カテゴリー: 宇宙

  • 「映画の宣伝ゲーム」が本気すぎて笑えない。『Starship Troopers: Ultimate Bug War!』は風刺とB級愛に満ちたレトロFPSだ

    「映画の宣伝ゲーム」が本気すぎて笑えない。『Starship Troopers: Ultimate Bug War!』は風刺とB級愛に満ちたレトロFPSだ

    本作はポール・バーホーベン監督の傑作SF映画『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)の世界観を完璧に再現しつつ、映画の持つ風刺性をゲームという形式で新たな次元へと昇華させた傑作レトロFPSなのだ。

    開発はブーマーシューター(90年代風FPS)『Warhammer 40,000: Boltgun』で高い評価を得たイギリスのAuroch Digital。パブリッシャーはDotemuとGame Source Entertainmentが担当している。

    「連邦公認プロパガンダゲーム」という狂気の設定

    本作の最大の特徴は、ゲーム自体が作品世界内に存在する「連邦政府公認のリクルートツール」として設定されている点だ。オープニングでは、映画でおなじみのジョニー・リコ将軍(俳優キャスパー・ヴァン・ディーンが本人役で出演!)が「このゲームはFedDev(連邦開発局)が制作した訓練シミュレーターだ」と語りかけてくる。

    つまりプレイヤーは「『スターシップ・トゥルーパーズ』の世界で暮らす子供が、軍隊入隊を促すためのゲームをプレイしている」という入れ子構造の中に放り込まれるわけだ。この設定がどれほど皮肉に満ちているか、映画を知る人なら理解できるだろう。

    バーホーベン監督の原作映画は、表面的には「虫を倒す痛快アクション」を装いつつ、その実態はファシズムと軍国主義を徹底的に風刺したブラックコメディだった。本作も同じ構造を持ち、プレイすればするほど「これ、本当に子供に遊ばせていいの?」という不穏な空気が漂ってくる。実に見事だ。

    レトロなのに現代的。絶妙なバランスのゲームデザイン

    ゲームジャンルとしては、90年代後半のFPSを彷彿とさせる「ブーマーシューター」スタイル。ドット絵風の粗いテクスチャ、2Dスプライトで描かれる味方兵士、ヘルスパックでの回復、そしてリロードの概念がない強力な火器の数々。『DOOM』や『QUAKE』の時代を知る人間には懐かしく、若い世代には新鮮に映るだろう。

    ただし本作は単なる懐古主義ではない。マップデザインは現代的なオープンエンド構造で、広大なフィールドに散らばった複数の目標を好きな順番で攻略できる自由度がある。これは『Warhammer 40,000: Boltgun』で培われたノウハウが活きている部分だ。

    戦闘システムも秀逸で、通常の銃撃戦に加えて軌道爆撃や核兵器の要請が可能。画面を埋め尽くすバグの大群に対して、容赦なく大量破壊兵器をぶち込む快感は格別だ。「過剰すぎる武力行使? いいや、これは必要な措置だ!」という連邦のロジックを体現したかのようなゲームプレイである。

    主人公は新キャラクター、しかしストーリーは映画の正統続編

    プレイヤーが操作するのは、機動歩兵のサマンサ・”サミー”・ディーツ少佐(演:シャーロッタ・モーリン)。彼女の戦歴を追体験する形で、全8つのミッションが展開される。

    ストーリーは映画『スターシップ・トゥルーパーズ』の後日談として構成されており、クレンダス星での大敗北から復讐の物語へと続いていく。各ミッション間にはFMV(実写映像)のカットシーンが挿入され、サミーの表情や語り口から血に飢えた新兵が、戦場で心に深い傷を負っていく過程が描かれる。

    このFMVパートの演出が素晴らしい。映画でおなじみのプロパガンダ映像風の演出で、連邦の「輝かしい勝利」を謳い上げるのだが、サミー本人の表情は明らかに疲弊しきっている。「本当はこんなに簡単じゃなかったんだろうな」と観客(プレイヤー)が察してしまう作りになっているのだ。

    「バグになって戦う」モードは賛否両論

    本作にはキャンペーンとは別に、アラクニド(バグ)側を操作して人類を殺戮するモードが存在する。これは『エイリアンVSプレデター』シリーズを思わせる試みだが、正直なところ評価は分かれている。

    海外レビューサイトThe JimQuisitionは「バグ側のゲームプレイが未完成に感じられる」と指摘しており、筆者も同意見だ。本来ならワーカー、ホッパー、タンカーといったおなじみのバグたちを操作したかったのだが、実際に用意されているのは「アサシン・バグ」という映画には登場しない独自種のみ。

    操作感も微妙で、機動歩兵側のプレイに比べると明らかに練り込みが甘い。レビュアーたちが「エビみたいなダンゴムシ」と酷評するのも無理はない。このモードに関しては、今後のアップデートでの改善を期待したいところだ。

    開発スタジオAuroch Digitalの底力

    本作を手掛けたAuroch Digitalは、イギリス・ブリストルに拠点を置く約100名規模の開発スタジオ。2010年設立で、元々はボードゲームのデジタル化や戦略ゲームを得意としていたが、2021年にSumo Groupに買収された後、『Warhammer 40,000: Boltgun』で大きな成功を収めた。

    同スタジオの強みは「レトロスタイルの外見と現代的なゲームデザインの融合」にある。単なる懐古主義ではなく、古き良き時代のゲーム体験を現代の文脈で再構築する手腕は見事だ。

    さらに興味深いのは、Auroch Digitalが「リモートワーク中心のスタジオ」として運営されている点。イギリス全土から才能を集め、多様性を重視した採用方針を掲げている。この柔軟な体制が、短期間で質の高いタイトルを連続リリースする原動力になっているのだろう。

    Steam評価94%「Very Positive」の理由

    2026年3月16日にリリースされた本作は、Steam上で811件のレビュー中94%が好評という驚異的な数字を記録している(記事執筆時点)。Metacriticでも各プラットフォームで70点台後半から80点という高評価だ。

    海外メディアの評価を見ると、以下のような点が絶賛されている:

    CGMagazineは9/10点をつけ、「短いが忘れられない体験。ユーモアがレトロシューターの限界を超えている」と評価。Way Too Many Gamesも9/10点で「長年プレイした中で最も称賛に値するライセンスゲーム」と絶賛している。

    一方で批判的な意見も存在する。The Sixth Axisは「プレゼンテーションは素晴らしいが、バグモードの出来が悪く、『Boltgun』と比べてビジュアルが一段劣る」と指摘。筆者も確かにグラフィック面では前作に及ばないと感じた部分はあるが、それを補って余りあるストーリーテリングと風刺性の高さが本作にはある。

    プレイ時間は短め、だが濃密な体験

    キャンペーンのボリュームは8ミッション、プレイ時間にして6~10時間程度とやや短め。しかし各ミッションには隠し要素や複数のエンディングが用意されており、やり込み要素も存在する。

    「もっと長く遊びたい」という声も理解できるが、逆に言えば余分な水増しが一切ない、研ぎ澄まされた体験とも言える。昨今のオープンワールドゲームに見られるような「やることリストの消化作業」とは対極にある、古き良きゲーム体験だ。

    日本語対応は?

