カテゴリー: ターン制

  • 料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    料理で怪物を満腹にせよ!英国・アイルランド民話が織りなす異色デッキビルダー『ハングリー・ホラーズ』

    「デッキビルダーのローグライトって、結局戦って倒すゲームばかりでしょ?」しかし、『ハングリー・ホラーズ(Hungry Horrors)』は違った。このゲームでは、モンスターを倒すのではなく「満腹にする」のだ。

    英国ブライトンを拠点とする2人組インディースタジオClumsy Bear Studioが開発した本作は、戦闘の代わりに料理でモンスターをもてなすという、ジャンルの常識を覆す斬新なアイデアで2026年1月19日にSteam早期アクセスを開始。わずか1ヶ月で168件のレビューのうち98%が好評という圧倒的な支持を獲得している。

    戦わない、料理で生き残る!

    本作の最大の特徴は、デッキビルダーでありながら「戦闘」が存在しないこと。プレイヤーは英国とアイルランドの伝承料理のカードを駆使して、次々と襲いかかる神話上のクリーチャーたちを満腹にし、こちらに到達する前に満足させなければならない。

    ゲームプレイの核となるのは「味の連鎖(Flavour Combo)」システムだ。各料理には甘味、塩味、酸味、苦味、旨味、淡白という6つの味覚タグが付与されており、これらを連続して組み合わせることで強力なコンボが発動する。例えば「青→黄→茶→青」の順で料理を提供すると、初撃が20ダメージでも5撃目には100ダメージまで跳ね上がるのだ。

    さらに、各モンスターには「大好物」と「嫌いな料理」が設定されている。Black Annisはベイクウェル・タルトを愛するが、フィッシュ&チップスは大嫌い。Jenny Greentteeth、Grendel、Dullahan、Glaistigといった伝承のクリーチャーそれぞれに固有の食の好みがあり、彼らの嗜好を理解しながら最適な料理を提供する戦略性が求められる。

    料理カードの種類も豊富で、ハギス、スターゲイジー・パイ、クラナカン、バラ・ブリス、クレンポグなど、実在する英国・アイルランドの伝統料理が40種類以上登場する。ただし、これらは単なる料理カードではなく、スパイスやハーブ、調理器具といった「バフカード」と組み合わせることでさらに効果を強化できるのだ。

    8つのレルムを探索するローグライトの深み

    本作はローグライトとして、永続的な成長要素を実装している。各ランの後、プレイヤーは城のキッチンに戻り、新しいレシピのアンロック、調理器具のアップグレード、特殊な食材の獲得といった要素を通じてデッキを強化できる。失敗しても「運命ポイント(Fate Points)」が蓄積され、次回プレイ時に有利なアイテムや仲間を初期状態で入手可能だ。

    冒険の舞台となるのは8つのバイオーム──Woods(森)、Bog(沼地)、Meadows(草原)、Town(街)など、それぞれ独自のモンスターとイベントが用意されている。各バイオームには複数のルートがあり、扉を選択することで進路が分岐。道中ではNPCとの出会い、クエストの受諾、アイテムショップでの買い物など、多彩なイベントが待ち受ける。

    特筆すべきは、このゲームのストーリー性の高さだ。主人公は気まぐれな王女で、相棒は皮肉屋の猫。王国に広がった「飢餓の呪い」と、その中心で目覚めたドラゴンの謎を解き明かすため、伝説の怪物たちに料理を振る舞いながら冒険を進めていく。各NPCには固有のクエストラインがあり、最新アップデート(Patch 0.1.16)では、Herne、Wulver、Fear Gorta、Ellen Moreといったキャラクターに新たなクエストが追加された。

    さらに、このアップデートでは「ファミリア(Familiars)」システム、釣り、衣装の染色カスタマイズ、Fear Gortaのスパイスショップなど、ゲームプレイの幅を広げる要素が続々と実装されている。

    2人で紡いだ2年間の情熱

    Clumsy Bear Studioは、Scott FitzsimmonsとJerzy Pilchという実生活でもパートナーである2人組が運営する自己資金型インディースタジオだ。Scottがプログラミング、Jerzy がマーケティングとストーリーを担当し、全てのアート、デザイン、コーディングを内製で制作。音楽はHenry Taylorが手がけている。

    開発には2年以上の歳月を費やし、その間に様々な困難に見舞われた。2025年のロンドン・ゲームズ・フェスティバル直前には、滞在先で地震に遭遇して避難を余儀なくされ、さらに新しい作業場所はゴキブリだらけ。そんな過酷な状況の中、Scottは腕を骨折し、6週間以上コーディングができない状態に陥った。それでも彼らは諦めず、2025年7月にはDevelop:Brighton 2025でIndie Showcase Awardを受賞。そして2026年1月19日、ついに早期アクセス版をリリースした。

    開発ツールはGodot EngineとAseprite。すべてのピクセルアートは手作業でドット打ちされており、Apple IIを思わせるレトロな質感と、丁寧に描き込まれたキャラクターアニメーションが魅力だ。モンスターの目がハートになる演出や、各モンスター固有の「王女の死亡アニメーション」など、細部へのこだわりが随所に見られる。

    リラックスして楽しめる「戦わないデッキビルダー」

    開発者のJerzyは、本作のコンセプトについてこう語っている。「私たちは仕事の後にリラックスして遊べるゲームを作りたかった。だからターン制にして、じっくり考える時間を確保した。料理という要素は、軽いクラフト要素を加えつつ、モンスターを倒すだけではない何かを提供したかったから」

    実際、本作のゲームプレイは驚くほど快適だ。バトルは数分で完結し、テンポよく進行する。Steam Deckとの互換性も完璧で、移動中や寝る前のちょっとした時間に気軽に楽しめる。UIも直感的で、色だけでなくシンボルも併用されているため色覚特性を持つプレイヤーにも配慮されている。

    とはいえ、最初の数バイオームこそ優しいものの、徐々に難易度は上昇していく。フレーバーコンボの仕組み、各モンスターの嗜好、バフカードの効果、デッキ構築の最適化──これらすべてを理解しなければ先に進めない。だが、この絶妙な難易度バランスこそが、プレイヤーを「もう一回だけ」と何度もリトライさせる中毒性の源泉なのだ。

    英国・アイルランド民話への深い敬意

    本作のもう一つの魅力は、民話へのリスペクトだ。登場するモンスターは全て実在する伝承に基づいており、ゲーム内の「Book of Taliesin」では各クリーチャーの詳細な背景を読むことができる。Black Annis(子供をさらう魔女)、Jenny Greenteeth(沼に潜む水の精霊)、Grendel(ベオウルフの怪物)、Puca(いたずら好きの妖精)など、ケルト、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの伝説が丁寧に織り込まれている。

    料理もまた然り。登場する40種類以上のレシピは全て実在する伝統料理で、ゲームを通じて英国・アイルランドの食文化に触れることができる。開発者たちは「表面的な参考ではなく、民話と料理をゲームプレイの中核に組み込むこと」にこだわり、その結果、他のデッキビルダーにはない独自の世界観を構築することに成功した。

    早期アクセス版の現在、ストーリーはまだ完結していないが、開発チームは「1年以内の正式リリース」を目標に掲げている。ただし、「コミュニティのフィードバック次第では、もう少し時間をかけてでも完璧な1.0を目指す」とのことで、プレイヤーと共にゲームを作り上げていく姿勢を明確にしている。

    『ハングリー・ホラーズ』は、デッキビルダーというジャンルに新しい風を吹き込んだ作品だ。戦闘ではなく料理で、破壊ではなく満足で、相手を倒すのではなく満腹にする──このシンプルながら革新的なアイデアが、驚くほど深いゲームプレイと豊かなストーリーテリングと融合している。

    「モンスターを倒さずに餌付けする」という発想の転換。英国・アイルランド民話への深い愛情。2人の情熱が生んだ手作りのピクセルアート。そして、何よりプレイヤーを思いやる優しい設計思想──これらすべてが組み合わさったとき、『ハングリー・ホラーズ』は単なるゲームを超えた「体験」となる。

    あなたも、伝説の怪物たちに最高の料理でおもてなしをしてみてはいかがだろうか。ただし、料理が口に合わなければ、次の食事はあなた自身になることをお忘れなく。

    基本情報

    開発: Clumsy Bear Studio (Scott Fitzsimmons、Jerzy Pilch)
    販売: Clumsy Bear Studio
    リリース日: 2026年1月19日(早期アクセス)
    価格: 1,520円(通常価格)※発売から2週間は30%オフ
    プラットフォーム: PC (Windows, Mac, Linux), Steam Deck対応
    プレイ人数: 1人
    言語: 英語(日本語未対応)
    ジャンル: ローグライト、デッキビルダー、カードゲーム、ストラテジー、料理
    Steam評価: 圧倒的に好評 (98% – 168件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3048840/Hungry_Horrors/
    Steam Demo: https://store.steampowered.com/app/3530560/Hungry_Horrors_Demo/
    itch.io: https://clumsy-bear-studio.itch.io/hungry-horrors

    公式リンク

    公式サイト: https://hungryhorrorsgame.com/
    X (Twitter): https://x.com/clumsybeargames
    Discord: Clumsy Bear Studio Discord
    YouTube: @clumsybearstudio

  • ルーンの組み合わせで戦況を支配する!北欧神話×デッキ構築ローグライク『ルーンボーン』

    ルーンの組み合わせで戦況を支配する!北欧神話×デッキ構築ローグライク『ルーンボーン』

    「デッキ構築ローグライクってもう飽和状態じゃない?」

    名作『Slay the Spire』以降、似たようなフォロワー作品が溢れ、食傷気味だったのは事実だ。

    だが、Early Accessで登場した『ルーンボーン(Runeborn)』をプレイして、その考えは一変した。本作が扱うのは、ただの紙のカードではない。古代の魔力が宿る「ルーン文字」だ。文字を組み合わせ、石板に刻み、神話の力を呼び覚ます――その手触りは、驚くほど重厚で、知的な興奮に満ちていた。

