カテゴリー: RPG

  • 言葉の魔法で世界を救う――亡き友への追悼が紡ぐ『Master Lemon: The Quest for Iceland』

    言葉の魔法で世界を救う――亡き友への追悼が紡ぐ『Master Lemon: The Quest for Iceland』

    「ゲームでここまで泣かされるとは思わなかった」――プレイを終えたとき、筆者は画面を前にしばらく座ったままでいた。

    『Master Lemon: The Quest for Iceland』は、多言語話者として生きた一人の青年への、開発者からの愛に満ちた手紙だ。しかしそれは決して過去だけを見つめる作品ではない。言語が持つ力、文化が織りなす多様性、そして人と人とのつながりが、ゲームを通じてプレイヤーの心に確かに刻まれていく。

    実在の友人への追悼から生まれた物語

    本作の主人公・レモンは、ブラジル人開発者Julio(開発スタジオPepita Digitalの代表)の親友だったAndré Lima――通称”Lemon”――をモデルにしている。現実のLemonは複数の言語を操るポリグロット(多言語話者)で、アイスランド語の習得とアイスランドでの生活を夢見ていた。2015年、彼はついにその夢を叶え、アイスランドに移住しオーロラを見ることができた。しかし2016年、交通事故により帰らぬ人となった。

    『Master Lemon』は、そんな友人の情熱と冒険心を永遠に残すために作られた作品だ。ゲーム内で主人公レモンが習得する言葉の数々――アイスランド語、ポルトガル語、マオリ語、その他10以上の言語――はすべて、現実のLemonが愛し、学んだものたちである。

    アイスランドへ向かうはずが、異世界に?

    ゲームは1990年代後半のブラジルから始まる。主人公レモンは長年の夢だったアイスランドへの旅立ちを目前に控え、家族や友人たちに見送られている。しかし飛行機に乗り込もうとしたその瞬間、不思議な霧に包まれ、彼は「バシールの島々」と呼ばれる異世界へと引き込まれてしまう。

    この世界では、記憶を蝕む疫病「闇」が蔓延しており、住人たちは自分たちのアイデンティティや大切な言葉を次々と失いつつある。世界の中心にそびえる「グランドツリー」が枯れかけており、このままでは世界そのものが崩壊してしまう。そんな絶望的な状況の中、レモンは自分が持つ「言語への情熱」という特別な力を使って、バシール族を救い、元の世界に帰る道を探すことになる。

    言葉そのものが”魔法”になるゲームシステム

    本作最大の特徴は、言葉が文字通りの魔法として機能するシステムだ。レモンが習得する言葉の一つひとつに、ゲーム内で実際の効果がある。

    例えば、最初に習得するアイスランド語の「Ratljóst(ラトリョースト)」は「道を照らすのに十分な光」を意味し、ゲーム内では闇を払い、新しいエリアへの道を切り開く力となる。ブラジル・ポルトガル語の「Gambiarra(ガンビアーラ)」は「即興の解決策」を意味し、アイテムを組み合わせてパズルを解くクラフト機能として実装されている。

    言葉を習得するたびに、新しい対話の選択肢が開かれ、隠されたアイテムが見つかり、バシール族のNPCたちが失った記憶を取り戻す手助けができる。言語学習そのものがゲームの進行と密接に結びついている設計は、実にユニークだ。

    バシール族との出会い――文化の多様性

    レモンが旅する島々には、それぞれ異なる文化的背景を持つバシール族のマスターたちが住んでいる。マオリ族をモチーフにしたキャラクター、アラブ文化圏のモチーフを持つキャラクター、北欧神話を思わせる存在――彼らはそれぞれの文化に根ざした言葉と哲学を持っており、レモンはそれらに触れながら世界を理解していく。

    各キャラクターのビジュアルデザインは非常に丁寧で、登場した瞬間にその文化的ルーツが伝わってくる。ピクセルアートでありながらも、衣装や装飾、立ち姿から文化の違いがはっきりと描き分けられているのだ。

    プレイヤーは単にパズルを解くだけでなく、彼らの悩みや喜び、失われた記憶に寄り添いながら、言葉を通じて心を繋いでいく。それは、現実のLemonがさまざまな国の人々と築いた絆そのものの再現でもあるのだろう。

    懐かしさを感じさせるピクセルアートと音楽

    ビジュアル面では、温かみのあるピクセルアート表現が本作の雰囲気を支えている。トップダウン視点で描かれる世界は、往年の『ゼルダの伝説』シリーズを彷彿とさせつつも、現代的なライティングやアニメーションが加わることで、ノスタルジアと新鮮さが同居している。

    各島には独自の色彩とデザインが施されており、探索するたびに新しい発見がある。隠された遺物(全124個)を集めるコレクション要素もあり、隅々まで歩き回る楽しさがある。昼夜のサイクルも存在し、夜になると灯りが灯る街の様子は、どこか郷愁を誘う。

    音楽も素晴らしい。島ごとに異なるアンビエント調のBGMが流れ、静かでありながらも感情を揺さぶる旋律がプレイヤーを包み込む。ナレーションや言葉の発音も丁寧に収録されており、言語学習ゲームとしての側面も妥協がない。

    ストーリーの深さ――運命と選択

    物語が進むにつれ、レモンはゲーム内の友人ルリオ(開発者Julioの分身)との対話を深めていく。二人は夢や未来について語り合い、時には哲学的な問いを投げかけ合う。

    そして終盤、プレイヤーは衝撃的な事実に直面する。ゲームは「運命と選択」というテーマを正面から扱っており、レモンが直面する決断は、プレイヤー自身の人生観を揺さぶるものだ。一部のレビューで「ゲームの終わりが最初から示されているのに、それでも感動する」と評されているのは、まさにこの構造の巧みさゆえだろう。

    複数のエンディングが用意されているが、どのルートを選んでも、このゲームが伝えたいメッセージ――人生は短く、だからこそ夢を追い、大切な人とのつながりを大事にすべきだ――は変わらない。

    Steam評価100%の圧倒的支持

    2025年11月4日にリリースされた本作は、Steam上で100%の高評価(82件のレビュー時点)を獲得している。これは驚異的な数字だ。

    海外メディアからも高い評価を受けており、Game Blastは9/10、Omeleteは4/5、The Escapistは「静かな傑作」と称賛している。Metacriticでも85点を記録し、インディーゲームとしては異例の成功を収めている。

    プレイ時間は4〜5時間程度と短めだが、その中に詰め込まれた情熱と愛情は計り知れない。「短いがゆえに、一つひとつの瞬間が濃密で忘れられない」という声が多く寄せられている。

    日本語対応で誰でも楽しめる

    本作は英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語に加え、日本語にも完全対応している。ただし、一部のレビューでは日本語フォントの表示に中国語フォントが混在する問題が報告されており、開発チームは修正に取り組んでいる。

    操作はキーボードでも可能だが、コントローラーの使用が推奨されている。Steam Deckでも動作確認済みで、携帯モードでゆったりとプレイするのにも適している。

    価格は通常1,476円(Steam)で購入可能だ。Xbox Series X|S、PlayStation 5、Nintendo Switchでも発売されており、各プラットフォームで1,400円〜2,300円程度となっている。

    これは、あなた自身への問いかけでもある

    『Master Lemon: The Quest for Iceland』は、単なるパズルアドベンチャーではない。それは、夢を追うことの尊さ、言語を学ぶことで広がる世界、そして大切な人との絆が人生にどれほどの意味を持つかを、静かに、しかし力強く問いかけてくる作品だ。

    プレイを終えたとき、あなたは自分自身に問うだろう――「自分の夢は何だろう?」「それを叶えるために、どこまで進む覚悟があるだろう?」と。

    レモンの旅は、Andréの旅であり、開発者Julioの旅であり、そしてプレイヤーであるあなた自身の旅でもある。この小さなゲームが心に残した灯火は、きっと消えることはない。

    ゲーム開発者のDraco(劇中のキャラクター)はこう言った――「ゲームとは、コードで書かれた魔法ではないか」と。まさに『Master Lemon』は、そんな魔法のひとつだ。


    基本情報

    開発: Pepita Digital
    販売: Pepita Digital, Mecrew Games, Gixer Entertainment
    リリース日: 2025年11月4日
    価格: 1,480円(Steam)/ 1,400円〜1,980円(各コンソール)
    プラットフォーム: PC(Steam), PlayStation 4/5, Xbox One/Series X|S, Nintendo Switch
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語
    ジャンル: アドベンチャー, パズル, RPG, ナラティブ
    Steam評価: 圧倒的に好評(100% – 82件のレビュー)


    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3070390/Master_Lemon_The_Quest_for_Iceland/
    Xbox Store: https://www.xbox.com/games/store/Master-Lemon-The-Quest-for-Iceland/9N6T9S4DV3JV
    Nintendo eShop: https://www.nintendo.com/us/store/products/master-lemon-the-quest-for-iceland-switch/


    公式リンク

    公式サイト: https://www.masterlemon.com/
    X (Twitter): https://x.com/masterlemongame
    Discord: https://discord.gg/uSnc7TgM5V

  • 「RPGは戦わなくてもいい」——100万語を超える圧倒的文章量で描く、記憶喪失刑事の魂の物語『Disco Elysium ‐The Final Cut』

    「RPGは戦わなくてもいい」——100万語を超える圧倒的文章量で描く、記憶喪失刑事の魂の物語『Disco Elysium ‐The Final Cut』

    「あなたは誰ですか?」

    目が覚めると、ホテルの部屋だった。何もかもが痛い。頭も、胃も、心も。鏡を見ても、自分が誰なのかわからない。名前も、職業も、何をしていたのかも、すべてが空白だ。窓の外には凍てついた街並み。そして、ホテルの裏庭には首を吊られた男の死体が──。

    これが『Disco Elysium – The Final Cut』の幕開けだ。

    本作は2019年にZA/UMが開発・販売した、「戦闘のないRPG」という革新的なコンセプトで世界を驚かせた傑作の完全版である。オリジナル版で獲得した数々のゲーム・オブ・ザ・イヤー(Game Awards、BAFTA、D.I.C.E. Awardなど)に加え、The Final Cutでは全編フルボイス化、新規クエスト追加、コンソール版展開を実現。Steam評価は92%という驚異的な数字(55,064件のレビュー)を叩き出し、「ビデオゲーム史上最高の文章」との呼び声も高い。

    筆者が本作を初めてプレイしたのは、友人から「これはゲームじゃない、文学だ」と強く勧められたからだ。正直「また大げさな」と半信半疑だったのだが……プレイ開始から数時間で、その言葉の意味を理解することになった。

    戦闘ゼロ、会話100%——革新的なRPGシステム

    『Disco Elysium』最大の特徴は、一切の戦闘が存在しないことだ。代わりにあるのは、膨大な量の会話と選択肢。プレイヤーは記憶を失った刑事ハリー・デュボアとして、相棒のキム・キツラギとともに殺人事件の捜査を進めていく。