    本作は日本語テキストに対応している。ただし音声は英語のみで、字幕での対応となる。映画『スターシップ・トゥルーパーズ』の日本語吹替版に慣れ親しんだ人には少し残念かもしれないが、原作映画のキャスパー・ヴァン・ディーンが本人役で出演している以上、英語音声で楽しむのが正しい姿だろう。

    テキスト翻訳の質も悪くなく、ストーリーを追うのに支障はない。ただし一部の軍事用語や皮肉めいた表現は、英語で楽しんだ方がニュアンスが伝わるかもしれない。

    『Helldivers 2』との比較は避けられないが…

    本作を語る上で避けて通れないのが、2024年に大ヒットしたCo-opシューター『Helldivers 2』の存在だ。同作も『スターシップ・トゥルーパーズ』から強い影響を受けており、「バグを倒す協力シューター」という点では完全に被っている。

    しかし両者は明確に異なるゲーム体験を提供している。『Helldivers 2』がマルチプレイ前提のライブサービス型ゲームなのに対し、本作はシングルプレイに特化した一本道のストーリー体験だ。どちらが優れているという話ではなく、単純に目指している方向性が違う。

    COGconnected誌が「『Helldivers 2』キラーではないが、十分に差別化されている」と評したのは的を射ている。レトロFPSの枠組みで風刺を描くという試みは、本作独自のものだ。

    欠点もある。でも、それでも遊ぶ価値がある

    正直に言えば、本作には改善の余地がある部分も多い。前述のバグモードの未完成感に加え、マルチプレイが存在しないのも残念だ。『スターシップ・トゥルーパーズ』の世界観なら、分隊制のCo-opモードがあれば完璧だっただろう。

    また、AI味方兵士が驚くほど無能で、プレイヤーの射線に平気で飛び込んでくる。これは意図的な演出(「無能な兵士が大量に死ぬ」という原作再現)の可能性もあるが、フレンドリーファイアでチームキルしまくる状況はやや興ざめだ。

    それでも、である。これほど原作への愛と理解に満ちたライセンスゲームは滅多にない。映画公開から約30年を経て、ようやく「真の『スターシップ・トゥルーパーズ』ゲーム」が登場したと言っても過言ではない。

    90年代FPSの手触り、B級SF映画のチープな魅力、そして現代社会への鋭い風刺。これらすべてが絶妙なバランスで配合された本作は、「ゲームでしか表現できない風刺」の一つの到達点だと筆者は考えている。

    基本情報

    開発: Auroch Digital
    販売: Dotemu / Game Source Entertainment
    リリース日: 2026年3月16日
    価格: 2,800円(Steam)
    プラットフォーム: PC(Steam, GOG.com)
    プレイ人数: 1人
    言語: 日本語テキスト対応(音声は英語のみ)
    ジャンル: アクション, FPS, レトロシューター, ブーマーシューター
    Steam評価: Very Positive(811件中94%が好評) <image>

    購入リンク

    Steam: https://store.steampowered.com/app/2321780/Starship_Troopers_Ultimate_Bug_War/
    GOG.com: https://www.gog.com/en/game/starship_troopers_ultimate_bug_war

    公式リンク

    公式サイト: https://www.dotemu.com/games/starship-troopers-ultimate-bug-war/
    X (Twitter): https://x.com/UltimateBugWar
    YouTube: https://www.youtube.com/@Dotemuofficial/featured

  • 植物エイリアンが地を這う恐怖! RTSと基地建設の融合『カリクス』が早期アクセス開始。Dune 2とC&Cのファンが待ち望んだ新時代のストラテジー

    植物エイリアンが地を這う恐怖! RTSと基地建設の融合『カリクス』が早期アクセス開始。Dune 2とC&Cのファンが待ち望んだ新時代のストラテジー

    「植物と戦うRTS? なんだそれ……」

    しかし実際にプレイしてみると、これがとんでもなく奥深い。Studio 568が開発する『Calyx』(カリクス)は、2026年1月29日にSteamで早期アクセスを開始したRTS×基地建設ゲームだ。プレイヤーは宇宙採掘基地の管理者となり、凶暴な植物型エイリアン「カリクス」との生存競争に挑む。

    敵は通常のRTSのようにユニットを生産するのではない。植物のように地を這い、刻一刻と領域を拡大し、あなたの電力網を侵食する。放置すれば、数分でマップ全体が緑の悪夢に覆い尽くされる。

    電力管理こそがすべて! ── 一瞬のミスが基地崩壊を招く緊張感

    『カリクス』最大の特徴は、電力ネットワークの構築と維持だ。

    プレイヤーは採掘基地を運営し、鉱石を掘って資金を稼ぎ、防衛施設や軍事ユニットを建造する。ここまでは一般的なRTSと同じだが、本作にはすべての建物に「電力供給」が必要という致命的なルールがある。

    ソーラーパネルで発電し、電力ポールで基地全体にエネルギーを送る。タレットも壁も、電力が途切れれば瞬時に機能停止する。そしてカリクスは、この電力網を優先的に狙ってくる。

    電力ポールが1本破壊されただけで、防衛ラインの半分が沈黙する。そこから雪崩のようにカリクスの根が押し寄せ、気づけば基地が緑の蔓に飲み込まれている──こんな悪夢が日常茶飯事だ。

    筆者も何度、「あと1分あれば勝てたのに!」と悔しい思いをしたかわからない。電力管理という一見地味な要素が、これほど緊張感と戦略性を生み出すとは思わなかった。

    カリクスは「ボス」であり「地形」でもある ── 前例のない敵デザイン

    本作の敵、カリクスは従来のRTSの常識を覆す存在だ。

    通常のRTSでは、敵は拠点から定期的にユニットを生産し、プレイヤーを攻撃してくる。しかしカリクスは違う。マップ上の複数地点に存在する「幹」から根と蔓を伸ばし、まるで生きた地形のように拡散していく。

    放置すればするほど、カリクスは強力になる。レベルアップした根は防御力が上がり、密集した植生は通常兵器では焼き切れない。あるSteamレビューでは「マップ5でカリクスが基本ユニットを一撃で倒すようになった」との報告もあるほどだ。

    つまり、プレイヤーは経済を回しながらも、常にカリクスの拡大を抑制し続けなければならない。のんびり内政に専念している暇はない。タンクと砲兵を編成し、積極的に前線を押し上げ、幹そのものを破壊しなければ勝利はない。

    筆者も最初は防衛重視で戦っていたが、それでは勝てないことに気づいた。カリクスとの戦いは、攻撃こそが最大の防御なのだ。

    テックツリーが戦局を変える ── ゴーリアス戦車と軌道レーザーの破壊力

    本作には充実した研究システムがある。

    データアーカイブを保護してリサーチポイントを獲得し、テックツリーで新技術をアンロックする。特に重要なのが「インフェルノ火炎放射器」と「ゴーリアス戦車」だ。

    インフェルノは植物に特効を持つ兵器で、カリクスの密集地帯を一気に焼き払える。ゴーリアスは複数の砲塔を持つ巨大戦車で、1台で戦況を変えるほどの火力を誇る。さらにホバー技術を研究すれば、その機動力も飛躍的に向上する。

    そして極めつけが「軌道レーザー」だ。宇宙から放たれる光の柱は、カリクスの広範囲を一掃する。初めて使ったときの爽快感は、言葉では表現できない。

    「They Are Billions」や「Creeper World」と比較されることも多い本作だが、カリクスはより攻撃的なプレイを要求してくる。壁に籠もるだけでは勝てない。テクノロジーを駆使し、戦線を押し上げ、敵の幹を一つずつ破壊していく──このダイナミックな攻防が、本作最大の魅力だ。

    早期アクセスでも充実のボリューム ── キャンペーン16マップ+スカーミッシュ&チャレンジ

    『カリクス』の早期アクセス版は、すでに驚くほど充実している。

    キャンペーンモードにはチュートリアルを含む16マップが用意され、Avaris社の採掘船に乗って惑星に降り立った主人公が、謎のAIとともにカリクスと戦う物語が展開される。マップごとに異なるバイオームや戦略が求められ、飽きることがない。