    ルーンの力こそがすべて!カードと魔法陣が融合した戦闘システム

    本作の最大の特徴は、ルーン文字を活用した独自の戦闘メカニクスだ。プレイヤーは北欧神話に登場する古代ルーン文字をカードとして扱い、それらを組み合わせることで強力な効果を発動する。単体では弱いルーンも、特定の配置や順序で使用することで、想像を超える破壊力やサポート効果を生み出す。

    戦闘はターン制で進行し、手札のルーンカードを戦略的に配置していく。ここで重要なのが「ルーンの相性」だ。例えば、火を象徴するルーンと氷を象徴するルーンを隣接させると相殺されてしまうが、火と風を組み合わせると炎の範囲が拡大し、複数の敵を巻き込む強力な攻撃に変化する。

    さらに、ルーンには「発動条件」が設定されているものもある。特定のルーンを3つ揃える、HPが一定以下のときに使用する、敵が特定の状態異常にかかっているときのみ発動——といった具合だ。この条件を満たすために、あえて防御を捨てて攻撃に転じたり、回復を後回しにしてコンボを優先したりと、リスクとリターンを天秤にかける判断が求められる

    戦闘中に使用できるルーンは限られており、デッキ構築の段階でどのルーンを採用するかが勝敗を分ける。強力だが発動条件が厳しいルーン、汎用性は高いが威力は控えめなルーン、サポート特化のルーン——プレイスタイルに応じて無数の組み合わせが存在する。

    ローグライクの醍醐味!毎回異なる運命を辿る旅

    『ルーンボーン』はローグライクゲームとして、毎回異なるダンジョン構造とランダムイベントを用意している。プレイヤーは北欧神話の世界を舞台に、神々や巨人、モンスターたちが支配する領域を探索しながら、最深部に潜むボスを目指す。

    道中で遭遇するイベントは多岐にわたる。商人からレアなルーンを購入できるチャンス、謎めいた神殿で強化を受けられる祝福、あるいは危険な賭けに挑む選択肢——どれを選ぶかで、その後の展開が大きく変わる。特に印象的だったのは、「ルーンを犠牲にして強力な祝福を得る」というイベントだ。デッキの核となるルーンを失うリスクを冒してでも、その祝福を得るべきか?この葛藤がたまらない。

    ボス戦は特に戦略性が問われる。通常の敵とは比較にならない体力と攻撃力を持つボスに対しては、ルーンのシナジーを最大限に活かした完璧なコンボが不可欠だ。さらに、ボスごとに固有の能力やギミックがあり、それを理解しないまま挑むと瞬殺される。何度も挑戦し、パターンを覚え、デッキを改良していく——このトライ&エラーの過程こそがローグライクの醍醐味だ。

    北欧神話の世界観が織りなす美しくも過酷な物語

    本作のビジュアルスタイルは、北欧神話の神秘性と荒々しさを見事に表現している。手描き風のアートワークは温かみがありながらも、戦闘シーンでは迫力満点のエフェクトが画面を彩る。ルーンが発動する瞬間の光の演出、敵が倒れる際のパーティクルエフェクト——細部まで丁寧に作り込まれている。

    サウンドトラックもまた秀逸だ。静かなダンジョン探索時には神秘的な旋律が流れ、ボス戦では緊張感を煽る激しいオーケストラが鳴り響く。特に印象的だったのは、ルーンを配置する際の効果音だ。カードゲームらしい「パチン」という音ではなく、石板に刻まれるような重厚な音が採用されており、「古代の力を扱っている」という没入感を高めている。

    物語の背景も興味深い。プレイヤーは「ルーンボーン」と呼ばれる存在として、神々の戦いに巻き込まれた世界を救うために旅をする。断片的に語られる神話や、NPCとの会話から少しずつ明かされる世界の真実——すべてをクリアしたとき、この世界で何が起きていたのかが明らかになる構成だ。

    ソロ開発者の情熱が生んだ挑戦作

    本作を開発したのは、ソロインディー開発者Rift Forgeスタジオだ。デッキ構築ローグライクというジャンルは『Slay the Spire』以降、多くの作品が登場しているが、『ルーンボーン』はルーンという独自のメカニクスで差別化を図っている。

    開発者は過去のインタビューで、「北欧神話の持つ神秘性と、ルーン文字の組み合わせによる無限の可能性を表現したかった」と語っている。実際、プレイしてみるとその意図が明確に伝わってくる。単なるカードゲームではなく、古代の魔術を操る感覚が見事に再現されているのだ。

    Early Accessでのリリースということもあり、現時点ではコンテンツ量やバランス調整に改善の余地がある。しかし、コアとなるゲームプレイの完成度は非常に高く、今後のアップデートでさらに磨かれていくことが期待できる。開発者はコミュニティのフィードバックを積極的に取り入れており、Discordサーバーでは頻繁にアップデート情報が共有されている。

    Steam評価は「ほぼ好評」!コミュニティの反応

    Steamでの評価は**「ほぼ好評」(81% – 52件のレビュー)**と上々のスタートを切っている。プレイヤーからは「ルーンのシナジーシステムが奥深い」「北欧神話の世界観が素晴らしい」といった高評価が寄せられている一方で、「コンテンツ量がもう少し欲しい」「一部のルーンのバランスが偏っている」という改善要望も見られる。

    海外コミュニティでは、特にRedditの/r/roguelikesやX(旧Twitter)で話題になっている。「Slay the Spireが好きなら絶対にプレイすべき」「ルーンの組み合わせを考えるのが楽しすぎる」といったコメントが多数投稿されており、デッキ構築ローグライク好きの間で確実に注目を集めている。


    『ルーンボーン』は、デッキ構築ローグライクというジャンルに新たな風を吹き込む意欲作だ。ルーンの組み合わせによる無限のシナジー、戦略性の高い戦闘、そして美しい北欧神話の世界観——すべてが高いレベルで融合している。

    Early Accessという段階ではあるが、すでにコアとなるゲームプレイは完成されており、今後のアップデートでさらなる進化が期待できる。デッキ構築ゲームが好きなら、今すぐプレイする価値がある。古代ルーンの力を手に、神々の戦いに身を投じてみてはいかがだろうか。


    基本情報

    開発: Rift Forge
    販売: Rift Forge
    リリース日: 2025年2月19日(Early Access)
    価格: ¥1,499 セール中30%オフで¥ 1,049
    プラットフォーム: Windows
    プレイ人数: 1人(シングルプレイヤー)
    ジャンル: ローグライク、デッキ構築、戦略、北欧神話
    Steam評価: ほぼ好評 (81% – 52件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3073990/_/

  • ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    ダイスとカードが織りなす奇跡のボードゲームRPG『Viractal(ヴィラクタル)』――運と戦略の狭間で生まれる唯一無二の冒険を体験せよ

    『Viractal(ヴィラクタル)』は、2025年9月のアーリーアクセス開始から約4ヶ月、プレイヤーの声を丁寧に拾い上げながら完成させた本作。ダイスロールとデッキ構築という一見相反する要素を見事に融合させた、まさに”奇跡のハイブリッド作品”だったのだ。

    Steamでの評価は非常に好評(89%)、レビュー数は200件を超え、プレイ時間2〜3時間という手頃さとリプレイ性の高さで多くのプレイヤーを虜にしている。『Dokapon Kingdom』を生み出したStingの新作ということで注目を集めていたが、実際にプレイしてみると、それは単なる”Dokaponの後継”ではなく、『Slay the Spire』的なデッキ構築と協力プレイの楽しさを掛け合わせた、全く新しいゲーム体験だった。

    ダイス運に翻弄されない! DPシステムこそがすべて!

    本作の最大の特徴は「ダイスロールで移動」という一見運任せなシステムを、「DP(ダイスポイント)システム」で戦略的な選択肢に昇華させた点だ。

    ダイスを振って出た目の分だけマップを移動する――これだけ聞くと完全に運ゲーに思えるが、ここが『Viractal』の素晴らしいところ。使わなかった移動ポイントは「DP」として蓄積され、イベントでの選択肢を増やしたり、戦闘で強力なバフをかけたりできるのだ。

    つまり、「6が出たけど1マスしか進みたくない」という状況でも、残りの5ポイントはDPとして保存され、後々の冒険で活きてくる。この仕組みのおかげで、ダイスの出目が悪くてもガッカリすることがない。むしろ「あえて移動せずにDPを溜める」という戦略すら成立するのだ。

    Steamのレビューでも「運要素があるのに運ゲーじゃない絶妙なバランス」と評されており、この設計の巧みさがプレイヤーから高く評価されている理由のひとつだろう。

    プロシージャル生成が生む、毎回違う冒険

    『Viractal』の舞台となる箱庭世界「ヴィラクタリア」は、プレイするたびにマップがランダム生成される。同じステージでも配置が変わるため、毎回異なる戦略が求められるのだ。

    正式版では全4つのステージが用意されており、それぞれ「ドラゴンの庭園」「雲と氷のスカイハーモニア」「溶岩と魔王城」、そして3つのステージを統合した最終章「旅の記憶」という構成になっている。各ステージは約2〜3時間でクリアできるため、仕事や学校で忙しい人でも気軽に1周できる絶妙な長さだ。

    特に「旅の記憶」ステージでは、パーティーメンバーが分かれて別々のクエストに挑み、最終的に3つのボスと連戦するという熱い展開が待っている。まるでTRPGのキャンペーンを体験しているかのような没入感があり、フレンドと協力プレイすれば興奮は倍増する。

    カードバトルは軽量級『Slay the Spire』!? でも奥深い!

