カテゴリー: ターン制

  • ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    ダイスとカードで運命を切り拓け!『Dobbel Dungeon』が示す、”運ゲー”と”戦略”の最高のバランス

    「ダイスゲームって運ゲーでしょ?」

    そう思っていた時期が、筆者にもありました。

    でも、2025年1月31日にSteamで早期アクセスが開始された『Dobbel Dungeon』をプレイして、その考えは完全に覆された。このゲーム、確かにダイスを振るんだけど……めちゃくちゃ戦略的なんですよ!!

    開発は個人開発者のFluxterによるもので、ローグライクダンジョンクローラーとデッキ構築、そしてダイスロールを組み合わせた新感覚のターン制戦略ゲーム。Steam評価は「圧倒的に好評」で、90%以上の高評価を獲得している注目作だ。

    ダイスとカードの融合が生み出す中毒性

    『Dobbel Dungeon』の最大の特徴は、ダイスの目がカードの効果を決定するというシステムにある。

    プレイヤーは毎ターン、複数のダイスを振る。そして、手札にあるカードを使用する際に、そのダイスの目を割り当てることで効果が発動する仕組みだ。

    たとえば、「攻撃カード」に「6」の目を割り当てれば強力な一撃になるし、「3」を割り当てれば控えめなダメージになる。シンプルだけど、この仕組みが驚くほど奥深い。

    最初は「ダイスの目次第じゃん」と思うんですよ。でも違う。プレイしていくうちに気づくんです。

    「このカードには低い目を使って、あのカードには高い目を残しておこう」 「この敵には小さなダメージを複数回与えて、あの敵には一撃必殺を狙おう」

    こういった判断が、めちゃくちゃ楽しい。ダイスという運要素がありながら、プレイヤーの選択次第でいくらでも状況を好転させられる。これこそが『Dobbel Dungeon』の魅力だ。

    デッキ構築で広がる無限の可能性

    本作はローグライクデッキ構築ゲームでもある。

    ダンジョンを進むにつれて新しいカードを獲得し、自分だけのデッキを組み上げていく。カードの種類は攻撃、防御、回復、バフ、デバフと多岐にわたり、それぞれにユニークな効果が設定されている。

    筆者が特に気に入っているのは、「ダイスの目を操作するカード」の存在だ。

    たとえば、「ダイスの目を+1する」「2つのダイスの目を入れ替える」「ダイスを振り直す」といったカードがある。これらを駆使すれば、運要素をコントロールできるようになる。

    運ゲーと思いきや、実は運をコントロールするゲームだったんですよ!

    デッキ構築の自由度も高く、攻撃特化、防御重視、ダイス操作特化など、さまざまなビルドが楽しめる。何度も挑戦して試行錯誤するうちに、「このシナジーが強い!」と発見する瞬間がたまらない。

    ターン制戦略の深み

    本作はターン制バトルを採用しており、敵の行動パターンを読みながら慎重に立ち回る必要がある。

    敵は次のターンで何をしてくるかが表示されるため、それに合わせて防御を固めたり、先手を打ったりする戦略性が求められる。

    さらに、敵にもダイスが存在する。敵のダイスの目によって攻撃力や行動が変わるため、こちらも予測しながら対応しなければならない。

    「あの敵は高い目を出したから、次は強力な攻撃が来る。今のうちにシールドを張っておこう」

    こんな判断が求められるのが、じつに楽しい。

    ボス戦は特に緊張感があり、1ターンのミスが命取りになることも。でも、その分クリアしたときの達成感は最高だ。

    早期アクセスでも充実のコンテンツ

    本作は現在早期アクセス中だが、すでに十分なボリュームがある。

    複数のキャラクター、数百枚のカード、多様な敵とボス、そしてランダム生成されるダンジョン。何度プレイしても新鮮な体験ができる。

    開発者のFluxterは、今後のアップデートで新キャラクター、新カード、新エリア、そして最終ボスを追加予定だと発表している。コミュニティの意見を取り入れながら開発を進めているため、今後の展開にも期待が持てる。

    こんな人にオススメ

    『Dobbel Dungeon』は、以下のような人に特にオススメだ。

    • 『Slay the Spire』や『Monster Train』などのデッキ構築ローグライクが好きな人
    • ダイスゲームに興味があるけど、運だけでは物足りないと感じる人
    • ターン制戦略ゲームで頭を使いたい人
    • リプレイ性の高いゲームを求めている人

    「運ゲー」と「戦略ゲー」の絶妙なバランスを実現した本作は、中毒性が非常に高い。気づけば何時間もプレイしてしまう魅力がある。

    ダイスとカードで運命を切り拓く冒険に、ぜひ挑戦してみてほしい。


    基本情報

    タイトル: Dobbel Dungeon
    開発元: Fluxter
    パブリッシャー: Fluxter
    配信日: 2026年2月17日
    プラットフォーム: PC(Steam)
    価格: 2,300円(Steam)
    対応言語: 英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、簡体字中国語、韓国語
    プレイ人数: 1人
    Steam評価: 圧倒的に好評(90%以上の高評価)


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  • 「猫を育てて戦う」なんて発想、誰が思いつくんだ?『Mewgenics』14年の開発期間を経てついにリリース

    「猫を育てて戦う」なんて発想、誰が思いつくんだ?『Mewgenics』14年の開発期間を経てついにリリース

    正直に告白しよう。最初にMewgenicsのトレイラーを見た時、筆者は困惑していた。画面にはキモ可愛い猫たちがうろうろしており、なぜか戦闘をしている。「なにこれ?」というのが第一印象だった。

    しかし、実際にプレイしてみると、その印象は180度変わってしまった。これは単なる「猫ゲー」ではない。Edmund McMillenとTyler Glaielが14年の歳月をかけて作り上げた、とんでもないシステムの化け物だったのだ。

    まさかの遺伝システム!猫の血統管理がこんなに奥深いなんて

    Mewgenicsの核となるのは、猫の「繁殖システム」だ。プレイヤーは自宅で猫を飼い、繁殖させて、より強力な戦士猫を生み出していく。まるでポケモンの育成とXCOMの戦術が融合したような、前代未聞のゲーム体験がここにある。

    各猫は独自の能力と特性を持っており、繁殖を通じてそれらが子孫に受け継がれていく。筆者が特に驚いたのは、遺伝システムの複雑さだ。単純に「強い猫同士を掛け合わせれば最強の子猫が生まれる」というわけではない。時には予想外の突然変異が起こり、全く新しい能力を持つ猫が誕生することもある。

    実際に80時間以上プレイした今でも、新たな組み合わせを発見する度にワクワクしてしまう。これこそが『The Binding of Isaac』を手がけたEdmund McMillenらしい、無限の可能性を秘めたデザインなのだろう。

    戦術こそがすべて!ターン制バトルの奥深さに震える

    繁殖で生み出した猫たちは、4匹のチームを組んでダンジョンに挑戦していく。戦闘はグリッド形式のターン制で、各猫にはファイター、メイジ、クレリック、タンクなど14以上のクラスが用意されている。

    驚くべきは、各クラスが75の固有アビリティを持っているということだ。つまり、ゲーム全体で1000以上のアビリティが存在する計算になる。これに900種類以上のアイテムが加わることで、まさに無限とも言える戦術の可能性が広がっている。

    戦闘で負けても、猫は死亡するわけではない。代わりに負傷し、続けて戦わせれば最終的に死んでしまう。この絶妙なバランスが、プレイヤーに常に重要な選択を迫ってくる。強力な猫を危険な任務に送り込むべきか、それとも安全な場所で血統を守るべきか——。