    スカーミッシュモードでは7つのマップで自由に難易度やシード値を設定してプレイできる。フレンドとシード値を共有し、同じ条件でスコアを競うこともできる。

    チャレンジモードにはさらに9つの特殊マップがあり、制限時間内にクリアを目指す高難度ステージが揃っている。

    Steamレビューでは現在「非常に好評」を獲得しており、90%が肯定的な評価だ。「Dune 2とC&Cを足して植物と戦わせた感じ」という評価も多く、クラシックRTSファンから熱烈な支持を受けている。

    3人のベテラン開発者が贈る、英国発の意欲作

    Studio 568は、ロンドンを拠点とする小規模インディースタジオだ。チームはPhil Clandillon氏、John Duffill氏、Mark Sheehan氏の3名で構成されており、彼らは長年『Calyx』の開発に取り組んできた。

    2023年に設立されたStudio 568にとって、本作はデビュー作となる。しかしその完成度は、新規スタジオとは思えないほど高い。彼らは2025年を通じてプレイテストとアンケートを繰り返し、コミュニティの声を積極的に取り入れてきた。

    公式Discordでは開発陣が直接プレイヤーと対話し、バランス調整やバグ修正を迅速に行っている。早期アクセス開始から2週間で、すでに複数のアップデートが配信されている。

    開発チームは「完成版では、さらに多くのユニット、敵のバリエーション、環境バイオームを追加する」と述べており、今後6〜12ヶ月での正式リリースを目指している。

    マイクロマネジメント必須? それとも戦略重視? ── プレイヤーの意見は分かれる

    本作には賛否両論もある。

    一部のプレイヤーは「ユニットのAIが弱く、手動で標的を指定しないと効率が悪い」と指摘する。特に砲兵ユニットは、放置すると苔ばかり撃って肝心の幹を狙わない。そのため、効率的に戦うにはある程度のマイクロマネジメントが必要だ。

    一方で、「基本ユニット4台だけでクリアできた」というプレイヤーもおり、戦略次第では最小限の兵力でも勝利できる設計になっている。防衛施設を適切に配置し、電力網を保護し、カリクスの拡大ポイントを見極めれば、物量作戦に頼らずとも勝てる。

    この「プレイヤーの腕前と戦略次第で難易度が大きく変わる」点こそ、本作の奥深さだと筆者は感じている。初見では圧倒されるが、システムを理解すれば驚くほどスムーズにプレイできるようになる。その学習曲線が、実に心地よい。

    『カリクス』は、古典的RTSの進化系だ

    「植物と戦うRTS」という一見奇抜な設定だが、その実態は正統派のストラテジーゲームだ。

    電力管理、資源採掘、テックツリー、ユニット編成、前線の押し上げ──これらすべてが絶妙にバランスされ、プレイヤーに常に判断を迫る。カリクスという特異な敵デザインが、従来のRTSにはない緊張感と新鮮さをもたらしている。

    Dune 2やCommand & Conquerを愛したプレイヤーなら、間違いなく楽しめる。They Are BillionsやCreeper Worldのファンにも強く推薦したい。そして何より、「最近のRTSは同じようなものばかり」と感じている人にこそ、この緑の悪夢との戦いを体験してほしい。

    カリクスの根は、あなたの基地を今も侵食しようと這いずり回っている。


    基本情報

    • タイトル: Calyx(カリクス)
    • 開発: Studio 568
    • パブリッシャー: Studio 568
    • 配信日: 2026年1月29日(早期アクセス)
    • 価格: 2,800円
    • 対応プラットフォーム: PC(Steam)
    • 言語: 日本語対応
    • 公式サイト: https://studio568.co.uk
    • 公式Discord: https://discord.gg/EdNejFX8kn

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  • 社畜から軍閥へ!リソース管理が命の宇宙戦略ローグライト『銀河の暗い隅』の魅力が予想以上にハード

    社畜から軍閥へ!リソース管理が命の宇宙戦略ローグライト『銀河の暗い隅』の魅力が予想以上にハード

    「撤退は戦略」。このメッセージが一番印象に残るゲームって、これまであっただろうか。

    2月4日にSteamで正式リリースされたBrick-Up Studio開発、2P Games配信の『銀河の暗い隅』(Nonentity Galaxy)を触ってみて最初に感じたのは、「なるほど、これは確実に破産する」という妙な安心感だった。

    最初はタイトルの「銀河の暗い隅」という響きから、どこかもの悲しいSFストーリーを想像していた。実際に始めてみると、確かに陰鬱な世界観なのだが、プレイヤーが体験するのは予想以上にシビアなリソース管理と、「負けを認める勇気」を育むハードコアな戦略ゲームだった。

    宇宙企業の外注エージェント=現代の社畜

    本作の設定は実にユニーク且つ現実的だ。プレイヤーは巨大な宇宙企業「The Company」の外注エージェントとして、艦隊を指揮して各種契約をこなしていく。

    ここで重要なのは、プレイヤーが英雄でも軍の司令官でもないということ。あくまで「会社員」なのだ。任務から帰還すれば会社への報告書を書かされ、損失があれば当然給与から天引きされる。勝利しても手数料は引かれ、負ければボーナスカットは免れない。

    このブラックユーモア満載の企業体質が、ゲーム全体に独特の味付けをしている。「時々、戦闘に勝ったと思ったら、収益が手元に届く前にスライスされるのを見る」という公式の説明が、このゲームの本質を完璧に表している。

    フリート戦術こそがすべて!

    戦闘システムは一見シンプルに見えるが、実は相当奥が深い。プレイヤーは艦隊全体を指揮し、AIに任せるか手動で細かく制御するかを選択できる。

    重要なのは陣形と配置だ。艦隊の並び方ひとつで、ダメージカバレッジと生存率が劇的に変わる。敵の攻撃を集中させるのか分散させるのか、前衛を盾にするのか機動力で翻弄するのか。ターゲット優先度を変えるだけで戦闘のテンポまで変わってしまう。

    そして何より印象的なのが「撤退システム」だ。多くのゲームでは撤退は敗北を意味するが、本作では立派な戦略選択肢として機能する。損害を最小限に抑えて基地に帰還し、損失を計算して次回に備える。この判断力こそが、本作で最も重要なスキルかもしれない。

    モジュール交換がゲームチェンジャー

    本作の真髄は、戦闘中にリアルタイムでモジュールを交換できるシステムにある。レアなモジュールを入手した瞬間、艦隊の性能が劇的に向上する。この「即座に実感できるパワースパイク」が、プレイヤーを夢中にさせる要因だ。

    ルート選択も戦略的で、安全なパスを選んで安定した収益を確保するか、リスキーなルートでレアモジュールと高額報酬を狙うか。この判断が毎回プレイヤーを悩ませる。そして何度も言うが、全てが回収できるとは限らない。

    システムに組み込まれたブラックユーモア

    特筆すべきは、このダークユーモアがただの演出ではなく、ゲームシステム自体に組み込まれている点だ。「一時停止したつもりが別の手続きを発動してコストが発生する」「戦闘に勝っても収益が手元に届く前に削られる」など、プレイヤーの行動に対する皮肉な仕掛けが随所に散りばめられている。

    敵は敵の銃撃だけでなく、「ルール」でもある。この構造が、単なる戦略ゲームを超えた風刺作品として機能させている。

    Steam評価95%の理由

    現時点でSteamレビューは192件中95%が好評という高評価を獲得している。プレイヤーからは「戦闘システムは簡単に覚えられるが、十分な深さと複雑さがある」「非常によく作られた、信じられないほど中毒性のあるゲーム」といった声が寄せられている。

    興味深いのは、UIや在庫管理に関する改善要望も多く寄せられているが、開発チームが迅速にアップデートで対応している点だ。リリース当日にプレイヤーからのフィードバックを反映したアップデートが配信されるなど、積極的な改善姿勢が評価されている。