    戦闘システムはカードバトル形式で、手札から選んだカードを使って敵を倒していく。『Slay the Spire』のようなヘビーなデッキ構築ゲームと比べるとシンプルだが、それゆえに戦略の幅が広い。

    カードは攻撃、防御、バフ・デバフ、特殊効果など多岐にわたり、冒険中に手に入れたカードをデッキに追加したり、不要なカードを削除したりできる。さらに、キャラクターごとに固有のスキルカードがあり、レベルアップ時に獲得できるアビリティと組み合わせることで、自分だけのビルドを構築できる。

    正式版で追加された新キャラ「ムギ(コボルト)」は、同じカードを連続使用することでボーナスダメージを得られる攻撃的なプレイスタイルが特徴。既存のキャラクターとは一線を画す戦い方ができるため、プレイの幅がさらに広がった。

    また、戦闘中にDPを消費することで強力なバフを発動できるため、「ここぞ」という場面でのリソース管理が勝敗を分ける。このシステムのおかげで、運だけでなくプレイヤーの判断力が試される戦略性の高いバトルが楽しめるのだ。

    協力プレイが生む”友情と裏切り”のドラマ

    『Viractal』は最大3人までのオンライン協力プレイに対応しており、ソロプレイとは全く異なる体験ができる。フレンドと一緒に冒険すれば、難敵も協力して倒せるし、アイテムを融通し合うこともできる。

    しかし、本作には「悪魔のささやき」という特殊なシステムが存在する。これは一部のイベントで発動し、仲間を裏切ることで自分だけが利益を得られるという……まさに友情破壊装置のような仕組みだ。ボイスチャットをしている場合、契約が成立すると声が変化するという演出まであり、プレイヤー同士の駆け引きが熱い。

    Steamのレビューでも「友達と遊んで3時間があっという間に過ぎた」「協力しているつもりが気づいたら騙されていた」といった声が多く、マルチプレイの評価は非常に高い。特に『Dokapon Kingdom』のような対戦要素ではなく、あくまで”協力”がベースになっている点が好評だ。

    アーリーアクセスから正式版へ――開発者の誠実な姿勢

    『Viractal』は2025年9月にアーリーアクセス版としてリリースされ、約4ヶ月間でプレイヤーからのフィードバックを丁寧に反映してきた。初期は「バグが多い」「バランスが悪い」といった厳しい意見もあったが、開発チームは定期的にアップデートを重ね、UIの改善、バトルバランスの調整、新コンテンツの追加を着実に進めてきた。

    特に2025年10月の「スカイハーモニア」アップデート、12月の「魔王城」アップデートでは新ステージと新キャラクターが追加され、プレイヤーからは「開発が本気で作り込んでいる」と高く評価された。そして2026年1月の正式版リリースでは、最終ステージ「旅の記憶」と新キャラ「ムギ」が実装され、ついに完成形となった。

    Steamのレビューを見ると、アーリーアクセス初期の低評価レビューと正式版後の高評価レビューで明確に温度差があり、開発チームの努力がしっかりと実を結んでいることがわかる。「最初は不満もあったが、今では自信を持っておすすめできる」という声も多く、誠実な開発姿勢が信頼を勝ち取った好例と言えるだろう。

    立体音響とボイスチャットが生む没入感

    本作のもうひとつの特徴が、ヤマハの仮想立体音響ソリューション「Sound xR Core」とCRI TeleXusを活用した音響システムだ。

    ヘッドフォンでプレイすると、川のせせらぎや風の音が立体的に聞こえ、戦闘シーンではキャラクターの位置に応じて音が変化する。まるでその場にいるかのような没入感があり、特にマルチプレイ時のボイスチャットでは「悪魔のささやき」イベントで声が変化する演出が非常に面白い。

    技術的な話になるが、CRI TeleXusはゲーム内ボイスチャットを簡単に実装できるミドルウェアで、『Viractal』ではこれを使って特殊な音声エフェクトを実現している。開発チームの技術力の高さが垣間見える部分だ。

    “万人向け”ではないが、ハマる人には刺さりまくる

    正直に言おう。『Viractal』は万人におすすめできる作品ではない。

    1プレイが2〜3時間と長めなこと、ダイスロールという運要素があること、協力プレイ前提のバランスになっている点など、人によっては合わない要素もある。実際、Steamのレビューでも「ソロプレイだとちょっと厳しい」「理不尽な展開が多い」といった意見も見られる。

    しかし、逆に言えば「2〜3時間でひとつの冒険を完結させたい」「運と戦略のバランスが絶妙なゲームが好き」「フレンドとワイワイ遊びたい」という人には最高にマッチする作品だ。特に『Dokapon Kingdom』や『Slay the Spire』、ボードゲームが好きな人なら、間違いなくハマるだろう。

    筆者も最初は「どうせすぐ飽きるだろう」と思っていたが、気づけば50時間以上プレイしていた。毎回違うマップ、毎回違うカード、毎回違う展開――この中毒性は他のゲームではなかなか味わえない。

    基本情報

    開発: Sting
    販売: Sting
    リリース日: 2026年1月25日(正式版)
    価格: 3,960円(税込)
    プラットフォーム: PC(Steam)
    プレイ人数: 1〜3人(オンライン協力プレイ、ローカル協力プレイ、LAN対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語
    ジャンル: ボードゲーム型RPG、デッキ構築、ローグライク、協力プレイ
    Steam評価: 非常に好評(89% – 200件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2909580/Viractal/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.sting.co.jp/
    X (Twitter): https://x.com/sting_pr
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.gg%2FxCPzGEtmbe

  • 「ペーパーマリオの新作、任天堂じゃなくてインディーが出したってマジ?」――『さよならエバーアフター』は、20年待ち続けたファンへの最高の回答だった

    「ペーパーマリオの新作、任天堂じゃなくてインディーが出したってマジ?」――『さよならエバーアフター』は、20年待ち続けたファンへの最高の回答だった

    「またペーパーマリオライクのインディーゲームか……」

    正直、最初はそう思っていた。『Bug Fables』や『Born of Bread』など、ペーパーマリオに影響を受けた作品は数あれど、本家を超えるものには出会えていなかった。しかし『さよならエバーアフター(Escape from Ever After)』は違った。プレイ開始から数時間で、筆者は確信した。

    これは、『ペーパーマリオRPG』の正統続編だ。

    カナダの2人組が6年かけて作り上げた傑作

    『さよならエバーアフター』を開発したのは、カナダ・モントリオールを拠点とするSleepy Castle Studio。驚くべきことに、このスタジオはたった2人で構成されている。Ryan Kitner氏がプログラミング、アニメーション、キャラクターアートを担当し、Daniel Whitworth氏がクリエイティブディレクター、レベルデザイン、脚本、そして音楽まで手掛けた。

    2020年から開発を開始し、Kickstarterで資金調達に成功。そこから6年の歳月をかけて、2026年1月23日にPC、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switchで同時リリースを果たした。価格は2,980円という非常にリーズナブルな設定だ。

    そしてその評価は驚異的だ。Steamでは1,010件のレビューで97%が好評という「圧倒的に好評」ステータスを獲得。Metacriticでは平均スコア81点、OpenCriticでも「Strong」評価を得ている。「ペーパーマリオライク」という枠を超え、本家を超えたと評する声さえ上がっているのだ。

    絵本の世界が、企業に乗っ取られた

    物語の主人公は、典型的なおとぎ話のヒーロー・フリント・バックラー。彼は宿敵である竜のティンダーを倒すため、何度目かの挑戦として彼女の城へと乗り込む。しかし城の中で待っていたのは、ティンダーではなく……受付係だった。

    「ようこそ、エバーアフター社へ!」

    城はいつの間にか企業のオフィスに改装され、ティンダーは投獄され、城中にコーヒー片手に報告書を書く社員たちが溢れていた。何が起きたのか?

    現実世界の巨大企業「Ever After Inc.」が、おとぎ話の世界に侵入する技術を開発したのだ。彼らの目的は、絵本の世界を安価な労働力と資源の供給源として搾取すること。ティンダーの城は企業の本社となり、次々とおとぎ話の世界が企業に飲み込まれていく。

    フリントが企業への就職を拒否すると、彼もまた投獄されてしまう。牢屋で再会したのは、かつての宿敵ティンダー。2人は力を合わせて脱獄し、企業に潜入して内部から破壊することを決意する。

    資本主義vs絵本の住人――このユニークすぎる設定が、本作最大の魅力のひとつだ。LinkedInのビジネス用語を皮肉った台詞、意味のない社内メール、無駄な会議……現代の企業文化への風刺が随所に散りばめられており、オフィスワーカーなら思わず苦笑いしてしまうだろう。

    アクションコマンドバトルの進化系

    『ペーパーマリオRPG』を知る人なら、本作のバトルシステムに即座に馴染めるだろう。ターン制バトルにアクションコマンドを組み合わせた仕組みで、攻撃時も防御時もタイミングよくボタンを押すことでダメージが増減する。

    しかし本作は単なる模倣ではない。完璧なタイミングでの防御に成功すれば、敵の攻撃を完全に無効化できる。さらに仲間キャラクターごとに異なるスキルセットがあり、バッジ(本作では「トリンケット」)システムで能力をカスタマイズできる。

    特筆すべきはシナジーシステム。特定のキャラクターの組み合わせで発動する強力な合体技で、戦略の幅が大きく広がる。敵の攻撃パターンを読み、どのキャラクターをパーティに編成するかを考え、バッジで能力を調整する――このパズル的な戦略性が、20時間以上のプレイを飽きさせない。

    レベルアップ時にはHP、MP、トリンケットポイントのいずれかひとつを強化できる仕様も秀逸だ。どのステータスを優先するかでプレイスタイルが変わり、リプレイ性が高まっている。