    こんなボリューム、狂気の沙汰だ!200時間超えの大冒険

    開発者のEdmund McMillenは公式に「平均的なプレイヤーがゲームをクリアするのに200時間以上、100%達成には500時間以上かかる」と発言している。実際、筆者も100時間プレイしているが、まだ全体の30%程度しか見えていない気がする。

    ゲームには281の実績が用意されており、隠し要素や秘密のコンテンツも膨大に存在する。開発者のTyler Glaielは「プレイヤーが発見に数か月、数年かかるような小さな要素がたくさんある」と語っている。まさに掘れば掘るほど新しい発見があるゲームなのだ。

    賛否両論のユーモアセンス——愛せるかどうかが運命の分かれ道

    Edmund McMillenお馴染みの、下品で悪趣味なユーモアは健在だ。猫の排泄物を利用したアビリティや、露骨な性的描写を含むシーンなど、人によっては不快に感じる要素も多数含まれている。

    実際、Steam上のレビューでも「ゲームシステムは素晴らしいが、ユーモアセンスが受け入れられない」という意見が散見される。特に、NPCキャラクターたちの政治的なジョークや時事ネタは、人によっては「時代遅れ」「不適切」と感じられるかもしれない。

    しかし、この悪趣味さこそがMcMillen作品の魅力でもある。『The Binding of Isaac』で培われた独特の世界観を愛しているファンにとって、Mewgenicsは期待を裏切らない仕上がりになっている。

    基本情報

    開発者: Edmund McMillen, Tyler Glaiel
    パブリッシャー: Edmund McMillen, Tyler Glaiel
    プラットフォーム: PC (Steam)
    リリース日: 2026年2月10日
    価格: 3,400円(発売記念10%割引あり)
    プレイ時間: 200時間超(メインキャンペーン)
    難易度: 高
    日本語対応: あり

    Steam評価: 非常に好評(93%の高評価、8,553件のレビュー)

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  • Battle Brothersの開発陣が描く地獄の戦場!『MENACE』は覚悟のない指揮官を容赦なく粉砕する早期アクセスの名作

    Battle Brothersの開発陣が描く地獄の戦場!『MENACE』は覚悟のない指揮官を容赦なく粉砕する早期アクセスの名作

    「XCOMみたいなやつでしょ?」そんな甘い考えは開始5分で木っ端微塵

    2月5日、Overhype StudiosとHooded Horseによるターン制戦術RPG『MENACE(メナス)』が早期アクセス版をリリースした。『Battle Brothers』の開発チームが手掛ける新作ということで期待していたのだが、正直言って最初は「まあXCOMライクなゲームの一つでしょ?」くらいに軽く考えていた。

    その甘い認識が、プレイ開始わずか5分で完全に粉砕されることになろうとは……。

    本作の舞台は、辺境の宇宙システム「ウェイバック星系」。プレイヤーは共和国海兵隊の指揮官として、ワープゲート事故で中破した軽巡洋艦「TCRNインペタス号」から生き延びた部隊を率いることになる。任務は星系の治安回復──要するに、海賊、エイリアン、謎の敵対勢力をすべて始末することだ。

    分隊戦闘こそが真髄!一人の英雄なんていらない

    最初にチュートリアルをプレイして感じたのは、これがXCOMとは根本的に異なるゲームだということ。XCOMでは個々の兵士が重要だが、MENACEでは「分隊」が基本単位となる。歩兵分隊、装甲車両、歩行兵器(メカ)といった複数のユニットを組み合わせ、それぞれの特性を活かした戦術を組み立てる必要がある。

    特に印象的だったのは、個別ユニット行動システムだ。通常のXCOMライクゲームでは「自軍全体→敵軍全体」の順番だが、本作では自軍の一つのユニットを動かした後、敵が一つのユニットを動かすという交互進行。これにより、どのユニットをいつ動かすかの判断が極めて重要になる。

    最初のミッションで装甲車両を最後まで温存し、歩兵分隊が作った戦術的な隙間を一気に突破する快感を味わった瞬間、「これは他では味わえない戦術性だ」と確信した。

    制圧射撃が変える戦場の常識

    本作の戦闘システムで最も革新的なのは、制圧射撃の概念だろう。当たらなくても意味がある射撃──これがどれほど戦術の幅を広げるか、最初は理解できなかった。

    「当たらない射撃なんて無駄じゃないか」と思っていたのが大間違い。制圧射撃で敵を釘付けにしている間に、別の分隊が側面回り込みを行い、一気に殲滅する。この連携が決まった時の爽快感は、まさに「指揮官」としての醍醐味そのものだ。

    ただし、この戦術的深さには代償がある。判断を一つ間違えれば、分隊が壊滅し、貴重な指揮官を失うことになる。リソースは限られており、補充には時間とコストがかかる。Battle Brothersで培われた「失敗の重み」が、SF世界でも容赦なく襲いかかってくる。

    早期アクセスとは思えない完成度の高さ

    約20時間プレイした現在でも、まだゲーム序盤にいる状況だ。シネマティックトレイラーで登場した真の敵「メナス」にはまだ遭遇していないが、それでも十分すぎるほどの手応えを感じている。

    現在の早期アクセス版では、50種類以上のプロシージャル生成ミッション、3つのバイオーム、4つの敵対勢力が実装されている。これだけでも相当なボリュームだが、完成版では更なる惑星、ミッションタイプ、指揮官、装備が追加される予定だという。

    特に評価したいのは、日本語ローカライゼーションの質の高さ。機械翻訳ではなく、軍事用語や戦術概念が適切に翻訳されており、ストレスなく没入できる。Hooded Horseの丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。

    基本情報

    ゲーム名: MENACE(メナス)

    開発: Overhype Studios
    パブリッシャー: Hooded Horse

    リリース日: 2026年2月5日(早期アクセス)

    プラットフォーム: PC(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store、GOG.com)、Xbox Game Pass

    価格: 通常価格3,980円(現在25%オフセールで2,985円、2月20日まで)

    言語: 日本語対応(音声は英語のみ)

    プレイ時間: 無制限(プロシージャル生成)

    難易度: 高(Normal推奨)

    ジャンル: ターン制戦術RPG

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  • もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    もしもRPGがカードゲームだったら?『Dawncaster | The RPG Cardventure』でファンタジー世界を冒険しよう

    正直、最初は困惑した

    「RPGとカードゲームの融合」と聞いて、最初に頭に浮かんだのは「またSlay the Spireのようなローグライクか?」という疑問だった。だが、『Dawncaster | The RPG Cardventure』のSteamストアページを見て驚いた。1100枚を超える手作りカード、100以上のユニークなチャレンジ、そして何より「ストーリー主導のRPGとカードゲームの戦略性を融合」という開発者の野心的な試みが見えたからだ。

    これは本当にただのデッキ構築ゲームなのか?それとも新しいジャンルの誕生なのか?

    闇に堕ちた王国での冒険が始まる

    物語の舞台は、アエトスの王国。ここは光と闇の争いに巻き込まれた世界だ。伝説の英雄「ドーンブリンガー」が行方不明となり、希望を失った人々の前に立ちはだかるのは、復活を目論む悪魔の脅威。

    プレイヤーは高貴な騎士、止められない戦士、狡猾なローグなど、複数のクラスから一つを選んで冒険に挑む。これだけ聞けば典型的なダークファンタジーRPGだが、戦闘はすべてカードで行われる。最初は「なぜカード?」と思ったが、プレイしてみるとその理由がよくわかる。

    カードで紡ぐ物語がすべて!