    誰におすすめか

    タクティカルローグライトが好きな人、艦隊最適化を楽しめる人、そして健全な量のダークユーモアを楽しめる人には間違いなくおすすめできる。ただし、本作は時として厳しく、時として処罰的になることもある。プレイヤーの決断の重要性が高いゲームなので、運に頼りたい人には向かないかもしれない。

    逆に言えば、じっくりと戦略を練り、リスクとリターンを天秤にかけながらプレイするのが好きな人には、これ以上ない体験を提供してくれるはずだ。

    基本情報

    • タイトル: 銀河の暗い隅(Nonentity Galaxy)
    • 開発元: Brick-Up Studio
    • パブリッシャー: 2P Games
    • プラットフォーム: Steam(PC)
    • 発売日: 2026年2月4日
    • 価格: 1,200円(税込)※発売記念10%オフセール実施中(2月18日まで)
    • 対応言語: 日本語、英語、簡体字中国語、繁体字中国語
    • Steam評価: 非常に好評(192レビュー中95%が好評)
    • ジャンル: ストラテジー、タクティカル、ローグライト、リソース管理

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  • あなただけの宇宙船で銀河を旅せよ!『The Last Starship』正式リリースで見せた”設計の自由度”という名の魔力

    あなただけの宇宙船で銀河を旅せよ!『The Last Starship』正式リリースで見せた”設計の自由度”という名の魔力

    正直に言うと、最初にThe Last Starshipのスクリーンショットを見たとき、「また宇宙モノか…」なんて思ってしまった。でも、そんな先入観は開始10分で粉々に砕け散った。

    このゲーム、ただの宇宙ゲームじゃない。これはエンジニアとしての魂を試される、究極のシステム構築ゲームなのだ。

    2月3日にIntroversion Softwareから正式リリースされた『The Last Starship』は、3年間のアーリーアクセスを経て、ついに完成版として世に送り出された。『Prison Architect』を手がけたあの伝説的スタジオの最新作とあって、期待値は天井知らずだったが、実際にプレイしてみると、その期待をさらに上回る完成度だった。

    「動かない」から始まる、本物のエンジニアリング体験

    The Last Starshipの真の恐ろしさ(いい意味で)は、何もかもを一から作らなければならないことだ。配管、電気系統、酸素循環システム、武器システム…すべてが現実的なロジックで動いている。

    最初の宇宙船設計で、私は派手な武器をたくさん搭載した「俺の夢の戦艦」を作ろうとした。しかし現実は甘くない。電力不足でレーダーが動かず、酸素供給が追いつかず、クルーが次々と倒れていく。まるで現実のエンジニアリングプロジェクトで直面する問題そのものだった。

    「なぜエンジンが動かないんだ!?」と叫びながら配線図を見直していると、冷却水のパイプを繋ぎ忘れていることが判明。そんな細かなミスが命取りになる、そんなリアリティがこのゲームの魅力だ。

    海賊ハンターか、それとも宇宙のタクシー運転手か?

    ゲームが始まると、あなたは自分の道を選ばなければならない。海賊を狩って賞金を稼ぐか、貨物を運んで地道に稼ぐか、はたまた小惑星を採掘して資源を集めるか。それぞれの職業に応じて、船の設計も大きく変わってくる。

    私が最初に選んだのは「貨物運送業」だった。地味だが堅実、そんな選択のはずだった。しかし実際は、貨物スペースを確保するために武器を減らし、燃費を良くするためにエンジンを調整し、長距離航行に備えて居住区を拡充するなど、想像以上に複雑な設計が必要だった。

    一方で、海賊ハンターとして生きる道を選んだフレンドは、「装甲こそすべて!」と言わんばかりの重武装船を設計。しかし、その結果として燃費が悪化し、修理コストが膨大になって、結局は破産寸前まで追い込まれていた。

    このゲームでは、どんな道を選んでも「バランス」が重要なのだ。

    Steamワークショップが生む、無限の創造性

    The Last Starshipの本当の魅力は、プレイヤーコミュニティにある。Steamワークショップには既に2,200隻を超える宇宙船設計が投稿されており、その創造性には目を見張るものがある。

    スタートレックのエンタープライズ号そっくりの船から、まったく見たことのないオリジナルデザインまで、プレイヤーたちの創造力は留まるところを知らない。更新21では船のサイズ制限が撤廃されたこともあり、巨大な母艦から超小型偵察艇まで、あらゆる規模の船が作られている。

    特に印象的だったのは、ある日本人プレイヤーが作った「宇宙居酒屋船」だった。戦闘能力はほぼゼロだが、巨大な酒場とクルー用の娯楽施設を備えた、まさに「宇宙のオアシス」のような船だった。こんな発想、公式では絶対に出てこない。

    正式版リリースで何が変わったのか?

    3年間のアーリーアクセスを経た正式版では、主にUIの改善とバグ修正が行われた。一部のファンからは「もっと大きな新機能が欲しかった」という声もあるが、それは贅沢な悩みというものだろう。

    実際、私がアーリーアクセス版をプレイしていた頃と比べて、ゲームの安定性は格段に向上している。以前は頻繁に発生していたドローンのスタック問題も解決され、快適にプレイできるようになった。

    Steam評価は77%の「やや好評」を獲得。これは決して低い数字ではないが、Prison Architectのような圧倒的な支持を得るまでには至っていない。しかし、「このゲームにハマる人は、本当にハマる」という性質のゲームなのは間違いない。

    宇宙に夢を見る、すべてのエンジニアたちへ

    The Last Starshipは、確実に「人を選ぶ」ゲームだ。お手軽アクション要素を求める人には向いていない。しかし、システム設計の複雑さを楽しめる人、「なぜ動かないのか」を考えることにワクワクできる人には、これほど魅力的なゲームもないだろう。

    私はこのゲームをプレイしながら、大学時代の工学実習を思い出していた。理論通りにいかない現実、想定外のトラブル、そしてついに動いたときの感動。そのすべてが、この小さな画面の中に詰まっている。

    宇宙船設計という夢を、リアルなエンジニアリング体験として楽しめる。それがThe Last Starshipの真の価値なのだ。

    あなたも今日から、銀河一のエンジニアを目指してみないか?

    基本情報

    タイトル: The Last Starship
    開発: Introversion Software
    販売: Introversion Software
    リリース日: 2026年2月3日(正式版)
    価格: ¥2,300(Steam、15%オフセール実施中 現在1,955円)
    プラットフォーム: PC(Steam)
    対応言語: 日本語、英語他18言語対応
    プレイ人数: 1人(シングルプレイ)
    ジャンル: シミュレーション、ストラテジー、基地建設

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  • ブラックホールを成長させて宇宙を破壊せよ!『A Game About Feeding A Black Hole』は想像以上に中毒性抜群だった

    ブラックホールを成長させて宇宙を破壊せよ!『A Game About Feeding A Black Hole』は想像以上に中毒性抜群だった

    シンプルすぎて不安……だったのだが!?