    難易度調整も柔軟で、アクションコマンドが苦手なプレイヤー向けにオートブロック機能も用意されている。ただし、手動でのタイミング取得にこそ本作の醍醐味があるので、できれば挑戦してほしい。

    ジャンルを超越する絵本の世界

    本作で訪れるステージは、まさにジャンルの大冒険だ。おとぎ話の森から始まり、ラブクラフト的なホラー、SF、ノワール探偵もの、さらには三匹の子豚が悪徳不動産業者になっている世界まで――各ステージが驚くほど異なる雰囲気を持っている。

    これらの世界は、Ever After Inc.が次々と侵略した「絵本の世界」という設定。企業が用意したテレページャー(転送装置)を使って、本の中に飛び込んで行くのだ。

    そして各ステージには探索要素がふんだんに盛り込まれている。隠しエリア、収集アイテム(サンジェムとインクボトル)、サブクエスト、そして各ステージの住人たちとの会話――どれも手抜きなく作り込まれている。

    特に仲間キャラクターの「応援」システムが秀逸だ。バトル中に仲間同士が会話を交わすのだが、これが単なるフレーバーテキストではなく、キャラクターの背景や関係性を深く掘り下げる内容になっている。全キャラクターの組み合わせで異なる会話が用意されているため、パーティ編成を変えるたびに新たな発見がある。

    ビッグバンドジャズが彩る冒険

    Daniel Whitworth氏が手掛けたサウンドトラックは、本作のもうひとつの主役だ。ジャズ、ビッグバンド調の楽曲が中心で、どのステージでも耳に心地よいメロディーが流れる。

    企業オフィスでは皮肉めいたビジネスライクな曲が流れ、海賊船では躍動感あふれる航海曲、ホラーステージでは不穏なサックスが響く――音楽が世界観を完璧に補完している。

    筆者は特にボス戦のBGMが気に入った。緊張感と高揚感が絶妙にブレンドされた楽曲で、何度聴いても飽きない。サウンドトラック単体でも購入できるので、気になる方はぜひチェックしてほしい。

    2人組が成し遂げた「奇跡」

    『さよならエバーアフター』は、開発者の愛情と情熱が隅々まで感じられる作品だ。

    たった2人で、6年かけて、プレイ時間20時間超のRPGを完成させる――これがどれほど狂気じみた偉業かは、ゲーム開発に携わったことがある人なら分かるだろう。プログラミング、アート、音楽、レベルデザイン、脚本、バランス調整、デバッグ……すべてを2人でこなしたのだ。

    そして完成した作品は、『ペーパーマリオRPG』の正統続編と呼ぶに相応しいクオリティを誇る。いや、もはや「超えた」と言っても過言ではないかもしれない。

    一部のレビューでは「防御のタイミングが取りづらい」「プラットフォーム要素が固定カメラのせいで難しい」といった指摘もある。確かに完璧な作品ではない。しかしそれらの欠点を補って余りあるほどの魅力が、本作には詰まっている。

    「本物のペーパーマリオ」がここにある

    『ペーパーマリオRPG』から20年。シリーズは方向性を変え、RPG要素を削ぎ落とし、かつてのファンたちは失望した。しかし諦めなかった2人のカナダ人が、ファンが求めていたものを作り上げた。

    絵本のようなビジュアル、戦略性の高いバトル、個性的なキャラクター、ジャンルを超越する冒険、そして現代社会への風刺――『さよならエバーアフター』は、すべてを兼ね備えている。

    「ペーパーマリオの続編が遊びたい」

    そう願い続けてきたすべてのゲーマーに、本作を強く推奨したい。任天堂が作らなかったゲームを、インディーデベロッパーが作り上げた。そしてそれは、紛れもない傑作だった。


    基本情報

    開発: Sleepy Castle Studio、Wing-It! Creative
    販売: HypeTrain Digital
    リリース日: 2026年1月23日
    価格: 2,800円(税込)
    プラットフォーム: PC(Steam、GOG、Epic Games Store)、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、中国語(簡体字)
    ジャンル: ターン制RPG、アドベンチャー
    Steam評価: 圧倒的に好評(97% – 1,010件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/1996390/Escape_from_Ever_After/
    GOG: https://www.gog.com/game/escape_from_ever_after

    公式リンク

    公式サイト: https://www.sleepycastlestudio.com/
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.com%2Finvite%2FjnTVrZrCyZ

  • 「Disco Elysiumの後継者」なんてレベルじゃない。TRPG好きが30年待ち続けた”あの感覚”を完全再現した『Esoteric Ebb』

    「Disco Elysiumの後継者」なんてレベルじゃない。TRPG好きが30年待ち続けた”あの感覚”を完全再現した『Esoteric Ebb』

    「Disco Elysiumみたいなゲーム、また出ないかな……」そう諦めかけていた矢先のことだった。

    2026年3月、PC Gamerはこう断言した。「まだ3月だが、断言しよう。『Esoteric Ebb』は2026年最高のRPGであり、Disco Elysiumの真の後継者だ」と。メタスコア88点、OpenCritic89点、Steam評価96%(295件のレビュー)──数字だけ見ても只者ではない雰囲気が漂う本作だが、実際にプレイしてみると、そこにはただの「模倣作」では片付けられない圧倒的な独自性があった。

    本作を手掛けたのは、スウェーデンの開発者Christoffer Bodegård。なんと2018年から8年間、ほぼソロで開発を続けてきたという狂気のプロジェクトだ。途中からイラストレーターや音楽プロデューサーが加わったものの、プログラミング、デザイン、そして75万語以上(指輪物語三部作を超える分量!)に及ぶダイアログの執筆まで、すべて彼一人の手によるものである。

    D&Dルールで動く会話バトル、これぞ「Disco-like」の真骨頂

    『Esoteric Ebb』の舞台は、アルカネパンク・ファンタジー世界「エソテリック・コースト」。魔法大戦の余波が残るこの世界では、ゴブリンが街角で新聞を売り、イデオロギーが死神の囁きを覆い隠している。そしてあなたは「聖職者(The Cleric)」──政府の下っ端として働く、秘儀的事件の専門家だ。

    ゲームは衝撃的なオープニングから始まる。あなたは死体安置所で目覚める。川底から引き上げられ、腐ったリンゴに囲まれ、いくつかの死体とゾンビ一匹と共に。そう、あなたは一度死んでいたのだ。

    そして任務が下る。5日後に控えた史上初の選挙を前に、街の中心でゴブリンの茶店が爆発した。原因は? 犯人は? 政治的動機があるのか? あなたには5日間という制限時間の中で、この謎を解明しなければならない。

    本作の最大の特徴は、D&D第5版ルールをDisco Elysiumスタイルの会話システムに完全統合したことだ。キャラクター作成では、STR(筋力)、DEX(敏捷)、CON(耐久)、INT(知力)、WIS(判断力)、CHA(魅力)という6つの能力値を配分する。そしてこれらの能力値が、Disco Elysiumの「スキル」のように内なる声として語りかけてくるのだ。

    INTは冷徹で時に残酷だ。野心を煽り、世界にはあなたのような指導者が必要だと囁く。それ自体は「秩序にして悪」であり、非政治的だ。一方でWISは共感的で、他者の痛みを理解しようとする。この能力値たちは互いに議論し、時には味方し、時には驚くような発言をする──まるで本当のTRPGセッションで、GMが各プレイヤーの性格を演じ分けているかのように。

    そして重要な選択や行動の多くはダイスロールで成否が決まる。会話中の説得判定、戦闘、さらには「恥ずかしいことを認める」ような場面でさえダイスが振られる──そして失敗すれば死ぬこともある。装備やD&D呪文(「Enhance Ability」や「Charm Person」など)を使えば判定に有利な修正を得られるが、運命の女神は気まぐれだ。

    この「ダイスの不確実性」こそが、本作にリプレイ性緊張感をもたらしている。筆者は初日、リンゴを大量に食べようとして腹痛で死亡した。ゾンビを説得して自殺させることに成功したかと思えば、次の瞬間には天使への口説きに大失敗して恥をかいた。

    本作は「クレリック」という職業の皮を被った自由奔放なロールプレイング

    さて、あなたは「聖職者」のはずだが、実はこれ、まったくの建前である。

    ゲーム開始直後から、あなたは他人に「実は俺、ローグなんだ(Dick-Ass Rogue)」と言い張ることができる。そして驚くべきことに、ゲームはそれを受け入れる。キャラクターシートまで変更される。「アルカナの聖職者」として魔法使い呪文を習得することもできるし、隠しクラスをアンロックすることも可能だ。

    レビュアーたちは口を揃えて言う。「俺は病弱なローグ聖職者でアイデンティティ危機を抱えたキャラを作った」「俺は常にDick-Ass Rogueだと主張し続けた、笑える結果になった」と。そう、本作は「あなたが何者であるか」すら、あなた自身の選択に委ねているのだ。

    そしてこの自由度は選択肢にも表れている。冒頭で出会う移民の村、ドルイド、ゴブリンの三つ巴状況において、あなたは:

    • ドルイドを助けてゴブリンのキャンプから仲間を救出する
    • 移民たちに警告して防衛準備を整える
    • ゴブリンに協力して村を襲撃する

    すべてが可能だ。そしてどの選択をしても、物語は分岐し、意味を持ち、そして進んでいく。あるプレイヤーは友人と4人マルチプレイし、「移民もドルイドもゴブリンも全員虐殺する」というジェノサイドルートを達成したという。モンクのハーフオークが波動拳でゴブリンをナムアミダブツする光景は、きっと忘れられない思い出になっただろう。