    本作の最大の魅力は、カード一枚一枚に込められた戦略性だ。戦闘中、プレイヤーは手札のカードを駆使して敵と戦う。だが、ただカードを出すだけではない。進行に合わせてカードを「追加」「変更」「コピー」「アップグレード」「削除」できるのだ。

    例えば、序盤で役立った攻撃カードも、中盤以降は足手まといになることがある。そんな時は思い切って削除し、より強力なカードに入れ替える。この判断がゲームの行方を大きく左右する。

    初回プレイでは、手当たり次第にカードを取得していた筆者だが、これが大きな間違いだった。デッキが肥大化し、欲しいカードが手札に来ない状況が多発。敗北を重ねながら、「選択と集中」の重要性を痛感した。

    クラスごとの個性がハンパない

    各クラスの違いは想像以上に大きい。騎士は装甲と耐久力に特化し、正々堂々とした戦いを得意とする。一方、ローグは機動力と奇襲に長け、相手の隙を突く戦術が基本となる。

    特に印象的だったのは、同じ敵でもクラスによって全く異なるアプローチが必要になることだ。騎士なら正面突破で攻略できる敵も、ローグでは回避とトリックを駆使しなければならない。これにより、クラスを変えるだけで全く違うゲーム体験が味わえる。

    Steamでの評価も上々

    Steam上での評価は非常に好調で、66レビュー中83%が好評という数字を記録している。特に「リプレイ性が異常に高い」「各クラスに豊富な戦術がある」といった声が目立つ。価格も現在2,300円と、このボリュームを考えれば十分リーズナブルだ。

    元々モバイル向けに開発され、25万人のユーザーに愛されてきた本作が、ついにSteamに登場。PCプラットフォームでの最適化も施され、より快適にプレイできるようになっている。

    真のローグライクが待っている

    本作は「真のローグライク体験」を謳っており、実際にプレイ回数を重ねても飽きることがない。ランダムに生成される遭遇、選択によって変化するストーリー、そして膨大なカードの組み合わせ。これらすべてが合わさって、まさに無限のリプレイ性を実現している。

    さらに「サンフォージ」と呼ばれるハイペースなボスラッシュモード、ウィークリーチャレンジ、そして上級者向けの「インフェルナル・インベージョン」モードまで用意されており、やり込み要素も十分だ。

    基本情報

    ゲーム名: Dawncaster | The RPG Cardventure
    開発者: Wanderlost Interactive
    パブリッシャー: Wanderlost Interactive
    プラットフォーム: Steam(Windows、macOS、Linux)
    価格:2,300円※発売記念10%OFF実施中
    リリース日: 2026年2月6日
    言語: 日本語対応
    ジャンル: デッキ構築、ローグライク、RPG

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3966890/Dawncaster__The_RPG_Cardventure/

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    公式サイト: https://dawncaster.wanderlost.games/
    Discord: https://discord.com/invite/pfeMG9c

  • 戦術の奥深さに震えろ!『Underboard』が見せる”真のオートバトラー”の形

    戦術の奥深さに震えろ!『Underboard』が見せる”真のオートバトラー”の形

    オートバトラーってこんなに頭使うゲームだったっけ?

    正直に言うと、最初にSteamで『Underboard』を見かけた時は「また別のオートバトラーか…」なんて思ってしまった。TeamfightTacticsやDota Auto Chessの後に続々と登場したジャンルの一つ、くらいの認識だったのだ。

    ところがどっこい。実際にプレイしてみると、これまでのオートバトラーとは明らかに違う手応えがある。キャラクターの配置一つとっても、敵の動きを読み、シナジーを考え、魔法のタイミングを見計らい…。気がつけば3時間があっという間に過ぎていた。

    開発はHeadless、パブリッシャーは2 Left Thumbsによる本作『Underboard』は、2026年2月6日にSteamでリリースされたばかりの戦術的ローグライクオートバトラーだ。現在Steam評価は81%の好評価を獲得している。

    「見てるだけ」じゃない!プレイヤーの判断が勝敗を分ける

    多くのオートバトラーは、チーム編成をして「あとは見守るだけ」というのが基本だった。しかし『Underboard』は違う。戦闘中にリアルタイムで魔法を唱えることができるのだ。

    これが想像以上に戦略性を高めている。マナを使って積極的にチームをサポートするか、それとも温存してパッシブボーナスに期待するか。一瞬の判断が勝敗を分けることも珍しくない。

    プレイヤーは戦闘中に魔法を発動して戦闘に介入することができます。積極的に魔法を使ってチームをサポートするか、マナを温存してパッシブ効果に期待するか、プレイヤーの戦術が問われますと日本のゲームメディアでも紹介されている通りだ。

    実際にプレイしてみると、この「介入」システムが本当に絶妙で、完全に受け身ではないオートバトラーの新境地を感じさせてくれる。

    シナジーの構築が楽しすぎる件について

    『Underboard』の真骨頂は、何といってもキャラクターの特性(Trait)システムにある。同じ特性を持つキャラクターを複数配置することで、チーム全体にボーナスが発生するのだが、この組み合わせが本当に無数にある。

    例えば「Ninja」特性を3体揃えると、攻撃速度とクリティカル率が大幅に上昇する。一方で「Guardian」特性は防御に特化したシナジーを生み出す。どの特性を軸にチームを構築するかで、プレイスタイルが劇的に変わるのだ。

    さらに面白いのは、アイテムや装備品によってキャラクターの性能を大幅に変えられること。同じキャラクターでも装備次第で全く違う役割を担えるため、「今回はこの子を魔法使いにしてみよう」「次は近接アタッカーで」といった具合に、無限に近い可能性を感じさせてくれる。

    4つのゾーンで待ち受ける、それぞれ異なる挑戦

    本作の構成も見事だ。最初は「Shadow Woods」という比較的優しいエリアからスタートするが、勝利すると次のゾーンがアンロックされる仕組み。全4つのゾーンがあり、それぞれに独自の挑戦と強力なピナクルボスが待ち受けている。

    各ゾーンには独自のモンスターやギミックが用意されており、前のゾーンで通用した戦略がまったく通用しないことも。この「学習→適応→突破」のサイクルが本当に病みつきになる。

    特に印象的だったのは、第1ゾーンのボスとの戦い。多くのプレイヤーが第1ゾーンのボスに苦戦しているという報告があるが、確かに最初は歯が立たなかった。しかし、キャラクターの配置を見直し、シナジーを組み直し、魔法のタイミングを調整することで、ついに勝利できたときの達成感は格別だった。

    完璧じゃないからこそ愛おしい

    現在Steam評価81%ということは、約2割のプレイヤーが不満を持っているということでもある。確かに、一部のスキル説明が分かりにくかったり、バランス調整が完璧ではなかったりする部分もある。

    しかし、それ以上に「オートバトラーの新しい可能性」を感じさせてくれる作品であることは間違いない。「このゲームは非常に中毒性があり、試すことができる多くのコンボユニットがある」というプレイヤーレビューが的確に本作の魅力を表現している。

    まとめ:戦術ゲーム好きなら絶対に触るべき1作

    『Underboard』は、オートバトラーというジャンルに新しい風を吹き込んだ意欲作だ。「見てるだけ」から「参加する」へのシフト、深いシナジーシステム、そして4つの異なるゾーンが提供する多様な体験。どれをとっても、戦術ゲーム好きなら見逃せない要素ばかりだ。

    現在1,700円で配信中で、リリース記念セールも実施されているということなので、気になった方はこの機会にぜひ。きっと「オートバトラーってこんなに面白いものだったんだ」と新しい発見があるはずだ。


    基本情報

    ゲーム名: Underboard
    開発元: Headless
    パブリッシャー: 2 Left Thumbs
    リリース日: 2026年2月6日
    プラットフォーム: Steam(PC)
    価格: 1,700円(※リリース記念セール中は20%OFF)
    ジャンル: 戦術的ローグライクオートバトラー
    プレイ人数: 1人
    日本語対応: ○
    Steam評価: 非常に好評(81%)

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  • 呪いのボードゲームから脱出せよ!『Turnbound ターンバウンド』が魅せる新時代のオートバトラー体験

    呪いのボードゲームから脱出せよ!『Turnbound ターンバウンド』が魅せる新時代のオートバトラー体験

    最初は困惑、でもやめられない!オートバトラーなのに”考える時間”がたっぷり

    Steamで早期アクセス開始されたばかりの『Turnbound – ターンバウンド』。最初にこのゲームの説明を読んだとき、正直なところ「???」という感じだった。「呪いのボードゲームから脱出する」「非同期PvP」「インベントリ管理」…聞き慣れない要素の組み合わせに、一体どんなゲームなのか全く想像がつかなかった。

    でも、いざプレイしてみると…これがとんでもなく面白い!