    Steamでなんとなくゲームを探していて、『A Game About Feeding A Black Hole』というタイトルに目が止まった。直訳すると「ブラックホールに餌をやるゲーム」……なんとも奇妙で興味深いネーミングだ。

    スクリーンショットを見る限り、画面中央にブラックホールがあって、その周りに小惑星がプカプカ浮いているだけ。一見すると「こんなシンプルなゲームで本当に面白いの?」と疑念を抱いてしまうビジュアルである。

    だが、Steamの評価を見ると89%の高評価で「非常に好評」のタグがついている。しかも実際に遊んでみたプレイヤーからは「中毒性がやばい」「気がつくと何時間も遊んでる」という声が続出しているのだ。

    たった10秒で理解できるゲームシステム

    実際に起動してみると、本作の魅力がすぐに理解できた。

    ゲームルールは驚くほどシンプル。画面中央にある小さなブラックホールの周りを漂う小惑星を、円状のカーソル「ブレイカー」で破壊していく。砕かれた小惑星は自動的にブラックホールに吸い込まれ、一定数吸い込むとブラックホールがレベルアップ。制限時間内にできるだけ高いレベルまで成長させることを目指す。

    操作はマウスを動かすだけ。クリックする必要もない。カーソルを小惑星に重ねるだけで一定時間ごとにダメージを与え、やがて破壊されてブラックホールの餌となる。これ以上ないほど直感的で分かりやすい操作感だ。

    しかし、この単純さこそが本作の魅力の核心なのである。

    破壊の連鎖が生み出す爽快感

    最初は小さな灰色の小惑星しか存在しないが、ゲームが進むにつれて様々な種類の天体が出現する。オレンジ、黄色、緑、青、紫と色が濃くなるほど質量が大きく、ブラックホールの成長に大きく貢献する。

    特に興味深いのは「電気小惑星」の存在だ。これを破壊すると雷のような連鎖反応が発生し、周囲の小惑星を一気に巻き込んで破壊する。画面全体に青白い稲妻が駆け巡る瞬間の爽快感は格別で、まさに「宇宙規模の破壊」を体感できる。

    月の衛星を持つ惑星、虹色に輝く彗星、そして最終的には恒星まで登場する。それぞれが独特な破壊エフェクトを持ち、視覚的にも音響的にも満足度の高い体験を提供してくれる。

    永続アップグレードシステムが織りなす成長実感

    各セッション終了後には、稼いだ資金でアップグレードを購入できる。カーソルの威力向上、範囲拡大、制限時間延長、特殊小惑星の出現率アップなど、様々な強化要素が用意されている。

    このアップグレードシステムが絶妙で、「もう一度挑戦すれば今度はもっと高いレベルまで到達できる」という気持ちにさせてくれる。実際、アップグレードを重ねるたびに明確に性能向上を感じられ、前回は苦労した場面も楽々クリアできるようになる成長実感がある。

    特にレベルが上がるほど画面の視野が広がり、より多くの天体が表示されるようになる演出は秀逸だ。最初は狭い宇宙の片隅でちまちまと小惑星を破壊していたのが、いつの間にか銀河系規模の破壊活動を展開している感覚になる。

    複数のゲームモードで飽きさせない工夫

    メインとなるノーマルモードの他にも、「クイックプレイ」「ゼンモード」「ラインモード」など複数のゲームモードが用意されている。

    特に「ゼンモード」は時間制限がなく、純粋にブラックホールを成長させることに集中できる癒し系のモード。作業の合間にのんびりと宇宙破壊を楽しめる、なんとも贅沢な時間の使い方ができる。

    開発者のAarimous Studiosは今後も新たなゲームモードを追加していく予定とのことで、長期間楽しめるコンテンツとして期待できそうだ。

    Steam Deckでも快適、隙間時間の最高の相棒

    本作はSteam Deckでの動作も快適で、電車移動中や待ち時間などちょっとした空き時間にサクッと一回プレイするのに最適だ。1セッション5-10分程度で完結するため、時間を持て余している時の絶好の暇つぶしになる。

    また、ミニマルなドット絵のビジュアルと環境音楽のような落ち着いたBGMが、リラックス効果も生み出してくれる。宇宙という壮大な舞台でありながら、どこか瞑想的な雰囲気も持ち合わせている不思議な作品だ。

    基本情報

    開発者: Aarimous Studios LLC
    パブリッシャー: Aarimous Studios LLC
    プラットフォーム: Steam(PC)
    プレイ時間: 5-10分/セッション(無限リプレイ可能)
    難易度: 初心者向け(直感的操作)
    Steam評価: 非常に好評(89%)
    リリース日: 2025年12月16日
    価格: 300円(現在30%オフセール実施中 210円)

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  • 13年の歳月を経て遂にお出まし!月面基地の悪夢を描く『ROUTINE』。レトロ未来の恐怖が蘇る

    13年の歳月を経て遂にお出まし!月面基地の悪夢を描く『ROUTINE』。レトロ未来の恐怖が蘇る

    2012年に初めて発表されてから実に13年。その間に何度も開発が中断・再開を繰り返し、いつしか「幻のゲーム」として語られるようになった『ROUTINE』が、ついに2025年12月4日にリリースされた。Steamでの評価は「圧倒的に好評」(93%)と高く、まさに待ちに待った宇宙ホラーの傑作だ。

    月面基地という舞台設定を聞いた時は正直「またいつものエイリアン系ホラーでしょ?」と思っていた。しかし実際にプレイしてみると、そんな軽い気持ちは開始10分で木端微塵に吹き飛ばされた。これは単なるホラーゲームではない。1980年代のレトロフューチャリズムが創り出す、唯一無二の恐怖体験だった。

    なんだこのCATツールは!操作するたびに没入感が高まる

    本作最大の特徴は、主人公が持つ「C.A.T.(Cosmonaut Assistance Tool)」という万能ツールだ。一見するとバーコードスキャナーのような見た目だが、このツールこそが本作の没入感を決定づける要素になっている。

    従来のホラーゲームなら「Eキーで開ける」で済むドアも、本作では実際にC.A.T.のボタンを押し、モジュールを差し込み、手動でスキャンする必要がある。最初は「なんて面倒な」と思ったが、この一手間が恐怖を倍増させるのだ。

    敵に追われている最中に、震える手でC.A.T.の小さなボタンを正確にクリックしなければならない緊張感。バッテリー残量を気にしながらセキュリティシステムにアクセスする焦燥感。この触覚的なゲームプレイが、プレイヤーを確実に月面基地の住人にしていく。

    80年代の月面基地がこんなに恐ろしいなんて

    舞台となる月面基地「ユニオン・プラザ」は、1980年代に描かれた未来そのものだ。CRTモニターが並ぶ制御室、アナログメーターが並ぶ機械室、木製のテーブルが置かれた居住区域。このレトロフューチャー感が、なんとも言えない不安感を醸し出している。

    特に印象的なのは音響設計だ。古いダイヤルアップモデムを思わせる電子音、蛍光灯のハム音、そしてパトロール中の敵ロボットが発する機械的な駆動音。これらの音が重なり合い、まるで1970年代のSF映画の中にいるような錯覚を覚える。開発初期にMick Gordonが関わっていたというのも納得の、完璧なサウンドスケープだ。

    敵ロボットとの鬼ごっこが異常に怖い

    本作の敵は主に暴走した警備ロボットだが、これらとの遭遇が異様に恐ろしい。なぜなら、基本的に「逃げる」ことしかできないからだ。C.A.T.ツールで一時的にショートさせることは可能だが、根本的な解決にはならない。

    プレイ中、通路の奥から聞こえてくる金属的な足音に何度心臓が止まりそうになったことか。ロボットのサーチライトが壁に映る影を見ただけで、条件反射的に最寄りの物陰に隠れてしまう。これが約7時間続くのだから、精神的な疲労は相当なものだ。

    しかし、この恐怖の中にも絶妙なバランス感覚がある。常に追われ続けるわけではなく、謎解きやストーリー理解のための「息継ぎ時間」が適度に用意されている。この緩急のつけ方が、プレイヤーを最後まで飽きさせない秘訣だろう。

    謎解きの質の高さに感動

    本作の謎解きは、よくあるゲーム的な論理ではなく、実際にその場にいたらどうするかという「常識」に基づいている。例えば、自分のIDバッジを探すクエストでは、実際に自分の胸元を見下ろせば済む。コンピューターが故障していれば、一度電源を切って入れ直せば直る。