    これはDisc──いや、「Discworld」だ

    あるレビュアーが鋭い指摘をしている。「本作の核心はDiscoではなく、Discだ。Discworld、つまりテリー・プラチェットだ」と。

    確かに、本作はD&Dというシステムをプラチェットのようにユーモアと皮肉を込めて扱っている。「Charm Person」呪文や「Speak with Dead」が社会でどう規制されているか、アライメント(属性)システムが形而上学的にどう機能するのか──こうした設定を、登場人物たちは当たり前のこととして受け入れている。狂っているのは、むしろプレイヤーのほうなのだ。「なぜこんな世界なんだ?」と問いかけるのは、我々だけである。

    ノルヴィク市は「ガーズ!ガーズ!」や「ソウル・ミュージック」を思わせる。暗い階級闘争よりも、不条理を受け入れながら「それでも生きていく」人々の姿がそこにはある。

    そして探索要素も素晴らしい。本作には地下都市(City Below)が広がっており、秘密を発見し、パズルを解き、戦闘に挑むダンジョン探索がTRPG的なドラマチックさで展開される。ある時あなたは巨大化しすぎたゼラチナス・キューブに遭遇し、別の時には法律顧問として働く本物の悪魔と契約書の条項について議論する。

    「クエスティング・ツリー」──クエストログ、スキルツリー、マインドマップが融合した革新的システム

    本作独自のシステム「Questing Tree(クエスティング・ツリー)」も見逃せない。これはクエストログであり、スキルツリーであり、マインドマップでもある。

    クエストを完了すると、それが「根を張り」、あなたの心に定着する。そしてFeat(特技)としてゲームプレイに影響を与える。例えば「異性への判定に有利な修正」を得たり、新しいクラスをアンロックしたりできる。クエストは大小さまざまで、茶店爆発という大事件から、猫探し、許可証の問題解決といった小さなものまで多岐にわたる。

    そして本作は時間制限がある。5日後には選挙が行われ、物語は終わる。会話するたびに時間が進み、キャラクターは特定の時間・場所にしか現れない。すべてをこなすことは不可能だ。だからこそ、「今回は何をするか」「次回のプレイで何を試すか」という選択の重みが生まれる。

    技術的な問題はあるが、それを補って余りある魅力

    公平を期すため、欠点も述べておこう。一部のレビューでは技術的な問題が報告されている。画面が緑色のフィルターで覆われる不具合、影が奇妙に伸びるグラフィックバグ、Steam Deckでのパフォーマンス問題などだ。また、UI(特にインベントリ管理)がSteam Deckのゲームパッドでは扱いにくいという指摘もある。

    序盤の会話がやや「チュングス的」(※訳注:「ちょっと個性的すぎる」ニュアンス)で、トーンが安定しない部分もあるとの声もある。そして音声なしであるため、膨大なテキストを読む覚悟が必要だ(日本語は未対応)。

    だが、それでもなお──本作は傑作だ。

    開発者は「75万語以上(ロード・オブ・ザ・リング全三部作より多い)のテキスト」を用意しており、ローカライズには莫大なコストがかかると述べている。しかし、この文章量こそが本作の魅力の源泉でもある。会話の選択肢には「優しく」「冗談っぽく」といったトーン指定があり、主人公になりきって物語を紡ぐ体験は、まさにTRPGそのものだ。

    「これこそTRPGだ」──30年待ち続けた感覚がここにある

    筆者が最も感銘を受けたのは、本作がTRPGの「あの感覚」を完璧に再現していることだ。

    優秀なGMがいるセッション。プレイヤーが無茶な行動をしても、GMはそれを受け止め、即興で対応し、物語を転がしていく。ダイスの出目に一喜一憂し、予想外の展開に笑い、仲間との掛け合いに心温まる──。

    Baldur’s Gate 3が「D&Dの究極のサンドボックス」なら、『Esoteric Ebb』は「史上最高のDMとのキャンペーン」だ。PC Gamerのレビュアーは「これまでTRPGの魔法をここまでゲームに落とし込んだ作品は見たことがない」と絶賛している。

    そしてもう一つ特筆すべきは、本作にバッドエンドは存在しないということだ。どんな選択をしても、それに応じたエンディングが用意されている。50以上のエンディングパターンがあり、仲間の運命、主人公の選択、政治状況の帰結──すべてが複雑に絡み合う。

    「あのとき別の選択をしていたら?」という問いが、次のプレイスルーへの強烈な動機になる。筆者は現在2周目だが、1周目では見落としていたキャラクター、選ばなかった選択肢、気づかなかった伏線──すべてが新鮮だ。

    人生が足りない。だが、それでも遊ぶ価値がある

    冒頭で『バルダーズ・ゲート3』を引き合いに出したが、『Esoteric Ebb』もまた「人生が足りない」ゲームだ。

    1周クリアに約20~30時間。50以上のエンディング、無数の分岐、膨大な会話の組み合わせ──すべてを見ようと思えば、確実に数百時間は必要だろう。そして開発者が「高INT(知力)プレイヤーだけが読むに値する不必要な設定資料」と称する開発ブログまで読み始めたら、もう抜け出せない。

    だが、それでいいのだ。本作は「効率よくクリア」するゲームではない。あなた自身の物語を紡ぎ、選択の重みを感じ、ダイスの出目に運命を委ね、そして笑い、驚き、時には後悔する──そんな体験こそが、本作の真の価値なのだから。

    PC Gamerは「2026年3月の時点で断言する。『Esoteric Ebb』は今年最高のRPGだ」と言った。GameSpotは「ビデオゲームストーリーテリングの到達点であり、最も魅力的で笑える没入型RPG体験のひとつ」と評した。そしてプレイヤーたちは「Disco Elysiumの後に何を遊べばいいか分からなかった。今ならはっきり言える。『Esoteric Ebb』を遊べ」と声を揃える。

    もしあなたがTRPG好きなら、Disco Elysiumファンなら、あるいは単に「他では味わえない物語体験」を求めているなら──迷わず本作を手に取ってほしい。

    ダイスを振ろう。ゴブリンの茶店が爆発した謎を解こう。そして、あなただけの物語を紡ごう。ノルヴィクの街が、あなたを待っている。


    基本情報

    開発: Christoffer Bodegård
    販売: Raw Fury
    リリース日: 2026年3月3日
    価格: 2,800円(発売記念10%オフで2,520円 3月15日まで)
    プラットフォーム: PC (Steam)
    プレイ人数: シングルプレイヤー
    言語: 英語(日本語未対応)
    ジャンル: CRPG、ストーリーリッチ、選択重視、アイソメトリック、ダンジョンズ&ドラゴンズ
    Steam評価: 圧倒的に好評 (96% – 295件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2057760/Esoteric_Ebb/

    公式リンク

    公式サイト: https://esotericebb.com/
    X (Twitter): https://x.com/chrisbodegard
    Discord: https://steamcommunity.com/linkfilter/?u=https%3A%2F%2Fdiscord.gg%2FHsJnXfRXnC
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  • 7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    7年越しの続編が爆誕!『Slay the Spire 2』は「完璧な正統進化」だった

    「デッキ構築型ローグライクの続編なんて、どうせ焼き直しでしょ?」しかし、2026年3月6日にSteamで早期アクセスが開始された『Slay the Spire 2』は違った。リリースからわずか24時間で同時接続プレイヤー数が約40万人を突破し、Steam売上ランキング1位を獲得。前作が2017年に記録した193人という初日同時接続数と比較すると、なんと92,982%増という驚異的な数字を叩き出している。

    開発はシアトルを拠点とするインディースタジオMega Crit。Anthony GiovannettiとCasey Yanoの2人が創業したこのスタジオは、前作『Slay the Spire』で「デッキ構築型ローグライク」というジャンルそのものを確立した伝説的な存在だ。続編の開発は慎重に進められ、2024年4月の発表から約2年を経ての早期アクセスリリースとなった。

    「同じ」ことこそが最大の誠実さ

    本作最大の特徴は、良い意味で「前作とほぼ同じ」であることだ。ユニークなデッキを構築し、奇怪な生物と遭遇し、強力なレリック(遺物)を発見しながらスパイアの頂上を目指す——この核となるゲームループは一切変わっていない。戦闘はターン制で、限られたエネルギーを使ってカードをプレイし、敵の行動パターンを読みながら立ち回る緊張感も健在だ。

    「7年も待たせてこれか?」という声も確かに存在する。Steam レビューには「前作の慎重すぎるコピー」「新鮮味がない」といった指摘も散見される。しかし、筆者はあえて言いたい。ローグライクにおける「同じ」とは、必ずしも悪ではない。むしろ、システムの根幹が揺るがないことは、続編としての「誠実さ」の表れなのだ。

    前作で完成されていたゲームデザインに無理な変革を加えず、プレイヤーが本当に求めていた「もっと遊びたい」という欲求に真正面から応えた——これこそが『Slay the Spire 2』の真価である。

    5体のキャラクター、500枚超のカード、275種類のレリック

    プレイアブルキャラクターは全5体。前作から続投するアイアンクラッド(筋肉ゴリラ系近接戦士)、サイレント(毒とドローに特化した暗殺者)、ディフェクト(電気とオーブを操るロボット)に加え、新キャラとしてリージェント(デバフと弱体化のスペシャリスト)とネクロバインダー(死霊術師)が登場する。

    注目すべきは、前作で人気を博したウォッチャーが今作には登場しないこと。これは早期アクセス段階での判断であり、開発チームは今後のアップデートで追加する可能性を示唆している。実際、Mega Critは「1~2年の早期アクセス期間中にコンテンツを追加・調整していく」と明言しており、ウォッチャーのファンは続報を待つことになる。

    カードは500枚以上、レリックは275種類以上と、組み合わせのバリエーションは膨大だ。前作プレイヤーなら懐かしいカードが多数登場する一方、新カードも約30~40%を占めており、「85%が前作と同じ」というレビューは正確ではない。むしろ、既存カードの効果が微調整されているケースが多く、前作の知識が完全に通用しないバランスになっている点が重要だ。