    一般的なオートバトラーといえば、リアルタイムでテンポよく進行し、時間に追われながら戦略を練るものが多い。しかし『Turnbound』は違う。非同期システムにより、自分のペースでじっくりと考えながら戦略を練ることができるのだ。

    これは革命的だった。オートバトラーの醍醐味である戦略構築の楽しさはそのままに、時間の制約から解放された快適さを味わえる。まさに「新時代のオートバトラー」と呼ぶにふさわしい体験だ。

    “他のプレイヤーの魂”と戦う…それって一体どういうこと?

    『Turnbound』最大の特徴は、その独特な対戦システムにある。プレイヤーは「呪いのボードゲームに囚われた魂」として、他のプレイヤーが残した「魂の痕跡」と戦うことになる。

    つまり、対戦相手は過去に他のプレイヤーが構築したビルドの”亡霊“なのだ。これらの亡霊たちは、元のプレイヤーがゲームオーバーになった際に保存された構成で、新たなプレイヤーの前に立ちはだかる。

    このシステムの素晴らしいところは、常に新鮮な対戦相手と戦えることだ。どれだけプレイしても、同じパターンの敵と戦うことはない。他のプレイヤーの創意工夫が詰まったビルドと対戦するため、毎回新しい発見がある。

    「なるほど、こんな組み合わせもあるのか」「この配置、真似してみよう」といった具合に、対戦を通じて学びが得られるのも魅力的だ。

    タイル配置こそがすべて!戦略の奥深さに震える

    ゲームの核心は、限られたグリッド上でのタイル配置とシナジー構築にある。武器、遺物、装身具などのタイルを戦略的に配置し、強力な連鎖効果を生み出すことが勝利の鍵となる。

    最初は単純に「強いアイテムを集めればいいんでしょ?」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、そう簡単ではない。配置の仕方ひとつで同じアイテムでも全く違う効果を発揮するのだ。

    例えば、ある武器タイルを左上に配置するか右下に配置するかで、隣接するタイルとの相互作用が変わり、最終的な戦闘力に大きな差が生まれる。この奥深さは、パズルゲーム好きなら間違いなくハマるはずだ。

    さらに感動的なのは、同じアイテムセットでも無限の可能性があることだ。プレイヤーの数だけ異なる戦略とビルドが存在し、それぞれが独自の強さを持つ。この自由度の高さこそが『Turnbound』最大の魅力といえるだろう。

    3人のレジェンドヒーローがそれぞれ違う戦略を要求

    現在の早期アクセス版では、3人の個性的なヒーローが選択できる。孫悟空、不思議の国のアリス、ロビン・フッド…いずれも誰もが知る伝説の人物だが、ゲーム内では全く異なる戦略を要求してくる。

    孫悟空は近接戦闘特化で、攻撃的なビルドを好む。一方、ロビン・フッドは遠距離攻撃とクリティカルに長けており、精密な立ち回りが求められる。そしてアリスは…これがまた独特で、トリッキーな効果を駆使する魔法的な戦闘スタイルだ。

    それぞれのヒーローで全く違ったゲーム体験ができるため、飽きることがない。「今度は違うヒーローで挑戦してみよう」という気持ちが自然と湧いてくる。

    Slay the Spireコラボで話題沸騰!あの「スネッコアイ」が登場

    早期アクセス開始と同時に発表されたのが、Slay the Spire』との特別コラボだ。あの有名な遺物「スネッコアイ」が『Turnbound』にゲスト参戦している!

    この粋なコラボレーションは、ローグライク愛好者には堪らない演出だ。『Slay the Spire』をプレイしたことがある人なら、スネッコアイの特殊効果がどれほどゲームチェンジングかを知っているはずだ。

    コラボ要素があることで、既存のローグライクファンも『Turnbound』に興味を持ちやすくなり、コミュニティの拡大にも寄与している。開発陣の戦略的な判断といえるだろう。

    開発チームが凄い!Roll7、Ubisoft出身の実力派集団

    『Turnbound』を開発する1TK Gamesは、業界屈指の実力派スタジオだ。メンバーには『OlliOlli』シリーズで知られるRoll7や、大手UbisoftでAAA級タイトル開発に携わった経験豊富な開発者が名を連ねている。

    この豪華な開発陣だからこそ実現できた、洗練されたゲームシステムと完成度の高いユーザー体験。早期アクセス段階でありながら、既に製品版レベルの品質を感じさせる仕上がりになっている。

    チーム名の「1TK」は「1ターンキル」の略で、彼らの戦略ゲームに対する情熱とこだわりを表している。ユーザーコミュニティとの対話も積極的で、今後のアップデートにも期待が高まる。

    Steam評価83%の高評価!ユーザーの声が証明する完成度

    リリースから間もないにも関わらず、Steam評価83%という高い評価を獲得している『Turnbound』。レビューを読んでいると、多くのプレイヤーが同じような感動を味わっていることがわかる。

    「最初は戸惑ったが、理解すると止まらなくなった」 「オートバトラーの新しい可能性を見せてくれた」 「非同期システムが革新的」

    特に評価されているのは、時間に縛られない快適さ戦略の奥深さだ。仕事や家事で忙しい社会人プレイヤーからも、「自分のペースで楽しめる」として好評を得ている。

    ただし、一部では「ゲームシステムの理解に時間がかかる」という意見もあり、初心者向けのチュートリアル拡充が今後の課題として挙げられている。

    これは間違いなく”次世代オートバトラー”だ

    『Turnbound』をプレイして確信したのは、これが単なるオートバトラーの亜種ではないということだ。非同期PvPシステムとインベントリ管理の組み合わせにより、全く新しいジャンルの扉を開いたといっても過言ではない。

    オートバトラーが好きな人はもちろん、パズルゲーム愛好者、戦略ゲームファン、さらにはローグライク経験者まで、幅広いプレイヤーが楽しめる懐の深さを持っている。

    早期アクセス段階でこの完成度なら、正式版リリース時にはさらなる進化を遂げているはずだ。今のうちにプレイしておけば、きっと「あの時から知ってたよ」と自慢できる日が来るだろう。

    基本情報

    ゲーム名: Turnbound – ターンバウンド
    開発・パブリッシャー: 1TK / Gambit Digital
    プラットフォーム: PC(Steam)
    リリース日: 2026年1月22日(早期アクセス開始)
    価格: 定価1,700円(早期アクセス版・10%オフ価格1,530円、2月6日まで)
    日本語対応: あり
    プレイ人数: 1人(非同期マルチプレイヤー対応)
    ジャンル: オートバトラー / 戦略 / ローグライク

    Steam評価: 非常に好評(83%、140件中)
    対応言語: 英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ブラジルポルトガル語、ロシア語、簡体字中国語、繁体字中国語

    システム要件:

    • OS: Windows 10 / macOS / Linux
    • メモリ: 4 GB RAM
    • グラフィック: Vulkan 1.0対応
    • ストレージ: 500 MB