    この現実的なアプローチが、ゲーム世界への没入感を大きく高めている。複雑すぎる謎解きでプレイの流れが止まることもなく、かといって単純すぎて退屈することもない。絶妙なバランスだ。

    Steam Deckでの宇宙恐怖体験

    本作はSteam Deck検証済みで、ハンドヘルドでの恐怖体験も格別だ。小さな画面に集中することで、より一層の没入感を得られる。深夜に布団の中でプレイすれば、まさに宇宙の孤独感を体験できるだろう。

    ただし、音響設計が重要な本作では、可能な限り良いヘッドフォンの使用を推奨したい。敵の接近を知らせる微細な音の変化や、機械の異音など、細かな音の情報がゲームプレイの鍵となるからだ。

    物語の後半に待つ衝撃

    詳細はネタバレになるため控えるが、物語の後半では予想外の展開が待っている。単純な企業陰謀論から、より根源的で哲学的なテーマへとシフトしていく構成は、好みが分かれるところかもしれない。

    ただし、この唐突な変化も含めて『ROUTINE』という作品なのだろう。13年という長い開発期間で培われた独特の世界観が、最後まで一貫して表現されている。

    基本情報

    タイトル: ROUTINE
    開発: Lunar Software
    販売: Raw Fury
    配信日: 2025年12月4日
    プラットフォーム: Steam、Xbox Series X/S、Xbox One、Xbox Game Pass
    価格: 2,800円(Steam セール中10%オフ2,520円)
    プレイ時間: 7-10時間
    日本語対応: あり(字幕・インターフェース)
    Steam評価: 圧倒的に好評(93%)

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  • 破壊、収集、強化、繰り返し。『Void Miner』が教えてくれた”数字が増える快感”の本質

    破壊、収集、強化、繰り返し。『Void Miner』が教えてくれた”数字が増える快感”の本質

    クラシックな小惑星シューティングが、まさかここまで中毒的になるとは……

    Steam評価88%という高評価を獲得している『Void Miner – Incremental Asteroids Roguelite』。レトロ風のドット絵と「インクリメンタル×ローグライト」という組み合わせに惹かれてプレイしてみたのだが、気が付けば3時間があっという間に溶けていた。

    正直に言うと、最初は「昔ながらのアステロイドゲームでしょ?」と完全に舐めていた。が、実際にプレイしてみるとその中毒性の高さに驚かされることになる。

    シンプルすぎる操作、奥深すぎる戦略

    ゲームのルールは極めてシンプル。見下ろし視点で宇宙船を操作し、次々と飛来する小惑星を撃ち落とし、落ちてくる資源を回収する。回収した資源で船をアップグレードし、さらに多くの小惑星を破壊できるようになる。これだけだ。

    操作はWASDキーでの移動と、左クリックでの射撃のみ。設定で射撃を自動化することもでき、その場合は移動に集中できる。一見すると単純極まりないゲーム性に思えるが、この「シンプルさ」こそが本作最大の武器だった。

    1回のランは「酸素」という名の時間制限で区切られる。酸素が尽きればラン終了。稼いだ資源を使って永続的なアップグレードを購入し、次のランに挑む。このサイクルが恐ろしいほど気持ちいい。

    最初の壁は「酸素」だった

    プレイ開始直後、筆者は序盤の難しさに面食らった。初期状態の船は弱く、射撃の威力も低い。小惑星を破壊するのに時間がかかるうえ、酸素はあっという間に尽きてしまう。

    「これ、本当にクリアできるの?」と不安になったが、ここで重要なのが「酸素」のアップグレード。レビューでも指摘されている通り、序盤は何よりも酸素を優先的に上げるべきだ。

    酸素が増えれば滞在時間が延び、より多くの資源を稼げる。資源が増えれば火力も上がり、さらに効率よく稼げるようになる。この好循環に乗れた瞬間、ゲームは一気に加速する。

    マザーシップが戦況を変える

    ゲームを進めると、画面中央に「マザーシップ」と呼ばれる自動砲台が出現する。最初は頼りないが、アップグレードを重ねることで頼もしい相棒に成長していく。

    このマザーシップの存在が、本作の戦略性を大きく広げている。自分は敵船を狙いながら、マザーシップには小惑星を任せる。あるいはその逆。状況に応じて役割分担を変えることで、より効率的に敵を殲滅できるようになる。

    後半のウェーブでは画面が小惑星と敵船で埋め尽くされるが、強化したマザーシップがバリバリと敵を撃ち落とす光景は実に爽快だ。

    「数字が増える」快感の本質

    インクリメンタルゲームの魅力は「数字が増えていく快感」にある。本作はそれを完璧に体現している。

    アップグレードの効果は目に見えて分かる。火力が2倍になれば、小惑星を破壊する速度が明らかに速くなる。移動速度が上がれば、敵の攻撃を華麗に回避できるようになる。このフィードバックの明確さが、「もう1回だけ」を誘発する。

    しかも、本作のアップグレードは指数関数的ではなく線形的な成長。つまり、劇的な変化ではなく着実な成長を実感できる設計になっている。これが地味に重要で、「自分が上手くなっている」という感覚と「船が強くなっている」という感覚が見事に融合するのだ。

    3時間で「完走」できるボリューム感

    本作のメインコンテンツは約3時間でクリア可能。一見すると短く感じるかもしれないが、これが絶妙なボリューム感だった。

    「短時間で達成感を得られる」というのは、実は現代のゲーム体験において非常に重要だ。仕事や学業の合間にサクッと遊んで、確実にクリアまで辿り着ける。飽きる前に終わるからこそ、「また遊びたい」という気持ちが湧いてくる。

    クリア後にはエンドレスモードも用意されているが、こちらは敵のHP インフレが激しく、やや粗削りな印象。ただ、メインモードで十分満足できる内容なので、これはおまけ程度に考えればいいだろう。

    一人開発の熱意が詰まった作品

    開発者のRyan Jakob氏は本作をソロで開発している。リリース初日に1000本を売り上げ、Steam New & Trendingにランクインしたという報告を見ると、その努力が報われて本当に良かったと思う。

    コミュニティでの開発者の対応も非常に丁寧で、プレイヤーからのフィードバックに真摯に耳を傾けている。こういった姿勢が、高評価につながっているのだろう。

    価格も700円と非常にリーズナブル。3時間遊べてワンコイン程度というコスパの良さは、インディーゲーム好きならチェックして損はない。

    惜しい点も正直に言おう

    完璧なゲームではない。序盤のペースが遅く、最初の1〜2ランは「本当に面白くなるのか?」と不安になるかもしれない。UI周りも若干分かりにくい部分があり、画面端にアイテムがドロップして見失うこともある。

    エンドレスモードのバランスも改善の余地がある。小惑星のHPだけが上がっていくため、後半は火力不足で詰まりやすい。ここは今後のアップデートに期待したい。

    それでも、これらの欠点を補って余りある中毒性と達成感がある。完璧ではないが、確実に「面白い」ゲームだ。

    「もう1回だけ」が止まらない魔力

    本作を一言で表すなら、「もう1回だけ症候群」を引き起こすゲーム。1ラン数分で終わるテンポの良さ、明確な成長実感、そして適度な難易度。これらが絶妙に噛み合って、気が付けば時間を忘れてプレイしてしまう。

    レトロなドット絵も味があるし、BGMも作業用として聴いていられるチル系。視覚的にも聴覚的にも心地よく、長時間プレイしても疲れにくい。

    クラシックなアステロイドシューティングに、現代的なインクリメンタル要素を融合させた本作。「数字が増える快感」を存分に味わいたい方、短時間でサクッと遊べるローグライトを探している方に、強くおすすめしたい。

