナゲームをプレイしてくれてありがとう。本当にモチベーションになる」と感謝のメッセージを投稿。コミュニティの応援を受けて、今後もコンテンツ追加とバグ修正を続けていく予定だという。

    Steam史上最高の無料ゲーム体験

    本作は2026年2月初旬にバズり、ScreenRantが「Steamの新作無料ゲームが高評価すぎて信じられない」という見出しで記事を掲載したことで一気に注目を集めた。発売から1ヶ月で600件以上のレビューを集め、その89%が好評という数字は、無料ゲームとしては異例の高評価だ。

    ゲームの長所は明確だ。完全無料、友達と最大5人で遊べる、物理演算によるカオスな展開、プレイごとに異なる体験、そして何よりソロ開発者の情熱。一方で短所もある。日本語非対応、チュートリアルが不親切、時々発生するバグ、そしてあまりに自由すぎて何をすればいいか分からなくなることがある。

    しかし、それでも本作は「友達を誘ってとりあえず遊んでみる」価値が十分にある。無料なので試すリスクはゼロ。週末の数時間を仲間と笑いながら過ごすには完璧なゲームだ。

    Lethal CompanyやR.E.P.O.が好きな人、物理演算ゲームが好きな人、とにかくカオスな協力プレイを楽しみたい人にオススメしたい。『Delivery & Beyond』は現在Steamで無料配信中。ダウンロードすれば永久に遊べるので、この機会を逃す手はない。

    基本情報

    開発: FailCake
    販売: FailCake
    リリース日: 2026年1月27日
    価格: 無料
    プラットフォーム: Steam (Windows, Mac, Linux)
    プレイ人数: 1-5人(最大15人まで可能)
    言語: 英語のみ
    ジャンル: 協力プレイ / 物理演算 / カオス / アクション
    Steam評価: 非常に好評(89% – 602件のレビュー)

    購入リンク

    Steam

    公式リンク

    Discord
    Bluesky