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/3802470/Turnbound/

    公式リンク

    公式サイト: https://www.1tk.gg/
    Discord: https://discord.gg/turnbound
    X (Twitter): @1TKgames

  • クラシックCRPGの申し子『ソードヘイヴン』が遂に正式リリース!バルダーズ・ゲート愛に満ちた骨太ファンタジーRPGの魅力

    クラシックCRPGの申し子『ソードヘイヴン』が遂に正式リリース!バルダーズ・ゲート愛に満ちた骨太ファンタジーRPGの魅力

    ATOM RPGで高い評価を得たAtom Team。今度はファンタジーに挑戦するらしいと聞いたのは、Xをなんとなく眺めていた時だった。

    しかもバルダーズ・ゲートのオマージュ?「また懐古主義的なインディーゲームか…」なんて少し斜に構えていた筆者だったが、実際にプレイしてみると、これが想像以上にしっかりとした作りで驚かされた。

    2024年12月に早期アクセスを開始し、2025年12月17日についに正式リリースを迎えた『ソードヘイヴン: アイアンコンスピラシー』。Steam評価83%の「非常に好評」という数字が示すように、この作品はクラシックCRPGファンの心をがっちりと掴んでいる。

    懐かしいのに新しい、絶妙なバランス感覚

    プレイしてまず感じるのは、開発者たちがいかにInfinity Engineタイトル—特に初代バルダーズ・ゲートやアイスウィンド・デールを愛しているかということだ。アイソメトリック視点、仲間との会話の重要性、選択によって変わるクエストの展開…これらすべてが「あの頃」を思い出させてくれる。

    しかし『ソードヘイヴン』が優秀なのは、単なるノスタルジーに頼らない点だ。クラスレスシステムによる自由なキャラクターカスタマイズ、ターンベースとリアルタイムポーズを自由に切り替えできる戦闘システムなど、現代的な改良がしっかりと施されている。

    陰謀渦巻くノヴァ・ドラコニアという世界

    物語の舞台は未開の地「ノヴァ・ドラコニア」。プレイヤーは孤独な冒険者として船旅の途中で瀕死の男から奇妙なアーティファクトを託され、世界を脅かす巨大な陰謀に巻き込まれていく。王道的な導入だが、これがまた心地よい。

    特筆すべきはスキルチェックの多様性だ。錠前開け、スリ、説得、威嚇など、様々な場面でキャラクターの能力が試される。200まで上がるスキル値と相まって、序盤は失敗続きでも成長を実感できるシステムになっている。

    仲間との絆が物語を紡ぐ

    『ソードヘイヴン』では最大6人でパーティを組むことができる。各コンパニオンにはそれぞれ独自のバックストーリーと個性があり、プレイヤーの選択によって関係性が変化していく。

    面白いのは、スキルの重複問題だ。序盤では錠前開けができる仲間が4人も加わってしまい、「なぜみんな同じスキルを…」と困惑することもある。しかしこれもプレイを進めれば、より専門的なスキルの重要性が見えてくる仕組みになっている。

    戦闘は思考の時間、探索は発見の喜び

    戦闘システムは実に柔軟だ。じっくり考えたいときはターンベース、テンポよく進めたいときはリアルタイムポーズと、プレイヤーの好みに合わせて切り替えできる。命中率の低さに最初は戸惑うかもしれないが、これも成長の実感を得られる要素の一つだ。

    探索要素も充実している。隠し通路、秘密の宝箱、NPCとの何気ない会話から始まるサイドクエスト…クラシックCRPGの「歩き回る楽しさ」がここにはある。

    早期アクセスから正式リリースへの道のり

    約1年の早期アクセス期間を経て、『ソードヘイヴン』は大幅な改良を重ねてきた。初期の「アンチ楽しい」と評された要素—製作道具の破壊率の高さ、極端な命中率の低さなど—は適切に調整され、より遊びやすいバランスに仕上がっている。

    正式リリースと同時にリリースされた2つのDLC「Magus Tower Pack」と「The King’s Hand Pack」は、あくまでサポート向けのコンテンツで、本編を楽しむのに必須ではない。この辺りの良心的な姿勢も評価したい。

    日本語対応で広がる可能性

    本作は日本語表示に対応しており、日本のプレイヤーでも安心して楽しめる。翻訳の質も概ね良好で、クラシックCRPGの雰囲気を損なうことなく日本語で物語を味わえる。

    Steam Workshopへの対応により、MOD制作も可能だ。すでにリスペックポーションや運搬重量増加といった便利MODが公開されており、コミュニティの活動も活発だ。

    今後への期待:Cursed Cityと更なる展開

    Atom TeamはすでにKickstarterのストレッチゴールとして約束された「Cursed City」の開発に着手しており、バージョン1.1での実装を予定している。また、コンソール版の展開も計画されており、より多くのプレイヤーが本作を体験できるようになる予定だ。

    クラシックCRPGへの深い愛と現代的な改良が見事に融合した『ソードヘイヴン』。バルダーズ・ゲートやアイスウィンド・デールで育った往年のRPGファンはもちろん、Divinity: Original SinやPillars of Eternityで現代CRPGに触れた新しい世代のプレイヤーにもぜひ体験してもらいたい一作だ。

    Steam評価83%という高い評価は決して伊達ではない。AtomTeamが紡ぐファンタジー世界の陰謀に、あなたも足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

    基本情報

    タイトル: ソードヘイヴン: アイアンコンスピラシー
    開発・販売: AtomTeam
    配信日: 2025年12月17日(正式版)
    価格: 2,800円(12月31日まで10%オフ)
    プラットフォーム: PC(Steam/GOG)
    日本語: 対応
    プレイ時間: 50-100時間以上
    ジャンル: CRPG、アイソメトリックRPG、パーティベースRPG

    公式サイト: https://swordhavenrpg.com/en/sh/stove/
    Steam: https://store.steampowered.com/app/2108180/
    Discord: 公式コミュニティ参加可能
    Steam Workshop: MOD対応

  • 学園で悪魔退治は想像以上にハード!『Demonschool』は移動=攻撃の革新的タクティクスRPG。ペルソナ×女神転生な90年代ノスタルジーに浸れ

    学園で悪魔退治は想像以上にハード!『Demonschool』は移動=攻撃の革新的タクティクスRPG。ペルソナ×女神転生な90年代ノスタルジーに浸れ

    ペルソナ風のゲームって聞いてたのに……全然違うじゃん!

    Steam Next Festで配信されたデモ版が話題を呼び、当初の発売予定から延期を経て2025年11月19日にようやくリリースされた『Demonschool』。見下ろし型のアイソメトリック視点、大学を舞台にした学園生活、悪魔との戦い……確かにこれらの要素だけ見れば「現代版ペルソナ」という触れ込みも納得できる。

    が、実際にプレイしてみると印象は大きく変わった。本作は確かにペルソナやShin Megami Tenseiシリーズからインスピレーションを受けているが、その戦闘システムは全く別物。むしろ「移動=攻撃」という革新的なシステムを採用したタクティクスRPGであり、パズルゲームとしての側面すら持ち合わせている。

    「ペルソナっぽいゲームかぁ」なんて軽い気持ちで始めた筆者は、独特すぎる戦闘システムに最初こそ戸惑ったものの……気が付けば55時間もプレイしてしまっていた。

    移動するだけで攻撃!? 常識を覆す戦闘システムの衝撃

    本作の最大の特徴は、なんといっても「移動=攻撃」という斬新な戦闘システムだ。

    通常のタクティクスRPGでは、移動→攻撃という2つのアクションを順番に行うのが一般的。しかし『Demonschool』では、キャラクターをグリッド上で移動させると、その移動先に敵がいれば自動的に攻撃が発動する。つまり「移動すること」それ自体が攻撃手段になっているのだ。