    基本情報

    ゲーム名: Void Miner – Incremental Asteroids Roguelite
    開発: Ryan Jakob
    パブリッシャー: Ryan Jakob
    プラットフォーム: Steam
    リリース日: 2025年11月17日
    プレイ時間: 3時間程度(メインコンテンツ)
    難易度: 初心者〜中級者向け
    Steam評価: 非常に好評(88%)
    価格: 700円
    言語: 日本語対応
    ゲームジャンル: アクション

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  • 宇宙で鳥たちと工場を作る癒し体験『Star Birds』。パイプを繋いで最適化を目指す中毒性がヤバい

    宇宙で鳥たちと工場を作る癒し体験『Star Birds』。パイプを繋いで最適化を目指す中毒性がヤバい

    小惑星に工場を建てるって、こんなに楽しいのか……

    Steamストアで『Star Birds』のページを開いたとき、最初に目に飛び込んできたのはカラフルな鳥たちと、小惑星を覆う無数のパイプだった。「なんだこれ、めちゃくちゃ可愛いじゃん」と思いつつも、「でも工場自動化ゲームって難しそう……」という不安もあった。

    しかし、そんな心配は杞憂に終わった。2025年9月10日に早期アクセス版がリリースされた本作は、わずか5日で Steam評価「圧倒的に好評」(95%) を獲得。『Dorfromantik』を手掛けたToukana Interactiveと、教育系YouTubeチャンネル「kurzgesagt – in a nutshell」のコラボ作品として、すでに大きな話題を呼んでいる。

    実際にプレイしてみると……気づけば3時間が経過していた。「あと1ステージだけ」「もうちょっと配置を最適化したい」と思っているうちに、時間があっという間に溶けていく。この中毒性、かなりヤバい。

    360度建築の発想がすごい

    本作の最大の特徴は、球体の小惑星上に基地を建設するという独特のシステムだ。通常の工場ゲームのような平面ではなく、ぐるりと360度回転する小惑星に施設を配置していく。

    最初は「球体に建物を置くって難しそう」と思ったが、これが意外とすんなり。マウスでクルクル回転させながら、採掘施設やパイプを配置していく感覚は、まるでミニチュアの惑星を手のひらで転がしているような楽しさがある。

    そして重要なのがパイプは交差できないというルール。これが絶妙なパズル要素を生み出している。鉄を精錬したい、でもパイプが他の資源ラインと干渉してしまう……そんなとき、小惑星の裏側をぐるっと回して配置する発想が生まれる。

    この360度という制約が、単なる工場ゲームを立体パズルに変えている。平面では不可能だった配置が、球体だからこそ実現できる。最初は戸惑うかもしれないが、慣れてくるとこの立体的な思考が病みつきになってくる。

    「失敗しても大丈夫」な優しさが心地いい

    工場自動化ゲームといえば『Factorio』や『Satisfactory』のような、高度な知識と計画性が求められる作品を思い浮かべる人も多いだろう。しかし『Star Birds』は、そういったハードコアな作品とは一線を画している。

    まず、時間制限が一切ない。ステージごとにクエストが用意されているが、のんびり自分のペースで進められる。資源が足りなくなっても詰むことはなく、配置をやり直すのも自由。ミスしても何のペナルティもない。

    これが本当にありがたい。失敗を恐れず、「あ、この配置ダメだな」と思ったら即座に作り直せる。試行錯誤が楽しめるゲームデザインになっている。

    さらに、チュートリアルが非常に丁寧。新しい施設や資源が登場するたびに、しっかり説明してくれる。「自動化ゲームは初めて」という人でも、安心して遊べる作りだ。

    実際、Steam レビューでも「ジャンル初心者に最適」「癒されながら工場を作れる」といったコメントが多数見られる。ハードコアゲーマーには物足りないかもしれないが、逆にこの優しさこそが本作の魅力なのだ。

    パイプのスパゲティ化が楽しすぎる問題

    工場自動化ゲーム経験者なら「スパゲティ配線」という言葉を聞いたことがあるはず。計画性なく配管を引いた結果、複雑に絡み合ったパイプが麺のように見える状態のことだ。

    『Star Birds』では、このスパゲティ化がむしろ楽しい

    最初はシンプルに「鉄を採掘→溶鉱炉→ロケット発射台」という流れを作るだけ。しかし進行するにつれて、複数の資源を組み合わせた複雑な生産チェーンが求められるようになる。

    例えば、プラスチックを作るには原油とメタンが必要で、それぞれ別の小惑星から輸送しなければならない。さらに電力供給のためのソーラーパネルも配置して……気づけば小惑星がカラフルなパイプで覆われている。

    でも、これが美しい。kurzgesagtらしいポップなカラーリングと相まって、複雑な配管すらも「アート作品」のように見えてくる。完成した小惑星基地をぐるぐる回転させて眺めるだけでも満足感がある。

    そして一度スパゲティ化した配置を、より効率的に整理し直す作業もまた楽しい。「このパイプはこっちを通せばもっと短縮できる」「ハブを使えば分岐がスッキリするな」と試行錯誤する時間が、最高に心地いい。

    ストーリーも意外としっかりしている

    『Star Birds』には、ちゃんとストーリーキャンペーンが用意されている。宇宙を旅する鳥たちが、謎のアーティファクトを追いかけながら新しい星系を探索していく……という内容だ。

    kurzgesagtの映像スタイルそのままのカットシーンが挿入され、鳥たちの軽妙な会話が物語を彩る。シリアスになりすぎず、かといって薄っぺらくもない、絶妙なバランス。

    「工場ゲームにストーリーなんて必要ないでしょ」と思うかもしれないが、意外と没入感が増す。次のステージに進むモチベーションにもなるし、何より鳥たちのキャラクターが愛おしくなってくる。

    特に印象的なのが、各ステージで提示されるクエスト。単に「○○を生産せよ」ではなく、「鳥たちがサングラスを欲しがっている」「核融合炉の研究をしたい」といった具体的な要求が出される。

    これがゲームプレイに意味を持たせている。ただの数字を達成するのではなく、「鳥たちのために頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。

    早期アクセスでもこの完成度は異常

    現在の『Star Birds』は早期アクセス版だが、その完成度はかなり高い。Steam レビューでも「バグがほとんどない」「UIが洗練されている」「パフォーマンスも良好」といった評価が目立つ。

    実際、筆者のプレイ中にクラッシュやバグは一度も発生しなかった。操作性も直感的で、マウスだけで全ての操作が完結する。Steam Deckでも快適に動作するという報告も多数見られる。

    早期アクセス版の内容は、2つの星系と多数のステージ、さらにプロシージャル生成される「ボーナスセクター」が含まれている。メインキャンペーンだけでも20時間以上は遊べるボリュームだ。

    そして開発ロードマップも公開されており、今後さらに新しい建物、小惑星タイプ、星系、ストーリーコンテンツが追加される予定。製品版リリースは2026年を予定しているが、現時点でも十分に遊び応えがある。

    逆に言えば、今から始めれば成長を見守れる楽しみもある。コミュニティも活発で、Discordでは開発者と直接フィードバックのやり取りができる。早期アクセスならではの「一緒にゲームを作っていく」体験も味わえるのだ。

    『Dorfromantik』好きなら絶対ハマる

    本作を開発したToukana Interactiveは、あの癒し系パズル『Dorfromantik』の制作チームだ。『Dorfromantik』を遊んだ人なら、『Star Birds』の「のんびりだけど奥深い」というゲームデザインの共通点に気づくはず。

    どちらも「失敗がない」「自分のペースで遊べる」「最適化の楽しさ」という要素を大切にしている。ただし『Dorfromantik』がタイル配置パズルなのに対し、『Star Birds』は工場自動化という違いがある。