    しかし、この「会話」が尋常ではない。本作には24種類のスキルが存在し、それらすべてが「内なる声」としてプレイヤーに語りかけてくるのだ。論理(Logic)、共感(Empathy)、内陸帝国(Inland Empire)、身体的器用さ(Physical Instrument)……これらのスキルは単なるステータスではなく、まるで多重人格のように、それぞれ独自の視点でハリーにアドバイス(または妨害)をする。

    例えば、ある人物と話しているとき。論理は「この証言には矛盾がある」と冷静に分析し、共感は「彼は何かを隠している、怯えているんだ」と感情を読み取り、内陸帝国は「この部屋の壁紙には意味がある……過去の記憶が……」と超感覚的な洞察を囁く。プレイヤーは、これら複数の声を聞きながら、どの選択肢を選ぶかを決めることになる。

    この「思考キャビネット(Thought Cabinet)」システムも秀逸だ。ハリーが考えついた思想や哲学を「研究」することで、新たな視点やボーナスを得られる。「共産主義者になる」「ファシストを気取る」「超自由主義者として生きる」「中道主義者として無難に立ち回る」……政治的立場さえも、プレイヤーの選択次第で形成されていくのだ。

    ダイスロールが決める運命——TRPGの魂

    本作のシステムは、テーブルトークRPG(TRPG)の『Dungeons & Dragons』を強く意識している。重要な行動には必ず「スキルチェック」が発生し、2つのダイスを振って判定が行われる。

    成功率は表示されるが、100%でない限り失敗の可能性がある。そして失敗もまた、ストーリーの一部なのだ。筆者は初回プレイで、重要な証拠を発見するチェックに失敗し、まったく別の展開に進んでしまった。しかし、それが「間違い」ではなく、「もうひとつの物語」だったのだ。

    この偶然性こそが、本作に深いリプレイ性をもたらしている。同じ場面でも、ダイスの目次第で展開が変わる。セーブ&ロードで最適解を探すこともできるが、本作はむしろ「失敗を受け入れる」プレイを推奨している。完璧な刑事ではなく、欠陥だらけの人間としてハリーを演じる——それこそが、このゲームの真髄だ。

    言葉の力だけで殺人事件を解決する

    捜査の舞台となるのは、レヴァショルという架空の都市の一角、マルティネーズ地区だ。かつて世界の首都として栄えたレヴァショルは、革命と戦争を経て廃墟と化し、今は外国の連合体による統治下にある。労働者のストライキ、貧困、絶望——この街は「失われたもの」の象徴だ。

    プレイヤーはこの街を自由に探索し、住民たちと会話を重ねて情報を集めていく。印象的なのは、登場人物たちの深い造形だ。クレーンの上のコンテナに住む巨漢、教会で空中ブランコに興じる麻薬中毒者、レイシズムに染まったボディビルダー、自宅から締め出されてホームレスになった男……誰ひとりとして「その他大勢」ではない。全員に物語があり、信念があり、弱さがある。

    そして、彼らとの会話を通じて、プレイヤーは事件の真相に迫っていく。武器は言葉だけ。説得、脅迫、共感、論破——すべては選択肢とダイスロールで決まる。殺人事件の謎を解くだけでなく、ハリー自身が「何者であったか」「何者になるのか」を探る旅でもある。

    フルボイス化で蘇る、100万語の物語

    The Final Cut最大の追加要素は、全編フルボイス化だ。オリジナル版では一部のキャラクターのみ音声があったが、The Final Cutでは登場人物全員、さらにはナレーションまでもが声優によって演じられている。

    この声の力は絶大だった。特にハリーの内なる声たち——24のスキルそれぞれが異なる声優によって演じられている——は、まるで本当に頭の中で複数の人格が議論しているかのような臨場感をもたらす。論理の冷静な男性ボイス、共感の優しい女性ボイス、内陸帝国の神秘的な囁き……これらが同時に語りかけてくる体験は、ゲームというメディアでしか味わえないものだ。

    また、The Final Cutでは4つの新規政治クエストも追加された。共産主義、ファシズム、超自由主義、中道主義——それぞれの思想を深掘りするクエストで、プレイヤーの政治的選択に応じて解放される。ただし、1周で体験できるのは1つだけ。すべてを見るには、複数回のプレイが必要だ。

    エストニアの魂が生んだ、政治と哲学のRPG

    本作を語る上で欠かせないのが、開発チームの背景だ。リードデザイナーのロバート・クルヴィッツはエストニア出身の小説家で、本作の舞台となるエリュシウム世界は彼が15歳から構築してきたものだという。

    クルヴィッツは自身を共産主義者と公言しており、執筆デスクにはレーニンの胸像が置かれている。しかし、本作は単純なプロパガンダではない。むしろ、あらゆる政治思想を平等に風刺し、解体する作品だ。

    共産主義者として振る舞えば、理想主義の虚しさを突きつけられる。ファシストを選べば、憎悪と恐怖の源泉を掘り下げられる。超自由主義者なら、資本主義の冷酷さを体感する。中道主義者であっても、無関心の罪を問われる。本作は、どの立場も美化せず、すべてを問いかけの対象とするのだ。

    この深い政治性こそが、本作を「大人のゲーム」たらしめている。表面的な善悪ではなく、グレーゾーンでの葛藤。正解のない問いへの向き合い方。ゲームとして楽しみながらも、プレイ後には必ず「自分はどう思うか」を考えさせられる——それが『Disco Elysium』の魔力だ。

    開発スタジオの崩壊と、残された遺産

    しかし、本作の成功の裏には、悲劇的な物語がある。2022年、クルヴィッツを含む主要クリエイター3名がZA/UMから解雇された。公式発表では「不正行為」が理由とされたが、当事者たちは「投資家による乗っ取り」だと主張している。

    その後、元メンバーたちは3つの新スタジオ(Longdue Games、Dark Math Games、Summer Eternal)を立ち上げ、それぞれ『Disco Elysium』の精神的後継作を開発中だ。一方、ZA/UM本体は新作『ZERO PARADES: For Dead Spies』を2026年リリース予定としているが、オリジナルチームがいないZA/UMに何ができるのか、ファンの間では懐疑的な声も多い。

    だが、『Disco Elysium – The Final Cut』という作品自体は、永遠にそこにある。17,000パターンのエンディング、174時間のイベントシーン、100万語を超えるテキスト——人生を費やしても遊び尽くせない、圧倒的な物語がそこにはある。

    人生が足りない。だから、今すぐ始めよう

    正直に言おう。『Disco Elysium』は万人向けではない。戦闘がなく、アクションもなく、ひたすら文章を読み、選択肢を選ぶゲームだ。人によっては「退屈」と感じるかもしれない。

    しかし、もしあなたが物語を愛し、言葉の力を信じ、人間の複雑さに興味があるなら——このゲームは、あなたの人生を変えるかもしれない。

    筆者は初回プレイで約25時間を費やし、2周目では全く異なる政治思想とキャラクタービルドで約30時間プレイした。そして今、3周目を始めようとしている。なぜなら、まだ見ぬ物語があるからだ。まだ話していないNPCがいるからだ。まだ選んでいない選択肢があるからだ。

    「人生が足りない」——その言葉の意味が、今ならわかる。

    『Disco Elysium – The Final Cut』は、PC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、Android、iOSで発売中。日本語完全対応。価格はSteam版で4,100円。

    さあ、レヴァショルへ。あなた自身の物語を見つけに。


    基本情報

    開発: ZA/UM
    販売: ZA/UM
    リリース日: 2019年10月15日(オリジナル版)/ 2021年3月30日(The Final Cut)
    価格: 4,100円(Steam)
    プラットフォーム: PC(Steam)、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch、Android、iOS
    プレイ人数: 1人(シングルプレイ)
    言語: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語など
    ジャンル: RPG、アドベンチャー、推理、CRPG
    Steam評価: 圧倒的に好評(92% – 55,064件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/632470/Disco_Elysium__The_Final_Cut/

    公式リンク

    公式サイト: https://zaumstudio.com/
    X (Twitter): https://x.com/studiozaum

  • ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    『Viractal(ヴィラクタル)』は、2025年9月のアーリーアクセス開始から約4ヶ月、プレイヤーの声を丁寧に拾い上げながら完成させた本作。ダイスロールとデッキ構築という一見相反する要素を見事に融合させた、まさに”奇跡のハイブリッド作品”だったのだ。

    Steamでの評価は非常に好評(89%)、レビュー数は200件を超え、プレイ時間2〜3時間という手頃さとリプレイ性の高さで多くのプレイヤーを虜にしている。『Dokapon Kingdom』を生み出したStingの新作ということで注目を集めていたが、実際にプレイしてみると、それは単なる”Dokaponの後継”ではなく、『Slay the Spire』的なデッキ構築と協力プレイの楽しさを掛け合わせた、全く新しいゲーム体験だった。

    ダイス運に翻弄されない! DPシステムこそがすべて!

    本作の最大の特徴は「ダイスロールで移動」という一見運任せなシステムを、「DP(ダイスポイント)システム」で戦略的な選択肢に昇華させた点だ。

    ダイスを振って出た目の分だけマップを移動する――これだけ聞くと完全に運ゲーに思えるが、ここが『Viractal』の素晴らしいところ。使わなかった移動ポイントは「DP」として蓄積され、イベントでの選択肢を増やしたり、戦闘で強力なバフをかけたりできるのだ。

    つまり、「6が出たけど1マスしか進みたくない」という状況でも、残りの5ポイントはDPとして保存され、後々の冒険で活きてくる。この仕組みのおかげで、ダイスの出目が悪くてもガッカリすることがない。むしろ「あえて移動せずにDPを溜める」という戦略すら成立するのだ。

    Steamのレビューでも「運要素があるのに運ゲーじゃない絶妙なバランス」と評されており、この設計の巧みさがプレイヤーから高く評価されている理由のひとつだろう。

    プロシージャル生成が生む、毎回違う冒険

    『Viractal』の舞台となる箱庭世界「ヴィラクタリア」は、プレイするたびにマップがランダム生成される。同じステージでも配置が変わるため、毎回異なる戦略が求められるのだ。

    正式版では全4つのステージが用意されており、それぞれ「ドラゴンの庭園」「雲と氷のスカイハーモニア」「溶岩と魔王城」、そして3つのステージを統合した最終章「旅の記憶」という構成になっている。各ステージは約2〜3時間でクリアできるため、仕事や学校で忙しい人でも気軽に1周できる絶妙な長さだ。

    特に「旅の記憶」ステージでは、パーティーメンバーが分かれて別々のクエストに挑み、最終的に3つのボスと連戦するという熱い展開が待っている。まるでTRPGのキャンペーンを体験しているかのような没入感があり、フレンドと協力プレイすれば興奮は倍増する。

    カードバトルは軽量級『Slay the Spire』!? でも奥深い!