    最初は「え? これだけ?」と思った。確かに操作は極めてシンプル。マス目を選んでクリックするだけで移動と攻撃が同時に完了する。だが、実際にプレイしてみると……これが想像以上に奥深い。

    本作の戦闘は「計画フェーズ」と「アクションフェーズ」の2段階に分かれている。計画フェーズでは、8つのアクションポイント(AP)を使って最大4人のパーティメンバーの行動を自由に設定できる。重要なのは、同じキャラクターを連続で動かすほどAPの消費量が増えていく点だ。

    1回目の行動は1AP、2回目は2AP、3回目は3AP……という具合に、どんどんコストが上がっていく。つまり、特定のキャラクターだけを使い続けるのは非効率。全員をバランスよく動かして、8APを最大限に活用する必要がある。

    さらに面白いのが、計画フェーズ中は何度でも行動を巻き戻せる点だ。「あ、この動きだと囲まれちゃうな」と思ったら即座にやり直し、別の戦略を試せる。この試行錯誤の過程が、まるでパズルを解いているような感覚を生み出している。

    最適な動きを見つけ出し、アクションフェーズで一気に実行する瞬間の爽快感たるや……! 計画通りに敵を次々となぎ倒していく様は、まるで自分が天才軍師になったかのような全能感に浸れる。

    個性豊かすぎるキャラクターたちの連携が鍵

    主人公のフェイは、デーモンハンターの末裔として謎の島・ヘムスクにある大学に入学する。そこで出会うのは、個性的すぎる15人の仲間たち。

    各キャラクターは固有の攻撃パターンを持っている。フェイは敵をノックバックさせ、ナマコは敵を自分の背後に移動させながらデバフを付与する。この特性を活かして、敵を一列に並べてから一気に倒す……なんてコンボが決まったときの気持ちよさは格別だ。

    戦闘では最大4人のパーティを編成できるが、誰を選ぶかで戦略が大きく変わる。近接攻撃に特化したキャラ、遠距離から支援できるキャラ、状態異常を撒き散らすキャラ……組み合わせは無限大。筆者は試行錯誤の末、ナマコとデスティンの連携プレイに落ち着いたが、人によってベストな組み合わせは全然違うはずだ。

    ちなみに、本作には従来のRPGのような「ステータス強化」の概念がほぼ存在しない。全キャラクターのHPは驚くほど低く設定されており、レベルアップによる能力上昇も控えめ。勝利の鍵は「正しい配置」と「適切なスキルの選択」に尽きる。

    この思い切った簡略化により、本作は「誰でも気軽に始められるタクティクスRPG」として完成している。ステータスの数値を細かく気にする必要がなく、純粋に戦術を練ることに集中できるのは素晴らしい設計だ。

    学園生活は思ったよりカジュアル

    ペルソナシリーズといえば、時間管理とスケジュール調整が重要な要素だが、『Demonschool』は大きく異なるアプローチを取っている。

    本作では、メインストーリーを進めると自動的に時間が経過し、朝・昼・夜とフェーズが切り替わる。プレイヤーは島のさまざまな場所を自由に探索でき、NPCとの会話やサイドクエストをこなすことで仲間との親密度を上げられる。

    ただし、ペルソナのような「限られた時間でどう過ごすか」という緊張感はほぼない。好きなタイミングで好きな場所に行けるし、特定のイベントを見逃したからといって取り返しがつかなくなることもない。この点は賛否が分かれるところだろう。

    個人的には、この緩さが逆に心地よかった。戦闘での緊張感が高い分、探索パートではリラックスして島を散策できる。住民との会話からは島の謎が少しずつ明かされ、記憶喪失の住人や不可解な現象の正体が気になって仕方なくなる。

    ちなみに、本作では最大5人のキャラクターとロマンス関係になれる。筆者は4人の女性キャラと同時進行したが……誰も怒らなかった。むしろ全員が筆者(フェイ)に優しかった。これが大学生活……?

    90年代風ビジュアルが醸し出す独特の雰囲気

    『Demonschool』の見た目も独特だ。2Dスプライトと3D環境を組み合わせたビジュアルは、どこかセガサターン時代のゲームを彷彿とさせる。

    特に戦闘シーンでの演出は圧巻。世界がグニャリと歪み、日常空間から戦闘フィールドへと切り替わる瞬間のビジュアルは何度見ても飽きない。敵のグロテスクなデザインも印象的で、頭蓋骨がパカッと割れて脳みそが飛び出すボスなんかは、レトロな表現だからこそ逆に生々しさを感じる。

    サウンドトラックも素晴らしい。ジャズからファンク、オーケストラまで多彩な楽曲が用意されており、戦闘中は曲がダイナミックに変化する。特に計画フェーズから行動フェーズに移る瞬間、BGMのテンポが一気に上がる演出が最高にアガる。

    Steam Deck OLEDでプレイしたが、この鮮やかな色彩はOLED画面で映えること間違いなし。11ワットという低消費電力で約5時間もバッテリーが持つため、寝っ転がりながらじっくり戦略を練るのに最適だった。

    タクティクスRPGの入口に

    技術的な問題やストーリーの粗はあるものの、『Demonschool』は間違いなく唯一無二のタクティクスRPGだ。

    「移動=攻撃」という革新的なシステムは、ジャンルに新風を吹き込んでいる。ペルソナやShin Megami Tenseiのファンが期待するような深い社会シミュレーション要素はないが、代わりに誰でも楽しめる戦術パズルとしての完成度を手に入れている。

    Steam評価94%(500件以上)、Metacritic 75点という評価は妥当だろう。万人受けするゲームではないが、刺さる人には徹底的に刺さる作品だ。

    特にタクティクスRPG初心者にこそオススメしたい。難解なステータス管理や複雑なスキルツリーに悩まされることなく、純粋に戦術を考える楽しさを味わえる。Steam Deckでも快適に遊べるため、通勤通学のお供にも最適だ。

    価格は3,520円(10%オフ期間中、3,168円)。プレイ時間は50~60時間が目安で、複数のエンディングを見るにはさらに時間が必要だ。コストパフォーマンスは申し分ない。

    90年代ノスタルジーと現代的なゲームデザインが融合した異色のタクティクスRPG『Demonschool』。ペルソナを期待して買うと肩透かしを喰らうが、オープンマインドで挑めば想像以上の体験が待っている。

    学園で悪魔退治、始めてみませんか?


    基本情報

    タイトル: Demonschool
    開発: Necrosoft Games
    パブリッシャー: Ysbryd Games
    プラットフォーム: Steam, PlayStation 4, PlayStation 5, Xbox One, Xbox Series X/S, Nintendo Switch
    リリース日: 2025年11月19日
    価格: 3,520円
    プレイ時間: 50〜60時間(メインストーリー)
    難易度: 初心者〜中級者向け
    Steam評価: 非常に好評 (94%)
    日本語対応: ○

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  • 3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    3×3のマス目で戦略バトル!小さな騎士団の大きな野望『オートナイト団』。デッキ構築とシナジーで頂点を目指せ

    在宅ワークの休憩中、気づけば7時間もプレイしてしまったゲーム──それが『オートナイト団(Tiny Auto Knights)』だ。

    2025年11月7日にSteamで正式リリースされたばかりの本作は、ドイツの小規模開発チームMumpitz Gamesが手がけた、3×3のグリッド上で繰り広げられるPvPオートバトラー。Steam評価は87%と「非常に好評」を獲得しており、リリース直後から話題を集めている。

    デモ版の時点でSteam全世界デモランキングTop 25入りを果たし、ピーク同時接続227人を記録。正式版リリースと同時に35%オフの発売記念セールも実施されており、現在975円で購入できる。