    エンチャント、年代記、そして卵から孵る相棒

    新要素として最も目を引くのが「エンチャント」システムだ。これは、選択したカードに特定の効果を付与する新機能で、ボス撃破後やイベントで獲得できる。たとえば「種まきエンチャント」をアタックカードに付与すれば、そのカードをプレイするたびに追加効果が発動する仕組みだ。

    「年代記(Timeline)」システムも新登場。これは、スパイアの歴史やNPCの背景ストーリーを断片的に解き明かしていくコレクション要素で、何度も挑戦するうちに世界観の全貌が見えてくる仕掛けになっている。前作ではほとんど語られなかった設定が、今作では「実際にコミュニティが形成されている」という描写に変わっており、ストーリー面での進化を感じさせる。

    そして個人的に最も気に入っているのが、「卵イベント」で孵化させられる相棒キャラクターだ。筆者の初回プレイでは、前作で敵として登場していたビャードという鳥型クリーチャーが味方として参戦。戦闘中に隣で「スウープ(急降下攻撃)」してくれるその姿に、思わず「このコのために死ねる」と感じた。相棒キャラは複数種類存在し、それぞれ異なる支援効果を持つため、どの卵を引けるかも運の要素となっている。

    4人協力プレイという革命

    『Slay the Spire 2』最大の新要素は、間違いなく「4人協力プレイ」だ。前作が完全ソロ専用だったのに対し、本作ではフレンドと最大4人でスパイアに挑戦できる。マルチプレイ専用カードやチームシナジーが用意されており、協力してルートを選択し、報酬を共有しながら進む体験は、ソロプレイとは全く異なる魅力を持つ。

    現時点ではマッチメイキング機能はなく、Steamフレンド招待でのみグループが組める仕様だ。ボイスチャット機能も実装されていないため、DiscordやSteamの通話機能を併用する必要がある。ただし、ピング機能(地点指示)やエモート機能は実装予定とのことで、コミュニケーション手段は今後拡充される見込みだ。

    「マルチプレイがこのゲームのハイライト」というレビューも多く、ソロでは味わえない戦略の深さと、フレンドを「沼に引きずり込む」楽しさが評価されている。実際、筆者も初日にフレンドと2人でプレイしたが、「あと1ターン」が「気づけば明け方」に変わる中毒性は健在だった。

    早期アクセスの現実:バグと未完成要素

    ただし、早期アクセス版であることを忘れてはいけない。リリース初日には、すべてのテキストが「W」の文字で埋め尽くされる通称「WWWWバグ」が発生し、一部言語では進行不能に陥った。マルチプレイ終了後にゲームがソフトロック(進行不能状態)する不具合も報告されており、Mega Critは即日ホットフィックスで対応したものの、完全には解消されていない。

    Steamアチーブメントは現時点で無効化されている。これは、今後追加されるコンテンツ量が確定していないためで、正式リリース時に実装予定だ。真のエンディングもまだ存在せず、現在プレイできるのは3つのアクト(章)までとなっている。

    Steam Deckでの動作は「Unknown(不明)」ステータスだが、ユーザーレビューでは「完璧に動作する」「バッテリー持ちも良好」という報告が多数上がっている。Godotエンジンを採用したことで、前作のUnityエンジンよりも軽量化されており、ネイティブLinux対応も実現している。

    「同じ」だからこそ、また沼に堕ちる

    バグや未完成要素を飲み込んでなお、プレイヤーを徹夜へと誘う「中毒性の原液」がここにはある。前作で400時間以上プレイし、全キャラクターで最高難度アセンション20をクリアした筆者ですら、「早くアンインストールしないと人生が終わる」と感じているのだ。

    Steam評価は「圧倒的に好評」(97%ポジティブ、レビュー数2万件超)を記録しており、初日からこれほど高評価を維持している早期アクセスタイトルは極めて珍しい。「前作と同じだけど、それが最高」「デッキ構築型ローグライクの決定版が帰ってきた」「鳥の相棒が可愛いから10/10」といったレビューが並ぶ。

    基本情報

    開発: Mega Crit Games
    販売: Mega Crit Games
    リリース日: 2026年3月5日
    価格: 2,800円
    プラットフォーム: PC(Steam)、macOS、Linux
    プレイ人数: 1~4人(協力プレイ対応)
    言語: 日本語、英語、韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、その他全22言語
    ジャンル: ローグライク、デッキ構築、カードゲーム、ターン制戦略
    Steam評価: 圧倒的に好評(97% – 20,534件のレビュー)

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2868840/Slay_the_Spire_2/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.megacrit.com/
    X (Twitter): https://x.com/MegaCrit
    Discord: https://discord.gg/slaythespire
    Reddit: https://www.reddit.com/r/slaythespire/
    TikTok: https://www.tiktok.com/@megacritgames

  • ダイスを振って目指せ100万点!シンプルだけど中毒性たっぷりデッキ構築ローグライク

    ダイスを振って目指せ100万点!シンプルだけど中毒性たっぷりデッキ構築ローグライク

    Steamで目にする数字パズルやダイスゲーム。正直、その多くは似たようなコンセプトに見えてしまう。ローグライク×デッキ構築という組み合わせはもはや王道すぎて、新鮮味を感じられない……そんな先入観を持ちながら『Dice A Million』のストアページを開いた筆者。

    しかし、いざプレイしてみると、この先入観は見事に覆された。本作は単なる「ダイスを振るだけのゲーム」ではない。シンプルな見た目の裏に潜む、計算されたシナジーシステムと中毒性の高いゲームループ。これこそが『Dice A Million』の真髄だった。

    数字を極めろ!シンプルだけど奥深いダイスメカニクス

    『Dice A Million』の基本ルールは驚くほどシンプル。プレイヤーはダイスを振り、その出目を使ってスコアを稼ぐ。それだけだ。しかし、このシンプルさが逆に深みを生み出している。

    ゲームの核となるのは「リロール(振り直し)」と「アップグレード」のシステム。最初のロールで満足いく出目が出なければ、何度でも振り直せる。ただし、リロールにはコストがかかる。このコストをどう管理し、どのタイミングで振り直すかが、このゲームの戦略性を生み出している。

    さらに注目すべきは「シナジー構築」の要素。ダイスの出目同士を組み合わせることで、予想外の大きなスコアが生まれる。例えば、同じ数字を揃えれば倍率ボーナス。連続する数字を作れば追加ポイント。こうしたコンボを見つけ出し、最大化していく過程が、本作を単なる運任せゲームではなく、戦略的パズルへと昇華させている。

    筆者が特に感心したのは、このシナジーシステムの絶妙なバランス。強力すぎるコンボは序盤では組みにくく、弱いコンボは簡単に組める。プレイヤーのスキルと運のバランスが絶妙で、「もう一回やれば、もっと高得点を出せるはず」という気持ちにさせられる。

    止まらない!中毒性抜群のゲームループ

    『Dice A Million』の最大の魅力は、その中毒性にある。1プレイは数分で終わるため、「あと一回だけ」が止まらない。この手軽さが、いわゆる「放置ゲーム」や「インクリメンタルゲーム」の要素と見事にマッチしている。

    プレイを重ねるごとに、新しいダイスや特殊能力がアンロックされる。これらのアップグレード要素が、プレイヤーに「次はもっと強くなれる」という希望を与え、プレイを続けるモチベーションを維持させる。

    さらに、本作には「プレステージ(威信)」システムも実装されている。一定のスコアに到達すると、すべてをリセットして再スタート。その代わりに、永続的なボーナスを獲得できる。この「一度リセットして、さらに強くなる」という仕組みは、インクリメンタルゲームの醍醐味そのもの。時間を忘れて没頭してしまう危険性があるので、要注意だ。

    ミニマルだけど癒される!シンプルなビジュアルとUI

    本作のビジュアルは、非常にミニマル。派手なエフェクトや複雑な演出はない。しかし、それが逆に心地よい。ダイスが転がるアニメーション、スコアが加算されるときの「カチカチ」という音。これらの小さな演出が、プレイヤーに心地よい達成感を与えてくれる。

    UIもシンプルで直感的。必要な情報が一目でわかり、操作に迷うことがない。ダイスゲームという性質上、複雑な操作は不要。マウスだけで完結する操作性は、カジュアルに楽しみたいプレイヤーにとって嬉しいポイントだ。

    筆者が特に気に入ったのは、数字が増えていくときの「満足感」。大きなコンボが決まり、スコアが一気に跳ね上がる瞬間は、何度味わっても飽きない。これは数字パズルゲームならではの快感と言えるだろう。

    『Dice A Million』はこんな人にオススメ

    本作は以下のようなプレイヤーに特にオススメしたい。

    • 短時間で楽しめるゲームを探している人:1プレイ数分で完結するため、スキマ時間にも最適。
    • 数字パズルが好きな人:シンプルながら奥深い数字のやりくりが楽しめる。
    • インクリメンタルゲームが好きな人:「もっと強くなりたい」という欲求を満たす成長要素が充実。
    • ローグライクデッキ構築ゲームが好きな人:ダイスの組み合わせを考える戦略性が好きな人には刺さるはず。

    逆に、以下のような人には向かないかもしれない。

    • 複雑なストーリーを求める人:本作にストーリー要素はほぼない。
    • 派手な演出やグラフィックを求める人:ミニマルなビジュアルが特徴なので、派手さは期待できない。

    基本情報

    商品名:Dice A Million
    開発:Sleepless Clinic
    販売:Sleepless Clinic
    配信日:2026年2月26日
    定価:1,500円(Steam)
    日本語:対応
    プラットフォーム:PC(Steam)
    プレイ時間:数時間~数十時間(やり込み度による)
    難易度:易しい~普通(運要素が強いため初心者でも楽しめる)