    戦闘システムはカードバトル形式で、手札から選んだカードを使って敵を倒していく。『Slay the Spire』のようなヘビーなデッキ構築ゲームと比べるとシンプルだが、それゆえに戦略の幅が広い。

    カードは攻撃、防御、バフ・デバフ、特殊効果など多岐にわたり、冒険中に手に入れたカードをデッキに追加したり、不要なカードを削除したりできる。さらに、キャラクターごとに固有のスキルカードがあり、レベルアップ時に獲得できるアビリティと組み合わせることで、自分だけのビルドを構築できる。

    正式版で追加された新キャラ「ムギ(コボルト)」は、同じカードを連続使用することでボーナスダメージを得られる攻撃的なプレイスタイルが特徴。既存のキャラクターとは一線を画す戦い方ができるため、プレイの幅がさらに広がった。

    また、戦闘中にDPを消費することで強力なバフを発動できるため、「ここぞ」という場面でのリソース管理が勝敗を分ける。このシステムのおかげで、運だけでなくプレイヤーの判断力が試される戦略性の高いバトルが楽しめるのだ。

    協力プレイが生む”友情と裏切り”のドラマ

    『Viractal』は最大3人までのオンライン協力プレイに対応しており、ソロプレイとは全く異なる体験ができる。フレンドと一緒に冒険すれば、難敵も協力して倒せるし、アイテムを融通し合うこともできる。

    しかし、本作には「悪魔のささやき」という特殊なシステムが存在する。これは一部のイベントで発動し、仲間を裏切ることで自分だけが利益を得られるという……まさに友情破壊装置のような仕組みだ。ボイスチャットをしている場合、契約が成立すると声が変化するという演出まであり、プレイヤー同士の駆け引きが熱い。

    Steamのレビューでも「友達と遊んで3時間があっという間に過ぎた」「協力しているつもりが気づいたら騙されていた」といった声が多く、マルチプレイの評価は非常に高い。特に『Dokapon Kingdom』のような対戦要素ではなく、あくまで”協力”がベースになっている点が好評だ。

    アーリーアクセスから正式版へ――開発者の誠実な姿勢

    『Viractal』は2025年9月にアーリーアクセス版としてリリースされ、約4ヶ月間でプレイヤーからのフィードバックを丁寧に反映してきた。初期は「バグが多い」「バランスが悪い」といった厳しい意見もあったが、開発チームは定期的にアップデートを重ね、UIの改善、バトルバランスの調整、新コンテンツの追加を着実に進めてきた。

    特に2025年10月の「スカイハーモニア」アップデート、12月の「魔王城」アップデートでは新ステージと新キャラクターが追加され、プレイヤーからは「開発が本気で作り込んでいる」と高く評価された。そして2026年1月の正式版リリースでは、最終ステージ「旅の記憶」と新キャラ「ムギ」が実装され、ついに完成形となった。

    Steamのレビューを見ると、アーリーアクセス初期の低評価レビューと正式版後の高評価レビューで明確に温度差があり、開発チームの努力がしっかりと実を結んでいることがわかる。「最初は不満もあったが、今では自信を持っておすすめできる」という声も多く、誠実な開発姿勢が信頼を勝ち取った好例と言えるだろう。

    立体音響とボイスチャットが生む没入感

    本作のもうひとつの特徴が、ヤマハの仮想立体音響ソリューション「Sound xR Core」とCRI TeleXusを活用した音響システムだ。

    ヘッドフォンでプレイすると、川のせせらぎや風の音が立体的に聞こえ、戦闘シーンではキャラクターの位置に応じて音が変化する。まるでその場にいるかのような没入感があり、特にマルチプレイ時のボイスチャットでは「悪魔のささやき」イベントで声が変化する演出が非常に面白い。

    技術的な話になるが、CRI TeleXusはゲーム内ボイスチャットを簡単に実装できるミドルウェアで、『Viractal』ではこれを使って特殊な音声エフェクトを実現している。開発チームの技術力の高さが垣間見える部分だ。

    “万人向け”ではないが、ハマる人には刺さりまくる

    正直に言おう。『Viractal』は万人におすすめできる作品ではない。

    1プレイが2〜3時間と長めなこと、ダイスロールという運要素があること、協力プレイ前提のバランスになっている点など、人によっては合わない要素もある。実際、Steamのレビューでも「ソロプレイだとちょっと厳しい」「理不尽な展開が多い」といった意見も見られる。

    しかし、逆に言えば「2〜3時間でひとつの冒険を完結させたい」「運と戦略のバランスが絶妙なゲームが好き」「フレンドとワイワイ遊びたい」という人には最高にマッチする作品だ。特に『Dokapon Kingdom』や『Slay the Spire』、ボードゲームが好きな人なら、間違いなくハマるだろう。

    筆者も最初は「どうせすぐ飽きるだろう」と思っていたが、気づけば50時間以上プレイしていた。毎回違うマップ、毎回違うカード、毎回違う展開――この中毒性は他のゲームではなかなか味わえない。

    基本情報

    開発: Sting
    販売: Sting
    リリース日: 2026年1月25日(正式版)
    価格: 3,960円(税込)
    プラットフォーム: PC(Steam)
    プレイ人数: 1〜3人(オンライン協力プレイ、ローカル協力プレイ、LAN対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語
    ジャンル: ボードゲーム型RPG、デッキ構築、ローグライク、協力プレイ
    Steam評価: 非常に好評(89% – 200件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2909580/Viractal/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.sting.co.jp/
    X (Twitter): https://x.com/sting_pr
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.gg%2FxCPzGEtmbe

  • 「ペーパーマリオの新作、任天堂じゃなくてインディーが出したってマジ?」――『さよならエバーアフター』は、20年待ち続けたファンへの最高の回答だった

    「ペーパーマリオの新作、任天堂じゃなくてインディーが出したってマジ?」――『さよならエバーアフター』は、20年待ち続けたファンへの最高の回答だった

    「またペーパーマリオライクのインディーゲームか……」

    正直、最初はそう思っていた。『Bug Fables』や『Born of Bread』など、ペーパーマリオに影響を受けた作品は数あれど、本家を超えるものには出会えていなかった。しかし『さよならエバーアフター(Escape from Ever After)』は違った。プレイ開始から数時間で、筆者は確信した。

    これは、『ペーパーマリオRPG』の正統続編だ。

    カナダの2人組が6年かけて作り上げた傑作

    『さよならエバーアフター』を開発したのは、カナダ・モントリオールを拠点とするSleepy Castle Studio。驚くべきことに、このスタジオはたった2人で構成されている。Ryan Kitner氏がプログラミング、アニメーション、キャラクターアートを担当し、Daniel Whitworth氏がクリエイティブディレクター、レベルデザイン、脚本、そして音楽まで手掛けた。

    2020年から開発を開始し、Kickstarterで資金調達に成功。そこから6年の歳月をかけて、2026年1月23日にPC、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switchで同時リリースを果たした。価格は2,980円という非常にリーズナブルな設定だ。

    そしてその評価は驚異的だ。Steamでは1,010件のレビューで97%が好評という「圧倒的に好評」ステータスを獲得。Metacriticでは平均スコア81点、OpenCriticでも「Strong」評価を得ている。「ペーパーマリオライク」という枠を超え、本家を超えたと評する声さえ上がっているのだ。

    絵本の世界が、企業に乗っ取られた

    物語の主人公は、典型的なおとぎ話のヒーロー・フリント・バックラー。彼は宿敵である竜のティンダーを倒すため、何度目かの挑戦として彼女の城へと乗り込む。しかし城の中で待っていたのは、ティンダーではなく……受付係だった。

    「ようこそ、エバーアフター社へ!」

    城はいつの間にか企業のオフィスに改装され、ティンダーは投獄され、城中にコーヒー片手に報告書を書く社員たちが溢れていた。何が起きたのか?

    現実世界の巨大企業「Ever After Inc.」が、おとぎ話の世界に侵入する技術を開発したのだ。彼らの目的は、絵本の世界を安価な労働力と資源の供給源として搾取すること。ティンダーの城は企業の本社となり、次々とおとぎ話の世界が企業に飲み込まれていく。

    フリントが企業への就職を拒否すると、彼もまた投獄されてしまう。牢屋で再会したのは、かつての宿敵ティンダー。2人は力を合わせて脱獄し、企業に潜入して内部から破壊することを決意する。

    資本主義vs絵本の住人――このユニークすぎる設定が、本作最大の魅力のひとつだ。LinkedInのビジネス用語を皮肉った台詞、意味のない社内メール、無駄な会議……現代の企業文化への風刺が随所に散りばめられており、オフィスワーカーなら思わず苦笑いしてしまうだろう。

    アクションコマンドバトルの進化系

    『ペーパーマリオRPG』を知る人なら、本作のバトルシステムに即座に馴染めるだろう。ターン制バトルにアクションコマンドを組み合わせた仕組みで、攻撃時も防御時もタイミングよくボタンを押すことでダメージが増減する。

    しかし本作は単なる模倣ではない。完璧なタイミングでの防御に成功すれば、敵の攻撃を完全に無効化できる。さらに仲間キャラクターごとに異なるスキルセットがあり、バッジ(本作では「トリンケット」)システムで能力をカスタマイズできる。

    特筆すべきはシナジーシステム。特定のキャラクターの組み合わせで発動する強力な合体技で、戦略の幅が大きく広がる。敵の攻撃パターンを読み、どのキャラクターをパーティに編成するかを考え、バッジで能力を調整する――このパズル的な戦略性が、20時間以上のプレイを飽きさせない。

    レベルアップ時にはHP、MP、トリンケットポイントのいずれかひとつを強化できる仕様も秀逸だ。どのステータスを優先するかでプレイスタイルが変わり、リプレイ性が高まっている。

    難易度調整も柔軟で、アクションコマンドが苦手なプレイヤー向けにオートブロック機能も用意されている。ただし、手動でのタイミング取得にこそ本作の醍醐味があるので、できれば挑戦してほしい。

    ジャンルを超越する絵本の世界

    本作で訪れるステージは、まさにジャンルの大冒険だ。おとぎ話の森から始まり、ラブクラフト的なホラー、SF、ノワール探偵もの、さらには三匹の子豚が悪徳不動産業者になっている世界まで――各ステージが驚くほど異なる雰囲気を持っている。

    これらの世界は、Ever After Inc.が次々と侵略した「絵本の世界」という設定。企業が用意したテレページャー(転送装置)を使って、本の中に飛び込んで行くのだ。

    そして各ステージには探索要素がふんだんに盛り込まれている。隠しエリア、収集アイテム(サンジェムとインクボトル)、サブクエスト、そして各ステージの住人たちとの会話――どれも手抜きなく作り込まれている。

    特に仲間キャラクターの「応援」システムが秀逸だ。バトル中に仲間同士が会話を交わすのだが、これが単なるフレーバーテキストではなく、キャラクターの背景や関係性を深く掘り下げる内容になっている。全キャラクターの組み合わせで異なる会話が用意されているため、パーティ編成を変えるたびに新たな発見がある。

    ビッグバンドジャズが彩る冒険

    Daniel Whitworth氏が手掛けたサウンドトラックは、本作のもうひとつの主役だ。ジャズ、ビッグバンド調の楽曲が中心で、どのステージでも耳に心地よいメロディーが流れる。