    もしあなたが『Dorfromantik』で癒されつつも「もうちょっと複雑なことがしたい」と感じていたなら、『Star Birds』は完璧な次のステップになるだろう。

    逆に『Factorio』や『Satisfactory』で燃え尽きた人が、「もっと気楽に工場を作りたい」と思ったときにも最適だ。本作は両者の中間地点にある、絶妙なバランスの作品なのだ。

    宇宙で、鳥たちと、工場を作ろう

    『Star Birds』は、工場自動化ゲームの「考える楽しさ」と、カジュアルゲームの「気楽さ」を見事に融合させた作品だ。360度建築という独自のシステム、優しいゲームデザイン、美しいビジュアル、そして中毒性の高いゲームループ。

    「工場ゲームは難しそう」と敬遠していた人にこそ、ぜひ遊んでほしい。本作なら、きっとこのジャンルの魅力に気づけるはずだ。

    そして既に工場ゲームが好きな人も、この「癒しの工場作り」に新鮮さを感じるだろう。パイプのスパゲティ化を楽しみ、小惑星を回転させながら眺める時間は、他のどのゲームでも味わえない体験だ。

    現在Steam では10%オフの2,070円で販売中。デモ版も公開されているので、気になる人はまず試してみるといい。

    気づけば何時間も経っている。そんな魔法のような体験が、『Star Birds』にはある。


    基本情報

    Star Birds

    • 開発: Toukana Interactive
    • パブリッシャー: Toukana Interactive, kurzgesagt – in a nutshell
    • プラットフォーム: Steam (PC)
    • リリース日: 2025年9月10日 (早期アクセス)
    • 価格: 2,300円 (現在10%オフで2,070円)
    • プレイ時間: 20時間以上 (早期アクセス版)
    • 難易度: 初心者向け~中級者向け
    • Steam評価: 圧倒的に好評 (93%, 1,500件以上のレビュー)
    • 日本語対応: ○
    • Steam Deck: 対応

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  • クローンを使い捨て、宇宙で生き抜け! ダークSFの世界で無慈悲な脱出劇を繰り広げる『Quasimorph』

    クローンを使い捨て、宇宙で生き抜け! ダークSFの世界で無慈悲な脱出劇を繰り広げる『Quasimorph』

    容赦なき未来、容赦なき戦い

    2023年10月、Steamの早期アクセスにひっそりと現れた『Quasimorph』。ぱっと見は「また脱出系ゲームか……」と思ってしまいがちだが、この作品の魅力は一筋縄ではいかない。ダークなSF世界観、クローンという設定、そして何より「死んだらすべてを失う」という無慈悲なシステムが組み合わさった、まさに硬派なゲーマー向けの一作となっている。

    開発を手掛けるのはMagnum Scriptum。HypeTrain Digitalがパブリッシングを担当するこの作品は、ターン制RPGとローグライク、そして脱出シューターの要素を見事に融合させた野心作だ。

    西暦2200年、宇宙は企業のもの

    物語の舞台となるのは西暦2200年の太陽系。宇宙そのものが民営化され、大企業が利権を巡って血なまぐさい闘争を繰り広げている。プレイヤーは民間軍事会社(PMC)「マグナム」のボスとして、歴戦の傭兵たちのクローンを作成し、危険な任務へと送り込む。

    クローンが無事に生還すれば、ミッション中に手に入れた物資を持ち帰り、依頼主からの信頼と名声を得られる。しかし戦死してしまえば、持ち込んだ装備も現地で拾い集めた貴重品も、すべてが水の泡だ。

    そんな中、次元の亀裂から現れた「クアージモーフ」と呼ばれる謎の悪魔が人類に干渉を始め、状況はさらに混迷を極める。殺伐とした世界で如何にして宇宙に名を上げるか──それを決めるのは、あなた自身の判断力にかかっている。

    一手のミスが命取り 容赦なき戦術バトル

    『Quasimorph』の戦闘システムは、見下ろし視点のターン制バトル。『XCOM』のような戦術性重視のシステムに、カバーアクションと詳細な傷システムが組み合わさっている。

    戦闘では一発の銃弾が致命傷になりうる。被弾すれば部位ごとに傷を負い、出血や感染といった状態異常に悩まされることもある。包帯や消毒薬、鎮痛剤といった医療アイテムを使った手当ては生存に欠かせない要素だ。

    武器は近接用のナイフから、ショットガン、ライフル、果ては重火器まで多岐にわたる。それぞれにアタッチメントによる改造が可能で、戦況に応じた装備選択が勝敗を分ける。

    限られたインベントリ空間も大きな制約だ。弾薬、医療品、戦利品……何を持ち帰るかの判断が、PMCの経営を左右する。貪欲に物資をかき集めたくなるが、重量オーバーで動けなくなってしまっては元も子もない。

    企業間の力学が織りなすダイナミックな世界

    本作の魅力の一つは、プレイヤーの行動が太陽系全体の勢力図に影響を与える点だ。特定の企業から依頼を受け続ければ、その企業の影響力が増大し、より高性能な装備や技術へのアクセスが可能になる。

    一方で敵対する企業からは狙われやすくなり、ミッション中により強力な敵部隊と遭遇する可能性も高まる。どの企業と手を組み、どこと敵対するかは慎重に判断したいところだ。

    取引システムも独特で、通貨は企業ごとの専用クレジット制。依頼の報酬は基本的に現物支給で、余った分のみがクレジットとして支払われる。この制限により、単純にお金を貯め込むのではなく、物々交換を含めた複雑な経済活動が求められる。

    クアージモーフォーシスの恐怖

    ミッション中に蓄積される「クアージモーフォーシス」値も重要な要素だ。この数値が一定に達すると、次元の向こう側から恐ろしい悪魔たちが現れ始める。

    通常の人間の兵士とは比べ物にならない脅威となる彼らから逃れるには、酒やタバコといったアイテムで進行を遅らせるか、早期脱出を図るかしかない。だが逆に、意図的にクアージモーフォーシス値を上昇させてボス戦を狙うという上級者向けの戦術も存在する。

    理不尽ではない、ただ容赦がないだけ

    Steam上では「理不尽」という評価も散見される『Quasimorph』だが、実際にプレイしてみるとそれは誤解であることがわかる。確かに説明が不十分な部分もあり、メカニクスを理解するまでは苦戦を強いられるだろう。

    しかし、システムを把握し、適切な装備と戦術を身につければ、生存率は格段に向上する。むしろ、プレイヤーのミス一つが命取りになる緊張感こそが、本作最大の魅力と言える。

    難易度は高めだが、設定で調整も可能だ。MODサポートにより、インベントリを拡張したり、難易度を細かくカスタマイズしたりすることもできる。自分に合った難易度で、じっくりとこの無慈悲な世界を楽しんでほしい。

    早期アクセスの現状と今後

    現在の最新版は0.95となっており、開発チームは定期的なアップデートを続けている。メジャーアップデート「United We Stand」では、新たな派閥システムや強化要素、ランダムイベントなどが追加され、ゲーム体験がさらに充実した。

    Steam上では80%を超える高評価を獲得しており、特にハードコアなローグライクファンからの支持を集めている。一方で、チュートリアルの改善やバランス調整を求める声もあり、開発陣も積極的にコミュニティのフィードバックを取り入れている。

    『Quasimorph』は、容赦ない世界観と奥深いゲームプレイが見事に融合した、硬派なSFローグライクだ。一度ハマれば、クローンの屍を積み上げながらも、なお宇宙の深淵に挑み続けたくなることだろう。

    死と隣り合わせの緊張感を味わいたいなら、ぜひこの無慈悲な未来へと足を踏み入れてみてほしい。