    だが本作の魅力は価格だけではない。60体以上のユニークなヒーローを組み合わせ、予想外のシナジーを生み出す戦略性の深さ。そして「もう一回だけ」が止まらない中毒性の高さにある。

    60体のヒーローから30体を選ぶ。自分だけのデッキで挑む3×3の戦場

    本作の最大の特徴は、カスタムデッキシステムだ。プレイヤーは60体以上のヒーローから30体を選んでデッキを構築。バトル開始時にはそのデッキからランダムに3体が提示され、配置するかリロールするかを選択する。

    ヒーローは5つのレアリティに分かれており、序盤は低レアリティのヒーローが中心。バトルを重ねるごとに徐々にレアリティの高いヒーローが出現するようになる。同じヒーロー2体を合成すればレベルアップし、より強力なスキルが解放される仕組みだ。

    3×3のグリッド上での配置が戦況を大きく左右する。前列に配置すれば先制攻撃のチャンスが増えるが、敵の攻撃も受けやすい。後列に配置すれば安全だが、攻撃順が遅くなる。ヒーローの位置関係によってスキル発動順も変わるため、どこに誰を置くかが勝敗の分かれ目となる。

    バトルが始まれば後は自動進行。ヒーローたちは配置された位置に応じて攻撃し、スキルを発動していく。毒、氷結、出血、アーマーといったステータス効果が戦況を複雑にし、一見不利な状況からの大逆転も珍しくない。

    「召喚型」か「バフ集中型」か。メタを読んで戦略を変える楽しさ

    本作の戦略性の核となるのがシナジーの概念だ。特定のヒーローを組み合わせることで、予想外の相乗効果が生まれる。

    初心者プレイヤーに人気なのは「召喚ビルド」。召喚系ヒーローを複数配置し、大量のミニオンで敵を圧倒する戦法だ。序盤は強力だが、上級者になると召喚ユニットを無視して本体を狙う戦術が主流になる。

    一方、ランクマッチの上位勢に多いのが「バフ集中型ビルド」。1〜2体のヒーローに複数のバフを重ね掛けし、攻撃力200超え、HP200超えのモンスターを作り上げる。ウィザードやリザードガードといった特定のヒーローが強化されやすいとコミュニティで話題になっている。

    面白いのは、開発チームがこうしたメタの変化を積極的にアップデートで調整している点だ。リリース直後から複数のバランス調整パッチが配信され、特定のヒーローが強すぎる状態や、逆に弱すぎる状態が修正されている。

    プレイヤーはメタの変化に対応しながらデッキを組み替え、新しいシナジーを模索する。「今週はこのビルドが強い」「次のパッチでこのヒーローが弱体化されそう」といった情報交換が、公式Discordやコミュニティで盛んに行われている。

    非同期PvPだから気軽。でも負ければめちゃくちゃ悔しい

    本作のPvPは非同期マルチプレイ方式を採用している。つまり、リアルタイムで他プレイヤーと対戦するのではなく、他プレイヤーが過去に組んだチーム編成と戦う形式だ。

    これにより、自分のペースでじっくり考えながらプレイできる。マッチング待ち時間もなく、サクサク進められるのが魅力だ。1ランあたり10〜15分程度で完結するため、ちょっとした空き時間にもプレイしやすい。

    だが油断は禁物。非同期とはいえ、対戦相手の編成は本物のプレイヤーが考え抜いたものだ。「あと1ターンあれば勝てたのに……!」「この配置ミスがなければ……!」と、負けたときの悔しさはリアルタイム対戦に劣らない。

    筆者が特に悔しかったのは、同じ対戦相手と3ターン連続でマッチングし、3連敗したとき。相手の編成は明らかに格上で、どう戦っても勝てる気がしない。「せめて別の相手と戦わせてくれ……!」と叫びたくなったが、それもまた運の要素だ。

    ただし、コミュニティからは「同じ対戦相手とは一度しか戦えないようにしてほしい」という要望も出ている。開発チームは積極的にフィードバックを受け入れているため、今後のアップデートで改善される可能性は高い。

    レリックとレベルアップ報酬で、毎回違う展開が楽しめる

    バトルに勝利すると「アンロックトークン」を獲得でき、これを使って新しいヒーローをデッキに追加できる。また、ヒーローがレベルアップするたびに選べるレベルアップ報酬も用意されている。

    さらに注目すべきはレリックシステムだ。ランダムに獲得できるレリックは、チーム全体にパッシブボーナスを付与する強力なアイテム。「全ヒーローの攻撃力+10%」「スキル発動時にHP回復」といった効果が、戦略に新たな幅を与える。

    レリックの組み合わせ次第で、同じデッキでも全く異なる戦い方ができる。「毒ダメージ強化」のレリックを引いた場合は毒ビルドに切り替え、「召喚ユニット強化」を引いた場合は召喚ビルドに特化する──といった臨機応変な戦略が求められる。

    このローグライク的なランダム性が、本作のリプレイ性を大幅に高めている。同じデッキで何度プレイしても、毎回違う展開が待っているのだ。

    ピクセルアートの可愛さと、小規模チームならではの愛情

    本作のビジュアルは、カラフルなピクセルアートで描かれている。騎士、魔法使い、ドラゴン、エルフ──ファンタジーの定番キャラクターたちが、ドット絵で可愛らしく表現されている。

    派手なエフェクトや3Dグラフィックとは無縁だが、だからこそ戦況が把握しやすい。誰がどのスキルを使ったのか、どのヒーローが毒状態なのか、一目で分かる。この視認性の高さは、戦略ゲームとして重要なポイントだ。

    開発元のMumpitz Gamesは、小規模なインディースタジオ。それでも、プレイヤーからのフィードバックに迅速に対応し、リリース直後から複数のアップデートを配信している。公式Discordでは開発者自らがコミュニティと交流し、次のアップデート内容についても積極的に情報を公開している。

    「愛情込めて作られた」という表現がぴったりの本作。AAAタイトルにはない、インディーゲームならではの温かさがある。

    「もう一回!」が止まらない。気づけば7時間

    本作の魅力を一言で表すなら、「もう一回」が止まらない中毒性だろう。

    負ければ「次こそは勝てる」と思い、勝てば「次はもっと高いスコアを目指そう」と思う。新しいヒーローをアンロックすれば「このヒーローを使ったデッキを試したい」と思い、強力なシナジーを発見すれば「この組み合わせで勝ちまくりたい」と思う。

    そうして気づけば、筆者は7時間もプレイしていた。寝る前に、休日に、そして…仕事の合間に──本作は常に「もう一回だけ」と呼びかけてくる。

    もちろん、本作にも改善点はある。現在はPvPモードのみで、ソロプレイヤー向けのAI対戦モードやシングルプレイコンテンツはない。また、ランクマッチでのメタ進行報酬が少ないため、「勝っても得られるものがない」と感じるプレイヤーもいる。

    だが、開発チームは今後のアップデートで新ヒーロー追加やバランス調整を予定しており、コミュニティの要望にも耳を傾けている。早期アクセスではなく正式リリースされた現時点で、すでに完成度の高いゲーム体験が提供されているのは間違いない。

    オートバトラーというジャンルに馴染みがない人も、戦略ゲーム好きも、カジュアルにPvPを楽しみたい人も──『オートナイト団』は、あらゆるプレイヤーに「もう一回」の中毒性を提供してくれる。

    今なら発売記念セールで35%オフ。この機会にぜひ、3×3のマス目で繰り広げられる熱い戦略バトルを体験してほしい。


    基本情報

    ゲーム名: オートナイト団(Tiny Auto Knights)
    開発: Mumpitz Games
    販売: Mumpitz Games
    リリース日: 2025年11月7日
    プラットフォーム: Steam
    価格: 通常1,500円(税込)※発売記念セール中は35%オフで975円
    プレイ人数: 1人(オンライン非同期PvP対応)
    対応言語: 日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語など全13言語
    Steam評価: 非常に好評(87%)
    推奨プレイ時間: 10分〜(1ランあたり)