    企業オフィスでは皮肉めいたビジネスライクな曲が流れ、海賊船では躍動感あふれる航海曲、ホラーステージでは不穏なサックスが響く――音楽が世界観を完璧に補完している。

    筆者は特にボス戦のBGMが気に入った。緊張感と高揚感が絶妙にブレンドされた楽曲で、何度聴いても飽きない。サウンドトラック単体でも購入できるので、気になる方はぜひチェックしてほしい。

    2人組が成し遂げた「奇跡」

    『さよならエバーアフター』は、開発者の愛情と情熱が隅々まで感じられる作品だ。

    たった2人で、6年かけて、プレイ時間20時間超のRPGを完成させる――これがどれほど狂気じみた偉業かは、ゲーム開発に携わったことがある人なら分かるだろう。プログラミング、アート、音楽、レベルデザイン、脚本、バランス調整、デバッグ……すべてを2人でこなしたのだ。

    そして完成した作品は、『ペーパーマリオRPG』の正統続編と呼ぶに相応しいクオリティを誇る。いや、もはや「超えた」と言っても過言ではないかもしれない。

    一部のレビューでは「防御のタイミングが取りづらい」「プラットフォーム要素が固定カメラのせいで難しい」といった指摘もある。確かに完璧な作品ではない。しかしそれらの欠点を補って余りあるほどの魅力が、本作には詰まっている。

    「本物のペーパーマリオ」がここにある

    『ペーパーマリオRPG』から20年。シリーズは方向性を変え、RPG要素を削ぎ落とし、かつてのファンたちは失望した。しかし諦めなかった2人のカナダ人が、ファンが求めていたものを作り上げた。

    絵本のようなビジュアル、戦略性の高いバトル、個性的なキャラクター、ジャンルを超越する冒険、そして現代社会への風刺――『さよならエバーアフター』は、すべてを兼ね備えている。

    「ペーパーマリオの続編が遊びたい」

    そう願い続けてきたすべてのゲーマーに、本作を強く推奨したい。任天堂が作らなかったゲームを、インディーデベロッパーが作り上げた。そしてそれは、紛れもない傑作だった。


    基本情報

    開発: Sleepy Castle Studio、Wing-It! Creative
    販売: HypeTrain Digital
    リリース日: 2026年1月23日
    価格: 2,800円(税込)
    プラットフォーム: PC(Steam、GOG、Epic Games Store)、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、中国語(簡体字)
    ジャンル: ターン制RPG、アドベンチャー
    Steam評価: 圧倒的に好評(97% – 1,010件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/1996390/Escape_from_Ever_After/
    GOG: https://www.gog.com/game/escape_from_ever_after

    公式リンク

    公式サイト: https://www.sleepycastlestudio.com/
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.com%2Finvite%2FjnTVrZrCyZ

  • アニメと弾幕が融合したら、こんなに気持ちいいとは!台湾発の超本格3Dアクション『炎姫』

    アニメと弾幕が融合したら、こんなに気持ちいいとは!台湾発の超本格3Dアクション『炎姫』

    「インディーゲームの3Dアクションって、モーションが微妙だったりするんでしょ?」しかし、台湾のCrimson Duskが送り出した『炎姫』は違った。このゲーム、学生の個人制作から始まったプロジェクトだというのに、大手パブリッシャーのタイトルに引けを取らない完成度なのだ。

    2026年3月4日にSteam版がリリースされ、早くもインディーアクションファンの間で話題沸騰中の本作。アニメ表現を追求した美麗なグラフィックと、ハックアンドスラッシュに3D弾幕を融合させた独自のゲームシステムが最大の特徴だ。

    「妖魔を祓う」という和風ファンタジー設定に、楠木ともりさん(炎姫役)、石見舞菜香さん(安役)ら豪華声優陣のボイスが華を添える。体験版をプレイした海外メディアからは「Metal Gear Rising: Revengeanceとアニメガールと弾幕メカニクスの融合」という評価も飛び出すほど、ジャンルの垣根を超えた魅力を持っている。

    パリィこそがすべて!気持ちよすぎる戦闘システム

    本作の最大の魅力は、なんといってもパリィシステムだ。敵の攻撃が赤く光る瞬間にボタンを押すことで、あらゆる攻撃を完璧に弾き返せる。巨大な骸骨の一撃も、妖魔が放つ光線も、すべてパリィで無効化できるのだ。

    最初は「普通のアクションゲームでしょ?」と軽い気持ちでプレイし始めた筆者だったが、パリィの気持ちよさに気付いた瞬間、完全に虜になった。敵の攻撃をギリギリで弾き、そのまま軽攻撃と重攻撃を織り交ぜたコンボを叩き込む。空中に打ち上げて追撃し、最後は地面に叩きつける——このリズムが実に爽快なのだ。

    ただし、パリィに頼りすぎると危険な場面もある。複数の敵に囲まれた状況や、ボス戦の弾幕フェーズでは回避ダッシュとの使い分けが必須。スタミナの管理も重要で、攻撃にも回避にも消費するため、連打しすぎると動けなくなってしまう。この「攻めと守りのバランス」が絶妙な緊張感を生み出している。

    海外レビューサイトのNoobFeedは「攻撃的で、正確で、柔軟なプレイヤーに報酬を与えるゲーム」と評価。またGameScoutのレビューでは「Sekiroにインスパイアされたパリィシステムで、ほぼすべての攻撃を弾き返せる」と指摘されており、死にゲーファンにも響く手応えが用意されている。

    3D弾幕×ハックアンドスラッシュという異色の融合

    もう一つの特徴が、ボス戦で本格化する3D弾幕要素だ。各ステージの最後には、強い感情を抱いたまま妖魔化した「妖魔少女」たちが待ち構えている。彼女たちは美麗で個性的なデザインながら、戦闘では容赦ない弾幕攻撃を繰り出してくる。

    弾幕シューティングのように画面を埋め尽くす光弾の隙間を縫って接近し、近接コンボを叩き込む。遠距離では安の力を使った「加護射撃」で応戦しつつ、妖魔がまとう瘴気を祓う——この近接と遠距離のシームレスな切り替えが、本作独自の戦闘スタイルを確立している。

    UK Anime Networkのレビュアーは「私の大好きな2つのアーケードジャンル(ハックアンドスラッシュと弾幕シューティング)を融合させており、キャラクターデザインも素晴らしく、プレイ感が美しい。これはゲーム・オブ・ザ・イヤー候補になりうる」と絶賛。また、Game8の英語版レビューでは「ハイブリッドゲームとして、両方のマインドセットで同時に考えることを自然に強制される」と評され、ジャンルの垣根を超えた体験が高く評価されている。

    台湾の学生プロジェクトが世界へ

    開発を手掛けたCrimson Duskは、台湾・台中市に拠点を置く小規模インディースタジオだ。代表のSam氏が個人で開発していた『炎姫』が台湾で大きな注目を集めたことをきっかけに、本格的な開発のためにスタジオを設立。本作が同スタジオのデビュー作となる。

    もともとは学生プロジェクトだったという本作だが、2022年の正式発表以降、日本のアニメ表現へのこだわりと完成度の高さで徐々に話題を集めていった。2025年10月にはSteam Next Festで体験版が公開され、非常に高い評価を獲得。その勢いのまま、2026年3月4日の正式リリースを迎えた。

    現在Steamでの評価は上々で、「想像以上に面白い」「パリィが気持ちいい」「ボス戦のデザインが秀逸」といったレビューが並ぶ。価格は2,480円(リリース後2週間は10%割引)と、この内容でこの価格は正直破格だ。

    妖魔たちの物語に引き込まれる

    本作のストーリーは、人間と妖が共存する世界が舞台。死の間際に強い感情や未練を残した霊魂は妖魔へと変化し、周囲を汚染してしまう。大神官から派遣された最高の妖祓い・炎姫と、補佐官の安は、5人の強大な妖魔少女たちを祓う任務に挑む。

    ファミ通のプレビュー記事では「敵対する妖魔は個性的でかわいいのがズルい。探索中に発見できる資料や会話からバックストーリーが読み取れるので、祓いたくなくなってしまう」と評されている。クールな炎姫と天真爛漫な安のコンビネーションも魅力的で、フィールド探索中の掛け合いが物語に彩りを添える。

    Noisy Pixelのレビューでは「妖魔たちは登場時間は短いが、彼女たちの歴史、目的、後悔について多くのことが読み取れる」と指摘。ストーリーは複雑ではないものの、限られた要素で魅力的な物語を紡いでいるという評価だ。

    プレイスタイルを広げる成長システム

    戦闘の楽しさを支えるのが、充実した成長要素だ。ステージ内の探索で「生命の結晶」「加護の結晶」を集めれば、最大HPと加護射撃の容量が増加。敵を倒して得た通貨で、櫛名田の店から新しいスキルやコンボ、装備「お守り」を購入できる。

    お守りはパッシブ効果を持つ装備で、攻撃力上昇や防御力強化など、さまざまな能力を付与してくれる。スキルツリーでは、強力な一撃を放つ技から範囲攻撃、空中コンボまで、多彩な選択肢が用意されている。自分好みの戦闘スタイルを構築できる自由度の高さが、リプレイ性を高めている。

    ステージデザインも秀逸だ。基本的には一本道の構成だが、隠された宝箱や収集要素、ミニゲームなどが随所に配置されており、探索のモチベーションを保ってくれる。ファミ通のレビューでは「ギミックを使って先に進んだり、バトルと探索のタイミングが両方あり、緩急がついているのもうれしい」と評価されている。

    唯一の弱点は「繰り返し」?

    ただし、本作にも弱点はある。GameScoutのレビューが指摘するように、5つ目のステージをクリアした後は、既存エリアの再訪とボスの再戦が続く構成になっている。新鮮味は薄れるものの、成長したキャラクターでボスを圧倒する爽快感は格別だ。

    また、プラットフォーム要素は戦闘ほど洗練されていない。ジャンプの硬さや、ダブルジャンプがない点など、改善の余地はある。とはいえ、これらは本作の魅力を大きく損なうものではなく、戦闘の気持ちよさが圧倒的にカバーしている。

    Try Hard Guidesのレビューでは「初回プレイなら一気にクリアできる短さ」と指摘されているが、同時に「レベルは何度も遊ぶように設計されており、新しいアビリティ、ステータス、レイアウトやボスパターンの知識を持って挑める」とも評価。短いながらも濃密な体験が詰まっている。

    アニメ表現へのこだわりが光る

    本作のビジュアルは、日本のアニメーションを徹底的に研究して作られている。キャラクターの動き、エフェクトの演出、カメラワークに至るまで、アニメ的な「決め」が随所に散りばめられており、プレイしていて「これ、アニメで見たい!」と思わせる瞬間が何度もある。

    声優陣も豪華だ。炎姫役の楠木ともりさん、安役の石見舞菜香さんに加え、櫛名田役に水野朔さん、小梅役に桜咲千依さんなど、実力派が集結。サウンドトラックも全82曲が収録されており、本編とセットのバンドル版も用意されている。

    ファミ通のプレビュー記事では「アニメらしい迫力が表現されているので、見ても楽しい一本」と評され、UK Anime Networkでは「キャラクターデザインと表現が一流」と絶賛されている。