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  • 株式市場でデッキを組む?『Insider Trading』が教えてくれた、欲望と破滅の紙一重

    株式市場でデッキを組む?『Insider Trading』が教えてくれた、欲望と破滅の紙一重

    Steam を漁っていたら、あまり見かけないようなゲームに出くわした。「Insider Trading」――日本語で言えば「インサイダー取引」である。違法行為じゃないか、と思いつつもストアページを覗いてみると、そこには株式市場を舞台にしたローグライクデッキビルダーという、一風変わったコンセプトが待っていた。

    本作が扱うのはモンスターとの戦いでもポーカーの役でもない。株価だ。カードを駆使して株価を操り、利益を確定させる。そのシンプルながら奥深いゲームデザインに、気づけば何時間もプレイしていた。

    株価操作という名のデッキビルダー

    本作の目標は、毎週金曜日までに設定された目標金額を達成すること。プレイヤーは様々な戦略を持つトレーダーの一人となり、市場を動かすカードデッキを駆使して取引に挑む。カードを出すことで株価が上下し、その変動を利用して売買を繰り返していく。

    最初は単純だ。株価を上げるカードを出し、価格が十分に上がったところで「取引」ボタンを押す。すると保有している全ての株が売却され、利益が確定される。だが、ここからがこのゲームの真髄だ。

    ゲームが進むにつれて分かってくるのは、「ひたすら株価を上げればいい」わけではないということ。株価が高騰しすぎると、次に株を買う余裕がなくなり、自分自身が市場から締め出されてしまう。つまり、利益を追求しすぎると自滅する――これこそが本作が描く「欲望と破滅の紙一重」なのだ。

    カードタイプとコンボが生み出す爆発力

    本作には120枚以上のカードが存在し、それらは12の異なるタイプに分類されている。同じタイプのカードを1ターンに複数枚出すと「コンボ効果」が発動し、予想を超える価格変動が起こる。

    例えば、Bull(強気)カードを連続で出せば株価は急騰し、Bear(弱気)カードを重ねれば株価は暴落する。だが重要なのは、この暴落すらも戦略の一部だということだ。株価が低いときに大量に買い込み、その後急騰させて売り抜ける――このサイクルをいかに効率的に回すかが、勝利への鍵となる。

    さらに、50種類以上のパーク(特殊能力)が存在し、その中には強力だが危険なトレードオフを伴う「呪いのパーク」も含まれている。ハイリスク・ハイリターンな選択肢を取るか、安定志向で進むか――プレイヤーの判断が問われる。

    Greed(欲望)システムがすべてを加速させる

    本作で最も特徴的なシステムが「Greed(欲望)」だ。これはロケット燃料のように利益とリスクを加速させる仕組みで、プレイ中の選択次第でどんどん蓄積されていく。

    Greedが高まると、利益の倍率が上がる一方で、株価の変動も激しくなり、思わぬ暴落で全てを失うリスクも高まる。あと一回だけ、もう一回だけ――そんな欲望に駆られて取引を続けた結果、市場が崩壊して破産する。これが本作の醍醐味であり、恐ろしさでもある。

    PC Gamerのレビューでは、「デッキビルダーで初めて、デッキを強くしすぎて失敗した」と評されているほどだ。普通のデッキビルダーでは強いデッキを組むことが目標だが、本作では「強すぎるデッキ」が自滅の原因になる。この逆説的な面白さが、ローグライク好きを唸らせている。

    個性豊かなトレーダーたちとイベントシステム

    各ランでプレイするキャラクターは、それぞれ独自の戦略と初期デッキを持っている。彼らの特殊メカニクスを理解することで、新たな戦略の可能性が開かれる。

    また、ランの途中でランダムに発生するイベントや「Pills(錠剤)」と呼ばれるアイテムは、計画を大きく狂わせることもあれば、起死回生のチャンスをもたらすこともある。予測不能な展開に適応する力が試される。

    難易度設定とやり込み要素

    本作には6段階の難易度が用意されており、初心者から上級者まで幅広く楽しめる設計になっている。最高難度では、わずかなミスが命取りになる緊張感あふれるプレイが味わえる。

    また、本作はGodot Engineで開発されており、Windows、Mac OS、Linuxに対応。Steam Deckでも快適に動作するため、いつでもどこでも市場を操ることができる。

    中毒性の高いサウンドとビジュアル

    レトロなピクセルグラフィックスと、リズムに合わせて鳴る効果音が絶妙にマッチしている。Steam レビューでは「サウンドトラックが中毒性抜群」「UIのフィードバックが心地よい」といった声が多く、視覚と聴覚の両面でプレイヤーを引き込む作りになっている。

    CRTエフェクトやノイズ、ブルーム、スクリーンシェイク、フラッシュエフェクトは個別にオン・オフ可能なので、好みに合わせて調整できるのも嬉しい。

    ソロ開発者が作り上げた傑作

    本作を手がけたのは、ニューヨークと韓国・水原を拠点とするソロ開発者Naiive。Naiive Studioにとって初の商業リリース作品だが、長期間のプレイテストとフィードバックを経て、驚くほど洗練されたゲームに仕上がっている。

    開発者自身がSteamコミュニティで述べているように、「デモ、プレイテスト、そして無数の反復が、今のゲームを形作った」。プレイヤーの声を真摯に受け止め、改良を重ねた結果が、現在の高評価につながっている。

    プレイした感想:計算と直感の狭間で

    実際にプレイしてみて、最も印象的だったのは「考えすぎても、直感に頼りすぎてもダメ」というバランス感覚の重要性だ。

    序盤は計算通りに進められるが、中盤以降はカードドローの運やイベントの影響で、計画通りにいかなくなる。そのときに「ここで欲張るべきか、安全策を取るべきか」という判断が勝敗を分ける。

    特に印象的だったのは、ある週で目標金額の2倍以上の利益を出したとき。「このまま行けば余裕だ」と思った次の週、市場が暴落して全てを失い、ゲームオーバーになった経験だ。この「調子に乗った瞬間の転落」こそが、本作の魅力であり、教訓でもある。

    対応言語と価格

    本作は日本語を含む10言語に対応しており、日本のプレイヤーも安心してプレイできる。対応言語は、英語、簡体字中国語、日本語、韓国語、フランス語、ドイツ語、ポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語。

    価格は通常1,500円だが、発売記念として期間限定で15%オフの1,275円で販売中(2026年2月時点)。デモ版も用意されているので、まずは試してみるのもいいだろう。

    総評:ローグライクデッキビルダーの新境地

    『Insider Trading』は、株式市場という一見堅苦しいテーマを、中毒性の高いゲームプレイに昇華させた傑作だ。Balatroのようなコンボの爽快感と、Slay the Spireのような戦略性の深さを兼ね備えながら、独自の「欲望管理」という新しい要素を加えている。

    「もう一回だけ」が止まらなくなるゲームデザイン、予測不能な展開、そして自分の欲望と向き合う心理戦――これらすべてが絶妙に組み合わさり、唯一無二の体験を生み出している。

    ローグライクやデッキビルダーが好きなら、絶対にプレイすべき一作だ。ただし、注意してほしい。このゲームは、現実のように、あなたの欲望を試してくる。


    基本情報

    • ゲーム名: Insider Trading
    • 開発者: Naiive Studio(Naiive)
    • パブリッシャー: Naiive Studio
    • リリース日: 2026年2月18日
    • 価格: 1,500円(発売記念セール中:1,275円)
    • プラットフォーム: Steam(Windows / Mac OS / Linux / Steam Deck対応)
    • 対応言語: 日本語、英語、簡体字中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、ポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語
    • ジャンル: ローグライク、デッキビルダー、ストラテジー、ターン制
    • プレイ時間: 1ラン30分〜1時間程度
    • 難易度: 6段階(初心者〜エキスパート)
    • Steam評価: 非常に好評(91%ポジティブ、107レビュー)※2026年2月21日時点

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  • 「これ、マジで死ぬやつじゃん…」血を賭けたチンチロで生き延びろ!デッキ構築ローグライト『メンヘラリウム』

    「これ、マジで死ぬやつじゃん…」血を賭けたチンチロで生き延びろ!デッキ構築ローグライト『メンヘラリウム』

    チンチロ?ギャンブル?いやいや、これサバイバルホラーでしょ

    Steam で『メンヘラリウム』を見つけたとき、正直「また変なインディーゲームか」って思った。でも、プレイしてみたら予想の斜め上どころか、完全に別次元だった。

    目が覚めたら地下室。目の前には満面の笑みを浮かべた”メンヘラちゃん”(CV:夏吉ゆうこ)。「死ぬまで一緒に遊ぼうね♡」って、その可愛い声で言われるセリフじゃないでしょ。しかも賭けるのは血液。チンチロで負けたら血を抜かれる。7日間生き延びなきゃいけない。

    最初は「チンチロって何?」状態だったんだけど、これ『カイジ』でお馴染みのサイコロギャンブルなんですよね。3つのサイコロを振って、出目の組み合わせで勝負する。ゾロ目が最強、123が最弱。シンプルなルールなのに、これがまた命がけになると恐ろしい。

    イカサマ上等!サイコロ改造でメンヘラちゃんに挑む

    このゲームの面白いところは、メンヘラちゃんがイカサマを許してくれるところ。いや、許してくれるっていうか「頑張って足掻くあなたを応援してます♡」って。この子、本当に怖い。

    デッキ構築ローグライトの要素がここで輝く。毎日の勝負で稼いだコインで、サイコロの出目を張り替えたり、イカサマアイテムを購入できるんです。全部6の目にしたサイコロとか、出目を強制的に変更できるアイテムとか。