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  • たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    たった3×3マスで世界が変わる。シンプルなのに奥深すぎる王国建設ローグライク『9 Kings』が止まらない

    見た目で判断してごめんなさい……

    正直に告白しよう。Steamストアで『9 Kings』を初めて見たとき、筆者の第一印象は「……ドット絵? 3×3のマス? なんか地味じゃね?」だった。

    2025年5月にリリースされた本作は、Sad Socketが開発し、『Manor Lords』でお馴染みのHooded Horseがパブリッシングを担当する王国建設ローグライク。カードを引いて3×3のマスに配置し、押し寄せる敵軍と戦う……というシンプル極まりないゲーム性だ。

    しかし、Steam評価は92%という驚異的な「非常に好評」。発売初週で25万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数は1万3000人を突破。デモ版の段階から海外インフルエンサーの間で話題沸騰し、正式リリース後も勢いが止まらない。

    「……そんなに面白いの?」

    半信半疑でプレイボタンを押した筆者は、気づけば6時間ぶっ通しでプレイしていた。そして今こうして記事を書いている最中も、「もう1ゲームだけ……」という悪魔の囁きが聞こえてくる。

    これは、ヤバいゲームだ。

    カードを置くだけなのに、なぜこんなに面白いのか

    ゲームのルールは驚くほどシンプルだ。プレイヤーは9人の王の中から1人を選び、その王固有の9枚のカードデッキを使って王国を発展させる。

    毎ターン手札からカードを1枚選び、3×3のマス目に配置する。カードには「ユニット」「建物」「エンチャント(バフ効果)」の3種類があり、配置したカードは即座に効果を発揮する。

    ターンが終わると、敵の王が軍勢を率いて攻めてくる。ここからはオートバトル。プレイヤーは特殊技を発動するタイミングを選ぶ以外、ただ見守るしかない。自分が築いた王国が敵を蹂躙するか、それとも蹂躙されるか──その結果はすべて、これまでの選択の積み重ねで決まる。

    勝利すれば、倒した敵の王のデッキから1枚カードを獲得できる。負ければ、最初からやり直しだ。

    たったこれだけ。でも、この「たったこれだけ」が恐ろしいほど中毒性が高い。

    「無の王」から始まる、破滅への序章

    最初にプレイできるのは「無の王(King of Nothing)」だけだ。騎士、弓兵、防衛塔といったオーソドックスな中世ヨーロッパ風のユニットで構成された、まさに”普通”の王。

    「なんだ、普通じゃん」と思ってプレイを始めた筆者は、1回目のプレイであっさり全滅した。

    理由は簡単。「どこに何を置けばいいのか分からない」からだ。

    3×3という限られたスペースに、前衛、後衛、支援施設をどう配置するか。バフ効果を持つ建物はどのユニットの隣に置くべきか。城(本拠地)をどこに配置すれば守りやすいか──考えることは山ほどある。

    そして2回目。今度は慎重に配置を考え、なんとか5年目まで生き延びた。だが、強力な敵に押し切られて敗北。

    3回目。配置の基本が分かってきた。騎士を前列に、弓兵を後列に、城は一番後ろ。バフ効果を持つ建物は主力ユニットの隣に置く。この基本を守るだけで、10年目まで到達できた。

    そして4回目。ついに初クリアを達成した瞬間、筆者は気づいた。

    「あ、これ……止まらないやつだ」

    9人の王、9通りの狂気

    クリアするごとに新しい王が解放されていく。そして、それぞれの王はまったく別のゲームを遊んでいるかのように個性的だ。

    血の王(King of Blood)」は自軍のユニットを犠牲にすることで、悪魔や吸血鬼を強化する。序盤は弱いが、雪だるま式に強くなっていくビルドの快感がヤバい。

    強欲の王(King of Greed)」は金で傭兵を雇いまくる資本主義の権化。ガトリング塔で敵を薙ぎ払う爽快感は筆舌に尽くしがたい。

    進歩の王(King of Progress)」に至っては、もはやファンタジーを捨てている。機関銃、ガトリング塔、火炎放射器──中世ファンタジーの王国に突如現れる近代兵器の暴力に、敵も味方も困惑するしかない。

    筆者が最もハマったのは「自然の王(King of Nature)」だ。キノコ、樹木、毒といった自然の力を操り、じわじわと敵を弱らせていく戦い方が実に戦略的で面白い。

    そして何より、敵を倒すたびに相手のカードを1枚奪えるシステムが天才的だ。

    自然の王でプレイ中、強欲の王からガトリング塔を奪った瞬間、筆者の王国は「森と機械銃が共存する狂った王国」へと変貌した。この予測不能な展開こそが、『9 Kings』の最大の魅力だ。

    シンプルなのに、絶妙に難しい

    本作の難易度は絶妙だ。

    基本ルールは誰でも理解できるほどシンプル。だが、勝つためには配置の最適化、カードシナジーの理解、敵の特性把握が不可欠となる。

    特に難易度「King」以上になると、運任せでは絶対に勝てない。毎ターンの選択が勝敗を分ける、まさにチェスのような戦略性が求められる。

    だが、何度負けても「もう1回だけ……」と思わせる中毒性がある。それは、敗因が明確だからだ。

    「あそこで城を後ろに置いておけば……」 「バフ建物をもっと早く建てるべきだった……」 「あのカードを選ばなければ……」

    反省点が明確だから、次のプレイでは改善できる。そして改善すれば、確実に強くなる。この成長の実感が、プレイヤーを離さない。

    止まらない。本当に止まらない

    『9 Kings』の1プレイは約30分。だが、その30分が無限に続く

    「今回はいい感じだ。クリアできそう」 →クリア →「次は別の王を試してみるか」 →「あ、この組み合わせ強い!」 →「もう1回だけ……」

    気づけば朝。これが『9 Kings』の恐ろしさだ。

    ピクセルアートは確かにシンプルだ。3×3のマス目も、一見地味に見える。だが、そのシンプルさが完璧に計算されている

    複雑なグラフィックや派手な演出は不要。プレイヤーが集中すべきは、選択と戦略だけ。そして、その選択が生み出す無限の組み合わせこそが、本作の真髄だ。

    筆者は今、プレイ時間が60時間を超えた。それでもまだ、「試していないビルド」「挑戦していない難易度」が山ほどある。

    発売から数ヶ月経った今も、開発チームは定期的にアップデートを実施している。新しい王、新しいカード、新しいモード──まだまだ進化し続けるこのゲームは、本当に終わりが見えない

    もし、あなたが「ちょっとした暇つぶし」を探しているなら、このゲームには手を出すな。

    これは暇つぶしではなく、時間泥棒だ。

    だが、もしあなたが「シンプルなルールで奥深い戦略を楽しみたい」「何度でもリプレイしたくなる中毒性を求めている」なら──

    迷わずプレイボタンを押してほしい。

    そして筆者と同じ、抜け出せない沼へようこそ。


    基本情報

    タイトル: 9 Kings(9 キングス)
    開発: Sad Socket
    パブリッシャー: Hooded Horse, INSTINCT3
    プラットフォーム: Steam (PC), Mac
    リリース日: 2025年5月23日(早期アクセス)
    価格: 1,980円(通常価格)
    プレイ時間: 1プレイ約30分、エンドレスモードあり
    日本語対応: あり(30言語対応)
    Steam評価: 非常に好評(92%、14,000件以上のレビュー)

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