    Switch 2版も2026年内に発売予定

    本作はSteam版に続き、2026年内にNintendo Switch 2版もリリース予定だ。2026年3月3日の「Indie World 2026.3.3」で正式発表され、モバイル機でもこの本格アクションが楽しめるようになる。

    アクションゲーム好き、弾幕シューティング好き、アニメ好き——どれか一つでも当てはまるなら、本作は間違いなく「買い」だ。2,480円という価格で、10時間以上の濃密な戦闘体験とリプレイ性が得られる。台湾の小さなスタジオが生み出した、大きな衝撃を体験してほしい。

    基本情報

    開発: Crimson Dusk
    販売: PLAYISM(Active Gaming Media Inc.)
    リリース日: 2026年3月4日(Steam)/ 2026年予定(Nintendo Switch 2)
    価格: 2,480円(Steam・リリース後2週間は10%割引)
    プラットフォーム: PC(Steam)、Nintendo Switch 2
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)
    ジャンル: 3Dアクション
    Steam評価: 非常に好評(発売直後のため評価件数は少ないが、体験版は高評価)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/1820000/_/

    公式リンク

    公式サイト: https://playism.com/game/homura-hime/
    X (Twitter): https://x.com/CD_HomuraHime
    YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCeC3zOK9Kkm9csHz8wFSOQw

  • 「Disco Elysiumの後継者」なんてレベルじゃない。TRPG好きが30年待ち続けた”あの感覚”を完全再現した『Esoteric Ebb』

    「Disco Elysiumの後継者」なんてレベルじゃない。TRPG好きが30年待ち続けた”あの感覚”を完全再現した『Esoteric Ebb』

    「Disco Elysiumみたいなゲーム、また出ないかな……」そう諦めかけていた矢先のことだった。

    2026年3月、PC Gamerはこう断言した。「まだ3月だが、断言しよう。『Esoteric Ebb』は2026年最高のRPGであり、Disco Elysiumの真の後継者だ」と。メタスコア88点、OpenCritic89点、Steam評価96%(295件のレビュー)──数字だけ見ても只者ではない雰囲気が漂う本作だが、実際にプレイしてみると、そこにはただの「模倣作」では片付けられない圧倒的な独自性があった。

    本作を手掛けたのは、スウェーデンの開発者Christoffer Bodegård。なんと2018年から8年間、ほぼソロで開発を続けてきたという狂気のプロジェクトだ。途中からイラストレーターや音楽プロデューサーが加わったものの、プログラミング、デザイン、そして75万語以上(指輪物語三部作を超える分量!)に及ぶダイアログの執筆まで、すべて彼一人の手によるものである。

    D&Dルールで動く会話バトル、これぞ「Disco-like」の真骨頂

    『Esoteric Ebb』の舞台は、アルカネパンク・ファンタジー世界「エソテリック・コースト」。魔法大戦の余波が残るこの世界では、ゴブリンが街角で新聞を売り、イデオロギーが死神の囁きを覆い隠している。そしてあなたは「聖職者(The Cleric)」──政府の下っ端として働く、秘儀的事件の専門家だ。

    ゲームは衝撃的なオープニングから始まる。あなたは死体安置所で目覚める。川底から引き上げられ、腐ったリンゴに囲まれ、いくつかの死体とゾンビ一匹と共に。そう、あなたは一度死んでいたのだ。

    そして任務が下る。5日後に控えた史上初の選挙を前に、街の中心でゴブリンの茶店が爆発した。原因は? 犯人は? 政治的動機があるのか? あなたには5日間という制限時間の中で、この謎を解明しなければならない。

    本作の最大の特徴は、D&D第5版ルールをDisco Elysiumスタイルの会話システムに完全統合したことだ。キャラクター作成では、STR(筋力)、DEX(敏捷)、CON(耐久)、INT(知力)、WIS(判断力)、CHA(魅力)という6つの能力値を配分する。そしてこれらの能力値が、Disco Elysiumの「スキル」のように内なる声として語りかけてくるのだ。

    INTは冷徹で時に残酷だ。野心を煽り、世界にはあなたのような指導者が必要だと囁く。それ自体は「秩序にして悪」であり、非政治的だ。一方でWISは共感的で、他者の痛みを理解しようとする。この能力値たちは互いに議論し、時には味方し、時には驚くような発言をする──まるで本当のTRPGセッションで、GMが各プレイヤーの性格を演じ分けているかのように。

    そして重要な選択や行動の多くはダイスロールで成否が決まる。会話中の説得判定、戦闘、さらには「恥ずかしいことを認める」ような場面でさえダイスが振られる──そして失敗すれば死ぬこともある。装備やD&D呪文(「Enhance Ability」や「Charm Person」など)を使えば判定に有利な修正を得られるが、運命の女神は気まぐれだ。

    この「ダイスの不確実性」こそが、本作にリプレイ性緊張感をもたらしている。筆者は初日、リンゴを大量に食べようとして腹痛で死亡した。ゾンビを説得して自殺させることに成功したかと思えば、次の瞬間には天使への口説きに大失敗して恥をかいた。

    本作は「クレリック」という職業の皮を被った自由奔放なロールプレイング

    さて、あなたは「聖職者」のはずだが、実はこれ、まったくの建前である。

    ゲーム開始直後から、あなたは他人に「実は俺、ローグなんだ(Dick-Ass Rogue)」と言い張ることができる。そして驚くべきことに、ゲームはそれを受け入れる。キャラクターシートまで変更される。「アルカナの聖職者」として魔法使い呪文を習得することもできるし、隠しクラスをアンロックすることも可能だ。

    レビュアーたちは口を揃えて言う。「俺は病弱なローグ聖職者でアイデンティティ危機を抱えたキャラを作った」「俺は常にDick-Ass Rogueだと主張し続けた、笑える結果になった」と。そう、本作は「あなたが何者であるか」すら、あなた自身の選択に委ねているのだ。

    そしてこの自由度は選択肢にも表れている。冒頭で出会う移民の村、ドルイド、ゴブリンの三つ巴状況において、あなたは:

    • ドルイドを助けてゴブリンのキャンプから仲間を救出する
    • 移民たちに警告して防衛準備を整える
    • ゴブリンに協力して村を襲撃する

    すべてが可能だ。そしてどの選択をしても、物語は分岐し、意味を持ち、そして進んでいく。あるプレイヤーは友人と4人マルチプレイし、「移民もドルイドもゴブリンも全員虐殺する」というジェノサイドルートを達成したという。モンクのハーフオークが波動拳でゴブリンをナムアミダブツする光景は、きっと忘れられない思い出になっただろう。

    これはDisc──いや、「Discworld」だ

    あるレビュアーが鋭い指摘をしている。「本作の核心はDiscoではなく、Discだ。Discworld、つまりテリー・プラチェットだ」と。

    確かに、本作はD&Dというシステムをプラチェットのようにユーモアと皮肉を込めて扱っている。「Charm Person」呪文や「Speak with Dead」が社会でどう規制されているか、アライメント(属性)システムが形而上学的にどう機能するのか──こうした設定を、登場人物たちは当たり前のこととして受け入れている。狂っているのは、むしろプレイヤーのほうなのだ。「なぜこんな世界なんだ?」と問いかけるのは、我々だけである。

    ノルヴィク市は「ガーズ!ガーズ!」や「ソウル・ミュージック」を思わせる。暗い階級闘争よりも、不条理を受け入れながら「それでも生きていく」人々の姿がそこにはある。

    そして探索要素も素晴らしい。本作には地下都市(City Below)が広がっており、秘密を発見し、パズルを解き、戦闘に挑むダンジョン探索がTRPG的なドラマチックさで展開される。ある時あなたは巨大化しすぎたゼラチナス・キューブに遭遇し、別の時には法律顧問として働く本物の悪魔と契約書の条項について議論する。

    「クエスティング・ツリー」──クエストログ、スキルツリー、マインドマップが融合した革新的システム

    本作独自のシステム「Questing Tree(クエスティング・ツリー)」も見逃せない。これはクエストログであり、スキルツリーであり、マインドマップでもある。

    クエストを完了すると、それが「根を張り」、あなたの心に定着する。そしてFeat(特技)としてゲームプレイに影響を与える。例えば「異性への判定に有利な修正」を得たり、新しいクラスをアンロックしたりできる。クエストは大小さまざまで、茶店爆発という大事件から、猫探し、許可証の問題解決といった小さなものまで多岐にわたる。

    そして本作は時間制限がある。5日後には選挙が行われ、物語は終わる。会話するたびに時間が進み、キャラクターは特定の時間・場所にしか現れない。すべてをこなすことは不可能だ。だからこそ、「今回は何をするか」「次回のプレイで何を試すか」という選択の重みが生まれる。

    技術的な問題はあるが、それを補って余りある魅力

    公平を期すため、欠点も述べておこう。一部のレビューでは技術的な問題が報告されている。画面が緑色のフィルターで覆われる不具合、影が奇妙に伸びるグラフィックバグ、Steam Deckでのパフォーマンス問題などだ。また、UI(特にインベントリ管理)がSteam Deckのゲームパッドでは扱いにくいという指摘もある。

    序盤の会話がやや「チュングス的」(※訳注:「ちょっと個性的すぎる」ニュアンス)で、トーンが安定しない部分もあるとの声もある。そして音声なしであるため、膨大なテキストを読む覚悟が必要だ(日本語は未対応)。

    だが、それでもなお──本作は傑作だ。

    開発者は「75万語以上(ロード・オブ・ザ・リング全三部作より多い)のテキスト」を用意しており、ローカライズには莫大なコストがかかると述べている。しかし、この文章量こそが本作の魅力の源泉でもある。会話の選択肢には「優しく」「冗談っぽく」といったトーン指定があり、主人公になりきって物語を紡ぐ体験は、まさにTRPGそのものだ。

    「これこそTRPGだ」──30年待ち続けた感覚がここにある

    筆者が最も感銘を受けたのは、本作がTRPGの「あの感覚」を完璧に再現していることだ。

    優秀なGMがいるセッション。プレイヤーが無茶な行動をしても、GMはそれを受け止め、即興で対応し、物語を転がしていく。ダイスの出目に一喜一憂し、予想外の展開に笑い、仲間との掛け合いに心温まる──。

    Baldur’s Gate 3が「D&Dの究極のサンドボックス」なら、『Esoteric Ebb』は「史上最高のDMとのキャンペーン」だ。PC Gamerのレビュアーは「これまでTRPGの魔法をここまでゲームに落とし込んだ作品は見たことがない」と絶賛している。

    そしてもう一つ特筆すべきは、本作にバッドエンドは存在しないということだ。どんな選択をしても、それに応じたエンディングが用意されている。50以上のエンディングパターンがあり、仲間の運命、主人公の選択、政治状況の帰結──すべてが複雑に絡み合う。

    「あのとき別の選択をしていたら?」という問いが、次のプレイスルーへの強烈な動機になる。筆者は現在2周目だが、1周目では見落としていたキャラクター、選ばなかった選択肢、気づかなかった伏線──すべてが新鮮だ。