    でもメンヘラちゃんも黙ってない。毎日「ギミック」っていう理不尽なルールを突きつけてくる。「メンヘラちゃんは必ず456を出します」とか「あなたのHPが10倍になります(スコア条件も10倍)」とか。しかも3択から選ばされる。どれも地獄。

    ここでデッキ構築の戦略性が試される。お守り(タリスマン)の選択、サイコロのカスタマイズ、アイテムの使いどころ。すべてが生死を分ける。特にタリスマンは強力で、特定の出目に倍率をかけたり、特殊効果を発動したりする。

    1回のプレイが意外と短い!でもやめられない中毒性

    『Slay the Spire』や『Balatro』をプレイしたことがある人なら、この感覚わかるはず。1周が比較的短いから「もう1回だけ…」が止まらない。7日間を生き延びるのに、慣れれば1時間ほど。

    ただ、海外レビューでも指摘されてたけど、バランスがかなり極端。運次第で無理ゲーになることもあれば、タリスマンとサイコロの組み合わせが決まると無双できることも。特に「パンティ」っていうアイテムを受け取ると…まあ、プレイしてみてください。

    Steam評価は驚異の97%好評(119件のレビュー)。価格は1,200円で、3月4日まで20%オフの960円。体験版も公開されてるから、気になる人はまず試してみるのもアリ。

    製品版では難易度選択が追加されて、「ストーリー」モードと「ローグライト」モードのレベル制が実装された。初心者でもストーリーを楽しめるし、ガチ勢は高難易度に挑める。

    メンヘラちゃんの声がマジで怖可愛い

    夏吉ゆうこさんのボイスが本当に秀逸。「ウマ娘」のシュヴァルグラン役や「超かぐや姫!」のかぐや役で知られる実力派声優さんなんだけど、このメンヘラちゃん役がヤバい。

    甘えた声で「ちゅ〜っと、血を抜いちゃう♡」とか言われると、背筋がゾクッとする。可愛いんだけど怖い。怖いんだけど可愛い。この絶妙なバランスが、ゲーム全体の不穏な雰囲気を作り出してる。

    ビジュアルもアニメ調で可愛らしいんだけど、血を抜かれるシーンはちゃんとダークな演出。設定で血の表現を調整できるから、苦手な人も安心。

    音楽も素晴らしくて、特に3日目と4日目にかかる曲がめちゃくちゃキャッチー。海外レビューでも「このトラックだけのためにまたプレイしたくなる」って書かれてた。

    運と戦略が交差するギャンブルローグライト

    このゲームの本質は、純粋な運ゲーをどこまで戦略で覆せるかっていう挑戦。チンチロはサイコロ運に左右されるけど、デッキ構築要素がそこに深みを与えてる。

    5回のリロールをいつ使うか。どのサイコロを優先的に改造するか。タリスマンをどう組み合わせるか。アイテムをどのタイミングで使うか。考えることは意外と多い。

    ただし、海外レビューが指摘してるように、チンチロそのものに飽きる人はいると思う。基本的にはサイコロを振ってるだけだから。でも逆に言えば、シンプルなルールだからこそ、誰でも入り込みやすい。

    『Balatro』がポーカーをローグライト化して大ヒットしたように、『メンヘラリウム』はチンチロをローグライト化した意欲作。日本の伝統的なギャンブルゲームを、現代的なゲームデザインで蘇らせてる。

    OVERKILLを狙え!スコアを超えればメンヘラちゃんもご満悦

    毎日設定されるスコア目標を達成すれば次の日に進める。でも、目標を大幅に超える「OVERKILL」を達成すると、メンヘラちゃんが大喜び。製品版では、OVERKILL達成時にHPが減少しなくなるアップデートも入った。

    「メンヘラネットワーク」っていう評価画面も面白い。「好感度」「根性」「生命力」の3つの指標でプレイヤーを評価して、それに応じてコインが支給される。このコインで次の日に備えるわけだけど、お金が足りなくて詰むこともある。

    リプレイ性も高くて、複数のエンディングが用意されてる。どうやって生き延びるか、あるいは…まあ、それはプレイしてのお楽しみ。

    開発は日本のインディーチーム「テスカトリポカ」、パブリッシャーは「Phoenixx Inc.」。日本発のユニークなローグライトとして、海外でも注目を集めてる。

    基本情報

    ゲームタイトル: メンヘラリウム(Menherarium)
    ジャンル: デッキ構築ローグライト / ギャンブル / 心理的ホラー
    プラットフォーム: PC(Steam)
    リリース日: 2026年2月18日
    価格: 1,200円(3月5日まで20%オフで960円)
    開発: テスカトリポカ
    パブリッシャー: Phoenixx Inc.
    対応言語: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)
    Steam評価: 非常に好評(97%ポジティブ / 119件のレビュー)
    プレイ時間: 1周約1〜2時間
    難易度: 選択可(ストーリーモード / ローグライトモード)
    声優: 夏吉ゆうこ(メンヘラちゃん役)

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  • ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    「ダイスゲームって運ゲーでしょ?」

    そう思っていた時期が、筆者にもありました。

    でも、2025年1月31日にSteamで早期アクセスが開始された『Dobbel Dungeon』をプレイして、その考えは完全に覆された。このゲーム、確かにダイスを振るんだけど……めちゃくちゃ戦略的なんですよ!!

    開発は個人開発者のFluxterによるもので、ローグライクダンジョンクローラーとデッキ構築、そしてダイスロールを組み合わせた新感覚のターン制戦略ゲーム。Steam評価は「圧倒的に好評」で、90%以上の高評価を獲得している注目作だ。

    ダイスとカードの融合が生み出す中毒性

    『Dobbel Dungeon』の最大の特徴は、ダイスの目がカードの効果を決定するというシステムにある。

    プレイヤーは毎ターン、複数のダイスを振る。そして、手札にあるカードを使用する際に、そのダイスの目を割り当てることで効果が発動する仕組みだ。

    たとえば、「攻撃カード」に「6」の目を割り当てれば強力な一撃になるし、「3」を割り当てれば控えめなダメージになる。シンプルだけど、この仕組みが驚くほど奥深い。

    最初は「ダイスの目次第じゃん」と思うんですよ。でも違う。プレイしていくうちに気づくんです。

    「このカードには低い目を使って、あのカードには高い目を残しておこう」 「この敵には小さなダメージを複数回与えて、あの敵には一撃必殺を狙おう」

    こういった判断が、めちゃくちゃ楽しい。ダイスという運要素がありながら、プレイヤーの選択次第でいくらでも状況を好転させられる。これこそが『Dobbel Dungeon』の魅力だ。

    デッキ構築で広がる無限の可能性

    本作はローグライクデッキ構築ゲームでもある。

    ダンジョンを進むにつれて新しいカードを獲得し、自分だけのデッキを組み上げていく。カードの種類は攻撃、防御、回復、バフ、デバフと多岐にわたり、それぞれにユニークな効果が設定されている。

    筆者が特に気に入っているのは、「ダイスの目を操作するカード」の存在だ。

    たとえば、「ダイスの目を+1する」「2つのダイスの目を入れ替える」「ダイスを振り直す」といったカードがある。これらを駆使すれば、運要素をコントロールできるようになる。

    運ゲーと思いきや、実は運をコントロールするゲームだったんですよ!

    デッキ構築の自由度も高く、攻撃特化、防御重視、ダイス操作特化など、さまざまなビルドが楽しめる。何度も挑戦して試行錯誤するうちに、「このシナジーが強い!」と発見する瞬間がたまらない。

    ターン制戦略の深み

    本作はターン制バトルを採用しており、敵の行動パターンを読みながら慎重に立ち回る必要がある。

    敵は次のターンで何をしてくるかが表示されるため、それに合わせて防御を固めたり、先手を打ったりする戦略性が求められる。

    さらに、敵にもダイスが存在する。敵のダイスの目によって攻撃力や行動が変わるため、こちらも予測しながら対応しなければならない。

    「あの敵は高い目を出したから、次は強力な攻撃が来る。今のうちにシールドを張っておこう」

    こんな判断が求められるのが、じつに楽しい。

    ボス戦は特に緊張感があり、1ターンのミスが命取りになることも。でも、その分クリアしたときの達成感は最高だ。

    早期アクセスでも充実のコンテンツ

    本作は現在早期アクセス中だが、すでに十分なボリュームがある。

    複数のキャラクター、数百枚のカード、多様な敵とボス、そしてランダム生成されるダンジョン。何度プレイしても新鮮な体験ができる。

    開発者のFluxterは、今後のアップデートで新キャラクター、新カード、新エリア、そして最終ボスを追加予定だと発表している。コミュニティの意見を取り入れながら開発を進めているため、今後の展開にも期待が持てる。

    こんな人にオススメ

    『Dobbel Dungeon』は、以下のような人に特にオススメだ。

    • 『Slay the Spire』や『Monster Train』などのデッキ構築ローグライクが好きな人
    • ダイスゲームに興味があるけど、運だけでは物足りないと感じる人
    • ターン制戦略ゲームで頭を使いたい人
    • リプレイ性の高いゲームを求めている人

    「運ゲー」と「戦略ゲー」の絶妙なバランスを実現した本作は、中毒性が非常に高い。気づけば何時間もプレイしてしまう魅力がある。

    ダイスとカードで運命を切り拓く冒険に、ぜひ挑戦してみてほしい。


    基本情報

    タイトル: Dobbel Dungeon
    開発元: Fluxter
    パブリッシャー: Fluxter
    配信日: 2026年2月17日
    プラットフォーム: PC(Steam)
    価格: 2,300円(Steam)
    対応言語: 英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、簡体字中国語、韓国語
    プレイ人数: 1人
    Steam評価: 圧倒的に好評(90%以上の高評価)


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