    人生が足りない。だが、それでも遊ぶ価値がある

    冒頭で『バルダーズ・ゲート3』を引き合いに出したが、『Esoteric Ebb』もまた「人生が足りない」ゲームだ。

    1周クリアに約20~30時間。50以上のエンディング、無数の分岐、膨大な会話の組み合わせ──すべてを見ようと思えば、確実に数百時間は必要だろう。そして開発者が「高INT(知力)プレイヤーだけが読むに値する不必要な設定資料」と称する開発ブログまで読み始めたら、もう抜け出せない。

    だが、それでいいのだ。本作は「効率よくクリア」するゲームではない。あなた自身の物語を紡ぎ、選択の重みを感じ、ダイスの出目に運命を委ね、そして笑い、驚き、時には後悔する──そんな体験こそが、本作の真の価値なのだから。

    PC Gamerは「2026年3月の時点で断言する。『Esoteric Ebb』は今年最高のRPGだ」と言った。GameSpotは「ビデオゲームストーリーテリングの到達点であり、最も魅力的で笑える没入型RPG体験のひとつ」と評した。そしてプレイヤーたちは「Disco Elysiumの後に何を遊べばいいか分からなかった。今ならはっきり言える。『Esoteric Ebb』を遊べ」と声を揃える。

    もしあなたがTRPG好きなら、Disco Elysiumファンなら、あるいは単に「他では味わえない物語体験」を求めているなら──迷わず本作を手に取ってほしい。

    ダイスを振ろう。ゴブリンの茶店が爆発した謎を解こう。そして、あなただけの物語を紡ごう。ノルヴィクの街が、あなたを待っている。


    基本情報

    開発: Christoffer Bodegård
    販売: Raw Fury
    リリース日: 2026年3月3日
    価格: 2,800円(発売記念10%オフで2,520円 3月15日まで)
    プラットフォーム: PC (Steam)
    プレイ人数: シングルプレイヤー
    言語: 英語(日本語未対応)
    ジャンル: CRPG、ストーリーリッチ、選択重視、アイソメトリック、ダンジョンズ&ドラゴンズ
    Steam評価: 圧倒的に好評 (96% – 295件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2057760/Esoteric_Ebb/

    公式リンク

    公式サイト: https://esotericebb.com/
    X (Twitter): https://x.com/chrisbodegard
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.gg%2FHsJnXfRXnC
    Bluesky: https://bsky.app/profile/esotericebb.bsky.social

  • ヒゲを蓄えし戦士たちの軍団、戦場を駆ける!オーストリアの個人開発者が生んだ「時間が溶ける」オートバトラー『ドワーフオートバトル』

    ヒゲを蓄えし戦士たちの軍団、戦場を駆ける!オーストリアの個人開発者が生んだ「時間が溶ける」オートバトラー『ドワーフオートバトル』

    「オートバトルなんてスマホゲーと一緒でしょ?」しかし、『ドワーフオートバトル』は違った。4年の歳月をかけて丹精込められたこの作品は、一見シンプルなゲームデザインの奥に、数百時間遊べる底なしの戦略性とビルドの多様性を隠し持っていた。

    オーストリアの個人開発者Ichbinhamma氏が手がけた本作は、2023年8月の早期アクセス開始から約2年半を経て、2026年1月22日にSteam、iOS、Android、Nintendo Switchで正式リリースを迎えた。Steam版のユーザーレビューは1,762件中82%が好評という「非常に好評」ステータスを獲得。レビューには「気づいたら時間が溶けている」「数百時間プレイしている」という声が散見される、まさに中毒性のあるタイトルだ。

    3人のドワーフから始まる、果てしなき戦いの旅

    本作のゲームループは実にシンプルだ。プレイヤーは新米指揮官として、貧弱な装備しか持たない3人のドワーフと出会う。彼らを装備で強化し、新たな戦士を雇い入れ、次々と押し寄せるオークの軍団を倒していく。戦闘が終わるたびに3つの選択肢が提示され、次の行動を選ぶ。モンスターと戦ってレベルアップするか、装備を購入するか、新たな戦士を雇用するか──。

    だが、このシンプルさこそが罠だった。戦闘はオートで進行するため、プレイヤーがすべきことは戦う前の準備だ。10人までのドワーフ軍団をどう編成するか、誰にどの装備を与えるか、どのフォーメーションを採用するか。この事前準備の段階で、プレイヤーは無限に近い選択肢と向き合うことになる。 <image>

    本作の最大の特徴は「装備がすべてを決める」という点だ。ドワーフたちは与えられた装備によって、タンクにも魔法使いにもアサシンにもなる。固定された職業はなく、プレイヤーの判断次第でどんな役割も演じられる。序盤は質素な装備で苦戦を強いられるが、戦場から集めたゴールドと経験値で徐々に軍団を強化していく。鍛造システムでアイテムを合成し、倉庫システムで装備を管理し、スキルツリーで能力を解放していく。この積み重ねが、やがて数百体のオークを蹂躙する圧倒的な軍団を生み出す。

    装備シナジーこそがすべて!

    正式版では、早期アクセス版から大幅な再構築が施された。開発者のIchbinhamma氏は「職業の役割+装備シナジー+バースト感」を軸に据え、どの流派でも完成時に明確な個性と爽快感を発揮できるよう調整したという。

    装備は6段階のレアリティ(ノーマル、グッド、レア、エピック、レジェンダリー、ミシック)に分かれており、全24種類のセット装備が用意されている。セット装備を揃えれば特殊ボーナスが発動し、軍団の戦闘力が飛躍的に向上する。さらに、バイオームごとに装備のステータスが変化するため、敵の編成や戦場の環境に応じて装備を使い分ける戦略性が求められる。

    フォーメーションも重要な要素だ。ベルセルカーフォーメーションで近接職を強化するか、レンジャーフォーメーションで遠距離攻撃を重視するか、ファランクスフォーメーションで全員の速度を統一するか。最大2つのフォーメーションを同時に発動でき、バフの重ねがけによる爆発的な火力や防御力を実現できる。

    プレイヤーたちの間では「ウォープリーストが最強」「いやビーストマスターこそトップDPS」「ファイアメイジが最高」と論争が絶えない。だが、それこそが本作の魅力だ。どのクラスも装備と編成次第で圧倒的な強さを発揮できる。無限のビルドの可能性が、プレイヤーを飽きさせない。

    個人開発者の4年間が生んだ奇跡

    本作を手がけたIchbinhamma氏は、オーストリア在住のフルタイムインディーゲーム開発者だ。ドワーフとカカポ(絶滅危惧種の鳥)をテーマにしたゲームを制作しており、本作は彼の最新プロジェクトである。

    開発期間は4年に及び、早期アクセス開始からわずか1ヶ月で35,000本を売り上げるという快挙を成し遂げた。その成功の秘訣は、Redditでの早期公開と配信者たちの支援だった。開発開始から4ヶ月後にWebプレイ可能版を公開し、プレイヤーからのフィードバックを積極的に取り入れた。SplatterCatをはじめとする配信者たちが本作を見つけ、「これは脳に何かをしている。続けたくなる」と評価。その「あともう1ターン」という感覚が、多くのプレイヤーを虜にした。

    Ichbinhamma氏は「UI全体の刷新と、元々1つだったカードデッキを3つに分割したこと」が大きな改善だったと語る。プレイヤーからの細かなQoL改善の指摘を実装することで、ゲームの質が劇的に向上したという。開発者としては気づきにくい小さな変更が、プレイ体験を大きく向上させることを実感したそうだ。

    永遠の戦いへ──エンドコンテンツの深淵

    本作の真の魅力は、エンドコンテンツにある。ルーンサークルと呼ばれる永続的なスキルツリーで、ジェムとルーンポイントを消費して基礎ステータスやアルティメットスキルを強化できる。このシステムがあるため、何度敗北しても次のランが確実に強くなっていく。

    しかし、プレイヤーたちが指摘する問題もある。「ジェム集めが長すぎる」「ルーンサークルが高額すぎる」「すべてを解放するには70時間でも足りない」。目標のビルドを完成させるまでに、数十時間の周回が必要になることもある。だが、逆に言えばそれだけ長く遊べるコンテンツが詰まっているということだ。

    正式版では最終ボス「フォージデーモン」が追加され、エターナルバトルモードでは無限に続く戦いに挑戦できる。リーダーボードには6,000ウェーブ以上到達したプレイヤーも存在し、コミュニティでは「10人プリーストビルド」「カカポスタッフ9本+ジン1本」といった極限ビルドが共有されている。

    敵もウェーブが進むにつれて凶悪になっていく。サンダースタッフを持ったオークが後衛を瞬殺し、ハンマーオークがドワーフを吹き飛ばし、毒ダメージで勝利後も戦士が倒れる。ひとつの判断ミスが軍団の壊滅につながる緊張感が、プレイヤーを画面に釘付けにする。

    誰でも楽しめる、でも極めるのは一生かかる

    本作の難易度設定は幅広い。イージーモードでゆっくり学びながら進めるもよし、ハードモードで歯ごたえのある挑戦を楽しむもよし、デスモードで極限の緊張感を味わうもよし。コントローラーとSteam Deckにも対応しているため、どこでも気軽にドワーフ軍団を率いることができる。

    一方で、極めようとすればするほど奥深さが見えてくる。装備のステータスロール、フォーメーションの組み合わせ、敵の行動パターンの学習、ビルドの最適化。シンプルな見た目に反して、本作は驚くほど戦略的なゲームだ。

    Steamのレビューには「70時間プレイしてもまだ全部解放できていない」「数百時間遊んでいる」という声が並ぶ。まさに「時間が溶ける」という表現がぴったりのゲームだ。仕事の合間の息抜きに、と思って起動したら、気づけば数時間が経過している。そんな中毒性が本作にはある。

    ヒゲを蓄え、斧を掲げ、栄光のために!

    『ドワーフオートバトル』は、一見するとシンプルなオートバトラーに見える。だが、その奥には無限のビルドの可能性と、数百時間遊べる深いゲームプレイが隠されている。個人開発者が4年をかけて磨き上げた本作は、ローグライクRPGとオートバトルの融合という新しい体験を提供してくれる。

    装備を整え、軍団を編成し、オークの大軍を蹂躙する。この単純な繰り返しが、なぜこれほど楽しいのか。それは、すべての選択に意味があり、すべての戦いに学びがあり、すべての敗北が次の勝利への糧となるからだ。

    モバイル版とNintendo Switch版も配信されているため、どこでもドワーフ軍団を率いることができる。「あともう1ターン」の誘惑に負けて、数百時間を捧げる覚悟があるなら、ぜひこの戦場に足を踏み入れてみてほしい。

    ヒゲを蓄え、斧を掲げ、栄光と死と戦利品を求めて──。Rock and Stone!

    基本情報

    開発: Hamma Studios (Ichbinhamma)

    販売: Sidekick Publishing, Gamersky Games

    リリース日: 2026年1月22日(正式版)

    早期アクセス開始日: 2023年8月16日

    価格: 1,700円(通常価格)

    プラットフォーム: PC (Steam), iOS, Android, Nintendo Switch

    プレイ人数: 1人

    言語: 日本語対応(全22言語対応)

    ジャンル: オートバトラー, ローグライク, RPG, ストラテジー Steam評価: 非常に好評 (82% – 1,762件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2205850/_/

    公式リンク

    公式サイト: https://dwarves.ateo.ch

    X (Twitter): https://x.com/KakapoCalypse

    Discord:https://discord.com/invite/kwYUam5zfn

    YouTube: https://www.youtube.com/@ichbinhamma

  • 放置ゲームなのに心臓がバクバク!?『Horripilant』で味わう狂気のダンジョン潜行

    放置ゲームなのに心臓がバクバク!?『Horripilant』で味わう狂気のダンジョン潜行

    「放置ゲームって、のんびり遊べるやつでしょ?」

     PC(Steam)向けゲーム『Horripilant』は、確かに放置ゲームだ。クリッカーであり、オートバトラーであり、リソース管理ゲームでもある。しかし、このゲームは「のんびり」とは程遠い。むしろ、プレイ中ずっと胃がキリキリするような、不穏で禍々しい雰囲気に包まれ続けるのだ。

     開発はカナダ・モントリオールのAlexandre Declos氏率いるPas Game Studio、パブリッシングはBlack Lantern Collective。2026年2月20日の配信開始から、Steamでは同時接続プレイヤー数4,219人のピークを記録し、ユーザーレビューは425件中91%が好評という「非常に好評」ステータスを獲得している。

     一体、この不気味な放置ゲームの何がプレイヤーを惹きつけるのか。筆者も実際にプレイして、その魅力と狂気を体験してきた。

    ドット絵が生み出す、名状しがたい恐怖

     ゲームを起動すると、まず目に飛び込んでくるのが独特のビジュアルスタイルだ。『Horripilant』のグラフィックは、ディザリングと呼ばれる手法で描かれた粗いドット絵。これが、レトロなコンピューターを思わせる不気味な雰囲気を醸し出している。

     プレイヤーは記憶を失った老騎士となって、忘れ去られたダンジョンの最深部で目を覚ます。腐敗の臭いが立ち込める暗闇。壁がプレイヤーの名前をささやく。そこにあるのは、一本の奇妙な木の芽だけだ。

     「叩け」と、声が命じる。

     筆者が最も感銘を受けたのは、このゲームの「見せ方」の巧みさだ。静止画のドット絵でありながら、各エリアに登場するクリーチャーたちは異様な存在感を放つ。壁の穴に潜む不気味な笑顔の存在、蠢く触手、歪んだ人型の何か。それぞれが一度見たら忘れられないデザインで、プレイヤーの脳裏に焼き付く。

     サウンドデザインも秀逸だ。ひび割れた合成音声、金属的な音、遠くから聞こえる呻き声。これらが相まって、B級ホラー映画的な、しかし確実に背筋が凍るような体験を生み出している。

    クリックこそがすべて! 資源管理の中毒性

     『Horripilant』のコアループは、極めてシンプルだ。木、石、鉄の3つの資源を集め、それを使って装備を強化し、ダンジョンに潜る。これを繰り返すだけ。

     しかし、この「繰り返すだけ」が、恐ろしいほど中毒性が高い。

     資源収集は最初、手動クリックで行う。木の芽をクリックすれば木材が、岩をクリックすれば石が手に入る。だが、ここで重要なのが「キラキラ」の存在だ。資源ノードに時折現れるキラキラをクリックすると、なんと通常の500倍の資源が手に入る。この瞬間の快感が、筆者の指を止めさせなかった。

     もちろん、ずっとクリックし続けるわけにはいかない。そこで登場するのが「ヘルパー」システムだ。お金を払ってヘルパーを雇えば、自動で資源を生成してくれる。ただし、ここに落とし穴がある。ストレージ容量を上げないと、すぐに資源が上限に達して生成がストップしてしまうのだ。

     筆者も最初のプレイで、この罠にハマった。「オフラインでも進むんでしょ?」と思って一晩放置したら、朝起きたときには数分で上限に達していて、ほとんど進んでいなかった。クリック値、ヘルパー、ストレージ、素材レベル。この4つをバランスよく上げていくことが、効率的な成長の鍵となる。

    オートバトルなのに、目が離せない戦闘システム

     資源を集めて装備を整えたら、いよいよダンジョン探索だ。戦闘はオートバトラー形式で、プレイヤーキャラクターと敵が自動的に攻撃し合う。装備している剣、兜、胸当て、レギンス、ブーツが、ダメージと耐久力を決定する。

     だが、完全放置というわけではない。戦闘中、敵に「ウィークポイント」が出現することがある。これをクリックすると追加攻撃が発動し、大ダメージを与えられる。さらに、敵の体力バーの下にある白いゲージにも注目が必要だ。これが満タンになると敵が攻撃してくるため、タイミングを見計らってウィークポイントを狙う必要がある。

     フロアのボスを倒すと、「ブーン」と呼ばれる一時的なステータスブーストを選択できる。攻撃力アップ、体力増加、クリティカル率上昇など、さまざまなブーンが用意されており、どれを選ぶかで戦略が変わる。ただし、ブーンは現在のランにのみ有効で、リバース(後述)すると消えてしまう点に注意だ。

     また、「ファミリア」と呼ばれる仲間クリーチャーを戦闘に連れて行くこともできる。ファミリアがいると、受けるダメージが自分とファミリアに均等に分散されるため、実質的に耐久力が2倍になる。筆者も、強敵との戦いではファミリアが生命線となった。

    リバースこそが真髄! ヘマライトで永続強化

     『Horripilant』で最も重要なシステムが、「リバース(転生)」だ。

     プレイを進めていくと、必ずどこかで壁にぶつかる。敵が強すぎて、いくら装備を整えても勝てなくなる瞬間が来る。そのとき、リバースの出番だ。

     リバースを実行すると、現在のランの進行状況はリセットされる。装備も、ブーンも、すべて失う。だが、代わりに「ヘマライト」と呼ばれる特殊な通貨を獲得できる。このヘマライトを使って「リバースツリー」のアップグレードを解放することで、次回以降のランが劇的に楽になるのだ。

     ダメージアップ、体力増加、資源生成量アップなど、ヘマライトで得られる永続強化は多岐にわたる。筆者も最初は「せっかく進んだのにリセット?」と躊躇したが、一度リバースを経験すると、その効果に驚愕した。それまで苦戦していた敵が、嘘のようにサクサク倒せるようになったのだ。

     では、いつリバースすべきか。答えは「効率が落ちたとき」だ。1フロアクリアにかかる時間が明らかに長くなり、敵の体力の伸びが自分のダメージ上昇を上回ったと感じたら、それがリバースのタイミング。粘っても得られるヘマライトは増えないため、さっさとリバースして次のランに挑んだほうが効率的なのだ。

    謎解きとストーリー。語られぬ物語の断片

     『Horripilant』には、明確なストーリーラインは存在しない。しかし、ダンジョンの各所に点在する謎めいた存在や、断片的なテキストから、何かしらの物語が見え隠れする。

     壁の穴に潜む不気味な存在に、なぜかカラスの嘴を渡すとリバースができるようになる。モールス信号で書かれたメモを解読すると、ランプの使い道が分かる。天使の像には、特定のアイテムを捧げる必要がある。

     これらの謎解き要素は、ゲーム進行に必須ではないものの、好奇心をくすぐる絶妙な塩梅で配置されている。筆者も、「この紫色の部屋は何だ?」「7つの光を全部点けると何が起こる?」と、次第にゲームの謎に取り憑かれていった。

     Discordコミュニティでは、プレイヤーたちが謎解きのヒントを共有し合っている。開発者のDeclos氏も積極的にコミュニティと交流しており、アップデートで新たな音声効果や調整が加えられている。この「まだ見ぬ何かがある」という感覚が、プレイヤーを飽きさせない要因の一つだろう。

    オートクリッカー禁止令!? 開発者の遊び心

     放置ゲームといえば、オートクリッカーを使いたくなるのが人情だ。しかし、『Horripilant』には面白い仕掛けがある。オートクリッカーを使うと、ジャンプスケアが発動するのだ。

     海外フォーラムで、あるプレイヤーが「デモ版で雰囲気が気に入って、いつものようにオートクリッカーを起動したら、突然のジャンプスケアで心臓が止まりかけた」と報告している。開発者のDeclos氏はこれに対し、にっこりと返信するのみ。

     この遊び心満載の仕掛けも、『Horripilant』の魅力の一つだ。プレイヤーを驚かせ、笑わせ、そして恐怖させる。すべてが計算されたデザインなのだ。

    1000フロア、そしてその先へ

     『Horripilant』のダンジョンは1000フロア以上続く。筆者も現時点で25フロアまで到達したが、まだまだ先は長い。敵の種類は16種類と決して多くないが、フロアが進むにつれて、敵の配色や挙動が変化し、新たな脅威となって立ちはだかる。

     Steam実績は57個用意されており、やり込み要素も充実している。「一度も攻撃を外さずにボスを倒す」「特定のアイテムを集める」など、チャレンジングな実績が多数存在する。

     また、サポーターパック(別売)を購入すると、ディザリングシェーダーをオフにして、本来の高解像度グラフィックを楽しめる機能や、カスタムポートレート機能が解放される。自分だけの騎士で、ダンジョンに挑めるのだ。

    結論:放置ゲームの皮を被った、中毒性MAXのホラー体験

     『Horripilant』は、放置ゲームとしても、クリッカーとしても、ホラーゲームとしても一級品だ。

     シンプルなゲームループながら、資源管理の戦略性、リバースシステムの爽快感、そして何より、この独特の不穏な雰囲気が、プレイヤーを虜にする。筆者も気が付けば5時間以上プレイしており、「もう一回だけリバースしよう」「次のフロアまで進もう」と、辞め時が分からなくなっていた。

     唯一の欠点は、進行速度の遅さだ。特に序盤は1フロアクリアに数分かかることもあり、「もっとサクサク進みたい」と感じる瞬間もあった。また、敵の種類が16種類と少なめで、長時間プレイすると飽きを感じる可能性もある。

     しかし、それを補って余りあるのが、このゲームの独特な魅力だ。ポッドキャストを聞きながら、音楽を流しながら、あるいはSteam Deckで寝転びながら。『Horripilant』は、どんなプレイスタイルにも対応する懐の深さを持っている。

     定価920円(現在10%オフで828円)という価格も魅力的だ。この価格で、何十時間も遊べる中毒性の高いゲーム体験が手に入る。

     「放置ゲームって、のんびり遊べるやつでしょ?」と思っているあなた。『Horripilant』は、その常識を覆すだろう。禍々しいダンジョンで、あなたも狂気の放置体験を味わってみてはいかがだろうか。


    基本情報

    ゲーム名: Horripilant
    開発: Alexandre Declos, Pas Game Studio
    パブリッシャー: Black Lantern Collective
    プラットフォーム: PC (Steam)
    発売日: 2026年2月20日
    価格: 920円(10%オフで828円、3月7日まで)
    日本語対応: あり
    プレイ時間: 10時間以上(1000フロア到達まで)
    難易度: 中程度
    Steam評価: 非常に好評(425件中91%が好評)


    購入リンク

    Steam:
    https://store.steampowered.com/app/3525970/Horripilant/

    サポーターパック(DLC):
    https://store.steampowered.com/app/4326710/Horripilant__Supporter_Pack/


    公式リンク

    公式サイト(itch.io):
    https://pasgame.itch.io/horripilant

    開発者Twitter/X:
    https://x.com/PasGameStudio

  • ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    「ダイスゲームって運ゲーでしょ?」

    そう思っていた時期が、筆者にもありました。

    でも、2025年1月31日にSteamで早期アクセスが開始された『Dobbel Dungeon』をプレイして、その考えは完全に覆された。このゲーム、確かにダイスを振るんだけど……めちゃくちゃ戦略的なんですよ!!

    開発は個人開発者のFluxterによるもので、ローグライクダンジョンクローラーとデッキ構築、そしてダイスロールを組み合わせた新感覚のターン制戦略ゲーム。Steam評価は「圧倒的に好評」で、90%以上の高評価を獲得している注目作だ。

    ダイスとカードの融合が生み出す中毒性

    『Dobbel Dungeon』の最大の特徴は、ダイスの目がカードの効果を決定するというシステムにある。

    プレイヤーは毎ターン、複数のダイスを振る。そして、手札にあるカードを使用する際に、そのダイスの目を割り当てることで効果が発動する仕組みだ。

    たとえば、「攻撃カード」に「6」の目を割り当てれば強力な一撃になるし、「3」を割り当てれば控えめなダメージになる。シンプルだけど、この仕組みが驚くほど奥深い。

    最初は「ダイスの目次第じゃん」と思うんですよ。でも違う。プレイしていくうちに気づくんです。

    「このカードには低い目を使って、あのカードには高い目を残しておこう」 「この敵には小さなダメージを複数回与えて、あの敵には一撃必殺を狙おう」

    こういった判断が、めちゃくちゃ楽しい。ダイスという運要素がありながら、プレイヤーの選択次第でいくらでも状況を好転させられる。これこそが『Dobbel Dungeon』の魅力だ。

    デッキ構築で広がる無限の可能性

    本作はローグライクデッキ構築ゲームでもある。

    ダンジョンを進むにつれて新しいカードを獲得し、自分だけのデッキを組み上げていく。カードの種類は攻撃、防御、回復、バフ、デバフと多岐にわたり、それぞれにユニークな効果が設定されている。

    筆者が特に気に入っているのは、「ダイスの目を操作するカード」の存在だ。

    たとえば、「ダイスの目を+1する」「2つのダイスの目を入れ替える」「ダイスを振り直す」といったカードがある。これらを駆使すれば、運要素をコントロールできるようになる。

    運ゲーと思いきや、実は運をコントロールするゲームだったんですよ!

    デッキ構築の自由度も高く、攻撃特化、防御重視、ダイス操作特化など、さまざまなビルドが楽しめる。何度も挑戦して試行錯誤するうちに、「このシナジーが強い!」と発見する瞬間がたまらない。

    ターン制戦略の深み

    本作はターン制バトルを採用しており、敵の行動パターンを読みながら慎重に立ち回る必要がある。

    敵は次のターンで何をしてくるかが表示されるため、それに合わせて防御を固めたり、先手を打ったりする戦略性が求められる。

    さらに、敵にもダイスが存在する。敵のダイスの目によって攻撃力や行動が変わるため、こちらも予測しながら対応しなければならない。

    「あの敵は高い目を出したから、次は強力な攻撃が来る。今のうちにシールドを張っておこう」

    こんな判断が求められるのが、じつに楽しい。

    ボス戦は特に緊張感があり、1ターンのミスが命取りになることも。でも、その分クリアしたときの達成感は最高だ。

    早期アクセスでも充実のコンテンツ

    本作は現在早期アクセス中だが、すでに十分なボリュームがある。

    複数のキャラクター、数百枚のカード、多様な敵とボス、そしてランダム生成されるダンジョン。何度プレイしても新鮮な体験ができる。

    開発者のFluxterは、今後のアップデートで新キャラクター、新カード、新エリア、そして最終ボスを追加予定だと発表している。コミュニティの意見を取り入れながら開発を進めているため、今後の展開にも期待が持てる。

    こんな人にオススメ

    『Dobbel Dungeon』は、以下のような人に特にオススメだ。

    • 『Slay the Spire』や『Monster Train』などのデッキ構築ローグライクが好きな人
    • ダイスゲームに興味があるけど、運だけでは物足りないと感じる人
    • ターン制戦略ゲームで頭を使いたい人
    • リプレイ性の高いゲームを求めている人

    「運ゲー」と「戦略ゲー」の絶妙なバランスを実現した本作は、中毒性が非常に高い。気づけば何時間もプレイしてしまう魅力がある。

    ダイスとカードで運命を切り拓く冒険に、ぜひ挑戦してみてほしい。


    基本情報

    タイトル: Dobbel Dungeon
    開発元: Fluxter
    パブリッシャー: Fluxter
    配信日: 2026年2月17日
    プラットフォーム: PC(Steam)
    価格: 2,300円(Steam)
    対応言語: 英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、簡体字中国語、韓国語
    プレイ人数: 1人
    Steam評価: 圧倒的に好評(90%以上の高評価)


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  • 都市生活に疲れた全ての人へ『スターサンド・アイランド』が描く理想の島暮らし カピバラと過ごす癒しの時間が想像以上に尊すぎた

    都市生活に疲れた全ての人へ『スターサンド・アイランド』が描く理想の島暮らし カピバラと過ごす癒しの時間が想像以上に尊すぎた

    2026年2月12日、中国のSeed Sparkle Labが開発する島暮らしシミュレーション『スターサンド・アイランド』がSteamにて早期アクセス配信を開始した。本作は「深海に輝く星」と称される美しい星砂島を舞台に、都会の喧騒を離れて理想的なスローライフを送る3D農業シミュレーションゲームだ。

    正直に言うと、最初は「またありがちな農業ゲームかな」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、その予想は完全に覆された。本作が持つ独特の魅力と、プレイヤーを包み込む暖かさは、近年のライフシミュレーションゲームの中でも群を抜いている。

    「あつ森」×「スタデューバレー」の良いとこ取りシステムが沼すぎる

    『スターサンド・アイランド』の最大の特徴は、その圧倒的な自由度と豊富なコンテンツ量にある。開発者が「100時間以上」のプレイ時間を謳っているのも納得で、実際に体験してみるとその底知れぬ奥深さに驚かされる。

    農業、釣り、動物の飼育、クラフト、建築、探索といった基本要素はもちろん、本作には「5つの職業システム」が用意されている。Crafter(クラフト職人)、Farmer(農家)、Angler(釣り人)、Rancher(牧場主)、Explorer(探検家)それぞれに専用のスキルツリーが設けられており、プレイヤーは自分の好みに合わせて島での生活をカスタマイズできる。

    特に印象的なのが「メンターシステム」だ。島の住民たちがそれぞれの分野の専門家として機能し、彼らとの交流を深めることで新しいレシピや技術を学べる。これが単なる作業ではなく、自然な人間関係の構築として機能しているのが素晴らしい。

    NPCが積極的すぎて逆に癒される不思議な島コミュニティ

    多くのライフシミュレーションゲームでは、NPCとの交流は一方通行になりがちだ。プレイヤーが話しかけて、プレゼントを渡して、ようやく関係が深まるという流れが一般的だろう。

    しかし『スターサンド・アイランド』は全く違う。NPCたちの方から積極的に話しかけてきて、プレゼントをくれて、まるで本当に島で暮らしているような実在感を演出している。これが押しつけがましくないのは、村瀬歩さんをはじめとする豪華声優陣によるフルボイスの効果も大きい。

    「え、私、攻略されてる?」という不思議なドキドキ感を味わえるのは、このゲームならではの体験だ。特に幼馴染のソララとの再会シーンは、まさに理想的な田舎への里帰り体験そのもの。ダブルベッドを勧められる圧(?)も含めて、妙にリアルな人間関係が描かれている。

    自動化システムこそが真の革命だった

    本作で特筆すべきは「自動化ロボット」の存在だ。序盤は手作業で農作業や採集を行うが、ゲームが進むにつれて様々な作業を自動化できるようになる。これにより、プレイヤーはより創造的な活動や探索に時間を割けるようになる。

    この自動化システムが秀逸なのは、完全に手を離すのではなく、適度にプレイヤーの関与を求める点だ。ロボットたちが働いている様子を眺めているだけでも癒されるし、必要に応じて手動で調整することもできる。まさに「効率」と「楽しさ」のバランスが絶妙に取れている。

    移動手段の多様性が探索の楽しさを倍増させる

    島内の移動手段も実に多彩だ。徒歩はもちろん、ローラーブレード、スケートボード、レトロスクーター、車、バイク、さらには馬まで用意されている。それぞれに異なる魅力があり、気分や目的に応じて使い分けられる。

    特にローラーブレードで海岸線を滑走する爽快感や、スクーターで森を駆け抜ける開放感は格別だ。移動がただの手段ではなく、それ自体が楽しいアクティビティになっているのが素晴らしい。

    「蛍月の森」の神秘が冒険心をくすぐる

    本作には単なる農業シミュレーションを超えた要素も用意されている。それが「蛍月の森」での探索と戦闘システムだ。この森には古代の遺跡や神秘的なクリーチャーが生息しており、『ルーンファクトリー』や『スタデューバレー』のような軽いRPG要素を楽しめる。

    12の新しいキャンプと3体のエピックボスが待ち受ける蛍月の森は、平和な島生活に程よいスパイスを加えてくれる。戦闘はそれほど複雑ではないが、レアな素材を入手できたときの達成感は確かにある。

    早期アクセスの粗さはあるが、将来性は十分

    正直に言えば、早期アクセス版の現段階では、最適化不足やローカライゼーションの不自然さといった課題も残っている。一部のプレイヤーからは動作の重さやバグの報告も上がっているのが現実だ。

    しかし、これらの技術的な問題を差し引いても、本作の持つ根本的な魅力は十分に伝わってくる。開発チームのSeed Sparkle Labは、コミュニティのフィードバックを重視する姿勢を明確に打ち出しており、今後のアップデートへの期待は高い。

    2026年6月にはマルチプレイ機能の実装も予定されており、友人と一緒に島生活を送れるようになる予定だ。完全版は2026年夏に、PlayStation 5やNintendo Switch 2にも登場する。

    基本情報

    スターサンド・アイランド

    • 開発・販売: Seed Sparkle Lab
    • 配信日: 2026年2月12日(早期アクセス)、2026年夏(完全版)
    • 言語: 日本語対応
    • 価格: 4,620円(早期アクセス特別価格・30%オフ、通常価格6,600円)
    • プラットフォーム: Steam
      • 完全版: PlayStation 5、Nintendo Switch 2も追加予定

    Steam評価

    • 全期間: 非常に好評(2,762件中87%が好評)
    • 最近: 非常に好評(継続して高評価を維持)
    • 同時接続プレイヤー数: ピーク時約7,500人を記録

    購入リンク

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